示談とは?金額の相場・方法や注意点|弁護士がわかりやすく解説

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示談とは、トラブルや紛争が生じた際に、裁判所を介さずに当事者同士が話し合いで解決する手続きのことです。

交通事故や刑事事件、あるいは不倫による慰謝料問題など、生活の中で、さまざまなトラブルが発生することがあります。

示談は、当事者同士が直接または代理人を通じて話し合い、お互いに納得できる条件を見つけて合意することで、紛争を解決する方法です。

示談には多くのメリットがある一方、注意すべき点も多く存在します。

適切な知識を持たずに示談を進めると、不利な結果を招くこともあります。

この記事では、示談について、その意味や法律上の位置づけ、示談金の相場、示談を行うメリットとデメリット、注意すべきポイントなどを、弁護士が解説します。

示談とは?

示談とは、トラブルや紛争が生じた際に、裁判所を介さずに当事者同士が話し合いで解決する手続きのことです。

示談は、法的な紛争が生じたときの解決法のひとつとして、広く用いられています。

適切に示談をするためには、示談の意味や、法的位置づけを正確に把握することが欠かせません。

 

示談の意味と読み方

示談は、「じだん」と読みます。

示談は、民事上の紛争について、当事者同士が裁判所を介さずに話し合いによって解決することを意味します。

具体的には、一方が他方に対して金銭を支払うことや、特定の行為を行うことまたは行わないことなどを約束し、これによって紛争を終わらせることに合意するものです。

示談は、法律用語として厳密に定義されているわけではありませんが、実務上は紛争解決に広く用いられています。

「示談」という言葉は、条件を示して話し合うという意味合いです。

当事者が互いの主張や希望を提示しながら落としどころを探っていく過程が、表現されています。

示談が成立すると、一般的には示談書という書面を作成し、そこに合意内容が記載されます。

示談は、法律上の契約としての効力を持ちますので、一度合意した内容については守らなければなりません。

 

示談の法律上の条件

示談は、法律的には、民法上の「和解契約」に該当します。

根拠条文
(和解)
第六百九十五条 和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。

引用:民法|電子政府の総合窓口

示談が法律上有効となるためには、当事者双方が互いに譲歩することが必要となります。

一方だけが全面的に譲歩するのではなく、双方が何らかの形で歩み寄ることが、和解契約の本質的な要素といえます。

これは、互いに譲るという意味で、「互譲(ごじょう)」といいます。

示談が有効に成立するためには、当事者双方に意思能力があることが前提となります。

意思能力とは、自分の行為の結果を理解し判断できる能力のことです。

意思能力がない状態でした示談などの契約は、無効となります(民法3条の2)。

示談が有効に成立すると、その内容は当事者間の契約として、法的拘束力を持ちます。

したがって、一方が示談の内容を守らない場合、他方は契約違反として、裁判を起こして履行を求めることができます。

示談は当事者同士で合意するものとはいえ、単なる口約束ではない法的な行為であることを理解しておく必要があります。

 

ワンポイント:互譲の意味

和解に互譲が必要といっても、必ずしも双方の言い分の「ちょうど真ん中」で合意する必要があるわけではありません。

実質的にはほぼ一方の主張が通っているような場合でも、紛争を終わらせることに合意している点で、互譲が成立しているといえます。

裁判で勝訴したに等しいような内容で和解したケースを、「勝訴的和解」と表現することがあります。

 

示談が行われるケースの具体例

示談は、生活の中のさまざまな場面で行われています。

ここでは、示談が特によく用いられる代表的なケースについて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

それぞれの分野で、示談の具体的な内容や特徴は異なりますが、いずれも当事者が話し合いによって問題を解決する点では共通しています。

 

交通事故の示談

交通事故が発生すると、被害者は加害者に対して、治療費や休業損害、慰謝料などの損害賠償を請求する権利を持ちます。

こうした損害賠償について、どのような損害にいくらを支払うのか、被害者と加害者、あるいはその保険会社との間で話し合いが行われます。

これが、交通事故における示談交渉です。

賠償額や支払い方法について合意に至ることができれば、示談成立となります。

交通事故の示談では、加害者側の保険会社が窓口となって示談交渉を進めることが多いです。

その際、保険会社は独自の基準に基づいて賠償額を算定して提示してきます。

しかし、この保険会社の基準は、裁判所が認める基準よりも低額であることが一般的です。

そのため、提示された金額をそのまま受け入れるのではなく、適正な金額かどうかを検討することが重要となります。

 

刑事事件の示談

刑事事件における示談は、被害者と加害者の間で行われる民事上の合意です。

刑事事件では、加害者は刑事責任を負うと同時に、被害者に対して民事上の損害賠償責任を負います。

この民事上の責任について当事者間で話し合い、賠償金の支払いと引き換えに被害者が加害者を許す意思を示すというのが、刑事事件における示談の基本的な形です。

刑事事件における示談の特徴は、示談が成立することで、刑事処分に影響を与える可能性がある点です。

特に、被害者のいる犯罪では、示談が成立して被害者が加害者の処罰を望まない意思を示すと、検察官が不起訴処分とする可能性が高まります。

また、起訴されてしまった場合でも、示談が成立していることは量刑を軽くする事情として考慮されます。

刑事事件における示談は、それ自体はあくまで民事上の手続きであるものの、刑事の処分にも影響が及ぶという特徴があります。

 

不倫・浮気の示談

配偶者の不倫や浮気が発覚した場合、不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。

慰謝料を請求する側と不倫相手との間で話し合いが行われ、支払額や支払い方法、その他の条件について合意することが、不倫・浮気における示談です。

不倫の示談では、損害賠償だけでなく、今後一切接触しないことや、違反した場合の違約金、示談内容を第三者に口外しないことなどが盛り込まれることも多いです。

特に、今後の接触禁止条項は、配偶者との関係を修復していく上で重要な意味を持ちます。

不倫の示談では、「浮気相手」との交渉となるため、感情的な対立が激しくなりやすいという特徴があります。

そのため、当事者同士で直接交渉するのではなく、弁護士を代理人として交渉を進めることが望ましいケースが多くなっています。

 

労働問題(セクハラ・パワハラ・労災)の示談

職場におけるセクハラやパワハラ、あるいは労働災害によって労働者が被害を受けた場合、企業や加害者個人に対して損害賠償を請求することができます。

こうした労働問題における損害賠償についても、示談によって解決することができます。

労働問題の示談では、金銭的な補償だけでなく、職場環境の改善や加害者の処分、被害者の配置転換、あるいは退職に伴う条件など、さまざまな事項が交渉の対象となります。

特に、労働者が職場に残ることを希望する場合には、再発防止策や職場環境の整備が示談の重要な要素となります。

一方、退職を前提とする場合には、退職金の上乗せや、退職理由を会社都合とすること、再就職への協力などが交渉事項となることもあります。

労働問題の示談では、企業側は法務部門や顧問弁護士が対応することが多く、労働者側も弁護士に依頼して交渉することが一般的です。

また、労働問題では、示談による解決のほか、労働局のあっせんや労働審判などの手続きを利用することもできます。

それぞれの手続きの特徴を理解した上で、最適な方法を選択することが重要となります。

 

 

示談するとどうなるの?

示談は単なる話し合いではなく、法律上の契約として法的な効力を持ちます。

示談の効果を理解することは、示談に応じるべきかどうか、またどのような内容で示談すべきかを判断する上で欠かせない知識となります。

 

互いに譲歩して紛争が解決する

示談の最も基本的な効果は、当事者間の紛争が解決することです。

示談は法律上の和解契約であり、互いに譲歩することで、それまでの争いを終わらせることを約束するものです。

示談が成立すると、それまで対立していた当事者間の関係は、示談の内容に従って整理されます。

一般的にいえば、加害者が責任を認めて一定の賠償金を支払うことを約束し、被害者がそれを受け入れて紛争を終了させる、という合意が基本的な形です。

示談するかどうかは、当事者の自由な意思に委ねられます。

このため、どちらか一方でも示談に応じる意思がないときは、示談は成立しません。

双方が歩み寄り、合意に至って初めて成立するという点が、示談の大きな特徴です。

 

これ以上の請求ができなくなる

示談が成立すると、原則として、示談の対象となった事項については、これ以上の請求ができなくなります。

これは、示談に通常含まれる「清算条項」という条項によるものです。

清算条項とは、「本示談書に定めるもののほか、当事者間には何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった内容の条項です。

この条項により、示談で定めた内容以外には、当事者間に権利義務が存在しないことが確認されます。

清算条項は、示談によって紛争を最終的かつ確定的に解決するための重要な条項です。

この条項があることで、示談後に蒸し返しが起こることを防ぎ、当事者双方が安心して前に進むことができます。

しかし、裏を返せば、示談の時点では予想できなかった損害が後から発生しても、追加の請求ができなくなるというリスクがあるということです。

そのため、特に交通事故で治療中の場合や、後遺症が残る可能性がある場合などは、治療が終了して損害の全容が明らかになるまで示談を急がないことが重要です。

 

ワンポイント:予想外の事態が生じたら

示談成立後に、示談の前提としていた重要な事実が実際とは異なっていたことが判明したり、示談の対象となっていなかった別の損害が生じたりすることがあります。

このような場合、清算条項があっても、別途損害を請求できる可能性はあります。

ただし、実際に裁判で「予想できなかった」と認められるハードルは低くありません。

「予見できたはずだ」と判断されると請求できなくなるリスクがあるため、示談を急がずに専門家に相談することが重要です。

 

不起訴や減刑の可能性が高まる

刑事事件において示談が成立した場合、加害者にとっては不起訴処分となる可能性が高まり、また起訴されてしまった場合でも刑が軽くなる可能性があります。

刑事事件では、検察官が起訴するかどうかを判断する際に、被害者の処罰感情を重要な要素として考慮します。

示談が成立して被害者が加害者を許す意思を示している場合、検察官は被害者の被害が事後的に回復され、被害者が処罰を強く望んでいないと判断します。

特に、初犯であることや犯行の態様が悪質でないことなど、他の事情も合わせて考慮した結果、不起訴処分とする可能性が高くなります。

また、仮に起訴されてしまった場合でも、示談の成立は、量刑を軽くする事情として裁判で考慮されます。

裁判官は、被害者への被害弁償がなされていることや、被害者が加害者を許していることを、加害者に有利な情状として評価します。

その結果、執行猶予がつく可能性が高まったり、あるいは刑期が短くなったりすることが期待できます。

示談が成立したからといって、必ず不起訴になるわけではありませんし、刑が軽くなることも保証されているわけではありません。

それでも、示談が成立していることは加害者にとって有利な事情であることに変わりはありません。

刑事事件においては、可能な限り早期に示談交渉を開始することが重要となります。

 

 

示談金はいくら?示談金の相場を解説

示談金とは、示談によって一方が他方に支払う金銭のことを指します。

示談金の金額は、事案の内容や被害の程度、当事者の事情などによって大きく異なります。

ここで示す金額はあくまで一般的な目安であり、個別の事案によって実際の金額は変動することをご了承ください。

 

交通事故の示談金の相場

交通事故における示談金は、被害者が受けた損害を金銭的に評価したものです。

示談金の内容には、治療費や通院交通費、休業損害、慰謝料などが含まれます。

交通事故の示談金は、被害弁償の側面が強いため、その金額は被害の程度によって大きく異なります。

軽微な事故であれば数万円で済むこともありますが、重篤な後遺症が残った場合や死亡事故であれば、数億円になることもあります。

 

示談金が多くなるケース

交通事故において示談金が多くなるケースとしては、まず被害の程度が重大である場合が挙げられます。

入院期間が長い場合や、通院期間が長期にわたる場合、後遺障害が残った場合などは、それに応じて示談金も高額になります。

特に、後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害慰謝料と逸失利益が加算されるため、示談金は大幅に増額します。

また、被害者の収入が高い場合も、休業損害や逸失利益が大きくなるため、示談金は高額になります。

さらに、加害者側に重大な過失がある場合、たとえば飲酒運転や無免許運転、著しいスピード違反などがあった場合には、慰謝料が増額されることがあります。

 

示談金が少なくなるケース

示談金が少なくなるケースとしては、被害が軽微である場合が挙げられます。

通院期間が短く、後遺障害も残らなかった場合には、示談金も比較的少額となります。

また、被害者側にも過失がある場合、過失相殺によって示談金が減額されます。

さらに、保険会社の提示する任意保険基準をそのまま受け入れてしまうと、裁判所基準に比べて低い金額で示談することになります。

特に、弁護士に相談せずに自分で示談交渉を行った場合、適正な金額がわからずに低額で合意してしまうリスクがあります。

 

刑事事件の示談金の相場

刑事事件における示談金は、犯罪の種類や被害の程度、加害者の資力などによって大きく異なります。

まず、器物損壊や窃盗のように、物的な被害がでている場合、基本的にその損害が示談金に組み込まれます。

傷害罪の場合における治療費なども、経済的損害として示談金の対象です。

その他に、相手に精神的な苦痛を与えたことに対する慰謝料を含めることも一般的です。

性犯罪のように、被害者の精神的苦痛が大きい事件では、示談金も数十万円から数百万円と高額になることもあります。

極端な事案を除き、刑事事件の示談金の相場は、10万円〜100万円程度となることが多いです。

 

示談金が多くなるケース

刑事事件において示談金が多くなるケースとしては、まず被害の程度が重大である場合が挙げられます。

被害者が重傷を負った場合や、精神的なダメージが大きい場合、あるいは財産的損害が高額である場合には、それに応じて示談金も高額になります。

また、犯行の態様が悪質である場合も、示談金が高額になる要因となります。

犯行が繰り返されていたり、被害者が特に弱い立場にあったような場合などは、被害者の処罰感情も強く、示談金も高額になる傾向があります。

さらに、加害者の資力が十分にある場合には、被害者側も高額の示談金を求めることが多く、結果として示談金が高額になることがあります。

ただし、あまりにも高額な示談金を要求すると、加害者側が応じることができず、示談自体が成立しなくなるおそれもあります。

 

示談金が少なくなるケース

示談金が少なくなるケースとしては、被害が比較的軽微である場合が挙げられます。

安価な物の損傷や、軽いけが程度で済んだ場合には、示談金も比較的少額となります。

また、加害者が反省の態度を示しており、被害者の処罰感情がそこまで強くない場合なども、示談金も抑えられる傾向にあります。

さらに、加害者の資力が乏しい場合には、支払い能力の限界もあるため、示談金は低めに設定されることがあります。

もちろん、資力がないからといって示談金を極端に低く抑えると、被害者が納得せず示談が成立しないこともあります。

他方で、加害者の資力が乏しいのであれば、高額の示談金を設定したところで、回収のしようがありません。

特に、加害者が学生である場合や、収入が少ない場合などは、被害者側も現実的に支払える範囲での金額で合意することが多くなります。

 

不倫慰謝料の示談金の相場

不倫や浮気による慰謝料の相場は、不倫の期間や態様、その結果として婚姻関係がどうなったかなどによって異なります。

不倫の場合は、経済的な損害というよりは、配偶者が被った精神的な苦痛に対する慰謝料が主な対象となります。

不倫によって夫婦関係がどうなったかなどを考慮し、数十万円から300万円程度となることが多いです。

 

示談金が多くなるケース

不倫慰謝料において示談金が多くなるケースとしては、まず不倫が原因で離婚に至った場合が挙げられます。

夫婦関係の破壊という重大な結果が生じているため、慰謝料は高額になります。

特に、婚姻期間が長く、夫婦関係が良好であったにもかかわらず不倫によって離婚に至った場合には、慰謝料はさらに増額される傾向があります。

また、不倫の期間が長期にわたる場合も、示談金が多くなる要因となります。

不倫関係が数年にわたって継続していた場合には、配偶者の精神的苦痛も大きいものと評価され、慰謝料は高額になります。

さらに、不倫の態様が悪質である場合も慰謝料が増額されます。

たとえば、不倫相手が積極的に関係を迫った場合や、配偶者と不倫相手が夫婦の自宅で密会していた場合、不倫によって子どもが生まれた場合などは、悪質性が高くなります。

 

示談金が少なくなるケース

不倫慰謝料において示談金が少なくなるケースとしては、まず不倫によって離婚に至らなかったなど、夫婦関係に与えた影響が限定的な場合が挙げられます。

不倫が発覚したものの夫婦関係を継続している場合には、婚姻関係の破壊という重大な結果が生じていないため、慰謝料は比較的低額となります。

また、不倫の期間が短い場合も示談金が少なくなる要因となります。

一度きりの関係であった場合や、数か月程度で関係が終わった場合には、配偶者の精神的苦痛も限定的と評価され、慰謝料も抑えられる傾向にあります。

さらに、不倫が発覚した時点で既に夫婦関係が破綻していた場合には、不倫が婚姻関係を破壊したとはいいがたく、慰謝料は減額されることもあります。

加えて、不倫相手が既婚であることを知らなかった場合や、独身であると騙されていたといったケースもあります。

これらの場合、不倫相手の故意が認められないため、慰謝料が減額されたり、請求自体が認められなかったりすることがあります。

 

労働問題(セクハラ・パワハラ・労災)の示談

労働問題における示談金は、問題の性質や被害の程度によって異なります。

セクシャルハラスメントの場合、被害の内容が言葉によるものであれば数万円〜50万円、身体的接触を伴うものであれば50万円から100万円が相場となります。

パワーハラスメントの場合、精神的な苦痛の程度や、それによって休職や退職を余儀なくされたかどうかなどによって金額が変わります。

一般的には10万円から100万円程度が相場ですが、うつ病などの精神疾患を発症した場合や、ハラスメントが長期間に及んだ場合などには高額になることがあります。

労働災害の場合は、けがや病気の程度、後遺障害の有無、休業期間などによって金額が大きく変動します。

労災保険から給付される補償に加えて、企業の安全配慮義務違反による損害賠償として、数十万円から数百万円の示談金が支払われることもあります。

死亡労災の場合には、遺族に対する補償として、数千万円規模の示談金となることが一般的です。

 

示談金が多くなるケース

労働問題において示談金が多くなるケースとしては、まず被害の程度が重大である場合が挙げられます。

精神疾患を発症した場合や、長期間の休職を余儀なくされた場合、あるいは退職せざるを得なくなった場合には、示談金は高額になります。

また、加害行為が悪質である場合や、企業が被害を認識していながら適切な対応をとらなかった場合なども、示談金が増額されます。

さらに、被害者の年齢が若く、今後の就労に長期的な影響が及ぶ場合や、被害者の収入が高く逸失利益が大きい場合なども、示談金が高額になる要因となります。

労働災害の場合には、被害の程度に加えて、企業の安全配慮義務違反の程度が著しい場合に、示談金が増額されます。

たとえば、危険性を認識していながら対策を怠っていた場合や、労働者からの訴えを無視していた場合などです。

 

示談金が少なくなるケース

労働問題において示談金が少なくなるケースとしては、被害が比較的軽微である場合が挙げられます。

一時的な不快感や軽度の精神的苦痛で済んだ場合や、業務への影響が小さかった場合には、示談金も比較的少額となります。

また、加害行為の回数が少ない場合や、加害者が早期に謝罪し再発防止策がとられた場合なども、示談金が抑えられる傾向にあります。

 

 

示談で済ませるメリットとデメリット

示談には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

示談するかを判断する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身の状況に照らして検討することが重要です。

 

メリット

示談には、裁判による解決と比較して多くのメリットがあります。

 

早期かつ安価に解決できる

示談の最も大きなメリットは、裁判に比べて早期に、かつ費用を抑えて紛争を解決できる点です。

裁判では、月に1回程度のペースで期日が開かれます。

証拠の提出や証人尋問などを経て、判決が出るまでには半年から1年、複雑な事件では数年を要することもあります。

これに対して示談は、当事者が合意しさえすれば、交渉開始から数週間から数か月程度で解決することが可能です。

早期に解決できることは、当事者双方にとって精神的な負担を軽減することにつながります。

また、費用の面でも示談は有利です。

裁判では、弁護士費用として着手金と報酬金が必要となり、その金額は事件の類型や請求金額によって変わってきます。

示談の場合も、弁護士に依頼すれば費用はかかりますが、裁判に比べれば低額となるのが一般的です。

 

柔軟な解決策を決められる

示談のもう一つの大きなメリットは、裁判に比べて柔軟な解決内容を定めることができる点です。

裁判では、裁判官が法律に基づいて判決を下しますので、判決の内容は法律で認められる範囲に限られます。

たとえば、損害賠償請求訴訟であれば、裁判所が認定できるのは金銭の支払いだけです。

これに対して示談では、当事者が合意しさえすれば、金銭の支払いだけでなくさまざまな条件を盛り込むことができます。

たとえば、謝罪文の交付、今後の接触禁止、特定の行為を行わないこと、守秘義務など、当事者のニーズに応じた多様な内容を定めることが可能です。

特に、今後の関係を断ち切ることが目的である場合など、金銭以外の要素が重要な事案では、示談によって柔軟な解決を図ることができます。

 

プライバシーが守られる

示談のもう一つの重要なメリットは、プライバシーが守られる点です。

裁判は、原則として公開の法廷で行われ、誰でも傍聴することができます。

また、判決は公開され、重要な判例は判例集に掲載されることもあります。

したがって、裁判になると、事件の内容が公になるおそれがあります。

特に、プライバシーに関わる事項や、他人に知られたくない事情がある場合には、裁判になることで情報が広まってしまうリスクがあります。

これに対して示談は、当事者間のクローズドな場での話し合いですので、第三者に知られることはありません。

示談の内容について守秘義務条項を設けることで、当事者双方が示談の事実や内容を他人に口外しないことを約束することもできます。

このように、示談はプライバシーを守りながら紛争を解決できる点で、大きなメリットがあります。

特に、不倫問題やセクハラ問題など、他人に知られたくない性質の紛争では、示談によって解決することでプライバシーを守ることができます。

 

デメリット

示談には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

これらのデメリットを理解せずに示談に応じてしまうと、後で不利益を被るおそれがありますので、十分に注意が必要です。

 

相場よりも低い金額で合意してしまうおそれがある

示談の大きなデメリットの一つは、適正な相場よりも低い金額で合意してしまうおそれがある点です。

特に、相手方が保険会社などの専門家である場合、知識や交渉力の格差によって、不利な条件を受け入れてしまうリスクがあります。

たとえば、交通事故の場合、保険会社は任意保険基準に基づいて示談金を提示してきます。

この金額は、裁判所基準に比べて大幅に低いことが一般的です。

しかし、被害者が相場を知らない場合、提示された金額が妥当なものと思い込んでしまい、本来得られるはずの金額よりも低い金額で示談してしまうことがあるのです。

また、刑事事件では、加害者側が早期の示談成立を急ぐあまり、被害者が要求する高額な示談金をそのまま受け入れてしまうこともあります。

逆に、被害者が法律知識に乏しい場合、加害者から低額の示談金を提示されても、それが適正かどうか判断できずに応じてしまうこともあります。

このように、一方が不利な条件をそれと知らずに受け入れてしまうリスクが示談には存在します。

 

一度合意すると、原則として撤回や追加請求ができない

示談のもう一つの重要なデメリットは、一度示談が成立すると、原則として後から撤回したり追加の請求をしたりすることができない点です。

示談書には通常、「清算条項」が設けられています。

この条項によって、示談の対象となった事項については、これ以上の請求ができなくなります。

示談時には気づかなかった損害が後から判明した場合でも、清算条項があるために、追加請求が難しくなります。

後で覆すことが可能となると、いつまでたっても蒸し返されるおそれが残るため、清算条項によって紛争を終局的に解決するのです。

このように、示談は一度成立すると後戻りできないという性質があります。

示談に応じる前には十分に検討し、本当にその内容で納得できるかを慎重に判断する必要があります。

特に、損害の全容が明らかになっていない段階で示談してしまうと、後で予想外の損害が発生しても、対処できなくなるおそれがあります。

 

相手が支払わない場合、すぐに強制執行できない

示談のもう一つのデメリットは、相手が示談の内容を守らず支払いをしない場合に、すぐに強制執行できないことがある点です。

示談書は当事者間の契約書ですが、通常の示談書には、「執行力」がありません。

執行力とは、相手が約束を守らない場合に、裁判所の力を借りて強制的な財産の差押え(強制執行)ができる効力のことです。

裁判所の判決とは異なり、当人同士で取り交わしただけの示談書には、この執行力がありません。

したがって、示談が成立して示談書を作成したにもかかわらず、相手が示談金を支払わない場合には、改めて訴訟を起こして判決を得る必要があります。

せっかく裁判を避けるために示談したのに、結局裁判をしなければならなくなるというリスクが伴うのです。

もし、相手方が約束を守らないことがどうしても不安な場合には、示談書を取り交わすその席上で、同時に示談金の支払いを受けることもひとつの選択肢となります。

 

ワンポイント:公正証書なら強制執行も可能に

以上の問題を避けるためには、示談の内容を公正証書にしておくことが有効です。

公正証書とは、公証人が作成する公文書のことです。

示談書を公正証書として作成し、「強制執行を承諾します」という旨の条項を入れておけば、相手が支払わない場合に、直ちに強制執行することができます。

特に、示談金を分割払いとする場合には、相手が途中で支払いを止めてしまうリスクがありますので、公正証書を作成しておくことが効果的です。

 

 

示談するにはどうすればいい?示談の方法

示談の流れを理解しておくことは、スムーズに交渉を進め、適切な内容で合意するために重要です。

ここでは、示談の一般的な流れや必要な書類などをご紹介します。

なお、実際の示談では、個別の事情によって手順が前後したり、追加の手続きが必要になったりすることがあります。

 

示談の一般的な流れ

示談交渉は、通常、次のような流れで進められます。

示談の一般的な流れ

①示談の申し入れ

示談は、示談を希望する側が、示談を希望する相手に対して申し入れをすることから始まります。

交通事故の場合には、通常、加害者側の保険会社から被害者に対して連絡があり、示談交渉が開始されます。

刑事事件の場合には、加害者側から弁護士を通じて被害者に対して示談の申し入れがなされることが一般的です。

 

②示談交渉

示談交渉の申し入れがあったら、当事者間で話し合いの場を設けます。

直接会って話し合うこともあれば、電話や書面、メールなどでやり取りすることもあります。

刑事事件では、加害者と被害者が直接会うことが適切でない場合も多いため、弁護士が代理人として交渉をすることが一般的です。

交渉を通じて、損害の内容や金額を確定していきます。

 

③示談書の作成

当事者双方が示談の内容に合意したら、示談書を作成します。

示談書には、当事者の氏名、示談の対象となる事件の内容、示談金の額と支払い方法、支払い期限、清算条項、その他の合意事項などを記載します。

示談書は、通常、2通作成し、当事者双方が署名押印して、それぞれ1通ずつ保管します。

 

④示談金の支払い

示談書が作成されたら、加害者は約束した期限までに示談金を支払います。

支払いは、銀行振込によることが一般的です。

被害者は、示談金の入金を確認したら、示談は完了となります。

分割払いの場合には、約束した期日ごとに支払いがなされることを確認していきます。

 

示談のための必要な書類

示談を進めるには、いくつかの書類が必要となります。

ここでは、示談に必要な書類について説明します。

 

示談書

示談書は、示談の内容を書面にしたもので、示談において最も重要な書類です。

法律的な建前としては、互いに口頭で内容を合意することによっても、示談は成立します。

しかし、後に「言った」「言わない」のトラブルとなるおそれが非常に高く、示談書を作成することは、事実上必須といえます。

示談書には、事案の概要や、加害者が責任を認めて謝罪すること、被害者が謝罪を受け入れ許すこと、示談金の額や支払い条件などを記載します。

また、示談書には清算条項を設けるのが一般的です。

たとえば、「本示談書に定めるもののほか、当事者間には何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった文言です。

その他、必要に応じて、謝罪条項、守秘義務条項、接触禁止条項などを盛り込みます。

示談書の雛形は、事件の種類に応じて、下記からダウンロードいただけます。

ただし、示談書の内容は事案に応じてさまざまであり、必ずしも定形化になじむとは限りません。

法的な契約書ですので、不明な点があれば、弁護士に依頼して適切な示談書を作成することをお勧めします。

【交通事故の示談書の雛形・テンプレート】

【刑事事件の示談書の雛形・テンプレート】

【不倫慰謝料の示談書の雛形・テンプレート】

 

委任状

弁護士に交渉手続きを委任する場合、委任状を作成します。

 

領収証

示談金の支払いを終えた段階で、特に直接交付のような記録が残らない方法での支払いの場合には、領収書を作成します。

 

印鑑証明書

示談書の真偽をめぐって、後のトラブルを防止するためには、実印を押印しておくことが効果的です。

その際、実印であることの確認として、印鑑証明書の提出を求めておくと、より確実になります。

 

示談に要する期間

示談に要する期間は、事案の内容や当事者の対応によって異なります。

一般的な目安としては、1か月〜半年程度が、示談に要する期間です。

当事者同士の納得があって初めて成立するものであるため、双方の意見が折り合わなければ、交渉が長期化することもあります。

とはいえ、あまりに成立の見込みがなければ、交渉を打ち切って次の段階に進むのが一般的です。

そのため、示談交渉に何年もかかることは、通常ありません。

示談を急ぎすぎると、不利な条件で合意してしまうおそれがありますので、十分に検討する時間を確保することが重要です。

一方で、刑事事件のように、早期の示談成立が有利に働く場合もあります。

事案の性質に応じて、適切なタイミングを見極める必要があります。

 

 

示談にかかる費用

示談を行う際には、さまざまな費用がかかる場合があります。

特に、弁護士に依頼して示談交渉を進める場合には、弁護士費用が発生します。

費用の見通しを立てておくことは、示談を進めるかどうかの判断材料となるため、事前に費用を確認しておくことが重要です。

 

示談の弁護士費用

示談を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が発生します。

弁護士費用は、一般的には、着手金と報酬金という形で費用が設定されています。

着手金とは、弁護士に事件を依頼する際に最初に支払う費用で、事件の結果に関わらず返還されないものです。

報酬金とは、事件が解決した際に、得られた結果に応じて支払う費用です。

示談交渉の場合、着手金は事件の内容や請求額によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度となることが多いでしょう。

報酬金は、得られた示談金の一定割合(たとえば10パーセントから20パーセント程度)とすることが一般的です。

ただし、弁護士費用の設定は法律事務所によって異なりますので、依頼する前に見積もりを取り、費用について確認しておくことが重要です。

以下では、主な分野ごとの弁護士費用について説明します。

 

交通事故の弁護士費用

ご自身の自動車保険などに「弁護士費用特約」が付いていれば、原則として自己負担なしで依頼できます(補償限度額300万円が一般的)。

特約がない場合、着手金は回収見込み額の5%〜9%程度が目安となります。

最低額として11万円程度から設定されることが一般的です。

もっとも、交通事故を専門的に対応している事務所では、着手金は0円とする事務所もあります。

報酬金については、実際に回収できた金額の10%〜18%程度が相場です。

金額は、請求する額(経済的利益)が大きくなるほど、パーセンテージが低くなるように設定されていることが多いです。

 

刑事事件の弁護士費用

刑事事件において、示談交渉は、民事上の賠償責任を処理するためのものです。

刑事事件では、刑事弁護と民事上の交渉である示談交渉を包括して依頼することが多いです。

刑事事件における弁護士費用は、着手金・報酬金ともに40万円から50万円程度が相場です。

また、同時に示談交渉を依頼する場合、別途20万円から40万円程度の費用が発生します。

 

不倫慰謝料の弁護士費用

不倫慰謝料の請求を弁護士に依頼する場合、着手金が20万円〜30万円、報酬金が15万円〜40万円程度が相場です。

 

労災問題の弁護士費用

労災では、着手金を設けている法律事務所では11万円〜33万円程度が目安になります。

ただし、最近では着手金無料・完全成功報酬制を採用している法律事務所も増えています。

報酬金は、回収できた給付金や賠償金の11%〜22%程度を基準として設定されることが一般的です。

 

 

示談をする際の注意点

示談を進める際には、いくつかの重要な注意点があります。

これらの点に注意しないと、後でトラブルが再発したり、不利な結果を招いたりするおそれがあります。

 

示談内容に守秘義務を入れたい場合

示談の内容を他人に知られたくない場合には、示談書に守秘義務条項を入れることが有効です。

守秘義務条項とは、示談の事実や内容を第三者に口外しないことを当事者が約束する条項です。

たとえば、「甲及び乙は、本示談の内容及び本件に関する一切の事項について、第三者に口外してはならない」といった内容で記載します。

守秘義務条項を設けることで、プライバシーを守ることができます。

特に、不倫問題やセクハラ問題など、他人に知られたくない性質の事案では、守秘義務条項は重要な意味を持ちます。

また、守秘義務に違反した場合のペナルティとして、違約金条項を設けることもあります。

違約金条項とは、守秘義務に違反した場合には一定の金額を支払うことを約束する条項です。

違約金条項を設けることで、守秘義務違反の抑止効果が期待できます。

 

後日のトラブルを防ぐ「清算条項」の重要性

示談書には、必ず清算条項を入れることが重要です。

清算条項とは、示談書に定めた内容以外には当事者間に権利や義務がないことを確認する条項です。

清算条項がないと、示談後に一方が追加の請求をしてきたり、示談の対象となった事項について再び争いが生じたりするおそれがあります。

清算条項を設けることで、示談によって紛争が最終的に解決したことが明らかになり、後日の蒸し返しを防ぐことができます。

清算条項は、通常、「本示談書に定めるもののほか、当事者間には何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった文言で記載されます。

この条項により、示談で定めた内容がすべてであり、それ以外の権利義務関係は存在しないことが確認されます。

ただし、清算条項があっても、示談の対象となっていなかった別の損害や、示談時には予想できなかった損害については、請求できる可能性が残る場合もあります。

そのため、清算条項を設ける際には、示談の対象となる範囲を明確にしておくことが重要です。

 

示談の時期に注意する

示談を行う場合、そのタイミングに注意する必要があります。

時期を誤ると、不利な結果を招いたり、後で追加の損害が発生しても対処できなくなったりするおそれがあります。

特に注意すべきは、損害の全容が明らかになる前に示談してしまうことです。

交通事故の場合、治療中に示談してしまうと、その後治療が長引いたり、後遺症が残ったりしても、追加の賠償を請求することが難しくなります。

そのため、交通事故の示談は、原則として治療が終了し、損害が確定してから行うべきです。

後遺障害が残る可能性がある場合には、後遺障害等級の認定を受けてから示談することが重要です。

一方、刑事事件では、示談のタイミングが刑事処分に大きく影響します。

検察官が起訴するかどうかを判断する前に示談が成立していれば、不起訴処分となる可能性が高まります。

逆に、起訴されてから示談しても不起訴にはなりませんので、刑事事件では早期に示談交渉を開始することが重要です。

示談をいつ行うのが適切かは、事案によって異なります。

一概に「早いほうがいい」「遅いほうがいい」とはいえず、慎重に見極める必要があります。

 

ワンポイント:どうしても早めに示談する場合の対処法

事情により、治療完了前に示談せざるを得ない場合もあるかもしれません。

その場合、後遺症が発生するリスクに備えて、示談書に以下のような条項(留保条項)を入れておくことが有効です。

「ただし、本件事故に起因する後遺障害が後日認定された場合には、別途協議する」

この一文があることで、万が一後遺症が出た場合でも、改めて補償を求めやすくなります。

 

 

示談のポイント

示談を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

これらのポイントを押さえることで、適正な条件で示談を成立させ、後日のトラブルを防ぐことができます。

 

感情的にならず冷静に交渉する

示談交渉では、感情的にならず冷静に対応することが重要です。

特に、被害者の立場では、加害者に対する怒りや不満から、感情的になってしまうことがあります。

しかし、感情的になると、冷静な判断ができなくなり、交渉が決裂してしまったり、かえって不利な結果を招いたりすることがあります。

加害者の立場でも、被害者から厳しい言葉をかけられて感情的に反応してしまうと、示談がまとまらなくなるおそれがあります。

示談交渉では、あくまで問題を解決することが目的です。

冷静かつ客観的に自分の主張を伝え、相手の主張も聞き、双方が納得できる落としどころを探ることが大切です。

もし、直接相手と話すと感情的になってしまうという場合には、弁護士に代理人を依頼することが有効な方法です。

弁護士が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静に交渉を進めることができます。

 

事前に相場を把握しておく

示談交渉に臨む前には、示談金の相場を事前に把握しておくことが重要です。

相場を知らずに交渉すると、相手から提示された金額が適正かどうか判断できず、不利な条件で合意してしまうおそれがあります。

ただし、個別の事案によって金額は変動しますので、相場がすべてではありません。

できれば弁護士に相談して、自分のケースではどの程度の金額が妥当かを確認しておくことが望ましいです。

金額を事前に下調べしておくことで、相手の提示額が低すぎる場合には増額を求めたり、逆に高すぎる場合には減額を交渉したりすることができます。

 

その場で即決せず、持ち帰って検討する

示談交渉において、相手から示談の提案や条件の提示があった場合、その場で即決することは避けるべきです。

相手から「今日中に決めてほしい」と言われたり、「この条件は今だけです」と迫られたりすることがあるかもしれません。

しかし、焦って決断すると、後で後悔することになりかねません。

提示された条件が本当に適正なものか、他に検討すべき点はないかなど、一度持ち帰って時間をかけて考えることが重要です。

特に、示談金の額が大きい場合や、示談の内容が複雑な場合には、専門家に相談してから返事をすることが望ましいです。

「検討してから改めてご連絡します」と伝えることは、決して失礼なことではありません。

相手が執拗に即決を迫る場合には、何か不利な条件が含まれている可能性もありますので、より慎重に対応する必要があります。

 

損害賠償に強い弁護士に相談する

示談交渉を有利に進めるためには、損害賠償に強い弁護士に相談することが効果的です。

弁護士は法律の専門家として、適正な示談金の額を算定し、交渉を代理して進めることができます。

特に、相手方が保険会社や企業など、交渉のプロである場合には要注意です。

個人で対応すると、知識や経験の差から、不利な立場に立たされることがあります。

弁護士に依頼することで、対等な立場で交渉を進めることができます。

また、弁護士が介入することで、相手方も真剣に対応するようになり、適正な金額での示談が成立しやすくなります。

精神的な負担を軽減できるという意味でも、弁護士への相談は効果的な選択肢のひとつとなります。

損害賠償に強い弁護士への相談については、以下のページをご覧ください。

 

 

示談についてのQ&A

示談に保険を使えますか?

交通事故の場合、加害者側の自賠責保険や任意保険から示談金が支払われることが一般的です。

被害者側も、自分の加入している保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を保険でカバーすることができます。

一方、刑事事件や不倫慰謝料では、通常は保険を使うことはできず、本人が自己負担で示談金を支払うことになります。

民間の保険には「個人賠償責任保険」のようなものもありますが、故意に行った行為は対象外となるのが通常です。

 

 

まとめ

この記事では、示談について、その意味や法律上の位置づけ、示談金の相場、示談を行うメリットとデメリット、注意すべきポイントなどを解説しました。

記事の要点は、次のとおりです。

  • 示談とは、裁判所を介さずに当事者同士が話し合いで紛争を解決する手続きであり、法律上は和解契約に該当する。
  • 示談が成立すると互いに譲歩して紛争が解決し、清算条項によって原則として追加請求ができなくなる。
  • 示談には早期の解決やプライバシー保護などのメリットがある一方、相場より低額で合意してしまうリスクや、一度合意すると撤回できないというデメリットもある。
  • 示談を成功させるためには、感情的にならず冷静に交渉し、必要に応じて弁護士に相談することが重要である。