盗撮をしたら逮捕される?逮捕後の流れなどを弁護士が解説!
近年、盗撮により検挙される件数が増加傾向にあります。
スマートフォンの普及やカメラの高性能化に伴い、安易な気持ちで盗撮に手を出してしまう人が後を絶たないようです。
このページでは、盗撮で逮捕されるのかどうか、また逮捕された場合にどのような流れで事件が進むのかといったことを弁護士がわかりやすく解説します。
目次
盗撮で逮捕されるケースとは?
一般に「盗撮」といえば、相手に気づかれないようひそかに撮影することをいいますが、そのすべてが刑事事件として逮捕されるわけではありません。
盗撮行為を規制しているのは各都道府県の迷惑防止条例ですが、条例はそれぞれの自治体が独自に制定するものであるため、条例ごとに規定の仕方はばらつきがあります。
そのため以下はあくまで一例となりますが、比較的よく見られる定め方では、規制対象となるのは次のような行為とされます。
- 公共の場所や乗り物において
- 通常衣服で隠されている他人の身体や下着を
- 撮影し又は撮影する目的でカメラを差し向けたり設置したりする行為
それぞれのポイントは、次のとおりです。



盗撮で逮捕されない事案もあり得るのですが、そのようなケースは限定的であると考えていただいたほうが良さそうです。
盗撮で逮捕されるケースの詳しい解説は、こちらをご覧ください。
盗撮は現行犯逮捕の場合が多い
逮捕の種類としては、犯行を現認されその場で逮捕される「現行犯逮捕」や、裁判官の発する逮捕状によって行う「通常逮捕」などがありますが、盗撮事件では現行犯で逮捕されるケースが多いです。
盗撮は駅や商業施設などの公共の場で犯行が行われることから、被害者や周囲の人に撮影の瞬間を目撃されて通報されるのが典型的な例です。
盗撮の手口は年々巧妙化しているものの、盗撮は常習化しやすい犯罪であり、犯行を重ねていれば、どこかの段階で必ず露見するタイミングが訪れるはずです。
安易な気持ちで手を出したがために、捕まるまでやめられないということにもなりかねませんので、十分気をつけていただきたいと思います。
盗撮で後日逮捕されることはある?
盗撮は現行犯での検挙が多いですが、逮捕状により後日逮捕されることもあり得ます。
その場では逃走したものの防犯カメラの映像などから犯人として特定されてしまうケースや、職務質問や別件の捜査の際にスマートフォンなどに保存された画像を発見されて発覚するケースなどが考えられます。
また、勤務先の更衣室に撮影機器を仕掛けたような事例などでも、後日機器が見つかることで発覚することがあります。
盗撮で逮捕されないケース
盗撮で逮捕されないために、考えられることとしては次の2つの方法があります。
自首をする
可能な限り逮捕されないために、できることといえば、まず自首をすることが考えられます。
自ら進んで犯罪事実を申告することで、逮捕の必要性が低くなると考えられます。
なお、既に警察に犯行が発覚している場合は、厳密な意味での「自首」には該当しません(「出頭」となります。)。
しかし、証拠を任意に提出したり、嘘をつかずに真摯に対応することで、逮捕の可能性は低くなるでしょう。
なお、当事務所では、適切に自首や出頭を行い、処罰を減免するためのサポートを行っています。
示談交渉を行う
盗撮には被害者がいます。
このような犯罪においては、被害者と示談が成立すれば、逮捕する必要がなくなると考えられます。
また、捜査の必要性も無くなり、不起訴を獲得できる可能性が高くなります。
そのため、刑事事件に注力する弁護士を選任し、早期に示談することが重要となります。
盗撮で逮捕。有罪となったら刑罰は?
盗撮の罰則は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(常習であれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)というのが基本です。
盗撮の罰則は、刑法ではなく各都道府県の迷惑防止条例によって定められています。
盗撮については上記の罰則を採用している自治体が多いですが、近年、盗撮被害が多発していることを受け、罰則を引き上げる自治体が相次いでいます。
厳罰化をした自治体では、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(常習であれば「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)という罰則を定めており、今後改正する自治体が続くようであれば、こちらが標準となるかもしれません。
また、軽犯罪法違反や住居侵入罪に問われる場合もあり、軽犯罪法違反については「拘留又は科料」、住居侵入罪については「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」といった罰則が、それぞれ設けられています。
罪名 | 罰則 |
---|---|
迷惑防止条例違反(従来型) | 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習であれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」) |
迷惑防止条例違反(厳罰型) | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習であれば「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」 |
軽犯罪法違反 | 拘留又は科料(懲役と罰金の軽いもの) |
住居侵入罪 | 3年以下の懲役又は10万円以下の罰金 |
盗撮で逮捕された場合の流れ
盗撮で逮捕された場合、次のような流れで事件は進行します。
①逮捕
逮捕されると身柄が拘束され、48時間以内に検察庁に送検されます。
②送検
容疑者の送致を受けた検察官は、24時間以内に容疑者の勾留を請求するか判断します。
③勾留
勾留されると、10日間にわたって身柄の拘束が続きます。また、10日間を上限に勾留延長される可能性があります(最大で20日間の拘束)
④起訴
起訴とは刑事裁判にかけられることを意味します。起訴前の勾留は最長でも20日間でしたが、起訴された場合、保釈されない限り判決まで勾留が続くことになります。
⑤判決
盗撮で逮捕された場合の対応とは?
盗撮で逮捕された場合、取り調べへの対応と被害者への対応を考える必要があります。
取り調べに対しては、罪を認めるか、否認するか、あるいは何もしゃべらず黙秘するといった対応が考えられます。
否認する場合はもちろんのこと、罪を認める場合であっても、どのように供述したらよいか、供述によって不利益を受けるのではないかといったことがご心配なことと思います。
刑事事件の取り扱い経験が豊富な弁護士にご相談なさると、捜査への対応について的確な助言が得られるのみならず、その後の事件の流れや見通しについてもわかりやすく説明してもらえるでしょう。
被害者対応については、既にご説明したとおり、示談交渉を進めることが重要です。
示談成立により被害が弁償され被害者の許しが得られているという事情を示すことができれば、必ずではないものの、不起訴処分となる可能性が高まります。
また、仮に起訴されたとしても、示談が成立していれば有利な事情として考慮され、執行猶予などの寛大な判決を得ることが期待できます。
このように、被害者のいる事件においては、示談が成立することは起訴の前後を問わず重要な意味を持つといえます。
もっとも、被害者の連絡先を入手して示談の交渉をするといったことを容疑者自身が行うことは、実質的に不可能に近いと思われます。
弁護士の中でも、刑事事件を得意とする弁護士であれば、被害者対応のような業務を日常的に取り扱っていますので、そのような弁護士に示談交渉を依頼されるとよいでしょう。
このように、弁護士に依頼することで、取り調べ対応と被害者対応の両面からサポートを受けることができるのです。
まとめ
このページでは、盗撮で逮捕されるケースや罰則について解説しました。
最後にもう一度、記事の要点を整理します。
- 盗撮で逮捕されるのは、迷惑防止条例違反のほか、軽犯罪法違反や住居侵入罪により逮捕されることもある。
- 自首や示談の成立により、逮捕の必要性がないとして逮捕をまぬがれることがある。
- 条例違反の罰則としては、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(常習であれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)が従来よく見られる規定であるが、厳罰化をした自治体では、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(常習であれば「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)とされる例が多い。
- 捜査対応と被害者対応のいずれについても、刑事事件を得意とする弁護士に依頼することで、一貫したサポートが受けられる。
当事務所は、刑事事件のご相談の予約に24時間対応しています。LINEなどのオンライン相談も活用していますので全国対応も可能ですので、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。
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なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか