空き家を売却するには、前提となる相続問題や共有者間の問題などを解決し、片付けや境界の確認、不動産業者の選定などを進めて、買い手を探していく必要があります。
買い手が見つかったら、売買契約を結んで、空き家を売却します。
空き家は、持っているだけでも固定資産税などがかかりますし、管理していくのにも手間や費用がかかります。
そのため、活用の予定がない空き家は、早めに売却した方が得なことが多いです。
しかし一方で、空き家の売却の際には、所得税や住民税などの税金がかかりますし、不動産業者への仲介手数料、片付け費用などの費用もかかります。
さらに、空き家の売却では、焦って大幅なリフォームをしないようにする、空き家を解体するかは慎重に考えるなど、注意すべき点もあります。
つまり、空き家を売却するに際しては、どのような問題点があるかをあらかじめ知っておき、十分に注意しておくことが必要になってくるのです。
そこで、今回の記事では、空き家を売却した方がよいケース、空き家の売却が難しいケース、空き家の売却方法、空き家の売却に必要な書類、空き家の売却時にかかる費用・税金、これらの費用や税金を減らす方法、空き家売却時の注意点などについて取り上げていきます。
空き家の売却をお考えの方は、ぜひ参考になさって下さい。
目次
空き家は売却すべき?売却したほうが良いケースとは?
空き家を持っている場合、活用する予定がないのであれば、売却した方が有利な場合が多いと思われます。
これは、空き家には、持っているだけで次のようなデメリットがあるからです。
税金がかかる
土地や建物といった不動産には、空き家であっても使っていなくても、毎年固定資産税や都市計画税がかかります。
つまり、空き家は、持っているだけで税金をとられてしまうというデメリットがあるのです。
管理の費用や手間がかかる
空き家は、以下のような適切な管理をしていないと、様々な問題が生じてしまいます。
- 定期的に通気・通水を行う
- 庭木の剪定、雑草の処理をする
- ポストの投函物を回収する
- シロアリ対策をする
- 野良猫が棲みつかないよう対策する
- 不審者が入り込まないよう防犯対策をする など
こうした管理を続けていくには、多大な労力や費用がかかります。
遠方に住んでいる場合だと、さらに多額の交通費がかかりますし、往復にかかる時間を含めて多くの時間も必要になります。
空き家管理サービスを利用するとしても、サービス利用料を支払い続けなければなりません。
このように、空き家を持っていることには、適切に管理するために多くの労力と費用が必要になるというデメリットがあります。
近隣とのトラブルのもとになる
空き家は、近隣の住民にとって迷惑なものとなりかねません。
近所に空き家があると、近隣の人には、次のような様々な心配が生じます。
- 「不審者が入り込むのではないか」
- 「放火などで火事になるのではないか」
- 「雑草が生い茂ったり野良猫が入り込んだりして、不衛生になるのではないか」
- 「庭木が道路や隣の家まではみ出してくるのではないか」
- 「老朽化して倒壊するのではないか」
こうした心配をした近隣住民から、空き家にしていることや空き家の管理について苦情を言われてしまうことがあります。
空き家の管理が悪いと、近隣の方が自治体に相談に行く可能性もあります。
このように、空き家を持ち続けることには、近隣とのトラブルを招くというデメリットがあります。
特定空家等とされる可能性がある
空き家を管理状態の悪いまま放置していると、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、「特定空家等」とされてしまう可能性があります。
特定空家等とされるのは、次のような状態にあると認められる空き家です(同法2条2項)。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態にある
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態にある
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態にある
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある
特定空家等とされてしまうと、固定資産税が6倍になってしまうというデメリットが生じます。
さらに、市町村長から、空き家の解体などをするよう助言・指導・勧告・命令を出されてしまうといった不利益が生じる可能性があります(同法22条1項ないし3項)。
この命令に違反すると、50万円以下の過料に処せられるおそれもあります(同法30条1項)。
場合によっては、自治体に空き家を強制的に解体され、その費用を請求されてしまうことにもなりかねません(同法22条9項ないし12項)。
このように、空き家を持ち続けていることには、管理が行き届かなくなったときに特定空家等とされ、さまざまな不利益を受ける可能性があるというデメリットがあります。
以上にみたとおり、空き家を活用せずに持ち続けることには、様々なデメリットがあります。
持っている家が空き家になってしまっている場合は、自分で住む、賃貸する、売却するなどの活用方法を早めに模索し、空き家として放置してしまわないことが非常に大切です。
空き家の売却が難しいケースとは?
売却することが難しい空き家には、次のようなものがあります。

不便な地域にある
不便な地域にある空き家は、売却が難しくなります。
【例】
- 電車やバスが1時間から数時間に1本しかない
- バス停や駅から遠い
- 近隣に小学校や中学校がない
- 過疎化が進む地域にある など
再建築に制限がある
空き家の中には、建築時とは法令や周辺の状況が変わったせいで、一度取り壊してしまうと、再度建物を建てようとする際に制限が加わる物件があります。
制限の内容は、再建築できる建物が狭くなるというものから、再建築自体不可能であるというものまで様々です。
こうした物件は、利用方法が限られますので、売却が難しくなります。
空き家の状態・条件が悪い
空き家の状態や条件が悪いと、買い手が見つからず、売却が難しい場合があります。
【例】
- 築年数が古すぎる
- 雨漏りがある
- 壁にひび・シミがある
- シロアリ被害がある
- 郊外にあるのに駐車場がない
- 日当たりが悪い
- 下水道が整備されていない など
売出価格が高すぎる
設定している売出価格が高すぎると、購入希望者が現れません。
空き家の売却に時間がかかる場合は、不動産業者とも相談して売出価格の引き下げを検討してみましょう。
庭や室内が片付いていない
庭や室内に不用品が置かれたままだったり、掃除や雑草処理などが不十分な状態だったりすると、購入希望者の印象が悪くなり、買い手が見つからなくなるおそれがあります。
空き家を売却する際には、専門業者に依頼するなどして、庭や室内の片付けや清掃をしておきましょう。
近隣と権利関係の争いがある
近隣との間で権利関係について争いがある空き家も、売却が難しくなります。
権利関係の争いとしては、次のようなものがあります。
- 境界線の位置について争いがある
- 私道を通行する権利について争いがある など
こうした紛争が解決していないと、空き家を売却することは困難です。
こうした問題に決着をつけるには時間がかかることが少なくありません。
所有している空き家にこのような問題がある場合は、まだ具体的に売却について検討していない段階であっても、弁護士に相談するなどして早めに対処するようにしましょう。
相続問題が決着していない
相続した実家が空き家になっている場合、相続問題が決着しないと、売却を進めることは難しいです。
空き家となった実家をどのように遺産分割するか、誰が空き家となった実家を相続するか、といったことを決めてからでないと、基本的に、空き家の売却は進めることができません。
なお、遺産分割の方法として換価分割を選択する場合は、実家を相続人全員で共有した状態のまま売却し、得られた代金を相続人間で分けることができます。
実家の相続に関しては、以下のページもご覧ください。
共有者が売却に同意していない
空き家に共有者がいる場合、共有者全員の同意がないと、空き家を売却することはできません。
そのため、空き家の売却に反対する共有者がいる、連絡先や所在が分からない共有者がいる、共有者の一部が誰だか分からなくなっている、といった場合には、空き家の売却が困難になります。
共有に関する問題については、以下のページでもご紹介しています。
所有者の判断能力が十分でない
年老いた親が介護施設などに入るなどし、親が所有して住んでいた家が空き家になることがあります。
そうすると、「空き家になった家を売って、親の介護費用に充てよう」と考えるかもしれません。
この場合に、親の判断能力が正常であれば、所有者である親の判断で空き家になった家を売ることが可能です。
しかし、認知症等で判断能力が不十分になったり、病気のために意識がなくなったりした場合には、所有者である親には、有効な売買契約を結ぶ能力がなくなってしまいます。
こうなってしまうと、事前に家族信託の設定などの対策をしている場合を除き、成年後見人等をつけなければ、空き家を売却することができなくなってしまいます。
空き家の売却方法とは?
空き家の売却方法には、主に次のものがあります。
- 不動産仲介業者に依頼して売却する
- 個人間で売却する
- 不動産買取業者に売却する
- 空き家バンクやマッチングサイトを通じて売却する
これらのうち、最も代表的なものは、不動産仲介業者に依頼する方法です。
次は、不動産仲介業者に依頼する場合をメインに、空き家の売却方法について紹介していきます。
空き家の売却の流れ
空き家の売却の流れは、次のようになります。

①前提問題の処理
次のような問題がある場合には、空き家を売却する前に、前提となる問題を処理しておくことが必要です。
- 遺産分割協議が終わっていない(遺産分割協議を終わらせることが必要)
- 遺言の有効性が争われている(遺言の有効性についての問題を解決することが必要)
- 共有者全員から売却に関する同意を得られていない(共有物分割が必要)
- 共有者の一部が所在不明である(共有物分割が必要) など
登記についても、相続登記や所有権移転登記などができていない場合には、売却前に済ませておくことが必要です。
特に、相続登記については、自分が相続人となったことを知り、かつ、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に手続きをすることが法律上義務付けられています。
この期間内に手続きをしないと、10万円以下の過料に処せられる可能性もありますので、早めに手続きをするようにしましょう。
相続登記については、以下のページもご参照ください。
相続税・所得税などの申告や支払いが済んでいない場合も、必要な手続き等を済ませてから売却に着手しましょう。
②売却の準備
住宅ローン残高の確認
住宅ローンが残っている空き家を売却する場合は、住宅ローンの残高を確認しておきましょう。
自己資金で住宅ローンを完済することが難しい場合は、売却代金で住宅ローンを完済する方向で準備を進めます。
この際、空き家の売却には、仲介手数料、司法書士費用、所得税、登録免許税などの費用や税金がかかることも考慮する必要があります。
売却代金で住宅ローンを完済することができない可能性がある場合は、金融機関に相談し、売却後の抵当権の抹消について相談しましょう。
自己資金で全額返済できない場合は、売却代金で完済できる見込みである場合も、速やかに抵当権を抹消するためにも、事前に売却について金融機関に相談しておきましょう。
境界の確定
空き家などの不動産を売却する際には、隣地との境界を確定しておくことが重要です。
境界の確定が済んでいるかどうかは、確定測量図や境界画定書で確認します。
これらの書類がない場合は、境界が確定していないと考えられるので、土地家屋調査士や測量士に依頼して境界の確定を行いましょう。
また、これらの書類がある場合でも、境界標の状態が変わっている(なくなっている、傾いている、壊れている、移動しているなど)可能性がありますので、図面と現地の状態を照らし合わせて確認しましょう。
境界標に異常がある場合は、自分で修復などをしようとせず、土地家屋調査士などに相談しましょう。
荷物の整理・空き家の掃除
荷物の整理や空き家の掃除も、売却の準備として行っておきましょう。
こうした作業は、専門業者に依頼して行うことも多いです。
不動産仲介業者への依頼
不動産仲介業者に依頼して売却する場合、まずは不動産仲介業者に空き家の査定を申し込みます。
査定は、複数の業者に依頼するようにしましょう。
そうして複数の査定結果の査定額や内容を比較し、最も適切と思われる業者に売却を依頼しましょう。
不動産仲介業者との契約の種類については、以下のページをご覧ください。
不動産仲介業者に依頼せずに売却する場合
不動産仲介業者に依頼せずに売却する場合は、次のようにして売却を始めていきます。
- 自分で個人的に買い手を探す
- 複数の不動産買取業者に買取額の査定を依頼する
- 空き家バンクやマッチングサイトに登録する
自分で個人的に買い手を探す場合、空き家の隣の家の人が買い手の有力な候補になります。
特に、再建築に制限がある空き家の場合も、隣の人であれば、自分の敷地と合わせることで有効に土地を活用できますので、比較的有利な条件で買い取ってくれる可能性があります。
不動産買取業者に買い取ってもらう場合、買取価格が比較的低くなる傾向にあることに注意が必要です。
しかし、不動産買取業者であれば、売ることが難しい空き家も引き取ってくれることがありますので、空き家の売却が進まず困っている方は、一度不動産買取業者に相談してみるとよいです(不動産仲介業者が買取りも行っている場合があります)。
空き家バンクやマッチングサイトを利用する際は、売買契約や引渡しには空き家バンクやサイトは関わってくれないこともあることに注意が必要です。
空き家バンクやマッチングサイトが売買契約に関わってくれない場合は、個人間売買となりますので、契約書などの書類の用意、代金の支払い、空き家の引渡しなどは自分たちで進めることになります。
自分で空き家の売却を進めることに不安がある場合は、不動産仲介業者に依頼すれば、売買契約や引渡しのサポートをしてもらうことができます。
③売却
売買契約の締結と手付金の受け渡し
買い手が見つかったら、売買契約を締結します。
多くの場合、この時に手付金の授受も行います。
売買契約書に署名・押印して契約を成立させる前には、宅地建物取引士からの重要事項の説明を行い、契約書の記載内容の確認なども行います。
引渡しと残代金の支払い
契約に定められた引渡期日になったら、空き家の鍵と登記に必要な書類を引き渡し、引換えに残代金を受け取ります。
引渡期日までに終えておくべきこと(残置物の撤去、空き家の解体、測量など)がある場合は、余裕をもって済ませておくようにしましょう。
④確定申告
空き家の売却によって利益(所得)が発生した場合、売却の翌年に確定申告をする必要があります。
空き家の売却によって発生する税金と、税金を減額するための対策については、後ほどご説明します。
空き家の売却に必要な書類
空き家の売却のために必要な書類には、次のようなものがあります。
- 身分証明書
- 印鑑登録証明書
- 登記済み証又は登記識別情報通知書
- 固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書
- 地積測量図・境界確認書
- 建築確認済証・検査済証
このほか、空き家となる家を購入した時の売買契約書や各種領収証を探しておけると、空き家の売却後に確定申告をする際に有利になります。
空き家売却にかかる費用と税金
空き家を売却する際には、次のような費用と税金がかかります。
- 所得税(空き家を売却したことで得られた譲渡所得に応じて課税される)
- 住民税・復興特別所得税(空き家の譲渡によって所得額が上がることで、税額が上がる)
- 印紙代(売買契約を作成する際に必要)
- 空き家の解体費用(空き家を解体する場合)
- 片付け費用・掃除費用
- 仲介手数料
空き家を売却する際には、これらの費用や税金についてもあらかじめ見積もっておく必要があります。
そうしないと、想定していた利益が手元に残らない、売却代金で住宅ローンを完済することができないなどといったことになる可能性があります。
空き家売却時の費用と税金を減らす方法
税金を減らす方法
空き家を売却した際にかかる税金は、空き家を売ることによって得られた譲渡所得に応じて課税されます。
そのため、この譲渡所得を減らすことができれば、空き家売却時の税金を減らすことができます。
ほかにも、軽減税率の特例を利用して税率を下げることでも、所得税を下げることができます。
具体的には、主に次の3つの方法があります。
特別控除の特例を活用する
空き家を売却した場合には、次のような特例を活用することで、譲渡所得を減らすことができます。
- 居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例
- 被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(相続した空き家の場合)
これらの特例の適用条件などについては、弁護士や税理士にご相談ください。
参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
空き家を購入した際の契約書や領収書を準備する
空き家となった家を購入した際の契約書や各種領収書を準備することができると、実際に空き家となった家の購入時に支出した代金額などを基に取得費を計算し、譲渡所得から差し引くことができます。
実際の代金額などを基に取得費を計算すると、通常、これらの書類を準備できない場合より、取得費が高くなります。
そのため、空き家となった家の購入時の書類が用意できれば、譲渡所得を下げることができます。
軽減税率の特例を利用する
上でご紹介した譲渡所得を減らす方法のほかに、特例を利用して税率を下げることで所得税を軽減する方法もあります。
空き家を売る場合に利用できる特例としては、マイホームを売ったときの軽減税率の特例があります。
所有期間が10年を過ぎるマイホームを売る場合には、この特例を利用できる可能性があります。
詳しい適用条件などについては、弁護士や税理士にお尋ねください。
参考:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
費用を減らす方法
補助金を活用する
空き家の解体費については、自治体などから補助金が支払われることがあります。
空き家が所在する自治体に問い合わせるなどして、活用できる補助金の有無、条件などを調べてみましょう。
なお、解体費について補助金を活用する場合、解体前に補助金の申請が必要なことが多いので、ご注意ください。
空き家売却時の注意点とは?

解体するかどうかは慎重に判断する
「空き家の建物は古くて価値がないから、更地にした方が売却しやすいのではないか」と考えて、空き家を解体して売却しようとする場合があります。
しかし、空き家の解体について判断する際には、慎重を期する必要があります。
空き家を解体してしまうと、場合によっては、再建築が不可能になる場合があります。
そのような場合に空き家を取り壊してしまうと、今後その土地は建物付きのものとして利用できなくなります。
そうすると、買い手を探すこと自体難しくなってしまい、空き家の売却は困難になります。
再建築する際には以前の建物よりも狭いものとしなければならない場合も、解体前の空き家を残しておいた方が、より幅広い人のニーズを満たすことができます。
さらに、空き家を解体してしまうと、固定資産税が6倍になるというデメリットもあります。
あらかじめ空き家を解体しなくとも、買い手が決まってから解体することもできますし、解体費用の分だけ価格を安くして売却することもできますので、不用意に空き家を解体してしまわないようにしましょう。
過剰なリフォームは避ける
古くなった空き家を売却する場合、「リフォームして見栄えを良くした方がスムーズに高く売れるかもしれない」と思うかもしれません。
しかし、リフォームは、急いでしない方が良いです。
特に、見た目を良くする、最新の設備を取り入れるなどの過剰なリフォームは避けた方が良いです。
中古住宅の購入希望者の中には、次のような希望をもっている人がいます。
- できるだけ安く家を買いたい
- 自分好みにリフォームしたい
- 古い家の趣に憧れがある
リフォームをしてしまうと、こうした人の希望から外れ、購入希望者が減ってしまうおそれがあるのです。
大幅なリフォームをしなくとも、リフォーム費用の分売出価格を下げる、水回りだけのリフォームをするなどの方法で買い手が見つかることもありますので、リフォームを行うかは慎重に決めましょう。
相続税の申告期限前の売却は避ける
相続した空き家を売却する場合、相続税について、小規模宅地等の特例の適用を受けることができる場合があります。
この特例を利用すれば、空き家の敷地の評価額を大幅に下げることができ、相続税を下げることができます。
この特例を利用するには、相続税の申告期限(亡くなった方の死亡を知った日の翌日から10か月以内)までは空き家を売却せずにおいておく必要があります。
小規模宅地等の特例を利用する場合は、相続税の申告期限が過ぎるまでは、空き家を売却してしまわないようにしましょう。
売却前に境界を明示する
空き家を敷地ごと売却する際には、売却前に境界を明示します。
境界の確認には、隣地の人の協力が必要であり、時間がかかる場合がありますので、具体的に売却を進める前から早めに着手するようにしましょう。
親の判断力が十分な間に対策をしておく
上でもご説明しましたが、空き家を親が所有している場合、何の対策もしていないと、親の判断能力が不十分になったときには、成年後見人等をつけない限り、空き家の売却が難しくなります。
しかし、成年後見には、次のようなデメリットがあります。
- 希望した候補者(親族等)が成年後見人等に選任されるか分からない
- 一度成年後見人等が選任されると、親の判断能力が回復する又は亡くなるまでずっと成年後見人等がつく
- 定期的に成年後見人等に報酬を支払わなければならない
- 成年後見人等は親の財産の保全を優先するので、柔軟に預貯金などを使うことができなくなる
こうした制約は、本人の財産を守るために設けられていますが、本人や親族にとって不便な面があることも否めません。
こうした成年後見のデメリットを避けるためには、親が健在なうちから次のような対策をとっておくことが重要です。
- 親の家を子などに生前贈与しておく
- 家族信託をしておく
家族信託を利用するには、法律・税金などに関する専門知識が必要となりますので、家族信託にくわしい弁護士、税理士などにご相談されることをおすすめします。
家族信託については、以下のページで詳しく解説しています。
生前贈与をする場合は、贈与税に注意する必要があります。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
共有者の同意が得られない場合は共有物分割をする
空き家に共有者がいる場合、共有者全員の同意がなければ空き家を売却することはできません。
共有者の同意が得られない場合には、共有物を分割し、空き家を自分が単独で所有するようにすれば、売却を進めることができます。
共有物を自分の単独所有にするには、通常共有者に代償金を支払う必要があります。
このような分割方法を、「代償分割」といいます。
共有物の分割方法には、ほかにも、共有物を売却して代金を分ける方法(換価分割)などがあります。
また、代償分割をする場合でも、自分の単独所有とするのではなく、共有者から代償金を受け取って自分の共有持分を手放す方法もあります。
共有物の分割については、以下のページで詳しく解説しています。
空き家が遺産の場合は遺産分割協議が必要
空き家が相続で引き継いだ遺産である場合、空き家を売却する前に遺産分割協議を済ませ、相続登記をしておく必要があります。
遺産分割協議で、空き家を売却してから得られた代金を相続人間で分割する(換価分割)と決まった場合も、法定相続分での相続登記を済ませてから売却を進める必要があります。
ただし、以下のように、遺産分割協議をしなくとも売却を進めることができるケースもあります(相続登記は必要です。)。
遺産分割協議が不要な場合
まず、亡くなった方が遺言を残しており、「家を○○に相続させる(遺贈する)」などと家を取得する人を指定している場合は、遺産分割協議は不要になります。
この場合は、遺産分割協議を経るまでもなく、指定された人が家を取得することになるためです。
ほかに、相続人が1人しかいない場合も、その相続人が家を含めたすべての相続財産を相続することになるので、遺産分割協議は不要です。
遺産分割協議が不要なケースについては、以下のページでも解説しています。
瑕疵保険・インスペクション(建物状況調査)の活用も考える
空き家などの中古住宅の買い手は、購入した家に後から不具合が見つかることを心配しています。
そうした心配を解消する手段として、瑕疵(かし)保険、インスペクション(建物状況調査)を活用することが考えられます。
瑕疵保険は、空き家の売却後に不具合(瑕疵)が見つかった場合に、一定の条件を満たせば、買い手に保険金が支払われるという保険です。
参考:既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)|個人の方|住宅瑕疵担保責任保険協会
インスペクション(建物状況調査)は、空き家の状態を専門家にチェックしてもらい、建物の現状を明らかにするために行うものです(対応している設計事務所に依頼します)。
売り手が瑕疵保険に加入していたり、インスペクションで建物の現状がわかるようになっていたりすれば、買い手も安心しますので、空き家をよりスムーズに高額で売却できる可能性が高くなります。
空き家売却の相談窓口
相続全般は相続に強い弁護士に相談
空き家が相続によって入手したものである場合、売却するためには、相続に関する問題を解消しておくことが必要です。
相続に関しては、次のような問題が生じる場合があります。
- 相続財産や相続人の調査が必要になる
- 遺産をどのように分けるかで争いになる
- 特別受益や寄与分の主張が出される
- 遺言により遺留分を侵害された相続人から遺留分侵害額請求が起こされる
- 遺言の有効性について争いになる
こうした問題については、早めに弁護士に相談・依頼し、対応を依頼することをおすすめします。
相続に強い弁護士に相談・依頼すれば、次のようなメリットが得られます。
- 相続に関する法律についての専門知識と経験に基づいたアドバイスを得られる
- 他の相続人との交渉窓口になってもらうことができ、感情的対立を避けられる
- 法的手続きや必要書類の収集をサポート・代行してもらえる
- 法的な根拠に基づいた遺産分割をすることができ、結果への納得が得られやすい
相続について弁護士に相談すべき理由については、以下のページもご覧ください。
共有物分割・成年後見・境界に関する問題などについても弁護士に相談
次のような問題がある場合も、弁護士に相談することをおすすめします。
- 空き家が共有になっているが、他の共有者から売却についての同意を得られず困っている
- 空き家の共有者が所在不明になっている
- 空き家の所有者である親の判断能力が不十分になっているため、成年後見を利用したい
- 家族信託を活用したい
- 隣地の所有者と土地の境界のことについて争いになっている
こうした問題は法律に従って解決していくことが必要ですので、弁護士に相談・依頼して対応を進めていきましょう。
相続が発生していない場合は不動産業者
相続が発生しておらず、ほかに法律問題も生じていない場合には、不動産業者に相談して空き家の売却を進めていきましょう。
不動産業者に依頼すれば、インターネットやチラシなどを通じて買い手を探してもらうことができ、売買契約書の文面の作成、引渡しの手続きのサポートなどもしてもらうことができます。
空き家の売却についてのQ&A
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空き家を売却したら確定申告は必要ですか?
確定申告は、空き家を売却した翌年に行います。
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空き家を放置して何年までなら大丈夫?
ただし、空き家は、適切な管理が必要であり、空気の入れ替えや通水を定期的に行った方が良いものです。
空き家を管理状態の悪いまま放置していると、倒壊のおそれがあるなどとして「特定空家等」と取り扱われてしまいます。
なお、特定空家等とされるのに、放置されていた期間の長短は関係ありません。
特定空家等となると、固定資産税が6倍になる、自治体から指導・勧告・命令などを受ける、強制的に空き家を撤去され費用を請求されるなど様々なリスクが生じます。
空き家を活用せずにおいておく場合でも、放置はせず、適切に管理するようにしましょう。
まとめ
今回は、空き家の売却について解説しました。
空き家を売却する際には、相続問題や共有状態への対応を先行して済ませる必要がある場合も少なくありません。
空き家の所有者が親である場合、親の判断能力が不十分であれば、家族信託の設定などの対策をしていないと、成年後見人等をつけることが必要になります。
また、空き家を売却する前には、隣地の境界をはっきりさせることも必要になります。
空き家の売却で、こうした法律問題でのトラブルに直面した場合には、弁護士に相談し、対応を依頼しましょう。
当事務所では、相続問題を集中的に取り扱う相続対策チームを設け、空き家の相続についてお悩みの方のご相談をお受けしております。
もちろん、相続と関わらない共有物分割や、成年後見、境界に関する問題についてのご相談にも幅広く対応しております。
電話・オンラインによる全国からのご相談もお受けしております。
空き家の売却について分からないことや不安なことがおありの方は、ぜひ一度、当事務所まで、お気軽にご相談ください。







