盗撮|逮捕されるケースと逮捕されないケースを弁護士が解説

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

 

盗撮とは

盗撮とは、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような方法で、以下の行為を行うことをいいます。

①通常衣服で隠されている他人の身体または他人が着用している下着を写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」といいます。)を用いて撮影すること

②公衆便所、公衆浴場、公衆が利用することができる更衣室その他の公衆が通常衣服の全部または一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある人の姿態を写真機等を用いて撮影すること

 

 

逮捕の要件

逮捕は、本来は自由であるはずの人の身体を強制的に拘束するものであるため、法律の根拠が必要となります。

そして、法律上、逮捕できるのは以下に該当する場合に限られています。

  • 相当な嫌疑の存在
  • 逮捕の必要性
根拠条文
第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。② 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

引用元: 刑事訴訟法|電子政府の総合窓口

「相当な嫌疑の存在」とは、わかりやすく言うと、「かなり怪しい」という状況だと考えられます。

では、「逮捕の必要性」はどのように判断するのでしょうか。

これには、被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様その他の事情に照らして判断されます。

根拠条文
(明らかに逮捕の必要がない場合)
第百四十三条の三 逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

引用元:刑事訴訟法規則|裁判所

逮捕には、通常逮捕緊急逮捕現行犯逮捕の3種類があります。

通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕の違い

通常逮捕は、逮捕前に、裁判官が発した逮捕状が必要となります。

緊急逮捕は、事前の逮捕状は不要ですが、一定の重大な犯罪に限定されており、盗撮の場合は当てはまりません。

現行犯逮捕については、犯人であることが明白であるため逮捕状は不要となります。

通常逮捕 緊急逮捕 現行犯逮捕
要件 逮捕状が必要 重大犯罪のみ 現行犯であること

 

 

盗撮で逮捕されるケースとは

盗撮が警察に発覚した場合、警察から被疑者として捜査を受けることになります。

捜査機関は、刑事事件を、「身柄事件」と「在宅事件」に分けて捜査をします。

身柄事件は、逮捕・勾留して、身体拘束状態を作り出した状態で捜査・起訴をするものです。

在宅事件は、被疑者を拘束せず、任意で取調べやその他捜査を行い、証拠が固まった段階で起訴をするものです。

盗撮が警察に発覚した場合、警察としては、まずは身柄事件とするのか、在宅事件とするのかを検討することになります。

そして、盗撮の場合、その全てが身柄事件となる運用は取られていませんから、盗撮が警察に発覚したからといって、確実に逮捕されるというわけではありません。

逮捕の判断要素と盗撮の場合

上記のとおり、逮捕については一応法律の規定がありますが、抽象度が高いため基準は明確ではありません。

しかしながら、判断要素とされているのは、①前科の有無・数・近接性、②証拠を隠滅していないかどうか、③住居、職場等が明確か否か、④事実を認めているか否か、等が挙げられます。

盗撮の場合だと、以下のようなケースであると、逮捕される可能性は高くなると考えます。

盗撮で逮捕される可能性が高いケース
  • 近接した時期に前科がある
  • 防犯カメラに盗撮場面が映っているにもかかわらず、事実を争っている
  • 撮影に用いた携帯やカメラ等を壊そうとしている
  • 住所や仕事について明確に答えない

また、仮に逮捕に至らなくとも、住居や職場の捜索差押に入られる可能性が高まるでしょう。

 

現行犯以外の逮捕は難しい?

盗撮に関して、「現行犯でないから逮捕されることはない」と考えている方がいます。

確かに、現行犯の場合と比較して、逮捕される可能性は低くなるでしょう。

しかし、上述したとおり、逮捕には、現行犯以外にも、通常逮捕があり、裁判官の逮捕状があれば逮捕は可能です。

例えば、防犯カメラに犯行の様子が写っていた場合、目撃者がいた場合、別件で捜査されていた場合、後日犯人と特定されて逮捕される可能性があります。

 

 

盗撮で逮捕される場合の流れ

それでは、盗撮で後日逮捕される場合、どのような経過をたどるのでしょうか。

例えば、防犯カメラ等の情報が手がかりとなって逮捕される場合は以下の経過となることが予想されます。

防犯カメラで犯人が特定される

警察が犯行現場の近くにある防犯カメラの記録映像を分析します。

そして、映像を追っていくことで、犯人の身元を割り出すことに成功する場合があります。

 

任意同行を求められる

犯人の身元が特定できていれば、通常はすぐに逮捕せずに、まずは任意同行を求めて、事情聴取を行うことが予想されます。

防犯カメラの映像で犯人であることが発覚していてもすぐに逮捕しないのは、刑事裁判で確実に有罪と立証できるようにするために、十分な捜査時間を確保したいからです。

すなわち、法律上、警察は被疑者を逮捕した後48時間以内に送検しなければなりません。

また、検察官は、被疑者を逮捕した後、最大23日間以内に起訴するか否かを決定しなければなりません。

このように時間制限があるのは、逮捕や勾留は人の行動の自由を奪う強制処分であり、必要最小限でなければならないからです。

しかし、実際には上記のように、任意捜査の名のもと、実質的な取り調べが行われています。

 

警察が盗撮データを復元する

捜査機関としては、確実に有罪を立証できるようにするために、被疑者が撮影した盗撮データなどの証拠を確保したいと考えているでしょう。

そのため、被疑者のパソコンやスマトーフォンなどを捜査することが予想されます。

盗撮データが削除されている場合、これを復元することも考えられます。

 

 

後日逮捕される確率

盗撮に関して、後日逮捕される確率については、公表されている資料がないため、正確な数字を示すことはできません。

しかし、防犯カメラが設置されていた、目撃者がいた、などの状況であれば、上記のとおり、犯人と特定されて後日逮捕される可能性は残ります。

反対に、上記のような事情がなければ、後日逮捕される可能性は高くないでしょう。

 

 

逮捕されたらどうなる?

逮捕の72時間の間に、検察官は、被疑者をさらに身体拘束し続ける必要があるかを判断します。

犯罪の嫌疑が晴れた場合、犯罪の嫌疑はあるが逃亡・罪証隠滅のおそれがないと判断した場合には、勾留されることなく、釈放されます。

身体拘束し続ける必要があると判断された場合、検察官が裁判官に対して、勾留請求を行います

勾留は10日間とされていますが、勾留延長という手続があり、勾留延長されると、最大20日間の身体拘束を受け続けます。

逮捕の72時間の身体拘束に加えて、10日ないし20日の身体拘束となると、会社に犯罪の事実が知れ渡ったり、会社を解雇されたりするリスクが大幅に増加してしまいます。

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逮捕後の流れ

 

 

盗撮で逮捕されないケース

盗撮で逮捕されないために、考えられることとしては次の2つの方法があります。

自首をする

可能な限り逮捕されないために、できることといえば、まず自首をすることが考えられます。

自ら進んで犯罪事実を申告することで、逮捕の必要性が低くなると考えられます。

なお、既に警察に犯行が発覚している場合は、厳密な意味での「自首」には該当しません(「出頭」となります。)。

しかし、証拠を任意に提出したり、嘘をつかずに真摯に対応することで、逮捕の可能性は低くなるでしょう。

なお、当事務所では、適切に自首や出頭を行い、処罰を減免するためのサポートを行っています。

 

示談交渉を行う

盗撮には被害者がいます。

このような犯罪においては、被害者と示談が成立すれば、逮捕する必要がなくなると考えられます。

また、捜査の必要性も無くなり、不起訴を獲得できる可能性が高くなります。

そのため、刑事事件に注力する弁護士を選任し、早期に示談することが重要となります。

 

 

まとめ

以上、盗撮で逮捕されるケースと、逮捕されないケースについて、詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。

盗撮が発覚したからと言って、すぐに逮捕されるとは限りません。

しかし、今後の逮捕や起訴を回避するために、自首や示談交渉を検討すべきでしょう。

自首や示談交渉を行うためには、まずは刑事事件専門の弁護士へのご相談をお勧めいたします。

弁護人を選任することで、示談・不起訴処分の可能性が生まれますし、逮捕等をされない可能性を高めることもできます。

また、更生に向けたサポートも併せてすることが可能です。

この記事が刑事事件でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 


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