実家の相続では、リスクを高める「やってはいけない行動」があります。
「やってはいけない行動」には、たとえば次のようなものがあります。
- 実家の活用方法を決めないままズルズルと放置してしまう
- 遺産分割協議でもめたくないからと共有名義で相続してしまう
- 実家の様子を見に行くことも空き家管理サービスを利用することもなく放置してしまう
- 相続登記や相続税の申告を怠るなど
こうした「やってはいけない行動」をすると、次のような不利益が生じます。
- 実家の建物の状態が悪化して資産価値が減る
- 建物の倒壊のおそれが生じるなど、近隣にも危険や迷惑を及ぼす
- 共有者の同意がなければ実家の活用ができなくなる
- 相続登記や相続税申告を怠ったことによるペナルティを受ける など
この記事では、こうした「実家の相続でやってはいけない行動」について解説していきます。
合わせて、実家の相続によるリスクを回避するための対策、実家を売却する方法、実家相続のポイント・相談窓口について解説していきますので、実家の相続についてお考えの方は、どうぞご参考になさってください。
目次
実家の相続は危険!?やってはいけない7つの行動
実家の相続には、適切に対応しないと大きな損失を被る危険な側面があります。
実家の相続でやってはいけない行動は、主に次の7つです。

①実家をどうするかをよく考えないまま放置する
実家を相続する時には、できるだけ、実家をどのように活用するかを考えてから相続できると良いです。
相続について決める時には間に合わなかったとしても、なるべく早いうちに実家の活用方法を決めることが大切です。
活用方法についてよく考えないまま空き家として放置してしまうと、管理の手間や税金・維持費の負担が漫然とかかり続けることになります。
それに、活用方法を決めずに空き家となった実家を保有し続けていると、いつしか管理が行き届かなくなるケースが多いです。
そうすると、雑草や庭木が伸びたことで近隣の方に迷惑をかけたり、後ほどご説明する「特定空き家等」になってしまって、固定資産税が6倍となる、強制的に実家を解体される、などの不利益を被る可能性があります。
こうしたことにならないよう、実家を相続する場合は、なるべく予め活用方法を決めておきましょう。
相続について決める時に間に合わなかった場合は、なるべく早く活用方法を決めましょう。
- 自分で住む
- 賃貸する
- 売却する
- 実家を解体して駐車場にする
- 民泊にするなど
②共有名義で相続する
実家のような不動産は、現金や預貯金、株式と違い、不動産そのものを分けることが難しいです。
そのため、実家の相続では、実家を誰が相続するか、どのように引き継いでいくか(そのまま残すか売却するかなど)で争いになることが少なくありません。
そうした場合に、「実家について結論を出そうとすると争いのもとになるから、とりあえず実家は共有にして、ほかの財産を分けてしまおう」などとして、実家を複数の相続人で共有しようとする場合があります。
しかし、実家を共有名義で相続することは、後々のトラブルのもとになりますので、やってはいけない行動です。
実家を共有していると、次のようなことをする際に、共有者全員の同意が必要になります。
- 売却
- リフォーム
- 解体
- 増改築
- 賃貸(3年以内の定期建物賃貸借など一部の場合を除く)
そのため、相続した実家を共有にしていると、実家を活用しようとしても、他の相続人が同意してくれないとどうすることもできなくなってしまいます。
共有にすることには、ほかにも、共有者が亡くなって相続が起こった場合のリスクがあります。
- 相続が起こったことによって共有者が増え、関係がより複雑になる
- 相続によって新たな共有者となった人とは付き合いがあまりない場合も多く、共有者同士の意思統一がより難しくなる
- 相続によって共有者が増えることで、共有者の一部に所在不明者が出るリスクが上がる
このようなリスクが現実化することによってトラブルが起こることを防ぐためにも、実家の相続では、実家を複数の相続人の共有としないことを原則に協議を進めることが重要です。
③相続登記をせずに放置する
法改正により、2024年4月1日より、不動産を相続した場合には相続登記をすることが義務付けられています。
これにより、被相続人(亡くなった方)が亡くなって自分が相続人となったことを知り、かつ、自分が不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記手続きをしないと、10万円以下の過料の対象とされることになりました。
このように、実家を相続したのに相続登記をしないまま放置していては、法律違反となってしまい、過料の制裁を受けるおそれがあります。
実家を相続した場合は、速やかに相続登記の手続きを済ませるようにしましょう。
なお、上の期限までに遺産分割が終了していない場合は、法定相続分で相続登記を行います。
その場合、遺産分割協議が成立したら、遺産分割の日から3年以内に、改めて所有権の移転の登記を行う必要があります。
④相続税の申告をしない
相続税がかかる場合は、相続税の申告が必要です。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。
相続税がかかるのは、相続税の課税価格(*)が、次の基礎控除の額を超えた場合です。
*課税価格 = 遺産総額 – 非課税財産(生命保険金等)- 債務等 + 贈与を受けた財産(一定の要件を満たしたもの)
基礎控除 = 3000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
相続税の計算方法については、以下のページで詳しく解説しています。
申告が遅れると小規模宅地等の特例を受けられない
期限までに相続税の申告を行わないと、実家について小規模宅地等の特例を受けることができなくなってしまいます。
小規模宅地等の特例は、実家の土地(330㎡が限度)の評価額を80%減額するという大変有利なものです。
この特例の適用を受けられないと、相続税額が大幅に増えて不利になる可能性があります。
ほかにも、期限までに申告を済ませないと、無申告加算税などを課されてしまうおそれもあります。
参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
なお、申告期限までに遺産分割が終わらない場合には、ひとまず法定相続分に従って申告を済ませます。
その際には、小規模宅地等の特例を受けずに計算した額の相続税を納めます。
この申告の際に所定の書類を提出しておくと、期限後3年以内に遺産分割ができれば、その時に小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
そうすれば、払い過ぎた相続税を還付してもらうことができます(更正の請求等の手続きが必要です。)。
期限後3年を過ぎた場合も、やむを得ない事情(遺産分割の調停・審判・訴訟中である、遺産分割が禁止されているなど)があれば、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに手続きをすれば、期限を延長してもらえる場合があります。
引用元:No.4208 相続財産が分割されていないときの申告|国税庁
⑤相続した実家をきちんと管理しない
相続した実家に住まない場合、空き家となった実家を適切に管理することが必要です。
管理が適切でないと、次のようなトラブルが起き、実家の価値が大きく下がってしまいます。
- 雑草が伸び放題になり、虫が発生するなどして近隣に衛生上の不安を生じさせる
- 庭木の枝が伸びすぎて、隣家や道路にはみ出す
- 勝手にごみを投げ入れられる
- シロアリ被害、雨漏りなどで家が傷む
- 家や塀が傾いてしまう
- ポストにチラシなどが溜まってしまう
- 不審者が入り込む
- 放火などによる火事の危険が生じる
- 野良猫などが棲みつく
こうした状態になっても放置していると、倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態であるなどとして「特定空家等」とされてしまいます。
そうなると、固定資産税が6倍に増額されてしまいます。
さらに、最終的には、行政代執行によって実家を強制的に解体され、費用まで請求されることになりかねません。
実家を相続したら、空き家にする場合でも、最低限の家の管理はする必要があります。
遠方に住んでいて管理が難しい場合は、空き家管理サービスを利用することも検討しましょう。
⑥相続した実家をすぐに処分する
相続した実家をすぐに売却してしまうと、小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。
小規模宅地等の特例を用いて相続税の軽減を受けることを考えている場合は、相続税の申告期限までは実家を所有しているようにしましょう。
⑦活用方法が決まっていないのに実家を解体する
実家を解体してしまうと、住宅用地の特例によって減額されていた固定資産税が、6倍になってしまいます。
そのため、売却する、駐車場にするなどの活用方法が決まっていないのに実家を解体することは、やってはいけない行動となります。
さらに、土地の状況などによっては、一度家屋を解体すると、再建築ができない場合や、従前の建物よりも狭いものしか建築できない場合もあります。
そのようなことにならないよう、実家の建物を取り壊す前に、建築業者や不動産業者、自治体などに相談するなどして、解体後の活用方法について具体的に計画を立てておくようにしましょう。
実家の相続によるリスクを回避するには?

親が健在なうちから話をしておく
実家の相続によるリスクを回避するためには、親が健在なうちから、家族で実家の活用方法について話し合っておくことをおすすめします。
特に、親が実家をどうしたいか(売却したいか、住み続けたいか、譲りたい相手はいるか、施設に入居するなどしたらどうするかなど)の希望を聞いておくことは大切です。
親の希望を家族全員で知っておければ、実家の扱いについての家族間でのトラブルを予防できる可能性が上がります。
遺言・生前贈与・家族信託を活用する
親が健在なうちから話をしておけば、遺言・生前贈与・家族信託などを活用することもできます。
遺言をする場合
遺言をすれば、親の死後に実家を誰に相続させるか、どのように分割するか(そのまま引き継ぐか、売却して代金を分配するかなど)といったことについて、親の意思で決めておいてもらうことができます。
そうすれば、遺産分割について相続人同士でもめごとになるリスクを減らすことができます。
遺言をする場合は、公正証書遺言とすれば、法律の専門家である公証人に遺言を作成してもらえます。
公正証書遺言で遺言をすれば、形式の間違いで遺言が無効にされるリスクをほとんどなくすことができますので、おすすめです。
また、公正証書遺言の場合は、遺言書を公証役場で預かってもらうこともできるので、遺言書の保管場所に困ることもありません。
ただし、公正証書遺言の場合も、公証人には内容の適切さについてまでは確認してもらえません。
遺言の内容が適切かについては、相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。
自分で作成する自筆証書遺言をする場合は、弁護士に相談し、内容が適切か、形式違反はないかといったことを確認してもらうことをおすすめします。
自筆証書遺言の場合、法律で定められた形式に従って作成しないと、遺言書が無効になってしまうおそれがあるので、特に注意が必要です。
自筆証書遺言を作成した場合、近年創設された自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、法務局で自筆証書遺言を預かってもらうことができます。
この制度を使うと、遺言書の形式に間違いがないかについても、法務局に預ける際に確認してもらえます(内容面については、公正証書遺言の場合と同様、確認してもらうことはできません。)。
この制度を使わない場合は、遺言書の保管は自分の責任で行わなければなりません。
保管場所としては、自宅、銀行の貸金庫、親族・知人宅などが考えられます。
自宅などに置いておくことが不安な場合には、費用を払って弁護士に預かってもらうこともできます。
公正証書遺言とせず、自筆証書遺言書保管制度も利用しなかった場合は、遺言をした人が亡くなった後、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう検認の手続をする必要があります。
遺言書に封がされている場合は、検認までの間、封を開けないまま保管してください。
検認についての詳細は、以下ページをご覧ください。
生前贈与をする場合
生前贈与によって実家の所有者を子どもなどに変えておけば、親が亡くなっても相続の対象とならないので、相続の際にだれが実家を引き継ぐかでトラブルになることはなくなります。
それに、実家を生前贈与しておけば、親が認知症などによって判断能力を失った場合でも、子どもが実家を売却し、介護費用や施設入居費用に充てることができます。
生前贈与をする場合は、贈与税がかかる可能性があります。
贈与税については、相続時精算課税制度を活用すれば、負担を軽減できる可能性があります。
詳しくは、弁護士又は税理士にご相談ください。
家族信託をする場合
家族信託とは、簡単にいうと、財産の管理を家族に任せる契約です。
家族信託を利用して、親から子どもの一人に実家の管理を任せておけば、認知症などによって親の判断能力が低下した場合も、管理を任された子が引き続き実家を管理することができます。
家族信託を利用する場合は、信託、税金などに関する専門知識が必要になりますので、弁護士や税理士などの専門家と協力していくことが重要になります。
家族信託については、以下のページで詳しく解説しています。
相続放棄の可能性を考える
実家の相続には、利益だけでなく、管理の手間や費用、維持費、税金などの負担も伴います。
しかも、実家を相続するケースの中には、自分たちで住む予定がないだけでなく、過疎化が進む地域にあり売却・活用の目途が立たない、一度建物を取り壊すと再建築が不可能であるなどの理由から売却が難しいなど、実家の活用が困難なケースもあります。
場合によっては、実家が、維持費や税金がかかるばかりで利益を生まない、いわゆる「負動産」となってしまうリスクもあります。
そのため、活用が難しい実家がある場合には、相続放棄することも可能性として考えておくことも必要です。
ただし、相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったこととなるので、実家以外の預貯金、株式、実家以外の不動産なども引き継ぐことができなくなってしまいます。
相続放棄をするかを考える際には、実家以外の財産のことも考えて検討することが必要になりますので、注意しましょう。
専門家などに相談する
実家の相続でのリスクを避けるためには、関連する専門家などに相談することが重要です。
実家の相続については、次のような専門家などに相談することができます。
- 弁護士 相続や遺産分割に関する相談、遺言書・生前贈与・家族信託に関する相談、近隣トラブルに関する相談ができる
- 司法書士 相続登記に関する相談などができる
- 税理士 相続税、贈与税に関する相談ができる
- 不動産業者 実家の売却、賃貸、査定に関する相談ができる
- 建築業者 実家のリフォーム、修繕、再築などについて相談できる
- 自治体 解体費や片付け費用の補助、各種助成金、支援制度、解体後の再建築の可否などについて相談できる
ほかに、最近では、空き家関連のNPOもあり、空き家の活用などについての相談、専門家の紹介などを受けることができる場合があります。
実家を売却する方法
実家を売却する方法には、主に次のようなものがあります。
- 不動産仲介業者を通じて個人の買主に売却する
- 不動産買取業者に買い取ってもらう
- 空き家バンクを利用する
それぞれの方法についてご説明します。
不動産仲介業者を通じて個人の買主に売却する方法
実家などの不動産を売却する場合、不動産仲介業者に依頼して、買主を探してもらうことが大半です。
不動産仲介業者に依頼すれば、自社HPや不動産ポータルサイトなどを通じて物件情報を公開し、買主を探してくれます。
専任媒介契約を結んだ場合には、「レインズ(国土交通大臣指定の不動産流通機構が管理・運営している不動産流通標準情報システム)」というデータベースにも登録されます。
ほかにも、不動産仲介業者は、売買契約や物件の引渡しについてもサポートしてくれます。
不動産仲介業者を利用する場合、買主が見つかって売買契約が成立したら、業者に仲介手数料を支払うことが必要になります。
不動産買取業者に買い取ってもらう方法
不動産仲介業者に依頼しても買い手が見つかりにくい場合は、不動産買取業者に買い取ってもらうことも考えられます。
不動産買取は、不動産仲介業者も営んでいる場合があります。
築年数が古い、駅まで距離がある、小学校や中学校から遠い、バスや電車の本数が少ない、空き家として長期間放置してしまって建物の状態が悪いなど、買い手が見つかりにくい場合には、不動産買取業者に売却することも考えましょう。
ただし、不動産業者に買い取ってもらう場合、売却価格は低めに設定されることが多いことは、知っておいた方が良いでしょう。
空き家バンクを利用する
地方によっては、自治体が「空き家バンク」を実施している場合があります。
空き家バンクに登録すれば、インターネットを通じて購入希望者を探すことができます。
ただし、空き家バンクを利用する場合、不動産の売買契約は個人同士で行うことになります。
そのため、売買契約書なども買主と売主で作成することになります。
こうした取引に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談したり、不動産仲介業者に仲介を依頼することができます。
実家を売却する場合は、物件の査定額や不動産仲介業者等の手数料について、必ず複数の業者から相見積もりを取るようにしましょう。
一つの業者の査定しかとらないでいると、客観的に適切なものとはいえない物件価格や手数料を前提に取引を進めることになるおそれもありますので、相見積もりはぜひ取っておくようにしましょう。
実家を相続した際には、片付け業者、清掃業者、解体業者なども利用することがあります。
これらの業者についても、相見積もりを取り、慎重に選ぶことをおすすめします。
実家の相続のポイント

親の生前から対策を考えておく
既にご説明したとおり、親の生前から対策を考えておけば、遺言・生前贈与・家族信託などが活用でき、実家の扱いをより柔軟に考えることができます。
相続争いの予防にもなりますので、実家がある方は、早いうちから親と相談してみましょう。
実家の活用方法を具体的に考えておく
親亡き後の実家の活用方法については、早いうちからできるだけ具体的に考えておくことが大切です。
「そのうち決めればいい」と考えていると、あっという間に時が過ぎてしまいます。
その間にも、実家は老朽化していきますし、維持費や税金もかさんでしまいます。
実家を相続することになったら、専門家などに相談してなるべく早く、具体的な活用方法を考えるようにしましょう。
共有名義とすることは避ける
既にご説明したとおり、実家を共有としてしまうと、実家を売却、リフォーム、賃貸などにより活用するのに共有者全員の同意が必要となり、活用が難しくなってしまいます。
実家を相続する際は、できるだけ共有とすることは避けることをおすすめします。
相続登記・相続税の申告は期限内に
相続登記や相続税の申告といった法的手続きは、期限までに確実に行うようにしましょう。
こうした手続きが遅れると、相続税についての小規模宅地等の特例を受けられなくなる、無申告加算税や過料の制裁を課されるなどのペナルティが発生する可能性があります。
遺産分割協議をする場合は、相続人全員が参加する必要がある
遺言書がなく、遺産分割協議を行わなければならない場合は、相続人全員が参加して協議を行う必要があります。
そのためにも、亡くなった方の戸籍は早めに揃えるようにしましょう。
戸籍を見ると、家族が知らなかった子や兄弟がいた、知らないうちに再婚していたなどといった事情が明らかになる場合もあります。
こうして見つかった親族も相続人になり得ますので、知らないままに遺産分割協議を進めてしまうと、一部の相続人が不参加だったために、協議をはじめからやりなおさなければいけなくなるおそれがあります。
遺産分割協議を進めていく際には、相続人全員をきちんと確定させておきましょう。
実家の維持・管理は途切れなく行う
遺産分割協議が長引いている場合でも、実家の維持や管理が滞らないようにしましょう。
実家の維持や管理ができていないと、近隣から苦情が来る、特定空家等に指定されて固定資産税が上がる、行政代執行によって強制的に解体される、遺産分割協議が終わった時には実家はボロボロになっている、などといった不都合が生じるおそれがあります。
遺産分割協議中も、相続人同士で取り決めをし、実家を適切に維持・管理するようにしましょう。
実家を相続するか迷ったときの相談窓口
上でも少し触れましたが、実家の相続については、専門家などの相談窓口に相談することが大切です。
それぞれの相談窓口について、簡単にご紹介します。
相続に強い弁護士
実家の相続をはじめ、相続や関連問題全般について相談したい方は、相続に強い弁護士に相談しましょう。
例
- 実家の相続でやってはいけないこと全般について知りたい
- 遺産分割協議の進め方を聞きたい
- 相続放棄をするかをどのように判断すればよいのか教えてほしい
- 遺言書の書き方や内容についてアドバイスしてほしい
- 家族信託、生前贈与について聞きたい
ほかにも、相続に強い弁護士に相談・依頼すれば、以下のようなメリットが得られます。
- 遺産の内容を調査してくれる
- 相続で他の親族ともめないためにはどうすればよいのか教えてくれる
- 遺産分割協議などの交渉で代理人になってもらい、交渉窓口などを任せることができる
- 戸籍の取り寄せ、相続人の確認などをしてもらえる
相続に強い弁護士に相談するメリットについては、以下のページをご覧ください。
実家の登記だけなら司法書士
遺産分割協議が調っている、遺言書によって実家を相続する人が決まっているなど、あとは実家の登記手続きを残すのみ、という場合は、司法書士に依頼し、相続登記の申請をしてもらいましょう。
司法書士に依頼すれば、遺産分割協議書の作成、登記申請書の作成・提出など、登記に必要な手続きをサポートしてもらえます。
相続税の申告だけなら税理士
遺産分割協議も済んでおり、相続税の申告についてだけ相談したい、という場合には、税理士に相談しましょう。
税理士に依頼すれば、相続税の申告に必要な書類の作成や相続税申告の手続きを任せることができます。
その他の相談窓口
上で紹介したもののほかにも、実家の相続については、次のようなところに相談することができます。
- 不動産仲介業者・不動産買取業者 実家の査定額、売却可能性などについて相談できる
- 実家のある市町村 空き家対策、支援制度、助成金などの相談ができる
- 建築業者 リフォーム、建替えなどについて相談できる
- 空き家関連NPO 空き家となった実家の活用方法について相談できる
状況に応じて様々な相談窓口を利用し、相続した実家を活用できるようにしていきましょう。
実家の相続についてのQ&A
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相続した実家を活用せずに放置していいの?
ただし、活用していない場合でも、固定資産税などの税金や維持費はかかってしまいます。
さらに、活用していなくとも、次のような管理はきちんとしなければなりません。
- 雑草が伸び放題にならないように草むしりをする
- 庭木の枝が隣家や道路にはみ出さないよう剪定する
- ポストにチラシなどがたまらないように中身を取り除く
- 防犯対策をし、不審者や空き巣に入り込まれないようにする
- 野良猫などが棲みつかないよう、猫除けなどの対策をする
- ゴミや不要物の処理をする
- 雨漏りが発生していないか確認する
- 定期的に空気を入れ替える
このような対策を怠っていると、近所から苦情が来たり、衛生状態が悪化したり、家が傷んで倒壊のおそれがでてきたりします。
こうなると、実家の資産価値は大きく目減りしてしまう可能性があります。
さらに、倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態である、著しく衛生上有害となるおそれのある状態であるなどとされると、「特定空家等」になってしまう可能性があります。
特定空家等となると、以下のような不利益が生じます。
- 固定資産税が6倍となる
- 行政代執行によって強制的に解体され、解体費用を請求される など
活用しない場合でも、相続した実家はきちんと管理しましょう。
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兄弟と共有名義で相続するのは危険なの?
- 実家の改築、リフォーム、売却、解体などに共有者全員の同意が必要となり、活用が進まない
- 実家を賃貸物件とする際、原則として他の共有者全員の同意をとらなければならず、話が難航する
- 他の共有者が死亡して相続が発生し、共有者の数が増えたり、縁の薄い者が共有者になったりして、共有者全員の同意を取り付けることがさらに難しくなる
- 他の共有者(又はその相続人)が所在不明となるなどし、共有者の同意が必要な行為が一層難しくなる
- 共有持分を処分しようとしても、妥当な値段で売ることが難しい
こうしたトラブルを避けるためにも、実家を相続する際には、安易に共有とすることは避けましょう。
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相続登記をしなかった場合のリスクは何なの?
相続登記を怠った場合、10万円以下の過料に処せられる可能性があります。
相続登記の期限は、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内となっていますので、それまでの間に必ず相続登記を済ませるようにしましょう。
まとめ
今回は、実家の相続でやってはいけない行動、実家の相続に伴うリスクの回避方法などについて解説しました。
実家の相続では、実家の活用方法を決めないまま漫然と過ごしてはいけない、実家の管理を怠って放置してはいけない、共有名義での相続は極力避けるべきであるなど、やってはいけない行動が色々あります。
実家の相続をした方が、やってはいけない行動を避け、無事に実家を活用するためには、早いうちから弁護士などの専門家に相談し、対応を考えることが大切です。
当事務所では、相続問題を集中的に取り扱う相続対策チームを設け、実家の相続についてお悩みの方のご相談をお受けしております。
電話・オンラインによる全国からのご相談にも対応しております。
実家の相続について分からないことや不安なことがおありの方は、ぜひ一度、当事務所まで、お気軽にご相談ください。
