事故の相手保険会社から連絡がないのはなぜ?対処法も解説

交通事故後、相手保険会社からの連絡がない場合、以下のような理由が考えられます。
- 相手方(加害者)が保険会社に事故報告を行っていない
- 保険会社内部で初期調査や手続きに時間を要している
- そもそも相手方(加害者)が任意保険に加入していない
そのため、被害者は連絡を漫然と待つのではなく、事故から5営業日程度を目安として、能動的に行動を起こす必要があります。
交通事故に強い弁護士に依頼すれば、連絡が遅れている原因を特定し、迅速に保険会社への交渉を開始してもらえます。
弁護士費用特約を活用すれば、実質的な費用負担なく、適正な裁判所基準での損害賠償額(慰謝料など)獲得を目指すことが可能です。
この記事では、事故後、相手保険会社から連絡が来ない理由や、そのような場合の対処法などについて、弁護士が詳しく解説していきます。
事故後、相手保険会社から連絡がないのはなぜ?

相手方(加害者)が保険会社に事故報告を行っていない
事故後、保険会社からの連絡が遅い場合、相手方(加害者)が保険会社に事故報告を怠っている可能性があります。
相手方の任意保険会社は、基本的に契約者である加害者からの事故報告を受けて初めて、事故対応を開始します。
したがって、加害者が自身の保険会社に事故報告を怠っている場合、保険会社は事故の事実自体を把握できていないため、どれだけ待っていても被害者への連絡は来ません。
加害者が報告をしない理由としては、「保険を使うと次年度の保険料が上がる(等級が下がる)のを避けたい」、「軽微な事故だと自己判断し、保険を使う必要がないと考えている」、「事故対応の煩雑さから逃れたい」といった私的かつ身勝手な思惑が挙げられます。
特に、加害者側が自身の過失を認めず「自分には事故に対する責任がない」と考えているケースでは、保険会社に事故報告をしない可能性が高まります。
しかし、加害者が任意保険に加入しているにもかかわらず、その利用を拒むことは、被害者の正当な権利行使を妨げる行為に他なりません。
このような場合、被害者としては、まず加害者本人に対して保険会社への報告を促す必要がありますが、それでも応じない場合は、ご自身の加入する保険会社(任意保険の弁護士費用特約を利用する場合など)や専門家である弁護士を通じて、相手方の保険会社に事故の事実を照会し、対応を求めることが必要となります。
保険会社内部で初期調査や手続きに時間を要している
相手方の保険会社の会社内で初期調査や手続きに時間がかかっている場合も、保険会社からの連絡が遅れる可能性があります。
加害者が保険会社へ事故報告をすぐにしていたとしても、保険会社がすぐに被害者へ連絡できるとは限りません。
保険会社は、被害者への連絡前に必ず初期調査や内部の手続きを行います。
これには、加害者への聴き取りによる事故状況の確認、保険契約の内容(対人賠償保険の有無や補償範囲など)の確認、警察への事故照会などが含まれます。
たとえば、事故状況について加害者と被害者双方の主張が食い違っている場合(過失割合の争いが予想される場合)には、保険会社は事実関係の確認により慎重になるため、調査に時間を要する可能性があります。
また、事故発生が土日祝日や夜間であった場合、保険会社の担当部署が営業していないため、翌営業日まで連絡が待たされる可能性もあります。
そのため、通常、事故発生から2〜3営業日程度は、保険会社側の初期対応期間として見込んでおく必要があります。
もし、事故内容が複雑であったり、関係者が多かったりする場合は、さらに時間を要することもありますが、1週間以上音沙汰がない場合は、後述する適切な対処法を検討すべき段階に入ったと判断できます。
そもそも相手方(加害者)が任意保険に加入していない
最も重大なケースとして、加害者が自動車の任意保険(対人賠償責任保険)に加入していない場合です。
ドライバーには、自賠責保険への加入は義務付けられていますが、任意保険への加入は義務ではありません。
自賠責保険とは、いわゆる強制保険のことで、自動車を運転の用に供する際に必ず加入しなければならない保険です(自動車損害賠償保障法5条)。

自賠責保険は、「社会に広く普及している自動車によって事故に遭い、人身被害を受けた人が、全く保障を受けられない」という事態をなくすために設けられている制度です。
自賠責保険に加入していると、人身事故を起こしてしまったときに、賠償金の一部を自賠責保険から支払ってもらうことができます。
これに対して、任意保険とは、運転をする人や自動車を保有している人が任意で加入する保険です。
自賠責保険と違い、加入していないからといって法律違反となるわけではなく、罰則もありません。
ただ、万が一自動車で事故を起こしてしまった場合、自賠責保険だけでは賠償金を補うことは難しいので、任意保険にも加入して、事故を起こした場合に備えている方が多いです。
そして、任意保険未加入の場合、当然ながら加害者側の任意保険会社が存在しないため、そこからの連絡が来ることはあり得ません。
任意保険に未加入の場合、損害賠償責任は加害者本人が直接負うことになります。
示談交渉や賠償金の支払いも、基本的に加害者本人との間で行う必要があり、被害者にとっては、交渉や回収の負担が格段に大きくなります。
もし任意保険に未加入であれば、被害者自身が加入している人身傷害保険や、自賠責保険会社への直接請求(被害者請求)などの手段を検討する必要が生じます。
そのため、まずは加害者に対して任意保険の加入状況を明確に確認することが重要です。
自賠責保険は傷害部分で上限120万円など補償額に上限があり、すべての損害をカバーできるわけではないため、加害者本人との交渉や、専門家である弁護士に相談し、適切な賠償額の請求を行うことが不可欠です。
事故後、相手保険会社からの連絡が遅いときの対処法

相手保険会社の担当者に直接問い合わせる
保険会社からの連絡が遅い場合、ご自身で保険会社の担当者に連絡して、進捗状況を確認してください。
加害者の任意保険会社名(可能であれば証券番号まで)を把握している場合は、被害者側からその保険会社の事故受付窓口やカスタマーセンターに直接連絡し、進捗状況を問い合わせることができます。
被害者側からの積極的な問い合わせは、単なる催促に留まらず、保険会社側に「被害者は事故対応を真剣に追及している」という事実を認識させる効果があります。
そして、問い合わせの際は、事故発生日時、場所、加害者の氏名・車両番号など、基本情報を整理して伝え、「契約者である〇〇様(加害者)の事故に関して、いまだに担当者からの連絡がないため、現在の状況を確認したい」と冷静かつ簡潔に依頼してください。
ここで注意すべきなのは、感情的になるのではなく、事実に基づいた客観的な情報伝達を心がけることが、円滑な対応を引き出すための鍵となります。
さらに、保険会社とのやり取りは、その日時、担当者名、会話内容の要点を必ずメモや記録に残しておくことが重要です。
これは、後の交渉過程で保険会社側の不誠実な対応や発言があった場合の証拠として機能するためです。
もし、直接の問い合わせでも「担当者が忙しい」や「社内確認中」といった曖昧な回答で事態が好転しない場合は、その対応自体が不誠実であると判断し、後述のように弁護士への相談を検討することをおすすめします。
加害者へ直接連絡して保険会社を確認する
事故後、保険会社からの連絡が遅く、かつ、加害者側の保険会社がわからない場合には、直接加害者に連絡して確認する必要があります。
連絡が来ない原因が、「加害者が保険会社に事故報告をしていない」という可能性もあるため、可能であれば加害者本人に連絡を取り、速やかに保険会社へ報告するよう促す必要があります。
この際、感情的にならず、あくまで事務的に「保険会社からの連絡がないため、事故報告の状況を確認させてほしい」と伝えることが重要です。
加害者とのやり取りについても、後々重要な証拠となる可能性もあるため、日時や内容を記録に残しておくべきです。
また、加害者が任意保険に未加入である可能性も考慮し、その場合は、最低限加入が義務付けられている自賠責保険会社を特定し、その保険会社に連絡して、事故報告の有無や今後の手続き(被害者請求の可能性など)について確認を行う必要があります。
さらに、ご自身の加入する自動車保険の保険会社にも連絡し、ご自身の保険の弁護士費用特約の有無を確認するとともに、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険などの適用可能性について助言を求めることも重要です。
ご自身の保険会社は、事故対応の専門家として、相手方への連絡・照会方法や、今後の手続きに関する初期アドバイスを提供してくれる場合があります。
交通事故に強い弁護士に相談する
相手方保険会社からの連絡がない、あるいは対応が不誠実であると感じた場合、最も効果的かつ根本的な解決策は、交通事故に強い弁護士に相談し、交渉を一任することです。
弁護士が介入することで、被害者は以下のようなメリットを受けることができます。
まず、弁護士は被害者の代理人として、相手方保険会社に対し、事故対応の遅延に対する厳正な抗議と、速やかな連絡・交渉開始を強く要求します。
「法律のプロ」である弁護士の介入することで、保険会社は、裁判への発展を避けるため、それまでの対応姿勢を一変させ、迅速かつ誠実に対応するようになる可能性があります。
弁護士による催促は、被害者本人が行うよりも格段に強制力と権威性を持つことになります。
また、弁護士は、保険会社からの連絡遅延の原因を法的観点から正確に分析し、加害者への報告催促、あるいは直接の損害賠償請求など、状況に応じた最善の戦略を立案・実行します。
仮に相手が任意保険未加入であった場合でも、自賠責保険への被害者請求や加害者本人への直接請求を代行してくれるため、被害者が複雑な手続きを自力で行わずに済みます。
さらに、弁護士が介入することで、将来的な示談交渉において、保険会社提示額よりも高い裁判所基準(弁護士基準)に基づいた正当な慰謝料などを獲得できる可能性が高まります。
連絡遅延という不安な状況を打開し、適正な賠償を受けるためには、弁護士への早期の相談が不可欠です。
多くの法律事務所では無料相談を実施しているため、まずは専門家の意見を聞くことを強くおすすめします。
なお、以下の記事では、弁護士に相談すべきケース、交通事故に強い弁護士の選び方、弁護士に相談するメリットなどについて詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にされてください。
事故の相手や保険会社についてのQ&A

事故の相手と連絡が取れないときどうしたらいい?
加害者の加入する任意保険会社が判明している場合は、被害者側から直接その保険会社に連絡し、事故の事実を伝え、加害者の状況や保険対応の進捗を確認してください。加害者本人が対応を避けていても、加害者が保険を使用するのであれば、保険会社は契約者の事故として対応義務を負うため、保険会社が連絡窓口となって交渉が開始されることが期待できます。
これに対して、加害者の保険会社が不明、あるいは加害者が任意保険に未加入である場合には、被害者自身が加害者に対して損害賠償請求を行う必要があります。
この段階で弁護士に依頼することが、最も確実かつ迅速な解決が期待できます。
弁護士は、職務上の権限に基づき、警察への情報照会や、加害者本人への内容証明郵便による正式な賠償請求など、法的手続きを速やかに進めることができます。
加害者との直接交渉による精神的負担を避け、適正な賠償額を確保するためにも、専門家への依頼を強くおすすめします。

事故の相手と連絡が取れないときの弁護士費用はいくらですか?
相手方と連絡が取れない状況で弁護士に依頼した場合の弁護士費用については、依頼内容や法律事務所の方針によって異なります。一般的に、弁護士費用は、「相談料」、「着手金」、「報酬金」、「実費・日当」などで構成されます。
法律事務所の中には、交通事故に関する初回相談を無料としている事務所も多く存在しています。
まずはこの無料相談を活用し、現在の状況、弁護士に依頼した場合の見通し、そして費用体系について弁護士に確認することが重要です。
最大の費用対策は、ご自身やご家族が加入している自動車保険などに付帯されている弁護士費用特約の利用です。
この特約があれば、相談料、着手金、報酬金といった弁護士費用を、特約の定める上限額(一般的に300万円程度)まで保険会社が負担するため、被害者の方の実質的な費用負担はゼロになるケースがほとんどです。
相手方と連絡が取れないという複雑な状況であればあるほど、特約を利用して早期に弁護士に依頼するメリットは大きくなります。
費用に関する懸念がある場合は、遠慮せずに各法律事務所の具体的な費用体系を確認し、ご自身の経済状況に合った選択をしてください。

事故保険会社からの連絡は何日待てばいいですか?
交通事故後、相手方の保険会社からの初回連絡を待つ期間については、明確な法令の定めはありませんが、一般的な保険会社の業務処理の流れから、事故発生後「3営業日から5営業日」程度が目安となります。この期間は、加害者から保険会社への事故報告、保険会社内での契約内容の確認、担当部署・担当者の決定、そして被害者の情報確認と初期調査に要する、合理的な準備期間と考えられます。
この目安期間を過ぎたにもかかわらず連絡がない場合は、漫然と待機するのではなく、前述した「相手保険会社への確認」や、「加害者へ直接連絡する」といった能動的な対処を開始すべきです。
まとめ
交通事故発生後、相手方の保険会社からの最初の連絡が来ない場合、以下のような原因が考えられます。
- 相手方(加害者)が保険会社に事故報告を行っていない
- 保険会社内部で初期調査や手続きに時間を要している
- そもそも相手方(加害者)が任意保険に加入していない
交通事故後、相手方の保険会社からの初回連絡を待つ期間については、「3営業日から5営業日」程度が目安となります。
この期間は、加害者から保険会社への事故報告、保険会社内での契約内容の確認、担当部署・担当者の決定、そして被害者の情報確認と初期調査に要する、合理的な準備期間と考えられるからです。
また、相手方保険会社からの連絡がない、あるいは対応が不誠実であると感じた場合には、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士は被害者の代理人として、相手方保険会社に対し、事故対応の遅延に対する厳正な抗議や、速やかな連絡・交渉開始を要求してくれます。
必要な手続きについても全て弁護士に任せておけるため、最終的にスムーズにトラブルが解決する可能性が高まります。
交通事故にあってお困りの方は、デイライト法律事務所にご相談ください。
当事務所は、交通事故をはじめとする人身障害に特化した部を編成し、交通事故被害者に対して協力にサポートを行っています。
全国からのお電話・オンラインによるご相談にも対応しています。
交通事故の事案に関しましては、初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。


