刑事事件の示談|相場・流れ・メリットを徹底解説【示談書付き】

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士

示談とは

刑事事件の多くは、加害者と被害者がいます。

例えば、盗撮、痴漢、強姦等の性犯罪や、暴行、傷害などの粗暴犯、窃盗、横領、詐欺、強盗などの財産犯などです。

示談とは、これらの被害者の方が被った心の傷や財産上の損害に対して、金銭を支払うことで解決しようとすることをいいます。

 

 

刑事事件の示談に相場はある?

示談金をつり上げられることはある?

多くの被害者の方は、感情的になるあまり、自分が受けた損害を現実よりも過大に評価する傾向にあると思います。

これは、被害者の方のお立場上、やむを得ないといえます。

しかし、被害を訴える方の中には、実際の被害はほぼ無いに等しいのに、法外な示談金を請求してくるケースもあります。

例えば、児童買春における美人局のケースです。

この場合、被害者本人ではなく、第三者(友人などと名乗りますが、反社会的勢力の場合があります。)が示談金の増額を要求してくることが見受けられます。

このようなケースでは、加害者側であっても、毅然とした態度を交渉に望み、相手から法外な請求をされている場合、反対に恐喝罪での刑事告訴を辞さないなどの姿勢を見せることもあります。

 

 

刑事事件の示談の流れ

刑事事件の示談は、弁護士に依頼してから通常以下のような流れをたどります。

示談をスタートするためには、まず、被害者の連絡先情報(氏名や電話番号など)がわからなければなりません。

加害者本人が連絡先情報の開示を求めても、捜査機関はまず回答しません。

そのため、弁護士が代理人となって、被害者と連絡を取ることが一般的です。

まず、弁護士が検察官・警察官に示談の意向を伝えると、検察官などは被害者に示談の意思確認をしてくれます。

そして、示談に応じるか否かは未定でも、多くの場合連絡先情報を弁護士には開示してくれます。

このようにして、示談交渉を開始していきます。

 

 

刑事事件で示談を行う4つのメリットとは?

不起訴ないし減刑の可能性が高くなる

刑事事件の中には、暴行・傷害事件、窃盗・強盗事件、詐欺・横領事件、強制わいせつ・強制性交事件、盗撮・痴漢事件など、被害者が存在するものが多く存在します。

これらの事件の多くは、被害者が捜査機関に被害申告をすることによって捜査が始まり、犯罪の証拠が十分に揃えば、刑事罰を科される可能性があります

しかしながら、犯罪とされる行為に及んだ者が全員起訴されて刑事罰を科されるかというと、そうではありません。

起訴するかどうかは検察官が裁量で決めることが出来ますので、犯罪の証拠が揃っていたとしても、刑事罰を科す必要性が低いと考えられた場合には、不起訴とされることがあります。

被害者と被疑者との間での話し合いにより、双方が納得いく形で示談ができている場合は、被害回復や被害者の処罰意思が低下していることを理由として、刑事罰を科す必要性が低くなったと判断されるでしょう。

したがって、被害者がいるケースにおいて、示談が成立している場合、起訴される可能性が低くなると考えられます

また、仮に起訴されたとしても、示談が成立しているということは、被告人にとって有利な情状となります。

したがって、刑が減刑される可能性が高くなります。

 

逮捕・勾留されにくくなる

また、示談ができているということは、被害者が刑事処罰を求めないという意思表示をしている状態ですから、被疑者にとって一番ありがたい状況といえます。

これ以上ないほどに有利な状況である以上、被疑者が証拠隠滅のためにそこから更に被害者に対して何か働きかけるとは考えにくいと評価できます。

そうすると、逮捕・勾留の要件が欠けたり、必要性が低いと判断されたりすることもあり得るでしょう。

 

民事の損害賠償請求問題を解決できる

性犯罪、財産犯などの被害者がいる事案では、加害者は、刑事処罰を受けるだけでなく、民事上の損害賠償義務があります。

弁護士は通常、示談書を作成する際、加害者が被害者に対して、一定の金銭を支払う旨の条項を入れますが、これだけでなく、清算条項(せいさんじょうこう)という条項を入れます。

この清算条項を入れると、示談後に被害者は加害者に対して、民事上の損害賠償請求を含めて一切の請求ができなくなります

したがって、適切な内容の示談書を作成することで、民事上の損害賠償請求問題も解決できることとなります。

 

被害者を救済に資する

示談は、通常、加害者から被害者に対して一定の金銭を支払うため、被害をある程度回復できます

また、その他、条項を工夫することで、被害者の救済に資することができます。

例えば、性犯罪の場合、「今後、加害者は被害者に接触しない」などと約束する場合があります。

このような条項を示談書に入れると、性犯罪の被害者は安心して生活できるようになることも考えられます。

 

 

刑事事件で示談しない場合の3つのデメリット

加害者の方の中には、金銭的な余裕がないため、あえて「示談をしない」という選択肢もあるでしょう。

しかし、このような選択は、次のデメリットがあるためお勧めできません。

 

更生することができない

犯罪被害者の方と、示談をするということは、加害者の方の更生につながります。

被害者は、加害者に対して、憎悪や恐怖の感情を抱いていることが多いです。

そのため、加害者としては、示談などせずに、刑罰を受けるという形で罪さえ償えば、「楽」に感じるかもしれません。

しかし、被害者の方と真摯に向き合わなければ、「被害の実態」を知ることはできません。

被害の実態を知ることができなければ、「真に反省すること」はできないのではないかと思われます。

反省なしに、更生はあり得ません。

また、被害者を無視して刑罰を受けると、将来、後悔するかもしれません。

数年後、数十年後、「あのとき自分は被害者を無視してしまった」という後悔は、とてもつらくのしかかると思います。

示談をしても、被害者の方の心の傷は癒えないかもしれません。

しかし、示談をするということは、少なくとも、被害者の方は、その時点で、法的な意味では加害者を許し、前に進もうとされていると考えられます。

したがって、示談をすることは、加害者の方の再犯を防止しするとともに、新たな人生を踏み出すために必要だと思います。

 

不起訴・刑の減軽の可能性が低くなる

示談をすることで、不起訴(刑事裁判がない状態)になったり、起訴されても刑を減刑してもらえる可能性がでてきます。

起訴したり、求刑を求めるのは検察官の仕事です。

検察官は、起訴や求刑の判断において、被害者の処罰感情を重視する傾向にあります。

また、示談をしているということは、加害者の方が「反省していること」の現れといえます。

したがって、示談すると情状がよくなり、刑が軽くなる可能性があります。

 

民事で損害賠償請求される可能性

民事裁判は刑事裁判とは別物です。

したがって、刑罰を受けてもそれで終わりではなく、後日、民事裁判で損害賠償請求をされる可能性があります。

通常、示談は、紛争の蒸し返しを防止するために、民事の賠償問題を含めてすべて解決します。

したがって、法的に適切な示談をすることで、後日の民事の損害賠償請求を回避できます。

 

 

示談成立後の裁判はどうなる?

示談の成立は、上記のとおり、刑事、民事ともに裁判に大きな影響を及ぼします。

刑事裁判

刑事については、そもそも、検察官が不起訴にしてくれる可能性が出てきます

特に、軽微な犯罪の場合は不起訴の可能性が高いと思われます。

また、重大な事件については、示談後も起訴される可能性があります。

しかし、その場合でも、情状がよくなるので刑が軽くなる可能性があります

民事裁判

示談をする際、通常、弁護士は清算条項という文言を入れて示談書を作成します。

この条項は、示談後に当該事件について、「追加の請求はできなくなる」という性質のものです。

したがって、民事裁判を起こされる可能性は極めて低いといえます。

また、仮に民事裁判を起こされても、基本的には被害者の請求は認められません。

 

 

刑事事件の示談のタイミング

示談は早い段階がベスト

刑事事件の示談開始は、早ければ早いほどいい良いと言えます。

なぜならば、刑事裁判では起訴されると99.9%が有罪となるからです。

したがって、不起訴を目指すのであれば、捜査段階において示談すべきです。

また、示談交渉はある程度時間を要します。

そのため、少しでも早いタイミングがベストです。

起訴後の示談交渉はやった方がいい?

では、起訴された後は、示談交渉をやる意味はないのでしょうか?

起訴されると、その刑事裁判を取り消すことはできません。

しかし、示談は、被告人にとって有利な情状の一つとなります。

例えば、示談をすることで、本来は懲役刑なのが、執行猶予になり、服役しなくてよくなるかもしれません。

したがって、起訴後であっても、示談のチャンスがあれば示談をすべきと考えます。

 

 

刑事事件の示談書

示談書を締結するメリット

示談が成立すると、弁護士は示談書を証拠として捜査機関や裁判所に提出します。

そして、捜査段階であれば不起訴が相当であること、裁判段階であれば執行猶予が相当であることを主張します。

このように、証拠として提出するため示談書は必ず作成すべきです。

また、上記のとおり、精算条項という文言を入れることで、民事裁判を予防できる効果もあります。

そのため、示談に際しては、専門家に相談し、できれば示談書を作成してもらったほうがよいでしょう。

 

示談書のサンプル・書式

当事務所では、示談書などの書式をホームページで公開しており、無料で閲覧やダウンロードが可能となっています。

合わせて読みたい
刑事事件の書式集

ただし、参考程度にとどめ、専門家に相談されることをおすすめします。

 

 

まとめ

以上、刑事事件の示談について、相場や流れ、メリットなどを解説しましたがいかがだったでしょうか?

示談は、加害者の方の更生のため、刑罰の回避・減刑、損害賠償請求の回避のためにとても重要です。

しかし、適切な内容での示談をしないと、後々トラブルになりかねません。

また、被害者の方は、加害者に対する恐怖心を抱いている場合が多く、このような場合、そもそも交渉の申し入れすら受け入れてもらうことができない場合があります。

このようなケースでは、弁護士を間に挟むことで、示談交渉が可能となることがあります。

さらに、示談交渉を成功させるためには、刑事弁護に精通した弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。

この記事が刑事事件でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 


なぜ弁護士選びが重要なのか

示談についてよくある相談Q&A