
土地や建物といった不動産を相続によって取得した場合には、必ず名義変更の手続き(相続登記)を行わなければなりません。
現在、相続登記の申請は法律上の「義務」とされており、正当な理由なく放置していると、10万円以下の過料が科されるおそれがあります。
この記事では、不動産の相続登記について、一般的な手続きの流れ、必要書類、かかる費用、さらに司法書士や弁護士に依頼すべき見極めのポイントまで詳しく解説します。
これから相続登記の申請を控えている方は、ぜひ参考になさってください。
不動産の相続登記の手続き
不動産の相続登記の流れ
不動産の相続登記の大まかな流れは、次のとおりになります。
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- 1
- 戸籍関係書類を収集して、相続人を確定する
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- 2
- 相続の対象となる不動産を確認する
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- 3
- 相続人全員で遺産分割協議を行う
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- 4
- 登記申請に必要な書類を収集、作成する
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- 5
- 法務局に必要書類を提出する
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- 6
- 登記官から補正の連絡があった場合には対応する
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- 7
- 登記完了
まずは、相続人が誰なのかを確定させることが大切です。
そして、相続の対象となる不動産をもれなく確認します。
次に、相続登記を申請する前提として、相続の対象となる不動産を、誰が引き継ぐのかを決める必要があります。
そのためのステップが遺産分割協議になります。
なお、遺産分割協議は、必ず相続人全員で行う必要があります。
そして、対象の不動産を引き継ぐ人が決まったら、登記申請に必要な書類を準備して法務局に提出します。
書類等に不備がある場合には、登記官から「補正」の連絡がありますので、適宜、対応します。
登記が完了すると、登記記録上の不動産の所有者が、亡くなった方(被相続人)から相続人へと変更されます。
不動産の相続登記の申請先
相続登記の申請をどこにすればよいのかというと、不動産の所在地によって決まります。
具体的には、相続した土地や建物の所在地を管轄する法務局になります。
法務局は全国各地にありますが、それぞれの法務局が担当するエリアが決まっています。
これを「管轄(かんかつ)」といい、簡単にいうと、法務局のような公的機関がその権限に基づいて取り仕切っている区域や範囲をいいます。
例えば、不動産の所在地が「東京都文京区」の場合には「東京法務局」が、「東京都大田区」の場合には「東京法務局城南出張所」が管轄の法務局になります。
相続登記の申請先は、あくまでも不動産がどこにあるかで決まりますので、申請する人の住所などは考慮されません。
例えば、申請する人が札幌市に住んでいても、相続する不動産が東京都にある場合には、札幌の法務局に申請をすることはできません。
ワンポイント:管轄法務局の調べ方
管轄法務局を調べるには、不動産の正確な所在地を確認する必要があります。
不動産の正確な所在地を知るためには「登記事項証明書」や「固定資産税納税通知書課税明細書」を確認するとよいでしょう。
法務局のホームページには、「管轄のご案内」が掲載されており、どこが管轄の法務局になるのかを簡単に確認することができます。
法務局の管轄を知りたい方は、以下をご確認ください。
参考:管轄のご案内 | 法務局
不動産の相続登記にかかる期間
相続登記にかかる期間は、おおむね1〜2か月程度が一般的です。
相続登記の申請で時間がかかる場面として考えられるのは、戸籍関係書類の収集と相続人どうしの話し合い(遺産分割協議)が挙げられます。
相続人の人数が少ないため必要な戸籍の数も少なく、かつ、相続人どうしの話し合いもスムーズに行われるような場合には、1か月程度で登記を完了させることも可能といえるでしょう。
一方、以下のようなケースでは、通常よりも長い期間を要することがあります。
相続人が多数にのぼる場合
相続人が多数にのぼる場合、まず、戸籍関係書類の収集に時間がかかります。
そして、戸籍関係書類の収集が終わったとしても、その戸籍を読み解いて、相続人を確定する作業にも相当な時間を要するでしょう。
さらに、相続人が全国各地にいるようなケースでは、遺産分割協議をすること自体が困難な場合も多く、相続登記を完了させるまでに一年以上を要することもあります。
法務局が混んでいる場合
地方の法務局の場合、相続登記の申請から完了までの期間は、だいたい1〜2週間程度であることが多いといえます。
一方、東京などの都市部では、混雑していることも多く、申請から完了までに3〜4週間程度を要することもあります。
法務局に相続登記の申請を行うまでにも様々な準備が必要ですので、加えて法務局が混んでいる場合には、全体として相続登記にかかる期間は長くなることになります。
司法書士に依頼せずに、相続人本人が申請を行う場合
相続登記は、登記手続きの専門家である司法書士に依頼することができます。
なお、必ず依頼しなければならないものではなく、相続人自身が相続登記の申請を行うことも可能です。
ただし、相続登記の申請には、たくさんの書類を準備しなければならないことから、それなりの手間と時間がかかります。
また、不動産の登記手続きには「民法」や「不動産登記法」といった法律の知識が必要不可欠であるため、法律に詳しくない方が手続きを行う場合には、調べながらの作業となります。
さらに、提出した書類に不備等がある場合には、法務局に出向いて補正を行う必要があります。
そのため、相続人本人が登記申請を行う場合には、登記申請にかかる期間は長くなることが考えられます。
不動産の相続登記の期限
不動産の相続登記の申請は、2024年4月1日から「義務化」となりました。
相続人は、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならないと定められています(不動産登記法76条の2)。
相続登記の期限は、上記のとおり「3年以内」とされていることから、特に急いで行う必要まではありません。
ただし、後回しにしてしまうと、そのうちに忘れてしまって放置されたままになるリスクがあるため注意しましょう。
なお、正当な理由なく、期間内に相続登記をしない場合には、10万円以下の過料(かりょう)が科される可能性があります(不動産登記法164条参照)。
ワンポイント:相続登記の義務化の背景とは
相続登記が義務化された背景には「所有者不明土地」の問題があるとされています。
「所有者不明土地」とは、相続が開始しているにもかかわらず、相続登記がされないことによって、登記記録を見ても現在の所有者が分からない土地のことをいいます。
この所有者不明土地問題によって、所有者不明土地の周辺環境の悪化や、土地の取引のほか、公共事業にも支障が生じるというような社会問題につながっています。
そこで、このような問題を解消するために、相続登記を義務化するという法律の改正が行われたのです。
相続登記の義務化について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になさってください。
不動産の相続登記に必要な10の書類
不動産の相続登記には、たくさんの書類が必要になります。
ここでは、具体的にどのような書類が必要なのかについて解説していきます。
なお、一口に相続といっても、次のとおりいくつかのパターンがあります。
- 相続人どうしで話し合って、不動産を引き継ぐ人を決める方法
- 遺言書の内容にしたがって、不動産を分ける方法
- 法律で定められた割合によって、不動産を分ける方法
そして、不動産がどのような方法で分けられたのかによって、相続登記に必要な書類は異なります。
遺産分割協議によって不動産を分けた場合
相続人どうしで話し合って、遺産の分け方を決めることを「遺産分割協議」といいます。
この遺産分割協議によって、不動産を引き継ぐ相続人を決める場合、相続登記をするためには次の書類が必要になります。

以下では、それぞれの書類について解説していきます。
①不動産の登記事項証明書
登記事項証明書は、不動産の所有者や正確な所在地等を確認するために取得する必要があります。
登記事項証明書は、全国の法務局で、誰でも取得することができます。
②登記申請書
登記申請書は、相続登記に限らず、不動産の登記を申請する場合には、必ず必要な書類です。
③相続関係説明図
相続関係説明図は、亡くなった方(被相続人)と相続人との関係を一覧にした図をいいます。
いわゆる家系図のようなものになります。
これは、相続関係を明確にするために作成しますが、法務局への提出は任意です。
これがなくても相続登記は受理されますが、司法書士が代理人として申請する場合には提出するのが一般的です。
④戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)一式
相続登記の申請をする場合、被相続人が生まれてから亡くなるまでの間の戸籍謄本一式が必要になります。
除籍謄本や改製原戸籍謄本の詳しい内容については、以下の記事を参考になさってください。
⑤亡くなった方(被相続人)の住民票の除票(または戸籍の除附票)
亡くなった方が、不動産の登記記録上の所有者と同一人物かどうかを確認するために必要となります。
同一人物かどうかは、氏名と住所で判断するため、登記記録上の氏名及び住所が、亡くなった方の住民票の除票上の氏名及び住所と合致するかどうかを確認します。
⑥相続人の戸籍謄本(相続人全員分)
相続人が現に実在していることを確認するために、相続人全員の戸籍謄本が必要となります。
⑦不動産を相続する相続人の住民票(または戸籍の附票)
登記記録には、所有者の氏名及び住所が記載されます。
そこで、新たに所有者となる相続人の現住所を確認するため、住民票を提出する必要があります。
⑧不動産の固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書課税明細書
相続登記を申請するときは、国に対して「登録免許税」という税金を納める必要があります。
その登録免許税の金額を計算するために、不動産の固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書課税明細書が必要となります。
固定資産評価証明書は、不動産の所在地の市区町村役場で取得することができます。
固定資産税納税通知書課税明細書は、毎年4月〜5月頃に、不動産の所有者に郵便で送られてくる通知書です。
⑨遺産分割協議書
相続の対象となる不動産を、相続人のうちの誰が取得するのかを明らかにするために、遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書には、相続人全員が、印鑑登録された実印で押印します。
実印での押印が求められているのは、遺産分割協議が、相続人全員の意思によってされたことを裏付けるためといってよいでしょう。
⑩相続人全員の印鑑証明書
上記のとおり、遺産分割協議書には、相続人全員が実印を押す必要があります。
押印が、実印でされたことを確認するために、相続人全員の印鑑証明書を提出する必要があります。
以上が、遺産分割協議によって不動産を分けた場合の相続登記の申請に必要な10の書類となります。
なお、相続登記の申請を司法書士に依頼する場合には、上記のほかに「委任状」が必要となります。
ワンポイント:遺産分割協議をする際の注意点
遺産分割協議を有効に行うためには「相続人全員」で協議することが必要です。
相続人のうち、誰か一人でも欠けている場合には、その遺産分割協議は無効となります。
したがって、遺産分割協議を行う前提として、誰が相続人なのかということをしっかり確認する必要があります。
そのためには、亡くなった方(被相続人)が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係書類(除籍謄本や改製原戸籍謄本など)をもれなく確認しなければなりません。
誰が相続人になるのか知りたいという方は、以下の記事を参考になさってください。
遺言書にしたがって不動産を分けた場合
亡くなった方が「遺言書」をのこしていた場合で、相続人全員がその遺言に従う場合は、故人の遺志に沿って、遺言書の内容どおりに相続の手続きを進めていくことになります。
例えば、法定相続人としてAさん、Bさんの2人がいる場合を想定してみましょう。
亡くなった方は、生前、自宅である土地・建物とアパート1棟を所有していたとします。遺言には「自宅の土地・建物はAに、アパート1棟はBに相続させる。」という内容が記載されていました。
このケースでは、Aさんが自宅である土地・建物を、Bさんがアパート1棟を、それぞれ受け継ぐことになります。
このように、遺言の内容にしたがって不動産を引き継ぐ相続人が決まった場合、相続登記に必要な書類は次のとおりです。
- ① 不動産の登記事項証明書
- ② 登記申請書
- ③ 相続関係説明図
- ④ 戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)一式
- ⑤ 亡くなった方(被相続人)の住民票の除票(または戸籍の除附票)
- ⑥ 不動産を相続する相続人の戸籍謄本
- ⑦ 不動産を相続する相続人の住民票(または戸籍の附票)
- ⑧ 不動産の固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書課税明細書
- ⑨ 遺言書
※相続登記の申請を司法書士に依頼する場合には、上記のほかに「委任状」が必要となります。
- ① から⑧までの書類の説明は、上記「遺産分割協議によって不動産を分けた場合」と同じです。
- ⑨ の「遺言書」は相続人のうち、誰が対象となる不動産を相続するのかを確認するために必要となります。
- なお、遺言書には家庭裁判所での「検認」が必要な場合があります。
ワンポイント:遺言書の検認とは?
遺言には、代表的なものとして、①自筆証書遺言と②公正証書遺言の二種類があります。
①の自筆証書遺言とは、本人が、遺言書の全文と作成年月日を自分で書いて署名・押印したものをいいます。
自筆証書遺言は、さらに法務局に保管されているものとそれ以外(自宅などで保管)に区別されます。
②の公正証書遺言とは、本人が公証人の面前で遺言の内容を口頭で述べ、その内容を公証人が文章にまとめて作成するものです。
「遺言書の検認」とは、自筆証書遺言のうち法務局に保管されていないものについて必要な手続きになります。
具体的には、家庭裁判所が、相続人の立ち会いのもと、遺言書を開封して内容を確認する手続きをいいます。
これには、相続人が家庭裁判所に対して「遺言書の検認」の申立てを行う必要があります。
そして、自筆証書遺言のうち法務局に保管されていない遺言書によって相続登記の申請を行う場合には、必ず家庭裁判所の「検認」を受けなければなりません。
遺言書の検認について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考になさってください。
法律で定められた割合によって、不動産を分ける方法
相続に関するルールについては「民法」という法律に、詳しく定められています。
遺言書がない場合や、相続人どうしでの話し合いがされない場合には、民法に定められた「法定相続分」にしたがって、亡くなった方の財産を分けることになります。
例えば、亡くなった方には夫のAさんと子ども3人(Bさん、Cさん、Dさん)がいたとしましょう。
この場合、法定相続人は、夫であるAさんと子どものBさん、Cさん、Dさんの4人になります(民法887条、890条参照)。
そして、夫であるAさんの法定相続分は「2分の1」、子どもであるBさん、Cさん、Dさんの法定相続分は3人合わせて「2分の1」となります(民法900条参照)。つまり、Bさん、Cさん、Dさんの具体的な相続分は「6分の1」ずつということです。
このようなケースでは、相続した不動産の所有権のうち2分の1を夫のAさんが、子どものBさん、Cさん、Dさんはそれぞれ6分の1ずつ取得するということになります。
参考:民法|e-GOV法令検索
このように、民法で定められた割合で不動産を相続する場合、相続登記の申請に必要な書類は以下のとおりとなります。
- ① 不動産の登記事項証明書
- ② 登記申請書
- ③ 相続関係説明図
- ④ 戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)一式
- ⑤ 亡くなった方(被相続人)の住民票の除票(または戸籍の除附票)
- ⑥ 相続人の戸籍謄本(相続人全員分)
- ⑦ 不動産を相続する相続人の住民票(または戸籍の附票)
- ⑧ 不動産の固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書課税明細書
※相続登記の申請を司法書士に依頼する場合には、上記のほかに「委任状」が必要となります。
①から⑧までの書類の説明は、上記「遺産分割協議によって不動産を分けた場合」と同じです。
不動産の相続登記の費用
相続登記にかかる費用は、おおむね15万円〜20万円程度になります。
ただし、不動産の価値や手続きの複雑さなどによって費用は変動しますので、ご注意ください。
相続登記に必要な費用は、大きく分けて次の3種類です。
- ① 登録免許税
- ② 実費(必要書類の取得手数料など)
- ③ 司法書士の報酬
登録免許税について
相続登記の申請を行う際には、「登録免許税」という税金を国に納めなければなりません。
登録免許税は、不動産の名義を書き換えるときなどにかかる税金で、相続税や固定資産税とは別のものになります。
相続登記の登録免許税の具体的な算出方法は、次のとおりです。
相続登記の登録免許税を計算するには、「不動産の課税価格」を知る必要があります。
この価格は「固定資産評価証明書」または「固定資産税納税通知書課税明細書」を見ればわかります。
例えば、課税価格が1000万円の土地について相続登記をする場合には、登録免許税の額は4万円(1000万円 × 0.4%)となります。
実費について
相続登記の申請にかかる費用として、必要書類の取得手数料などの実費があります。
相続登記に必要な戸籍謄本や除籍謄本、住民票、印鑑証明書などは、市区町村役場で取得することができるのですが、その取得には手数料がかかります。
例えば、東京23区の場合ですと、戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円、住民票及び印鑑証明書は、それぞれ1通300円とされています。
通常、亡くなった方(被相続人)の配偶者(妻や夫)や子どもが相続人になる場合に比べて、兄弟姉妹が相続人になる場合には、必要な書類の通数が多くなります。
一般的には、実費として数千円〜1万円程度が必要となることが多いでしょう。
司法書士に依頼する場合の費用の相場
司法書士に相続登記を依頼する場合には、報酬を支払う必要があります。
司法書士の報酬は、特にその金額が法律で決まっているというわけではなく、自由に決めることができるとされています。
したがって、地域や司法書士事務所ごとに、その金額にはバラつきがありますが、おおむね5〜10万円程度が一般的といえるでしょう。
なお、相続登記の申請に加えて、必要書類の収集を依頼した場合や、遺産分割協議書の作成を依頼した場合には、別途、その分の報酬が加算されることがあります。
相続登記を司法書士に依頼することを検討している場合には、費用についての見積りをとった上で検討することをおすすめします。
不動産の相続登記は自分でできる?
相続登記の手続きを自分で行うことは可能です。
具体的な手続きの流れや必要書類の説明については、法務局の窓口で教えてもらうことができます。
また、全国各地の法務局では、登記手続きについての相談(※ただし、予約制となっている場合が多い)をすることができます。
なお、相続登記の申請を行うためには、事前に準備しなければならない書類がたくさんあり、その書類を収集するだけでも、相当な手間と時間がかかります。
したがって、役場の窓口が開いている平日の日中に、ある程度の時間を確保することができない場合には、ご自身で相続登記の申請を行うことは難しいかもしれません。
また、次のようなケースでは、ご自身で相続登記の手続きを行うことは困難であると思われます。
当てはまる場合には、登記手続きの専門家である司法書士や相続問題の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
相続人の人数が多く、相続人が誰なのかを確認することが困難な場合
戸籍の内容を読み解くのは、意外に難しい作業といえます。
古い戸籍の場合、手書きで書かれていることも多いため、判読が難しいこともあります。
そして、相続人の数が多ければ多いほど、その難易度は上がっていきます。
相続人が配偶者(妻や夫)と子どもだけという場合であれば、そこまでではありません。
しかし、兄弟姉妹や甥、姪などが相続人となっていて、その人数が多数にのぼるようなケースでは、ご自身で相続人を確定するのが困難な場合があります。
全国各地に相続人が点在していることから、遺産分割協議をまとめることが困難な場合
相続人が全国各地に点在しており、相続人の中には、今まで会ったこともない人が含まれているというケースもあります。
そのような場合には、相続人全員が一堂に会することが難しいといえるでしょう。
そうなると、遺産分割協議を行うことができず、相続登記の申請も行うことができないという事態が想定されます。
相続人間に遺産についての争いがあり、遺産分割協議をすることが困難な場合
相続人は確定しているものの、相続人どうしが遺産の内容や相続の方法について争っており、遺産分割協議をすることができないというケースがあります。
このような場合には、弁護士に間に入ってもらい、紛争の解決を図る必要があります。
長期間にわたって遺産分割協議を続けているがまとまらないという場合にも、同様のことがいえるでしょう。
不動産の相続登記の注意点
不動産の相続登記はできるだけ早めに!
現在、不動産の相続登記は「義務化」されています。
相続登記をしないまま放置しておくと、ペナルティとして10万円以下の過料が科されるおそれがあります。
また、相続登記を放置したまま、さらに次の相続が開始してしまった場合、登記手続きはどんどん複雑になってしまいます。
例えば、Aさんが亡くなり、その相続人はBさんとCさんの2人だったところ、BさんとCさんは遺産分割協議も相続登記もしませんでした。
そのうち、BさんとCさんの2人が、ともに亡くなってしまったとします。
Aさんが所有者となっている不動産がある場合、Aさんの相続、Bさんの相続、Cさんの相続と、3つの相続が開始しているものの、依然として所有者はAさんのままになっているということです。その後も同様のことが繰り返されてしまった場合、登記手続きはさらに複雑になり、将来の相続人に迷惑をかけてしまうことになります。
このような事態を避けるためにも、相続登記は、できるだけすみやかに申請されることをおすすめします。
相続の対象となる不動産をしっかり確認!
亡くなった方との関係性によっては、のこされた財産の内容を正確に把握することが難しい場合があります。
また、相続人の誰もが把握していなかった不動産が、後から判明したというケースもあります。
何度も遺産分割協議や相続登記の申請を行うのは大変ですので、相続の対象となる不動産をしっかり確認するようにしましょう。
相続登記の義務化に伴い、相続人が被相続人の所有不動産を把握することを容易にし、登記もれを防止するための制度として「所有不動産記録証明制度」というものが始まりました。
この制度は、登記官が、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産について、リスト化した証明書を交付する制度になります。
所有権の登記名義人もしくはその相続人等が、その交付を請求することができます。
ただし、この証明書は、請求者が指定した検索条件(氏名及び住所)に基づいてリスト化されるものなので、氏名や住所が一致しない不動産についてはリスト化されません。
つまり、前に住んでいた場所の住所で所有権の登記がされている場合や、結婚前の氏名で所有権の登記がされている場合には、リストには出てこないということです。
検索条件を変えて複数の請求をすることはできますが、その分、手数料が加算されてしまいますので、ご注意ください。
不動産の相続登記の相談先
不動産の名義変更だけなら司法書士
不動産を相続する人がすでに決まっており、あとは相続登記の申請をするだけという状況の場合には、司法書士に相談するのがよいでしょう。
例えば、相続人全員での遺産分割協議が終わっているような場合であれば、スムーズに相続登記の申請を依頼することができます。
遺産分割などが必要なら弁護士
相続登記を行う前提として、相続人を確定し、不動産をどのように分けるのかを決める必要があります。
相続人の全員が納得する内容の遺言がのこされていたり、遺産分割協議がスムーズに行われる場合には問題ありませんが、これがうまくいかないケースも多々あります。
そのようなケースでは、紛争状態にある当事者の代理人として交渉を行うことができる弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士であれば、相続問題の全般について解決に向けたお手伝いをすることができます。
遺産相続についてお悩みの方は、ぜひ以下の記事も参考になさってください。
法務局
法務局は、不動産の相続登記の申請先です。
全国各地にある法務局の窓口では、相続登記に関する案内を受けることができます。
書類や手続きについて具体的に知りたいという場合には、法務局の窓口を利用されることをおすすめします。
ただし、多くの法務局において、手続き案内は事前の予約制となっています。
申請先の法務局を調べて、まずは電話で問い合わせをしてみることをおすすめします。
申請先の法務局が遠方の場合には、最寄りの法務局で手続き案内を受けられるかどうかを問い合わせてみるとよいでしょう。
不動産の相続登記についてのQ&A
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不動産の相続登記が義務化されたのはいつ?
なお、この日より「前に」開始した相続についても義務の対象となるため注意が必要です。
つまり、2024年4月1日以降に亡くなった方が所有していた不動産だけでなく、それ以前に亡くなった方が所有していた不動産についても義務化の対象ということになります。
例えば、長年にわたって相続登記をせずに放置していた不動産がある場合には、今後は、その不動産についての相続登記をしなければなりません。
まとめ
この記事では、不動産の相続登記についての手続きの流れや必要書類、費用まで詳しく解説をしてきました。
現在は、相続登記が義務化されており、相続が開始した場合には、必ず名義変更の登記手続きを行わなければなりません。
相続登記の期限は3年以内となっており、そこまで急ぐ必要はありませんが、早めに終わらせられるならばそれに越したことはありません。
デイライト法律事務所には、相続専門のチームがあり、相続問題に強い弁護士が対応させていただきます。
遺産分割協議が進まないなど、相続問題でお悩みの場合には、ぜひ一度ご相談ください。







