むちうちはレントゲンでわかる?MRI検査が必要?|弁護士解説
むちうちはレントゲンではわからない場合があります。
レントゲンでは、骨折の有無や骨の状態を確認することはできますが、むちうちは、首の神経の圧迫・損傷で痛みやしびれが生じる症状のため発見できません。
むちうちの症状により、手先のしびれや感覚がおかしいといった感覚異常が続く場合には、MRI検査を受けたほうがいいでしょう。
むちうちで後遺障害12級13号に認定されるには、MRI検査が必須となります。
ここでは、むちうちでMRIを受けた方が良い理由やむちうちと後遺障害について弁護士が解説します。
目次
むちうちはレントゲンでわかる?
むちうちはレントゲンでは分かりません。
むちうちは、首の神経が圧迫されたり、傷つくことで痛みやしびれが生じるものですが、レントゲンでは、こうした神経等の損傷については発見することはできません。
レントゲンでは、骨折の有無や骨の状態を確認することはできますが、首の靭帯や神経の異常については確認できないのです。
むちうちについては骨と骨の間にある椎間板も影響している場合もあります。
こうした骨以外の部分の状態を確認するためにはMRI検査が必要です。
むちうちの検査で異常なしと言われたとき
MRIで異常なしでも痛い場合の検査・治療は?
むちうちになった場合に、レントゲンでもMRIでも異常はないけれども、痛みはあるということはよくあります。
検査によって、むちうちによる損傷を客観的に明らかにすることは非常に難しいのです。
むちうちの治療方法としては、電気治療、牽引療法、ブロック注射、薬物療法などの治療を行います。
こうした治療を6ヶ月以上継続しても痛みなどの症状が残った場合には、後遺障害申請をされた方がいいでしょう。
その場合、神経学的検査を行うか検討することになります。
むちうちの場合、スパーリングテスト、ジャクソンテストのを行うことが考えられます。
これらの検査は、神経根に異常があるかどうかを確認するテストであり、陽性であれば、神経症状が生じていることを伺わせる事情の一つとなり、後遺障害の認定に有利になる可能性があります。
むちうちでMRIを受けた方が良い理由
むちうちでMRIを受けた方が良い主な理由は以下の3つです。
MRIとは、磁力の力を用いて、身体の状態を撮影する検査方法であり、首の椎間板や靭帯の状態を確認することができます。
したがって、むちうちの痛みやしびれなどの症状の原因を確認することができる可能性があります。
また、後述するように、12級13号に認定されるにはMRI検査が必須となります。
痛みやしびれの原因が判明する可能性がある
首や肩が痛いという症状だけでなく、手先がしびれたり、感覚がおかしいと感じる場合には、首の椎間板にヘルニアがある可能性があります。
椎間板ヘルニアがあるとヘルニアの部分が首の後ろにある神経に当たってしまい、その神経がつながっている手先にしびれが出るということがあるのです。
したがって、症状が一時的なもので、すぐにおさまれば問題ないでしょうが、一定期間しびれがあったり、手先の感覚がおかしいと思えば、首のMRI検査を受けて椎間板の状態を確認しておいた方がよいといえます。
後遺障害診断書に「手先のしびれ」と自覚症状が記載されているのに、MRI検査を受けていないという場合、後遺障害の認定を行う自賠責損害調査事務所としても、本当にしびれがあるのだろうかと疑問をもってしまう可能性があります。
原因が分かれば有効な治療ができる
MRIの撮影によって、症状の原因が判明した場合には、その原因を取り除くための治療をすることができます。
例えば、頚椎椎間板ヘルニアとなっていた場合、手術によって治すことができる可能性があります。
12級13号の認定には必須
むちうちの後遺障害のうち、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するには、レントゲンやMRIなどの画像から異常が認められることが必要です。
むちうちはレントゲンでは異常が見られないので、MRIの画像が必須となります。
むちうちによる症状が重い方の場合には、MRI検査は必須といえ、MRI検査をした上で、明らかに椎間板ヘルニアが神経を圧迫しているといった所見が確認できることが12級13号の認定にあたって、重要なポイントになってきます。
むちうちと椎間板ヘルニアの因果関係
椎間板ヘルニアは、加齢により発症してしまうことがあります。
そのため、保険会社から、事故が原因のヘルニアなのか、加齢によるものなのか争われることがあるのです。
椎間板ヘルニアが発生して間もない場合(つまり交通事故が原因の場合)、時間の経過によって、ヘルニアの画像が変化することがあります。
こうした変化が見られる場合には、交通事故が原因のヘルニアである可能性が高くなります。
MRIが通院している病院にない場合
被害者の方が通院している病院にMRIがある場合には、問診のときに主治医に症状を伝えれば、そのままMRI検査を受けましょうということになってきます。
他方で、通院している病院にMRIがない場合にはどうすればよいでしょうか。
この場合には、通院している病院の医師に相談して、MRIのある病院への紹介状を作成してもらいましょう。
医師の紹介を受けずに、被害者の方が自らの判断で別の病院でMRI検査をした場合、その費用を相手方の保険会社から支払ってもらえない可能性があります。
また、主治医との関係性も悪くなってしまいます。
MRI検査は、レントゲン検査よりも検査時間がかかるため、費用は高額になります。
健康保険を利用しても最低でも1万円弱はかかります。
したがって、紹介状をもらった上でMRIのある病院を受診するようにしましょう。
そして、今まで通院していた病院とは違う病院を受診することになるため、相手方の保険会社にも連絡して、病院名と連絡先、MRI検査を受ける旨を伝えておかなければなりません。
保険会社に事前に連絡しておくことで、MRIの検査費用を保険会社が直接病院に支払ってもらうことができるようになります。
むちうちと後遺障害
むちうちによる症状は上記のとおり、その内容や程度が被害者に応じて異なります。
そのため、交通事故でむちうちになった場合、治療をある程度継続したにもかかわらず、首の痛みや手先のしびれが改善されずに残ってしまうこともあります。
これがむちうちの後遺症です。
しかしながら、交通事故の賠償実務では、後遺症があると被害者が訴えればその全てが補償されるというわけではありません。
後遺症を賠償してもらうためには一定の基準を満たす必要があるのです。
この一定の基準が後遺障害というものです。
実は、むちうちの症状についても、後遺障害が認定される可能性があり、
- 後遺障害12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」
- 後遺障害14級9号の「局部に神経症状を残すもの」
という後遺障害が認定される可能性があります。
このように、むちうちでも後遺障害が認定されることがあるのです。
むちうちの嘘はレントゲン検査で見抜かれる?
むちうちは、レントゲンでは分かりません。
したがって、レントゲンの画像をみることで、むちうちが嘘であることは分かりません。
しかし、むちうちになったと嘘をついて治療をしたり、慰謝料をもらうことは詐欺行為であり、絶対にしてはいけません。
むちうちのレントゲン検査についてよくあるQA
むち打ちのチェック方法は?

したがって、医師が問診で症状や受傷状況を確認し、むちうちの症状があると確認されれば、むちうちの診断になります。
ただ、「むちうち」は傷病名でないため、頸椎捻挫、外傷性頸部症候群などの傷病名で診断されることになります。
むち打ちは何日後に症状が出る?

症状が強くなるには、事故翌日以降のことが多く、事故から2〜3日以内には症状が出ることが多いようです。
事故から日にちが経過すればするほど、保険会社から事故との関係性を争われる可能性が高くなります。
したがって、少しでも症状を感じたら、早めに病院に行っておくことをお勧めします。
まとめ
このように、むちうちの症状のうちでも、手先のしびれや感覚がおかしいといった症状が続く場合には、後遺障害の申請に当たって、MRI検査が必要になってきます。
治療方針を決めていくに当たってもMRI検査は有効な検査の一つですので、交通事故にあって症状が続くようであれば、医師に相談してみた方がよいでしょう。
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