胸骨骨折による痛みの後遺症で後遺障害が認定された事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 胸(胸骨骨折)、肋骨骨折 |
等級 | 非該当→12級13号(胸部痛) |
ご依頼後取得した金額 |
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55万円→724万円 |
主な損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
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傷害慰謝料 | 55万円 |
後遺障害慰謝料 | 275万円(裁判所の基準 約95%) |
逸失利益 | 494万円(年収×14%×10年) |
過失相殺 | 10% |
結果 | 724万円 |
状況
Uさんは、片側2車線の道路を直進していたところ、対向車線からコンビニに入ろうとして右折してきた車と衝突する交通事故にあいました。
幹線道路ということもあり、Uさんが走行していた車線は速度制限がなく比較的スピードが出た状態で衝突してしまったため、車は大破してしまうほどの事故でした。
この交通事故で、Uさんは胸を打ち付けてしまい、レントゲン検査の結果、胸骨と肋骨を骨折してしまっていることが判明しました。
救急搬送された病院では、バンドで固定して経過観察をするほかないと言われ、1週間ほど入院しました。
退院後は、かかりつけの病院に通院をするようになりましたが、胸の骨や肋骨ということもあり、特にリハビリをすることはなく、定期的に通院して、痛み止めの薬を処方してもらっていました。
最終的にUさんは、事故から5か月ほど経過する段階で保険会社からそろそろ症状固定をと言われました。
未だに骨折した胸の部分に痛みがあったUさんはどうしたらよいかわからず、弁護士に相談することにし、デイライト法律事務所の弁護士を訪ねて来られました。
弁護士の対応
弁護士は、Uさんからお話をお伺いして、かかりつけの医師が今後の治療についてどのように話しているかを確認しました。
すると、医師としても半年後の通院で症状固定とみてよいという意向であるとのことでした。
そのため、弁護士はUさんから後遺障害に関する手続も含めてご依頼していただき、保険会社にその旨を伝え、医師の話からすれば半年経過する時点までは治療費の対応をきちんとするように交渉をしました。
保険会社としても症状固定の目処をはっきりしてもらえるなら、治療費の対応は継続するということで、そろそろ症状固定でと言われていたところから1か月ほど期間を延長することができました。
最終的な受診をした上で、後遺障害診断書を作成してもらい、被害者請求を行いました。
しかしながら、1度目の後遺障害についての自賠責保険の回答は非該当というものでした。
理由としては、レントゲン検査のデータ上は明らかな異常は認められず、治療の頻度も多くなかったこともあり、症状の裏付けがないというものでした。
しかしながら、Uさんは症状固定後も胸の痛みを訴えていましたので、本当に骨に異常がないといえるのか判断するために、弁護士はUさんと相談して、最初に入院していた病院でCT検査を改めて受けて検査をすることにしました。
すると、CT検査の結果、骨が完全にくっついていないことが明らかになりました。
レントゲン検査ではその点が撮影の仕方ではっきりしていなかったのです。
そこで、弁護士は改めて新たに検査したCT画像を資料として提出して、痛みの原因は骨が完全にくっついていないことが原因であることは明らかであるから、14級9号よりも等級の重い12級13号が認定されるべき事案であると主張し、自賠責保険に異議申立てを行いました。
その結果、CT検査の画像が決め手となり、最初の回答が覆り、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するとして後遺障害の認定がなされました。
後遺障害の結果を踏まえて、弁護士は保険会社との示談交渉に移っていきました。
保険会社としては最初から弁護士が示談交渉に携わっていたため、裁判所の基準を用いて賠償案の提案をしてきました。
逸失利益については、神経障害の12級で一般的に認められる10年間の補償を提案してきましたが、慰謝料については、裁判所の基準の80%でお願いできないかというのが最初の回答でした。
しかしながら、弁護士は後遺障害も認定されている事案で安易に80%の水準では示談することはできないと回答しました。
他方で、Uさんは弁護士費用特約がついていなかったため、裁判をした場合、裁判費用が自費になってしまうという事情がありました。
そうした点も考慮して、できるだけ早期に納得のいく解決を図ることを目標に保険会社と示談交渉を行い、最終的に保険会社から500万円を支払ってもらうという内容で示談が成立しました。
後遺障害の被害者請求により受領していた224万円も合わせると724万円の賠償金を獲得することができたことになります。
弁護士のアドバイス
今回のUさんの事案のように1度目の後遺障害の判定では非該当になってしまうこともあります。
この場合、覆すためにはそれまでに提出している資料に追加して新たな資料が必要になります。
基本的にはそうした追加資料がなければ、最初の結果が変更になる可能性は低いです。
今回のケースでいえば、レントゲン検査より精度の高いCT検査を行ったことで異常を発見することができました。
後遺障害の認定結果が出た際、弁護士としても諦めずに、再度検査をして本当に良かったとホッとしました。
仮に、後遺障害が認められていなければ、Uさんはすでに受け取っていた休業損害の補償を除くと傷害慰謝料で55万円のみしか受け取れなかったことになります。
それが後遺障害が認定されたことで724万円になったのですから、結果は大きな違いです。