解決事例
更新日2021年10月25日

弁護士に依頼することで交通事故通院慰謝料などを獲得した主婦の事例

執筆者:弁護士 木曽賢也 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)


※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Cさん

受傷部位首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫)
ご依頼後取得した金額
135万円

内訳
損害項目 保険会社提示額 弁護士によるサポート結果
傷害慰謝料 55万円 77万円(通院5ヶ月弱、裁判基準)
休業損害 24万5000円 58万円
結果 63万円 135万円(55万円の増額)

 

高速道路で渋滞中に3台が絡む交通事故にあった主婦Cさん

解説図

Cさんは、家族でドライブに出かけていて、高速道路を運転していました。

そのとき渋滞が出来ていたため、ハザードをつけて止まっていました。

すると、そこに、渋滞に気づかずに走行してきた車が渋滞の列に追突してしまい、3台の玉突き事故になりました。

Cさんの車は1番先頭で、直接一番後ろの車から衝突を受けた訳ではありませんでしたが、高速道路だったこともあり、比較的大きな事故になりました。

Cさんは、その日の翌日から整形外科を受診し、頚椎捻挫、腰椎捻挫と診断されました。

その後、Cさんは整形外科にも相談して、整骨院も受診し、5か月ほど治療を継続しました。

実通院日数も80日を超えており、2日に1回くらいの頻度で通院をしました。

最終的には、首と腰の痛みも改善し、後遺症が残らずに治療を終了しました。

治療が終了してから間もなく、加害者の保険会社から賠償金の計算書と示談書が一緒に送られてきました。

Cさんは、保険会社の提案通りにそのまま示談書にサインすべきかどうか悩み、一度弁護士特約を使用して、弁護士に見てもらおうと考え、ご相談されました。

 

具体的な通院日数での適切な慰謝料を獲得

解説図

弁護士は、Cさんから交通事故の状況と通院状況を伺うとともに、具体的な通院日数や期間については、保険会社からの提案書の記載を確認しながらチェックをしていきました。

Cさんには後遺症が残っていなかったため、慰謝料と主婦休損が争点でした。

慰謝料について、保険会社は「弊社自動車保険基準の上限とさせていただきました。」と記載していて、Cさんもこれが上限いっぱいなのだと考えていたそうです。

しかしながら、弁護士がその額を確認すると、55万円であり、裁判基準の70%ほどの金額にとどまっていました。

休業損害についても、通院日数の半分を自賠責保険の基準の日額5700円(2020年3月31日以前の事故。なお、2020年4月1日以降の自賠責基準は、日額6100円と改正されています。)で認めるという内容で、事故の内容とCさんの治療経過からすれば、もう少し補償されるべきで交渉の余地は十分にあると弁護士は考えました。

そこで、弁護士は、Cさんの加入していた弁護士費用特約を使用して、依頼を受けることとし、早速保険会社との示談交渉に移りました。

すると、保険会社は弁護士が代理人として交渉に入ったため、慰謝料はすぐに裁判基準での支払に合意し、休業損害についても、症状が次第に良くなり、最終的には家事に影響がなくなるとはいえ、自賠責保険の基準による額では裁判基準の1か月分の補償にもならないとして、さらなる増額を交渉しました。

最終的には、当初の24万5000円から2倍以上の58万円を休業損害として補償するということで交渉が成立し、Cさんも早期解決を望んでいたので、示談により解決しました。

弁護士がサポートしたことで、Cさんは上限だと知らされていた賠償額から55万円も増額し、135万円と100万円を超える賠償額を受け取ることができました。

示談にかかった時間も弁護士に依頼をしてから1か月足らずでした。

 

解説

慰謝料について

交通事故における慰謝料は、以下の3つの種類があります。

  • 傷害慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

後遺障害が認定されておらず、入通院しただけということであれば、発生している慰謝料は、上記の傷害慰謝料のみとなります。

慰謝料には、自賠責基準、任意保険会社の基準、裁判基準という3つの基準があります。

弁護士が介入していない場合は、保険会社は自賠責基準や任意保険会社の基準で提示してきます。

もっとも、弁護士が介入すれば、裁判基準を前提に交渉することができます。

多くの場合、裁判基準の方が、自賠責基準・任意保険会社の基準よりも金額として高くなります。

 

専業主婦の休業損害

Cさんのような専業主婦の場合、会社員の方と異なり、現実にはお金を稼いではいません。

しかしながら、家事労働も家族を支えるために必要な立派な職業です。

そのため、交通事故にあって家事ができなかった場合には、休業補償が受け取れます。

ただし、具体的な補償額は、裁判基準の場合、家事が実際にどの程度できなかったかによって決定されるため、自賠責保険のように1日6100円(2020年4月1日以降の事故。2020年3月31日以前の自賠責基準は、日額5700円です。)といった機械的な計算とは異なります。

家事にどのような支障があるかなどを立証するため、実際にできなくなった家事等があったら、その都度メモしていただくことをオススメします。

また、専業主婦の休業損害の1日単価は、女性の平均賃金を基礎に算出します。

自賠責保険による計算の方が有利になるのか、裁判基準で計算した方が保険会社の提示額が増額するかは、具体的な事案ごとにきちんと分析をした上で、判断しなければなりません。



なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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