高校生を盗撮!報道される可能性や示談のポイントについて

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

盗撮とは

盗撮とは一般に、承諾を得ることなく他人の容姿を無断で撮影することをいいます。

もっとも、了承を得ずに撮影する行為のすべてが違法となるわけではありません。

盗撮行為を規制しているのは、性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)及び各都道府県が定めている条例(迷惑防止条例)となります。

 

撮影罪について

撮影罪は、人の性的姿態をひそかに撮影する行為等を処罰の対象としています(性的姿態等撮影処罰法2条1項1号から4号)

撮影罪については、法定刑が「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」となっています(性的姿態等撮影処罰法2条1項1号)

引用元:性的姿態等撮影処罰法

撮影罪について詳しい解説はこちらをご覧ください。

 

迷惑防止条例違反について

47都道府県のすべてが盗撮を規制する条例を制定しており、「迷惑防止条例」といった名称のものがこれに当たります。

どのような行為が盗撮となるかは、迷惑防止条例の定めるところによりますが、場所や対象が細かく定められている上、自治体によって定め方も異なります

実際にある行為が盗撮に当たるかは、犯行地の条例を確認しなければ判断できませんが、全国的に見ても標準的な考え方を要約しますので、参考にしていただければと思います。

場所 対象 行為
  • 公共の場所(駅、路上、商業施設など)
  • 公共の乗り物(バス、電車など)
  • 通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所(トイレや更衣室など)
  • 不特定又は多数の者が利用する場所(事務所、学校など)
  • 通常衣服で隠されている下着又は身体(スカート内や、衣服を身につけていない姿)
  • 撮影する
  • カメラを向ける
  • カメラを設置する

盗撮の刑罰は、各自治体ごとに異なります。

例えば、東京都の例では、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(ただし、常習性がある場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)と定められています。

引用元:東京都迷惑防止条例

 

 

 

高校生を盗撮した場合報道される?

高校生を盗撮してしまった場合、実名付きで報道されてしまう可能性は否定できません。

とはいえ、必ず実名付きで報道されるわけではなく、加害者の職業によって左右される可能性があります。

例えば、教職員、あるいは警察官として勤務している方が盗撮を行った場合、他の職業と比べてより高い職業倫理が求められるといえます。

そのため、こうした地位にありながら盗撮を行ってしまった場合、実名付きで報道される可能性は高まるといえるでしょう。

近時ですと、2022年1月に、山梨県で中学校の教師が女子高生のスカートの中を盗撮し逮捕された事案において、実名付きでの報道がなされています。

また、2022年3月には、愛知県警の現職の警察官が、電車内で女子高生を盗撮したとして逮捕され、この件についても実名付きで大きく報道されました。

2022年4月には、女子高生ではありませんが、小学校教諭が勤務先の小学校で女子児童の着替えを盗撮した件についても、実名報道がなされています。

 

 

高校生を盗撮したことが職場にバレる可能性は?

それでは、高校生を盗撮したことが職場に発覚してしまう可能性はどの程度あるのでしょうか。

実名報道された場合

盗撮を行ったとしても、必ず逮捕・勾留されるわけではなく、在宅事件として捜査が進んでいく可能性もあります。

しかし、上記のように実名付きで報道されてしまった場合、職場への発覚を回避することはほとんど不可能と言わざるを得ません。

未成年を性的な対象として捉え、犯罪に走ってしまった点で、社会的にも厳しく非難される可能性は高く、会社としても懲戒解雇など厳しい処分を選択せざるを得ないと思われます。

 

逮捕・勾留された場合

また、実名報道がなされなかったとしても、盗撮行為の後に逃走しようとしたり、証拠隠滅を図ろうとしたりしたことが原因で逮捕・勾留されてしまった場合は、そもそも職場に出勤することができなくなります。

もちろん、職場を欠勤したことで、高校生を盗撮したことが直ちに発覚するわけではありませんが、最大23日間という長期にわたり出勤ができなくなってしまうと、逮捕・勾留された事実を職場に隠し通すことは難しいでしょう。

 

職場への発覚を回避できる可能性

上記のとおり、実名報道及び逮捕・勾留の両方を防ぐことができなければ、職場への発覚を回避することは困難であるといえます。

しかしながら、上述した教職員や警察官の他、公務員や民間の教育関係の職業など、一部の職業は除きますが、一般の会社員の場合、「〇〇県〇〇市在住の会社員(年齢)」などといった形で報道されることが多く、実名付きで報道されるケースはさほど多くはないようです。

また、発覚時に逃亡を図ったりすることなく素直に事実を認め、撮影に使用したスマートフォンなどをすべて捜査機関に提出していれば、逃亡や証拠隠滅のおそれは乏しいとして、逮捕・勾留を回避できる可能性もあります。

実名報道、及び逮捕・勾留を回避できれば、事件のことは公になることなく、在宅事件として捜査が進行していきますので、捜査機関からの呼び出しがかかったとき以外は、通常どおりの生活を送ることができます。

実名報道を回避したいとお考えの方は、こちらをご覧ください。

逮捕されることを回避したいとお考えの方は、こちらをご覧ください。

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相手の高校生と示談をしたい!ポイントは?

盗撮を行ってしまったものの、前科がつくことを回避したいとお考えの場合、被害者と示談を成立させることが有効です。

しかし、被害者が高校生の場合、被害者本人と直接に示談交渉を行うことはできません。

未成年は単独では法律行為を行うことができないため、未成年者が勝手に交渉を行い、示談書に署名・押印をしたとしても、両親がこれに同意しなければ、せっかく示談を成立させたとしても、事後的に無効にされてしまう可能性があります。

そのため、被害者が未成年の場合は、必ず被害者のご両親と交渉を行うことになります。

なお、令和4年4月1日より、成人年齢が18歳に引き下げられた関係で、18歳を迎えた高校生であれば、成人として示談交渉を直接に行うことも不可能ではなくなりました。

そのため、18歳の高校生が単独で示談書に署名・押印をすることも法律上は可能であり、この場合には両親の同意がなくとも示談は有効に成立するといえます。

直接の示談交渉 本人のみの署名・押印
18歳未満 不可 事後的に無効となる可能性あり
18歳以上 可能 有効

ですが、法律上は成人として扱われるとしても、高校生である以上、両親から自立して生活を送っているわけではないケースがほとんどだと考えられます。

そのため、判断能力などがまだ十分ではないとご両親が判断し、交渉の窓口をご両親が担うことも十分にあり得ます。

ご両親は、大切なお子さんが犯罪の被害者になったことに対し、強い憤りを感じておられることがほとんどです。

場合によっては、自分が被害に遭ったときよりも強くお怒りのこともあります。

こうした事案において、円滑に示談交渉を進めていくためには、通常の盗撮事件以上に細心の注意を払って交渉にあたる必要があります。

未成年者との示談に関する注意点について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

まとめ

以上、高校生を盗撮してしまった場合の報道の可能性や示談のポイントについて解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

高校生をはじめとする未成年を盗撮してしまった場合、実名報道のリスクは職種によって大きく左右されます。

また、示談交渉を進めていくにあたっても、通常の成人を盗撮してしまった場合に比べて、注意すべきポイントは数多くあります。

職場への発覚や前科がついてしまうことを回避し、日々の生活を守っていくためには、早期に弁護士を選任し、適切な弁護活動を受けることが必要不可欠であるといえます。

高校生を盗撮してしまいご不安な方は、ぜひ一度刑事事件に強い弁護士にご相談されることを強くお勧めします。

 

 


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