
親が亡くなった直後は、死亡届の提出や葬儀の手配など、「期限の近い手続き」から順番に進めることが大切です。
死亡届の提出や、相続放棄の検討など、手続きのなかには法律で期限が定められたものがあり、これを過ぎると不利益を被るおそれがあります。
とはいえ、大切な親を亡くした直後に、葬儀の準備をしながら、役所の手続きや相続の対応まで一度に行うのは、決して簡単なことではありません。
「何から手をつければいいのかわからない」と戸惑われるのは当然のことです。
そこでこの記事では、親が亡くなった後にすべきことを、時系列に沿ったチェックリストで整理し、わかりやすく解説します。
葬儀や役所の手続きはもちろん、相続放棄・遺産分割・預貯金の払戻し・準確定申告といった、お金や相続に関する重要なポイントについても正確にお伝えします。
親が亡くなり、相続や借金、相続人同士のトラブルなどに不安のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
親が亡くなったらまず何をする?2週間チェックリスト
親が亡くなった直後は、深い悲しみの中で、葬儀の準備や役所への届出など、数多くの手続きを限られた時間のなかで進めていかなければなりません。
もっとも、すべての手続きを一度に終わらせる必要はありません。
まずは、期限が近いものや、葬儀・火葬のために必要なものから順番に進めることが大切です。
以下では、親が亡くなってからおおむね2週間以内に行うべき手続きや対応を、時期ごとにチェックリスト形式で整理します。
| 期限の目安 | 内容 | 手続き先 | |
|---|---|---|---|
| 当日 | 死亡診断書・死体検案書を受け取る | 病院・医師 | |
| 近親者へ連絡する | 親族 | ||
| 葬儀社を決める | 葬儀社 | ||
| ご遺体の搬送 | 葬儀社 | ||
| 病院・施設等の精算手続き | 病院・介護施設等 | ||
| 喪主を決める | 親族 | ||
| 2日目 | 死亡届の提出 | 市区町村役場 | |
| 火葬許可証の取得 | 市区町村役場 | ||
| 2〜3日以内 | 親の勤務先へ連絡する | 親の勤務先 | |
| 自分の勤務先へ連絡する | 自分の勤務先 | ||
| 通夜 | 葬儀社等 | ||
| 2〜4日以内 | 葬儀 | 葬儀社等 | |
| 火葬・火葬後の許可証の保管 | 火葬場・葬儀社 | ||
| 2週間以内 | 葬儀費用の支払い・領収書の保管 | 葬儀社 | |
| 世帯主変更の手続き | 市区町村役場 | ||
| 健康保険の資格喪失手続き | 市区町村役場 | ||
| 介護保険証の返却・資格喪失手続き | 市区町村役場 | ||
| 年金受給停止・未支給年金の手続き | 年金事務所 |
チェックリストで全体像を確認したうえで、ここからは時期ごとに具体的な内容と注意点を解説します。
親が亡くなった当日に行うこと
親が亡くなった当日は、まず死亡診断書・死体検案書の受け取り、近親者への連絡、葬儀社の選定、ご遺体の搬送などを行うことになります。
突然のことで気持ちの整理がつかないまま対応しなければならない場面も多いため、できれば一人で抱え込まず、兄弟姉妹や親族など、信頼できる人と役割分担をしながら進めましょう。
死亡診断書・死体検案書を受け取る
まずは、死亡診断書(または死体検案書)を受け取ります。
死亡診断書または死体検案書は、死亡届の提出や火葬許可証の取得に必要となる大切な書類です。
死亡診断書と死体検案書のどちらが作成されるかは、亡くなった場所だけでなく、死亡の原因や医師の診療状況などによって異なります。
主な違いは、次のとおりです。
| 書類 | 作成される主なケース |
|---|---|
| 死亡診断書 | 医師が診療中の病気やけがに関連して死亡したと判断できる場合 |
| 死体検案書 | 突然死、事故死、死因が明らかでない場合など、医師による検案が行われる場合 |
これらの書類は、生命保険の請求や預貯金口座の相続手続きなどで、死亡を証明する書類として提出できるケースもあります。
原則として、原本は役所に提出すると手元に戻ってこないため、提出前に複数枚コピーを取っておくと安心です。
近親者へ連絡する
死亡診断書(死体検案書)の受け取りと並行して、亡くなった親の配偶者、子ども、兄弟姉妹など、特に近い親族から連絡します。
この段階では、すべての関係者に一斉に知らせる必要はありません。
最初の連絡では、まず「亡くなった」という事実、亡くなった場所、現在の安置場所、今後の予定が決まり次第あらためて連絡することを簡潔に伝えます。
葬儀社を決める
病院で亡くなった場合、霊安室のスペースの問題などから、数時間以内(多くは半日以内)にご遺体の搬送を求められます。
そのため、なるべく早く搬送を依頼する葬儀社を決める必要があります。
その際には、病院や施設から葬儀社を紹介してもらうことができるケースもあります。
特に希望する葬儀社がない場合には、尋ねてみてもよいでしょう。
なお、まずはご遺体の搬送のみを依頼し、実際に葬儀を行う葬儀社は、複数の葬儀社を比較してから決めることもできます。
ご遺体の搬送
葬儀社が決まったら、病院や施設からご遺体を搬送します。
搬送先をご自宅にするか、葬儀社の施設等にするかは、住宅の事情やご家族の希望によって選ぶことができます。
病院・施設等の精算手続き
親が入院していた病院や、入所していた介護施設などがある場合、医療費や施設利用料の精算が必要になります。
当日に窓口で支払うこともありますが、夜間や休日で窓口が閉まっている場合、後日請求書が送られてくることもあります。
支払いをした場合は、領収書や明細書を必ず保管しておきましょう。
親が亡くなった時点で未払いだった医療費や施設利用料を相続人が支払った場合は、相続税の計算上、債務控除の対象になる可能性があります。
喪主を決める
ご遺体の安置が落ち着いたら、今後の葬儀の取りまとめ役となる「喪主」を決めます。
喪主は、遺族の代表として葬儀社との打ち合わせを行い、参列者への挨拶などを行います。
そのため、葬儀社との打ち合わせまでに決めておくと、その後の手続きがスムーズです。
法律上、「誰が喪主にならなければならない」という決まりはありません。
一般的には、亡くなった方の配偶者が務めますが、高齢で難しい場合や既に亡くなっている場合は、子どもが喪主を務めることもあります。
親が亡くなってから通夜までに行うこと
ご遺体の安置や葬儀社の手配が済んだら、通夜までの間に、役所への届出を進めます。
ここで行うのは、死亡届の提出と火葬許可証の取得です。
この2つは、葬儀・火葬を行うために欠かせない、法律上重要な手続きです。
実務上は、葬儀社が死亡届の提出や火葬許可証の取得を代行してくれるケースも多くあります。
ただし、届出人の記入や署名が必要になるため、葬儀社に任せる場合でも、手続きの内容は確認しておきましょう。
死亡届の提出
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。
国外で亡くなった場合は、その事実を知った日から3か月以内に提出します。
死亡届の用紙は、右側が医師の作成する死亡診断書または死体検案書、左側が届出人が記入する死亡届になっていることが一般的です。
死亡届には、亡くなった方の氏名、生年月日、死亡日時、死亡場所、本籍、届出人の情報などを記入します。
記入した死亡届は、次のいずれかの市区町村役場に提出します。
- 亡くなった方の死亡地
- 亡くなった方の本籍地
- 届出をする人の所在地
届出人になれるのは、親族、同居者、家主、地主、後見人などです。
親が亡くなった場合は、配偶者や子どもなどが届出人になることが多いでしょう。
一般的には、葬儀社の担当者が、ご遺族から記入済みの死亡届を預かり、役所への提出を代行してくれます。
火葬許可証の取得
死亡届が受理されると、火葬に必要な火葬許可証が交付されます。
自治体によっては、「埋火葬許可証」などの名称で交付されることもあります。
火葬許可証は、火葬場で火葬を行う際に必要となる書類です。
これがないと火葬を進めることができないため、通夜や葬儀の日程に間に合うよう、死亡届の提出とあわせて取得する必要があります。
火葬許可証の取得も葬儀社に依頼する場合は、火葬許可証を誰が保管し、火葬当日に誰が持参するのかを確認しておくと安心です。
親が亡くなってから火葬後までに行うこと
死亡届の提出と火葬許可証の取得が終わると、通夜、葬儀、火葬へと進みます。
通夜や葬儀の日程は、火葬場の空き状況、宗教・宗派、親族の都合、地域の慣習などによって変わります。
亡くなった翌日や翌々日に通夜を行うこともありますが、都市部などでは火葬場が混み合い、数日後になることもあります。
ここでは、親が亡くなってから火葬後までに行う主な対応を確認していきます。
親の勤務先へ連絡する
親が亡くなった時点で仕事をしていた場合は、できるだけ早めに勤務先へ連絡しましょう。
勤務先には、親が亡くなったこと、亡くなった日時、今後の葬儀日程が決まり次第連絡することを伝えます。
通夜や葬儀の日程が決まっている場合は、式場、日時、喪主、連絡先もあわせて伝えるとよいでしょう。
親の勤務先への連絡が必要になるのは、退職手続きや健康保険証の返却、未払い給与、退職金、会社からの弔電・香典・供花などの確認が必要になることがあるためです。
また、最近では、会社関係者が通夜に参列するケースもあります。
そのため、親が現役で働いていた場合には、遅くとも通夜までには勤務先へ連絡しておくのが望ましいでしょう。
家族葬などで参列を限る場合は、その旨も明確に伝えておくことが大切です。
自分の勤務先へ連絡する
親が亡くなった場合、自分の勤務先にも早めに連絡しましょう。
会社員の場合、勤務先の就業規則により、忌引き休暇を取得できることがあります。
休める日数や有給・無給の扱い、必要書類は会社によって異なります。
連絡する際は、親が亡くなったこと、通夜・葬儀の日程、休暇を希望する期間、業務の引き継ぎ方法などを伝えます。
日程がまだ決まっていない場合は、まず親が亡くなった事実だけを伝え、詳細が決まり次第あらためて連絡すれば問題ありません。
通夜
通夜は、亡くなった方と最後の夜を過ごし、親族や親しい方々が弔問する場です。
一般的には、葬儀・告別式の前日に行われることが多いですが、日程は火葬場や式場の空き状況によって変わります。
通夜では、受付、香典の管理、参列者への対応、僧侶への対応などが必要になります。
喪主だけで対応するのは負担が大きいため、兄弟姉妹や親族で役割分担をしておくと安心です。
また、通夜の場では、香典や供花を受け取ることもあります。
後日の香典返しやお礼のため、誰から何を受け取ったかを記録しておくことが大切です。
葬儀
葬儀・告別式は、親族や参列者が故人と最後のお別れをする儀式です。
通夜の翌日に行われることが多く、葬儀の後に火葬へ進むのが一般的です。
葬儀では、喪主挨拶、焼香、弔電の紹介、出棺の挨拶などが行われます。
具体的な流れは、宗教・宗派、葬儀の形式、地域の慣習によって異なりますので、葬儀社と打ち合わせながら確認しましょう。
近年は、一般葬だけでなく、身内だけで行う「家族葬」や、通夜を行わず1日で終える「一日葬」など、葬儀の形式も多様化しています。
親の生前の希望がある場合は、それを尊重しつつ、親族の意向や費用面も踏まえて決めることが大切です。
火葬・火葬後の許可証の保管
葬儀・告別式が終わると、出棺して火葬場へ向かいます。
火葬を行う際には、事前に取得した火葬許可証を火葬場へ提出します。
火葬が無事に終わると、火葬を行った証明として、火葬場の印が押された火葬許可証(埋火葬許可証とも呼ばれます)が返却されます。
この書類は、後日、お墓や納骨堂に納骨する際に必要となります。
そのため、火葬後の許可証は紛失しないよう大切に保管しておきましょう。
親が亡くなってから2週間以内に行うこと
葬儀や火葬が無事に終わると、少し肩の荷が下りるかもしれませんが、ここからが役所の手続きの本番です。
ここで挙げる手続きには、10日〜14日以内が期限とされるものもあるため、葬儀後はできるだけ早めに着手しましょう。
葬儀費用の支払い・領収書の保管
葬儀社から請求書が届いたら、指定された期日までに葬儀費用を支払います。
一般的には、葬儀後1週間〜10日程度が支払いの目安となります。
その際、支払いを終えた際に受け取る葬儀費用の「領収書」は、捨てずに保管しておきましょう。
この領収書は、葬祭費の請求や相続税の申告の際の資料として使うことがあります。
また、お寺へのお布施など領収書が出ない出費についても、支払った日付、金額、お寺の名前などをメモに残しておきましょう。
世帯主変更の手続き
亡くなった親が住民票上の世帯主だった場合には、世帯主変更の手続きが必要になることがあります。
世帯主変更の手続きとは、同じ世帯の中に複数の世帯員がいる場合に、誰を新しい世帯主にするかを届け出る手続きです。
基本的には、世帯主が亡くなった日から14日以内に、市区町村役場で手続きを行います。
もっとも、必ずすべてのケースで届出が必要になるわけではありません。
たとえば、親が一人暮らしだった場合や、残された世帯員が一人だけの場合、新しい世帯主が明らかな場合などでは、自治体によっては手続きが不要とされることもあります。
健康保険の資格喪失手続き
親が亡くなった場合、加入していた健康保険について資格喪失の手続きが必要になります。
親が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、市区町村役場で資格喪失の手続きを行います。
保険証や資格確認書などがある場合は、返却が必要になることがありますので、役所の指示に従ってください。
一方、親が会社員などで勤務先の健康保険に加入していた場合は、勤務先を通じて手続きすることになるケースが一般的です。
健康保険の手続きとあわせて、葬祭費や埋葬料の請求ができる場合があります。
親が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、葬儀を行った人に対して「葬祭費」が支給されることがあります。
一方、親が会社の健康保険に加入していた場合は、「埋葬料」や「埋葬費」が支給されることがあります。
ただし、これらは自動的に支給されるものではなく、申請が必要です。
健康保険の資格喪失手続きを行う際に、同時に申請できることも多いため、市区町村役場、勤務先、健康保険組合などに確認することをおすすめします。
介護保険証の返却・資格喪失手続き
親が65歳以上だった場合や、40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合には、介護保険に関する手続きも確認しましょう。
介護保険の被保険者が亡くなった場合、介護保険証の返却や資格喪失の手続きが必要になることがあります。
手続き先は、通常は、亡くなった親の住所地の市区町村役場です。
もっとも、自治体によっては、死亡届の提出により介護保険の資格喪失手続きが自動的に行われる場合や、介護保険証の返却のみで足りる場合もあります。
そのため、健康保険や世帯主変更の手続きとあわせて、役所の窓口で確認するとよいでしょう。
年金受給停止・未支給年金の手続き
親が年金を受け取っていた場合は、年金受給停止や未支給年金の手続きも確認する必要があります。
年金を受け取っていた人が亡くなると、その後の年金は受け取ることができません。
手続きが遅れると、亡くなった後の期間について年金が振り込まれてしまい、後日返還が必要になることがあります。
日本年金機構にマイナンバーが収録されている方については、年金受給権者死亡届の提出を原則として省略することができます。
提出が必要な場合には、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に提出しましょう。
一方で、死亡届の提出が不要な場合でも、未支給年金の請求が必要になることがあります。
未支給年金とは、亡くなった親がまだ受け取っていない年金や、亡くなった月分までの年金について、一定の遺族が請求できるものです。
請求できる人は、亡くなった親と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹などです。
また、亡くなった親に配偶者がいる場合などには、遺族年金を受け取れる可能性もあります。
年金の種類や家族関係によって必要な手続きが変わるため、年金証書や基礎年金番号がわかる書類を用意したうえで、年金事務所に相談しましょう。
親が亡くなった場合に検討すべき各種手続き

葬儀や役所での当面の手続きが落ち着いたら、次は相続や契約関係の整理に関する手続きを進めていきます。
これらの手続きの中には、相続放棄のように期限が定められているものもあり、進め方を誤ると後々のトラブルにつながるおそれがあります。
ここでは、親が亡くなった場合に検討すべき手続きを、「相続に関する手続き」と「相続以外の重要な手続き」に分けて確認します。
相続に関する手続き
まず確認すべきなのは、相続に関する手続きです。
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払い金などのマイナスの財産も問題になります。
また、遺言書の有無によって、遺産分割の進め方が大きく変わることがあります。
親が亡くなった後は、すぐに財産を分け始めるのではなく、まず遺言書、相続人、財産・借金の有無を確認することが大切です。
遺言書があるか確認する
親が亡くなったら、まずは遺言書があるかを確認しましょう。
有効な遺言書がある場合、原則として、その内容に従って遺産を分けることになります。
そのため、遺言書を確認しないまま相続人同士で遺産分割協議を進めてしまうと、後から遺言書が見つかり、手続きをやり直さなければならないことがあります。
遺言書にはいくつか種類があります。
よく使用される遺言書の形式と探し方は、次のとおりです。
| 遺言の種類 | 探し方 |
|---|---|
| 自宅保管の自筆証書遺言 | 自宅の金庫、机、仏壇、貸金庫、重要書類の保管場所、エンディングノートなど |
| 法務局保管の自筆証書遺言 | 法務局に問い合わせる |
| 公正証書遺言 | 公証役場に問い合わせる |
自宅などで自筆証書遺言を見つけた場合は、勝手に開封したり、内容に従ってすぐに手続きを進めたりしないようにしましょう。
自筆証書遺言は、偽造等を防止するために、原則として家庭裁判所で「検認(けんにん)」という手続きが必要となります。
勝手に開封すると、過料が科される可能性があるほか、「内容を書き換えたのではないか」と他の相続人から疑われ、トラブルの原因になることもあります。
もっとも、法務局で保管されていた自筆証書遺言や、公正証書遺言については、検認の手続きは不要です。
相続人を確認する
次に、誰が相続人になるのか(法定相続人)を確認します。
これは、遺産分割の話し合いを「相続人全員」で行う必要があるため、最初の段階で確定させておかなければならないからです。
前婚の子どもなど、思いもよらない相続人が存在する可能性もあるため、後述する戸籍謄本を取り寄せて、客観的に相続人を確定させる作業を行います。
相続人の順位や相続分の割合については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひこちらも合わせてお読みください。
亡くなった親の財産と借金を調査する
相続人を確認したら、亡くなった親の財産と借金を調査します。
ここで注意すべきなのは、不動産や預貯金、株式などのプラスの財産だけではなく、借金や住宅ローン、未納の税金といったマイナスの財産も、原則として相続の対象になるという点です。
財産調査では、次のような資料が参考になります。
| プラスの財産に関する資料 | マイナスの財産に関する資料 |
|---|---|
|
|
親と離れて暮らしていた場合や、親の財産状況を把握していなかった場合は、思わぬ借金が見つかることもあります。
親に借金があるときは相続放棄を検討する
財産を調査した結果、借金などのマイナスの財産がプラスの財産を上回るような場合には、相続放棄を検討しましょう。
相続放棄とは、亡くなった親の財産も借金も、一切引き継がないことにする手続きです。
ただし、相続放棄をする場合は、原則として、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に手続きを行う必要があります。
また、ただ単に他の親族に「私は相続しない」と伝えるだけでは法的な効力はなく、亡くなった親の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄の申述を行う必要があります。
期限を過ぎると、原則として相続放棄ができなくなるため、不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
亡くなった親の遺産分割をする
遺言書がない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合には、相続人全員で遺産分割について話し合います。
遺産分割とは、亡くなった親の遺産を、相続人の間でどのように分けるかを決める手続きです。
遺産分割では、必ずしも法律が定める割合(法定相続分)どおりに分ける必要はなく、相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる分け方をすることもできます。
話し合いがまとまった場合は、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、預貯金の払戻し、不動産の名義変更、株式の名義変更などで必要になることがあります。
亡くなった親の不動産の名義変更をする
亡くなった親が土地や建物などの不動産を所有していた場合は、相続によって不動産を取得した人が、名義変更の手続きを行う必要があります。
これを相続登記といいます。
法改正により、2024年(令和6年)4月1日から相続登記を行うことが義務化されました。
相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に行う必要があります。
正当な理由なく行わなかった場合には、過料が科されるおそれがあるため、放置しないことが大切です(不動産登記法164条)。
相続税の申告が必要か確認する
親が亡くなった場合でも、すべてのケースで相続税の申告が必要になるわけではありません。
相続税は、亡くなった親の遺産額が一定額(基礎控除額)を超える場合に問題になります。
相続税の基礎控除額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。
亡くなった親の財産から借金や葬式費用などを差し引いた「正味の遺産額」がこの基礎控除額を超える場合には、原則として相続税の申告が必要になります。
たとえば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4800万円となるため、正味の遺産額が4800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。
相続税の申告期限は、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続以外の重要な手続き
相続に関する法律的な手続きと並行して、親の生活に紐づいていた様々な契約の解除や、生活環境の整理も進めていきましょう。
ここでは、特に重要な手続きについて解説します。
仏壇の購入
親が亡くなり、新しくお位牌をお祀りするための仏壇が必要な場合は、購入を検討します。
一般的には、忌明けとなる「四十九日法要」の際に、白木のお位牌から本位牌へ魂を移す儀式を行うため、それに間に合うように準備をしておくケースが多いでしょう。
もっとも、法律上、仏壇を必ず購入しなければならないという決まりはありません。
仏壇を購入するかどうかは、宗教、宗派、地域の慣習、家族の考え方によって異なります。
亡くなった親の契約を解約または名義変更する
親が亡くなった後は、親名義の契約を確認し、必要に応じて解約または名義変更を行います。
たとえば、電気、ガス、水道、固定電話、携帯電話、インターネット、新聞、クレジットカード、各種サブスクリプションなどです。
これらの契約を放置すると、亡くなった後も料金が発生し続けることがあります。
一方で、同居していた家族がそのまま使い続ける電気・ガス・水道などについては、解約ではなく名義変更が必要になります。
生活に必要な契約まで、誤って止めてしまわないように注意しましょう。
最近では、スマートフォン、パソコン、ネット銀行、ネット証券、電子マネー、クラウドサービス、動画配信サービスなど、インターネット上の契約や財産も増えています。
いわゆる「デジタル遺品」と呼ばれるものです。
デジタル遺品は、紙の通帳や契約書が残っていないため、家族が気づきにくいという問題があります。
親のスマートフォン、パソコン、メール、郵便物、クレジットカード明細、通帳の引き落とし履歴などを確認し、継続課金や財産の手がかりがないか調べましょう。
よくわからない請求などがある場合には、各サービスの提供会社に問い合わせすることが大切です。
亡くなった親の生命保険を請求する
親が生命保険に加入していた場合は、死亡保険金を請求できる可能性があります。
まずは、保険証券、保険会社からの郵便物、通帳の保険料引き落とし履歴、クレジットカード明細などを確認し、加入していた保険がないかを調べましょう。
死亡保険金は、受取人に指定された人が保険会社へ請求するのが原則のため、誰が受取人に指定されているかが重要となります。
生命保険金の請求には時効が問題になることもあるため、保険の存在がわかったら、早めに保険会社へ連絡して必要書類を確認しましょう。
亡くなった親の戸籍謄本の取り方とは?
戸籍謄本とは、戸籍に記載されている人全員の出生、婚姻、親子関係、死亡などの身分関係を証明する公的な書類です。
「戸籍全部事項証明書」と呼ばれることもあります。
相続の手続きでは、この戸籍謄本が欠かせません。
ここでは、必要となる戸籍謄本の範囲と取得方法について解説します。
亡くなった親の出生から死亡までの連続した戸籍が必要
相続手続きでは、亡くなった親の「出生から死亡までの連続した戸籍」を集める必要があります。
つまり、現在の戸籍だけでなく、結婚前の戸籍、転籍前の戸籍、改製原戸籍、除籍謄本などをさかのぼって取得する必要があります。
このような戸籍を集める理由は、相続人を正確に確認するためです。
たとえば、現在の戸籍だけを見ると、現在の配偶者や子どもは確認できても、前婚の子どもや、認知した子ども、養子縁組の有無などがわからないことがあります。
そのため、相続の際には、亡くなった親の戸籍を出生までさかのぼり、相続人を漏れなく確認することが重要です。
戸籍謄本はどこで取得できる?
戸籍謄本は、その戸籍がある「本籍地の市区町村役場」の窓口で直接取得するか、郵送で請求するのが原則です。
しかし、2024年(令和6年)3月1日から、「戸籍証明書等の広域交付制度」が始まりました。
これにより、親の戸籍が全国各地の複数の市区町村にまたがっている場合でも、最寄りの市区町村役場の窓口で、一括してまとめて取得できるようになりました。
ただし、広域交付を利用できる人は、本人、配偶者、父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などに限られます。
取得できる証明書の種類にも制限があるため、利用前に市区町村役場へ確認しておくと安心です。
戸籍謄本については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひこちらも合わせてお読みください。
亡くなった親の預貯金を下ろすには?
親が亡くなった後、親名義の預貯金は相続財産となります。
そのため、たとえ子どもであっても、相続人全員の同意や金融機関の正式な手続きを経ずに、親の預貯金を勝手に引き出すことは避けましょう。
親が亡くなったことを金融機関が把握すると、通常、親名義の口座は凍結されます。
口座が凍結されると、預貯金の引き出し、振込み、公共料金の引き落としなどができなくなるのが通常です。
もっとも、親の死亡後に預貯金を一切引き出せないわけではありません。
一定の場合には、法律上または金融機関の手続きを経た上で、払い戻しを受けることができるケースもあります。
亡くなった親の預貯金を下ろす3つの方法
亡くなった親の預貯金を下ろす主な方法は、次の3つです。
- 遺産分割前の払戻し制度
- 遺言書に基づく払い戻し
- 遺産分割協議に基づく払い戻し
どの方法を使うべきかは、遺言書の有無、相続人の人数、預貯金の金額、すぐにお金が必要かどうかによって異なります。
以下では、それぞれの方法について解説します。
遺産分割前の払戻し制度
遺産分割前の払戻し制度とは、遺産分割協議が終わる前でも、一定の範囲で亡くなった人の預貯金を払い戻せる制度です。
この制度を利用して払い戻しを受けられる金額は、次の計算式で計算します。
ただし、この計算結果にかかわらず、1つの金融機関につき「最大150万円」が上限です。
なお、この制度を利用して払い戻しを受けた金額は、その相続人が遺産の一部を取得したものとして扱われ、後の遺産分割で調整されることになります。
遺言書に基づく払い戻し
亡くなった親が遺言書を残しており、その預貯金を相続する人が指定されている場合は、その遺言の内容に基づいて払い戻しを受けることができます。
たとえば、遺言書に「A銀行の預金を長男に相続させる」といった内容が記載されている場合、その預金を取得する人(長男)が金融機関で相続手続きを行うことになります。
遺産分割協議に基づく払い戻し
「遺産分割協議に基づく払い戻し」は、遺言書がない場合の最も一般的な方法です。
相続人全員で「誰がどの預貯金を引き継ぐか」を話し合う遺産分割協議を行い、全員が合意した内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。
この協議書に基づき、預貯金を取得する相続人や代表相続人が、金融機関で払い戻し手続きを行います。
銀行口座解約の必要書類
預貯金の払戻しや口座の解約にあたっては、金融機関に各種の書類を提出する必要があります。
必要書類は金融機関や手続きの方法によって異なりますが、一般的には次のようなものが求められます。
- 遺言書(ある場合)
- 遺産分割協議書(ある場合)
- 各金融機関が用意している払戻請求書
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人を確認できるすべての戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書
- 手続きする人の本人確認書類
- 通帳、キャッシュカードなど
必要書類は、遺言書の有無、遺産分割協議書の有無、相続人の人数、金融機関の運用によって異なります。
そのため、いきなり窓口へ行くのではなく、事前に金融機関へ連絡し、必要書類を確認してから手続きを進めることをおすすめします。
亡くなった親の預貯金が少額の場合
亡くなった親の預貯金がごく少額である場合、金融機関によっては柔軟な対応をしてくれることがあります。
たとえば、戸籍などの一部の書類を省略できたり、相続人全員の印鑑証明書までは求められなかったりするケースです。
ただし、どの程度の金額を「少額」として扱い、どこまで書類を省略できるかは、金融機関ごとに取り扱いが異なります。
また、少額であっても、他の相続人に無断で払い戻しを受けると、後でトラブルになる可能性があります。
親の預貯金が少額の場合でも、まずは金融機関に必要書類を確認し、相続人間で情報を共有したうえで手続きを進めましょう。
亡くなった親の確定申告が必要?
亡くなった親が生前に一定の収入を得ていた場合、その年の所得について、相続人が代わりに確定申告をしなければならないことがあります。
これを準確定申告といいます。
亡くなった親の確定申告は「準確定申告」
通常の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得について、本人が翌年に申告・納税するものです。
しかし、年の途中で亡くなった場合、本人が申告することはできません。
そこで、亡くなった方の代わりに、相続人がその年の所得を申告・納税するのが準確定申告です。
ここで注意したいのが、相続税の申告とは別のものだという点です。
準確定申告は、亡くなった親本人の「所得」にかかる所得税の申告です。
一方の相続税は、相続人が「相続した財産」にかかる税金の申告であり、対象も手続きも異なります。
準確定申告が必要なケース
準確定申告は、亡くなった方が生前に確定申告をする必要があった場合に必要となります。
たとえば、次のような場合には、準確定申告が必要になる可能性があります。
- 個人事業をしていた
- 不動産収入があった
- 給与を2か所以上から受け取っていた
- 年金収入が一定額を超えていた
- 医療費控除や寄附金控除などを受けたい
- 不動産や株式を売却して利益が出ていた
一方で、会社員として年末調整が済んでいた場合や、所得が少ない場合などには、準確定申告が不要なこともあります。
判断に迷う場合は、亡くなった親の源泉徴収票、年金の源泉徴収票、通帳、確定申告書の控えなどを確認し、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
準確定申告を行う人
準確定申告は、相続人が行います。
相続人が複数いる場合には、原則として、相続人全員が連署して申告します。
もっとも、実際には、相続人のうち代表者を決めて手続きを進めることもあります。
その場合でも、他の相続人に申告内容を共有し、後でトラブルにならないようにしておくことが大切です。
準確定申告の期限
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
一般的には、親が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内と考えることになります。
準確定申告は、相続税の申告期限よりも早く期限が来ます。
葬儀や役所の手続き、相続人調査などで忙しい時期と重なりやすいため、必要かどうかを早めに確認しておきましょう。
亡くなった親の物を処分するのは要注意

親が亡くなると、実家の片付けや遺品整理を早く進めたいと考える方も多いでしょう。
しかし、法的な手続きや財産の全容把握が完了する前に、不用意に親の物を処分するのは非常に危険です。
ここでは、亡くなった親の物の処分に伴う注意点について解説します。
通帳・契約書・郵便物は処分しない
亡くなった親の財産状況を正確に把握するためには、家の中に残された書類が重要な手がかりとなります。
特に注意したいのが、通帳・契約書・郵便物などの書類です。
相続では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も把握する必要があります。
通帳があれば取引のあった金融機関やお金の流れがわかりますし、郵便物からは、クレジットカードの利用明細や借入の督促、各種サービスの契約などが判明することがあります。
契約書類は、不動産や保険、ローンの有無を確認する材料になります。
これらを早まって処分してしまうと、本来把握できたはずの財産や借金を見落とし、相続放棄をすべきかどうかの判断を誤ることにもなりかねません。
財産の調査が一通り終わるまでは、書類はまとめて保管しておきましょう。
相続放棄を検討している場合は物を処分しない
相続放棄を検討している場合は、特に慎重な対応が必要です。
相続人が、亡くなった親の財産を売却したり、使ったり、捨てたりするなど、財産を自分のものとして扱った(処分した)とみなされると、「相続を承認した(単純承認)」と判断されてしまうことがあります。
そうなると、その後は相続放棄ができなくなるおそれがあります。
借金を引き継がないために相続放棄をしようと考えていたのに、遺品整理が原因で放棄できなくなってしまっては大変です。
どこまでの行為が「処分」にあたるかの判断は、個別の事情によって微妙なケースもあります。
相続放棄を少しでも検討している場合は、遺品を動かす前に弁護士へ相談することをおすすめします。
相続放棄の手続きやデメリットについては、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひこちらも合わせてお読みください。
亡くなった親がいる方のQ&A
ここでは、親が亡くなった方からよく寄せられる質問について、お答えします。
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亡くなった親の夢を見るのはどうして?
親を失った悲しみや、もっと話したかったという思いが心に残っているために見ることもあるでしょう。
つらい気持ちが続く場合は、一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に話してみることも大切です。
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親が亡くなった人の香典はいくら渡すべき?
亡くなった方との関係性や、ご自身の年齢によって一般的な相場が異なります。
また、地域の風習や職場の慶弔規程などによっても変わるため、周囲の方と相談して決めるのが安心です。
なお、香典の金額では、「4」「9」など縁起が悪いとされる数字は避けるのが一般的です。
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親が亡くなった時、何日休めますか?
そのため、取得できる日数はご自身の勤務先の「就業規則(慶弔休暇規程)」によって決まります。
一般的な企業の目安としては、親が亡くなった場合は「5日〜7日程度」の休暇が認められるケースが多くなっています。
親が亡くなったら、まず勤務先の就業規則を確認し、上司や人事担当者に休暇日数、必要書類、有給・無給の扱いを確認しましょう。
まとめ
親が亡くなった後は、深い悲しみの中で、休む間もなく多くの手続きに追われることになります。
まずは本記事のチェックリストを活用し、目の前の手続きから順番に行いましょう。
しかし、戸籍謄本の収集や正確な財産調査、遺産分割などは専門的な知識が必要となり、ご遺族だけで進めると行き詰まってしまうことも少なくありません。
少しでも迷ったり、親の借金や財産の分け方に不安を感じたりした場合は、期限切れになる前に専門家へ頼ることが大切です。
弁護士法人デイライト法律事務所では、相続事件に注力する弁護士が在籍する専門部署を設置しており、相談から交渉、裁判対応まで一貫してサポートしています。
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相続に関する不安を抱えている方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。







