公正証書遺言の効力とは|無効・有効の条件や納得いかない場合の対処法


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

公正証書遺言は、法律上の効力としては他の遺言と変わるところはありません。

しかし、法律を熟知した公証人によって作成され、公証役場で保管してもらえるので、確実性が高いです。

遺言者が希望する方法で財産の処分等ができること、遺産分割でのトラブルを未然に防止できることといったメリットもあります。

このページでは、公正証書遺言とはどういうものか、有効になる要件や効力などについて、弁護士がくわしく解説いたします。

 

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、遺言をする人(遺言者)から遺言の内容を伝えられた公証人が、これを筆記し、公正証書による遺言書を作成する方式の遺言のことです。

遺言書は自分でも作ることができます(「自筆証書遺言」といいます。)。

しかし、一般の方が自分で遺言書を作ると、作成方法を間違えてせっかくの遺言が無効になってしまう場合もあります。

遺言書に書いた内容が不明確・あいまいであるなどして、無効となってしまうこともあるでしょう。

死後に遺言書が見つけてもらえない、遺言書が破棄・改ざんされてしまう、といったリスクもあります。

公正証書遺言は、こうしたリスクを大きく減らすことができる確実性の高いものです。

今回は、この公正証書遺言の効力などについて解説していきます。

公正証書遺言について、詳しくお知りになりたい方は、以下のリンク先をご覧ください。

 

 

公正証書遺言の効力|ケース別でさらに詳しく解説

公正証書遺言の効力とは

公正証書遺言は遺言の一種です。

他の遺言と違う特別な効力が認められる、というものではありません。

相続についてどのようなことが決められるか(「だれに相続させるか」「どの人にどれだけ相続させるか」など)、遺言で決めたことがどのような効力をもつか、といったことについては、他の方式の遺言と同じ効力を持つのみです。

ただ、以下のような実際上のメリットがあります。

1. 方式の不備で無効になることはほぼない。

公正証書遺言が方式の不備で無効になることはほぼありません。

遺言をする人が自分で作成する自筆証書遺言の場合には、全文を自分で書かなければならない、日付を記入しなければならない、書き加えたり訂正したりするときの方法にも決まりがあるなど、作成する際にさまざまな法律上の決まりごとがあります。

こうした決まりに一つでも違反すれば、遺言全部が無効になってしまうこともあります。

法律について特に知識のない一般の方が遺言書を作成しようとする場合、こうした決まりを全部守るように気を付けるのは大変です。

この点、公正証書遺言は、法律の知識をもった公証人が作成しますので、方式違反で無効になることはほぼありません。

なお、自筆証書遺言の作り方については、詳しくは以下のページをご覧ください。

 

2. 公証役場で保管してもらえる。

作成された遺言書は、公証役場で保管してもらえます。

そのため、公正証書遺言があることを相続人などに知らせておきさえすれば、紛失したり、偽造や改ざんをされたり、破棄されてしまうおそれはありません。

公証役場には、全国での公正証書遺言の有無を調べる検索システムがあります。

亡くなった方が公正証書遺言を残している可能性がある場合は、最寄りの公証役場に尋ねてみましょう。

全国の公証役場で公正証書遺言が保管されていないか、検索して調べてもらえます。

検索を依頼するときには、戸籍謄本(①亡くなった方が死亡した事実と②亡くなった方と検索を依頼する人の利害関係を証明できる内容の記載があるもの)と、顔写真付き身分証明書が必要になります。

参照:日本公証人連合会HP|公正証書遺言の作成について

 

3. 家庭裁判所の検認が必要ない。

他の方式の遺言では、遺言者の死亡後、遺言書を開封する前に、家庭裁判所で検認の手続きをする必要があります。

しかし、公正証書遺言には検認の必要はありません。

このように、公正証書遺言にはメリットが多いのですが、デメリットもあります。

公証人は遺言の内容についてはアドバイスをしてくれないこと、費用・時間・手間がかかること、証人が必要なこと、遺言の内容を公証人や証人に知られてしまうことなどです。

特に、内容面についてサポートを受けたい場合は、公正証書遺言を作成する前に、相続に詳しい弁護士・税理士などに相談するとよいでしょう。

弁護士などに相談した場合は、弁護士や事務員が証人になってくれることもあります。

 

 

公正証書遺言のメリットとデメリットのまとめ

公正証書遺言のメリットとデメリットをまとめると下表のようになります。

メリット デメリット
  • 方式の不備で無効になることはほぼない
  • 公証役場で保管してもらえる
  • 家庭裁判所の検認が必要ない
  • 内容面でアドバイスを得ることが期待できない
  • 費用・時間・手間がかかる等

なお、公正証書遺言のメリット、デメリットについて、詳しくは以下のページをご覧ください。

当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士、税理士等で構成されるチームであり、公正証書遺言の作成についてのご相談にも対応しています。

当事務所へのご相談の流れについては以下のページをご覧ください。

あわせて読みたい
ご相談の流れ

 

相続の際の遺言の効力

遺言を残しておくと、民法が定めた法定相続とは違う方法で遺産の処分をすることができます。

たとえば、配偶者に手厚く遺産を遺す、事業を子のうちの一人に継承させる、相続人にはならない第三者(世話をしてくれた息子の妻、慈善団体など)に遺産を譲り渡すといったことができるのです。

遺言で定めることができる事項は、法律で決まっています。

法律で認められた事項に関する記載だけが、法律上の効力を持ちます。

それ以外の事については、遺言書に記載しても、法律上の効力はありません。

たとえば、「兄弟仲良くするように」「母のいうことをよく聞くように」などと遺言書に記載しておいても、法律上の効力はありません。

なお、そのような記載をしたからといって、遺言が無効になるわけでもありません。

遺言で定めることができる事項の主なものは、以下のようなものです。

  1. 1. 相続に関する事項
  2. 2. 相続以外の財産処分
  3. 3. 身分関係に関する事項
  4. 4. 遺言の執行に関する事項

具体例をまじえて詳しくご説明します。

 

1. 相続に関する事項

相続分の指定(民法902条)

「妻に遺産の全てを相続させる。」「子3人のうち長男には、遺産の10分の1だけ相続させる」というように、法定相続分とは違う割合で相続させることを定めることができます。

遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止(民法908条)

「妻に遺産の全てを相続させる。」「子3人のうち長男には、遺産の10分の1だけ相続させる」というように、法定相続分とは違う割合で相続させることを定めることができます。

「自宅は妻に相続させる」「〇〇銀行●●支店の預金は長女に相続させる」というように、遺産分割の仕方を指定することができます。

また、相続開始から5年を超えない期間を定めて、遺産を分割することを禁止することもできます。

その他、特別受益の持戻し免除(民法903条3項)、遺産分割における担保責任に関する別段の意思表示(民法914条)、相続人の廃除・廃除の取消し(民法893条、894条2項)等

 

2. 相続以外の財産処分

遺贈に関する事項(民法964条)
「慈善団体に遺産の一部を遺贈する」「よく世話をしてくれたので、子の配偶者に遺産の一部を遺贈する」などといった遺贈に関することを定めることができます。

その他、財団法人設立のための定款の作成(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)、信託の設定(信託法3条二号)等

 

3. 身分関係に関する事項

認知(民法781条2項)
遺言で子の認知をすることができます。

その他、未成年後見人の指定(民法839条1項)、未成年後見監督人の指定(民法848条)

 

4. 遺言の執行に関する事項

遺言執行者の指定(民法1006条1項)

遺言の対象について、以下のページもご参照ください。

 

 

事例で解説~遺言書の効力

実際の相続の場面で遺言書がどのようなはたらきをするか、具体的な事例でみてみましょう。

※あくまでイメージしていただくための参考例であり、事案によって結果は異なります。

【ケース1】財産相続でもめている場合

亡Aには、自宅と預貯金等の遺産がありました。

このうち自宅について、妻B(Aと同居中)と子C(既に別居して独立)のどちらが相続するかが、長年の懸案事項でした。

Aは、自宅にはこのままBに住み続けてもらいたいと考えていました。

そこで、Aは、「〇〇の不動産(自宅)はBに相続させる」旨の遺言を作成しました。

結果

この遺言があったため、Bはすんなり自宅を相続でき、自宅に住み続けることができました。

なお、自宅の相続に関する遺言書の作り方の詳細は、以下のページをご覧ください。

 

【ケース2】相続権でもめている場合

亡Aには、愛人との間に子Cがいました。

しかし、Aは、生きている間は、妻Bや妻との子DにCのことを言い出すことができず、認知もできていませんでした。

このままでは、Cは、認知の訴えを起こして勝訴しなければ、相続人と認められません。

そこで、Aは、遺言の中で子Cを認知することとしました。

結果

Aの死後、この遺言を知ったBとDは、最初は驚き怒りましたが、検討してみても遺言の効力を覆すことも親子関係を否定することもできませんでした。最終的に、BとDは、CもAの子であることを認め、裁判や調停に至ることなく、B・C・Dの3人で遺産を分割しました。

 

【ケース3】相続分の割合でもめている場合

亡Aには3人の子供がいました。このうちの1人Bには障害があり、十分な収入が得られない状態でした。

そのため、他2人の子C・Dも、Bには多めに亡Aの財産を相続させようと考えてはいましたが、その割合については話合いがつかずにいました。

そこに、Aの遺言が見つかりました。遺言には、「Bには遺産の2分の1を相続させる。」などと記載されていました。

結果

C・Dは、「Aの意思がそうだったのであれば」と納得し、無事に遺産分割を終えることができました。

 

【ケース4】相続手続きでもめている場合

亡Aの遺産(預貯金)を子B・Cで分割することになりました。

2分の1ずつ分けることは決まったのですが、お互い相手を信用できず、どちらが預貯金の払戻しなどの手続きを進めていくかでもめていました。

そこに、亡Aの遺言があることがわかりました。遺言の中で、「遺産はB、Cともに2分の1ずつ相続させる。遺言執行者は弁護士〇〇とする」などと定められていました。

結果

そこで、BとCは、預貯金の払戻しなどの遺産を分割する手続きを〇〇弁護士に任せることとし、無事に相続に関する手続きを終えることができました。

このように、遺言があることで、裁判などに至る前に、相続に関する問題を解決することができる場合があります。

※状況によって結果は異なる可能性はあります。

 

 

公正証書遺言の効力に期限はある?

公正証書遺言の効力に期限はありません。

一度作成すれば、破棄したり、変更したりしないかぎり、ずっと効力があります。

公正証書遺言を後から変更したり、撤回したりすることはできます。

公正証書遺言は、いつでも、新たな遺言により撤回することができます(民法1022条)。

また、公正証書遺言を作成した後に違う内容の遺言を作成すれば、抵触する部分については前の遺言は撤回されたこととなり、後の遺言で定めた内容が有効になります。

後に作成する遺言は公正証書遺言である必要はなく、自筆証書遺言であっても、他の方式の遺言であってもかまいません。

根拠条文
民法
(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

引用元:民法|電子政府の窓口

公正証書遺言は公証役場に保管されていますが、その保管期限はどうなっているのでしょうか?

一般的な公正証書の保管期限は20年です(公証人法施行規則第27条1項)。

しかし、公証人法施行規則第27条3項で、「保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない。」とされています。

公正証書遺言については、この「特別の事由」に該当すると解釈されており、20年より長い期間保管されていることが多いです。

公証役場ごとに異なりますが、半永久的に保存されているところもあります。

参考:Q10.公正証書遺言は、どのくらいの期間、保管されるのですか。|日本公証人連合会 

詳しくは、公正証書遺言を作成してもらう公証役場に確認しましょう。

 

 

公正証書遺言が無効になる場合

公正証書遺言が方式の誤りによって無効になることはほぼありません。

しかし、公正証書遺言が有効と認められるためには、方式が正しいこと以外の要件もあります。

以下のような場合には、遺言は、有効となる要件を満たさず、無効になります。

 

遺言能力がない場合

遺言能力とは、遺言内容を理解し、判断する能力のことです。

遺言能力がない者のした遺言は、公正証書遺言であっても無効となります。

公正証書遺言が有効となるためには、公正証書遺言を作成したときに、遺言能力があったことが必要です。

遺言能力については、以下のような注意点があります。

 

年齢による制限について

15歳未満の者には遺言をする能力(遺言能力)がありません(民法961条)。

 

未成年者、被後見人、被保佐人、被補助人について

行為能力制度は遺言については適用されません(民法962条)。

そのため、未成年者でも、15歳以上であれば、有効な遺言をすることができます。

被補助人、被保佐人とされている人も同様です。

成年被後見人については、事理を弁識する能力を一時回復した時に、医師2人以上の立会いの下でのみ、遺言をすることができます。

この場合、立ち会った医師に、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記し、署名押印してもらう必要があります。(民法第973条)

 

病気などによる判断力の低下について

認知症などの病気により判断力がなくなっている場合、遺言能力がないとされる場合があります。

遺言能力があったかどうかを判断する際の注意点については、以下のページをご覧ください。

 

不適格な者が証人になった場合

証人には、以下の欠格事由があります(民法974条)。

  1. 1. 未成年者
  2. 2. 推定相続人及び受遺者
  3. 3. 推定相続人や受遺者の配偶者及び直系血族
  4. 4. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

これらの者が証人となっていた場合、公正証書遺言は無効になります。

 

方式の不備があること

公正証書遺言にも方式が定められています。(詳しくは、後述の「有効な公正証書遺言とは?7つの条件」をご覧ください。)

公正証書遺言は、法律に詳しい公証人が作成するので、方式に不備があることはほぼありません。

 

 

公正証書遺言を取り消すことができる場合

遺言も契約などの一般的な意思表示と同じで、詐欺、強迫、錯誤により行われた場合は取り消すことができます(民法95条、96条)。

遺言をした人が生きている間は、新たな遺言書を作成することにより遺言をいつでも撤回できるので、原則として取消権を行使する必要はありません。

しかし、遺言をした人が意識不明になった場合など自ら意思表示できなくなったときには、後見人などの法定代理人が取消権を行使することができます。

遺言をした人が亡くなった後には、相続人が取消権を相続し、行使することができます。

ただし、取消権を複数の相続人で共同相続した場合、取消しは原則として全員共同で行う必要があります。

 

 

有効な公正証書遺言とは?7つの条件

公正証書遺言が有効となるには、以下の条件を全て満たす必要があります

以下で詳しくご説明します。

 

1. 遺言能力のある者がしたこと

原則として、満15歳以上であれば、遺言能力があります。

しかし、認知症などの場合、判断能力がなくなっていることがあり、遺言能力がないとされる場合があります。

公正証書遺言が有効となるためには、公正証書遺言を作成したときに、遺言能力があったことが必要です。

 

2. 遺言者が遺言の内容を口頭で伝えること(民法969条二号)

遺言の内容は、遺言者から公証人に口頭で伝えなければなりません。

遺言者が口をきけない場合については特例があります。

このような場合は、遺言者が、公証人と証人の前で、遺言の趣旨を①通訳人の通訳によって申述するか、②自書することで、伝えることができます(民法969条の2第1項)。

 

3. 読み聞かせ又は閲覧(民法969条三号)

公証人は、遺言者及び証人に、作成した公正証書遺言を読み聞かせるか、閲覧させる必要があります。

遺言者や証人の耳が聞こえない場合には、特例があります。

このような場合、公証人は、筆記した内容を通訳人の通訳によって、耳の聞こえない遺言者や証人に伝えて、読み聞かせに代えることができます。

 

4. 署名・押印(民法969条三号、四号、五号)

遺言者と証人は、公証人による読み聞かせ又は閲覧があり、作成された公正証書遺言が遺言者が伝えた遺言の内容を正確に反映しているものであることを承認した後、署名・押印します。

遺言者が署名することができないときは、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができます。

公証人も、公正証書遺言が方式に従って作成されたものであることを付記して、署名・押印します。

つまり、公正証書遺言には、遺言者、証人2人以上、公証人の全員分の署名・押印が必要となるのです。

 

5. 証人2人以上の立会いがあること

欠格事由のない証人2人以上に立ち会ってもらう必要があります。

欠格事由は、先に解説したとおり、

  1. 1. 未成年者であること
  2. 2. 推定相続人及び受遺者であること
  3. 3. 推定相続人や受遺者の配偶者及び直系血族であること
  4. 4. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人であること

です。

 

6. 公序良俗に反する内容でないこと

遺言内容が公序良俗に反するものである場合、公正証書遺言であっても無効になります。

「愛人に財産の大半を遺贈する」というような遺言は、公序良俗に反して無効、となり得ます。

遺言が公序良俗に反して無効になる場合について、詳しくは以下のページをご覧ください。

 

7. 被後見人の場合

被後見人が、①後見人、②後見人の配偶者、又は③後見人の直系卑属の利益となるような遺言をしたときは、遺言は無効となります。(民法966条)

ただし、後見人が直系血族、配偶者又は兄弟姉妹であるときは、無効にはなりません。

 

 

公正証書遺言の効力と遺留分との関係

公正証書遺言が有効であっても、遺言の内容が遺留分(いりゅうぶん)を侵害する場合には、遺言内容が完全には実現しない場合があります。

遺留分とは、一定の相続人に確保された遺産の持ち分割合のことです。

遺言などで一部の人に多くの遺産が遺された場合に、これを取り戻すために使われます。

たとえば、亡Aが、妻Bと子Cがいるのに、「妻Bに全財産を相続させる。」という内容の遺言をした場合、子Cの相続分はゼロとなります。

本来、子Cには4分の1の遺留分がありますので、この遺言は、子Cの遺留分を侵害していることになります。

この場合、子Cは、遺留分侵害額請求権を行使して、妻Bに対し、侵害された遺留分の金額に相当する金銭を支払うよう請求することができます。

この遺留分侵害額請求権を子Cが行使すると、「妻Bに全財産を相続させる。」という亡Aの遺言の内容は、完全には実現しないこととなります。

遺留分について、詳しくは以下のページをご覧ください。

 

 

公正証書遺言に従わない場合どうなる?

公正証書遺言に従いたくない、という場合でも、遺言が有効であれば、抵抗することはできません。

公正証書遺言には法的な効力がありますので、遺言の内容に従って、登記や預貯金の分割などの手続きが進んでいきます。

どうしても遺言に従いたくない場合、遺言の無効を主張することとなります。

ただし、相続人全員と遺贈を受けた者(受遺者)全員が同意した場合は、遺言で遺産の分割が禁止されていない限り、遺言を無視した遺産分割も可能です。

遺言執行者がいる場合は、遺言執行者は辞任してもらうか又は解任する必要があります(民法1019条)。

 

 

公正証書遺言に納得いかない場合の対処法

遺言の内容に従いたくない場合、以下の2つの対処法があります。

  1. 1. 相続人や受遺者と協議し、遺言を無視した遺産分割をすることに同意してもらう。
    遺言内容が不適当であることや遺言が無効であることなどを話して、遺言の内容と違う形で遺産分割をするよう話合いをすることになります。
  2. 2. 遺言が無効であることを主張して、遺言無効確認の訴えを提起する。
    話合いで解決できない場合、裁判所に、遺言無効確認の訴えを起こすことになります。

公正証書遺言が無効になるのは、遺言者に遺言能力がなかった場合、不適格な者が証人になった場合、方式に不備があった場合などであることは、先にご説明したとおりです。

 

まとめ

今回は、公正証書遺言について、有効になる要件、効力などの点を解説しました。

公正証書遺言は、法律上の効力としては他の遺言と変わるところはありません。

しかし、法律を熟知した公証人によって作成され、公証役場で保管もしてもらえるので、確実性が高いです。

また、遺言一般と同様、遺言者が希望する方法で財産の処分等ができること、遺産分割でのトラブルを未然に防止できることといったメリットもあります。

ただし、遺言を作成する際には、検討すべき点が多々あり、素人の方では難しくなる場合もあります。

こうした遺言の内容に関する点について、公証人がアドバイスをしてくれるわけではありません。

公正証書遺言を作成する前に、相続に詳しい弁護士に一度ご相談することもお考えください。

 

 


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