未成年の子供が盗撮で逮捕|親が取るべき行動や逮捕後の流れ

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

未成年の盗撮は犯罪になる?前科は残る?

未成年による非行事件は、件数こそ毎年減少傾向にあるものの、依然としてなくなることはありません。

その中には、未成年による盗撮事件も含まれます。

盗撮行為は、各都道府県の迷惑行為防止条例違反として処罰される行為です。

例えば、福岡県であれば、成人が盗撮行為を行った場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります(同条例第6条2項・3項、第11条1項、第12条1項)。

参考:福岡県迷惑行為防止条例|福岡県警察

それでは、盗撮行為を未成年が行なった場合、どのような処分を受けることになるのでしょうか。

結論から申し上げますと、未成年は、刑事裁判を受けることは原則としてありません(殺人や現住建造物等放火などの重大犯罪については、例外的に刑事裁判を受けることになる場合もあります)。

未成年が犯罪に当たる行為を行なった場合、その行為は「犯罪」とは呼ばず、「非行」と呼ぶことになります。

非行に走ってしまったお子さんは、成人と同じ刑事裁判を受けるのではなく、お子さんをどのように更生させていくか、そのためにどのような処分が最も効果的かを考えるための手続である「少年審判」を受けることになります。

つまり、お子さんに対しては、刑事裁判において有罪判決を受けた記録である「前科」はつかず、捜査機関による捜査の対象となった記録である「前歴」がつくにとどまります。

しかし、後述するように、前歴であっても記録が残ると将来に悪影響が生じるおそれがあります。

そのため、少年事件であっても、処分を軽くするための刑事弁護は重要な活動となります。


 

 

少年事件の処分の流れ|未成年が盗撮で逮捕された場合

少年事件の処分の流れをわかりやすく示すと次のようになります。

非行に走ってしまったお子さんについては、まず事件を認知した捜査機関が捜査を行い、嫌疑(けんぎ)が高まった段階でお子さんから事情を聞くことになります。

場合によっては、成人と同様に逮捕・勾留される可能性もあります。

その後、捜査機関が事件を家庭裁判所に送致し、家庭裁判所が観護措置決定を行うことにより、お子さんは警察署内の留置施設から鑑別所に移送されます。

観護措置期間中、お子さんは鑑別所において様々な調査を受け、お子さんが抱える課題を洗い出します。

特に、盗撮をはじめとする性犯罪の事案においては、お子さん自身の性癖など、かなり踏み込んだ内容の調査を行うこととなるでしょう。

そうして浮かび上がった課題点をどう改善していくか、事前に裁判官や調査官と協議を行い、環境を整えるなどの準備を経て、裁判所における少年審判に臨みます。

少年審判においては、裁判官がお子さん本人や家族から直接話を聞きとり、少年院送致や保護観察などといった「保護処分」を行うかどうかを決定することになりますが、基本的には事前に調査官が作成した処分意見のとおりの判断がなされます。

以上が少年事件の大まかな流れになります。

 

 

学校に知られてしまう?

学校に知られてしまう?

 

お子さんが学校に通っている場合、学校に発覚すれば、退学処分や停学処分がなされるほか、内申点にも影響する可能性があります。

そのため、お子さんが事件を起こしてしまったとして、学校への発覚はなんとか避けたいとお考えになる方も多いでしょう。

しかし、学校に発覚することを避けることは、決して容易ではありません。

非行に走った事実が学校に発覚してしまう主な原因としては、警察から学校に連絡がなされるケースと、裁判所から学校に連絡がなされるケースの2通りが考えられます。

警察から学校への連絡

多くの学校では、警察との間で協定が結ばれており、非行少年が在籍する学校に対し、警察がお子さんの非行を把握した時点で、警察から学校に対して連絡がなされる可能性があります。

被害額が比較的安価な万引き事案など、そもそも逮捕がなされず、被害店舗側も厳罰を望んでいないような事案であれば、警察から学校への連絡を回避できる可能性はありますが、お子さんが逮捕されてしまった場合、高い確率で学校への連絡がなされることになるでしょう。

仮に逮捕を回避できたとしても、盗撮という事案の性質上、学校に対し連絡がなされる可能性は否定できないといえます。

裁判所から学校への連絡

さらに、成人による刑事事件であれば、検察官が「不起訴」という判断をすれば、事件が裁判所に報告されることはなく、捜査機関限りで事件が終了します。

しかし、少年事件では、基本的にそのような運用は取られていません。

少年事件は、原則として全ての事件につき、捜査機関が家庭裁判所に事件を送致して、少年審判を開くかどうか、及び、少年審判のために観護措置決定を出すかどうかを、家庭裁判所が判断することになります(「全件送致主義」といいます)。

この全件送致主義は、お子さんが逮捕されているかどうかに関係なく、原則として全ての少年事件について適用されます。

ごくごく軽微な事案であれば、検察官の判断で送致を見送るケースもないわけではありませんが、盗撮事案の場合は家裁送致となる可能性はかなり高いと考えられます。

そのため、仮にお子さんの逮捕を回避できたとしても、家庭裁判所に送致された後に観護措置決定がなされ、お子さんが鑑別所に移送された後は、家庭裁判所の調査官が所属先の学校、及び卒業した学校などに対し、お子さんの成績や素行等につき照会をかけ、調査を行います。

このように、お子さんが何らかの事件を起こしてしまったということを、裁判所が学校に知らせてしまうケースもあります。

裁判所としては、お子さんの普段の生活態度を踏まえ、お子さんをどのように更生させるのが望ましいかを検討する必要がありますので、学校に調査をかけることはやむを得ないところではあります。

しかし、非行に走った事実を学校に把握されてしまえば、やはりその後の学校生活を送る上でマイナスに働いてしまうこともあるでしょうし、内申点への悪影響も避けられないでしょう。

特に、盗撮を行ったことが知られてしまった場合の影響は、お子さん同士の喧嘩が行きすぎてしまったような事案と比べても甚大なものとなる可能性があります。

学校への発覚を回避するには?

事案の重大性によって左右されますが、学校への発覚を回避するには、お子さんが逮捕・勾留されるのを回避し、さらには観護措置をも回避した上で、学校への調査も不要であることを調査官にアピールするなど、なるべく早期に裁判所に働きかける必要があります。

もっとも、逮捕・勾留された事案においては、既にお子さんの身柄を確保していることから、そのまま引き続き観護措置決定を行い、審判が終わるまでお子さんを家に帰さずに調査するケースは多いといえます。

そのため、一度逮捕・勾留がされてしまうと、その後の観護措置決定を回避することも難しくなります。

その反面、逮捕・勾留がなされずに在宅で捜査が進んだ事案について、観護措置決定がなされ、鑑別所に送られるケースは多くはありません。

そして、観護措置決定がなされたにもかかわらず、学校への調査が不要と判断されるケースはほぼないと考えられます。

つまり、観護措置決定を回避し、裁判所から学校に連絡されるのを阻止するためには、まずは「逮捕・勾留を防ぐこと」が効果的といえます。

その上で、家裁送致がなされたとしても、学校に調査をかける必要がないことをアピールしていくべきです。

 

 

未成年のお子さんの処分を軽くするために親ができることはある?

少年事件における処分決定の判断基準は、成人による刑事事件とは大きく異なります。

刑事事件の場合は、自身の行為に見合った刑罰を受けさせることが主な目的であるのに対し、少年事件の場合は、お子さんが更生するためにどのような手を打つべきか、という観点から処分が決定されます。

そのため、お子さんが行なった行為の悪質性も当然考慮されますが、もう一つの要素として、「要保護性」という観点からの検討もなされます。

要保護性とは、お子さん自身の抱える問題点に加え、家庭環境や交友関係、学校や職場などの受け入れ態勢の有無といった、お子さんを取り巻くあらゆる事情のことであり、これらの事情を踏まえ、お子さんに対しなんらかの保護処分を下す必要があるかどうかを検討していくことになります。

少年事件において、この要保護性に関する判断は、少年院や児童自立支援施設への送致か、それとも在宅での試験観察や保護観察処分にとどめるかを左右する重要なものです。

そのため、ご両親にできることは、審判を担当する裁判官に「少年院に行かせなくとも、お子さんが外の世界で更生できる」という印象を持ってもらえるよう、お子さんの環境を少しでも良い方向に整えていくことでしょう。

 

 

親が取るべき行動とは?

お子さんに対する周囲からの働きかけ

一般的な働きかけ

では、お子さんの更生に向けて環境を整えるために、親御さんが取るべき行動とはなんでしょうか。

これについては、お子さんの数だけ正解があるため、一概には言えません。

例えば、お子さんが家庭内で暴力を受けている場合、暴力を振るう親からの隔離などの措置を早急に取ることが必要な子もいるでしょう。

学校や職場への復帰の交渉などといった働きかけを行うべき子も存在します。

場合によっては、転校・転職等も視野に入れ、次の受け入れ先を探すことも検討するべきです。

学校や職場選びに関しては、お子さんが一人で決められることではなく、教師や同僚、上司とのやりとりも必須となります。

交友関係等に関しても、一緒になって悪いことをする悪友とは縁を切らせ、連絡を取っていないかを定期的に確認するなどの措置も考えられるところです。

しかし、厳しい表現にはなってしまいますが、少なくともこれまで一番身近な存在でありながら、お子さんの非行を止められなかったということを事実として受け止め、根本的な対応策を考えていかなければなりません。

お子さんがいくら反省を示していたとしても、それだけで裁判官を納得させることは困難です。

まずは、親御さんが自らの日頃の行動、お子さんへの接し方、お子さんを取り巻く環境がどのようなものかを把握し、どこに問題があったのかを考え、お子さんと一緒に改善していくことが必要になります。

審判までに完璧に改善ができていなくとも、改善に向け全力で取り組んでいることをアピールすれば、裁判官もそうした親の姿勢に理解を示し、保護観察や在宅での試験観察などといった手法による更生を試みようと考えるかもしれません。

とはいえ、自分自身の問題点に気づくことは、決して容易ではありません。

場合によっては、学校の教師や児童相談所職員などといった第三者の力を借り、自身の問題点を指摘してもらうことも有益です。

大切なのは、親御さんだけで困難を抱え込むのではなく、専門家の助言を頭ごなしに否定するのではなく素直に聞き入れて、改善すべきところを探ることです。

盗撮事件において特に意識すべきこと

一般に、成人による盗撮事件の場合、初犯なら示談が成立していなくとも略式起訴による罰金刑で終了する可能性が高いといわれます。

少年事件においても、それまでに非行歴などが一切なく、出来心でやってしまったなど、常習性が見られないようであれば、いきなり少年院送致となる可能性は高くはありません。

しかし、それはあくまでお子さんが社会復帰を果たした後の環境がある程度整っていれば、の話です。

お子さんが社会復帰を果たしていく上で、引き続きお子さんを監督する立場にある親御さんや、お子さんを取り巻く環境に改善が見られなければ、裁判官はお子さんをそのまま社会に帰すことはできないと判断することとなるでしょう。

まして、お子さんが何度も盗撮行為を繰り返してしまっているような場合は、お子さんに対する矯正教育の必要が高いとして、少年院や児童自立支援施設への送致など、厳しい判断がなされる可能性はさらに高まります。

盗撮事件をはじめとする性的な非行事件の場合において、少年院や児童自立支援施設への送致を回避するためには、お子さん自身の性的嗜好に関しても、しっかりと向き合っていく必要があります。

なぜ盗撮行為に至ってしまうのか、その原因を突き止め、再発防止策を練らなければなりません。

盗撮行為に対し異常に興奮してしまうなど、お子さん自身の性的嗜好に関する歪みが見られるかどうか、専門的な機関で検査を受けさせることが望ましいでしょう。

場合によっては、再犯に及ばないよう、本格的な治療を検討することも必要です。

盗撮行為は常習化する危険性の高い犯罪類型ですので、更生のためにも、早期にお子さんの性的嗜好を把握し、矯正のための手段について検討する必要があるといえます。

並行して、被害に遭われた方に対し、我が子に代わって誠心誠意謝罪し、弁護士に依頼して示談交渉を行うなどといった取り組みも、被害回復のみならず、今後もお子さんの面倒を見続ける意思を示すという点で、審判の結果に良い影響をもたらす可能性があります。

 

 

少年事件を弁護士に相談するメリット

ここまでは審判に向けた親御さんの準備について見てきましたが、実際に少年審判に対応するためには、弁護士を「付添人」として選任するべきです。

付添人とは、少年審判を受けることになったお子さんの弁護人のような役割を果たす者のことを指します。

付添人は、お子さんのパートナーとして、ともに審判に向けた準備を行い、審判にも同席してお子さんのために裁判官や調査官と交渉していきます。

法律上は、家庭裁判所の許可を得れば、親御さんも付添人となることができます。

しかし、少年審判に向け、どのような書類を提出し、どのように裁判官や調査官と話し合いを行うのか、どのような話をすればお子さんの処分を軽減できるのかにつき、具体的なイメージをお持ちの方は少ないでしょう。

そのため、ほとんどの少年事件において、弁護士が国選または私選の付添人として選任され、お子さんのために活動することになります。

私選のメリットとは?

私選のメリットは、少年事件についての専門的知識・ノウハウを持つ弁護士のサポートを受けることができる可能性が高くなる点にあると考えられます。

すなわち、刑事事件を専門に扱う弁護士は決して多くはなく、むしろ少数です。

また、成人の刑事事件と比較すれば、少年事件の数は圧倒的に少ないです。

したがって、少年事件の経験が豊富な弁護士はさらに絞られるでしょう。

これに対し、少年事件に精通している弁護士を私選でつけることができれば、少年事件に関する専門知識やノウハウを前提としたサポートを受けることができるでしょう。

さらに、少年事件に注力している弁護士は、少年事件に対する熱量が異なります。

少年事件を担当する弁護士は、鑑別所に足を運んでお子さんと面会し、お子さんが更生していくために何が必要かを、一番の味方として徹底的に考え抜く必要があります。

弁護士があまり面会に行かないような状況では、お子さんとの信頼関係をうまく形成できない可能性があります。

その結果、お子さんが自分の犯した非行につき真摯に向き合うことができず、せっかく反省していてもその思いが裁判官にうまく伝わらず、必要以上に厳しい判断が下されてしまうかもしれません。

他方で、私選の場合、弁護士費用を自費で支払う必要があり、国選と比べるとコストがかかる点がデメリットといえるでしょう。

しかし、少年事件に注力する法律事務所の場合、初回の相談を無料としている場合があります。

費用面が気になる場合、まずは無料の相談を受けてみて、その際に、依頼した場合の見積もりを出してもらうようにされてください。

明瞭会計の法律事務所であれば、依頼時の弁護士報酬の見積もりを出してくれるはずです。

私選での予想される弁護活動

少年事件に強い弁護士を付添人に選任すれば、付添人は処分の軽減に向け、裁判官や調査官に対してどのようにアピールすべきかを、専門的な見地から常に考えながらお子さんと面会を行い、調査官や裁判官とも面談を重ねて、審判に向け準備を進めていきます。

少年事件は、通常の刑事事件と異なり、審判前にも裁判官や調査官と面談が可能です。

したがって、少年事件に注力する弁護士であれば、積極的に裁判官や調査官と面談を行い、お子さんのどのような点に不安を抱いているのか、その不安を取り除くためにはどのような手段を取るべきかにつき、率直な意見を交換するよう努めるでしょう。

その他、審判を迎えるまでにも、被害者との示談交渉に加え、各方面で環境調整を行い、結果をその都度裁判官や調査官に報告し、協議を重ねていくと考えられます。

そうした徹底的な意見交換を重ね、十分な準備のもとに審判を迎えることができれば、調査官や裁判官の意見を、保護観察や在宅での試験観察が相当であるといった方向に変えていくことができるかもしれません。

また、お子さん自身も、親御さんも、落ち着いて審判に臨むことができるでしょう。

審判においても、お子さんに対して質問を投げかけ、お子さんがいかに反省しているか、再犯率の高い盗撮行為を二度と行わないためにどのような取り組みを考えているか、お子さんの社会復帰後の環境がいかに整っているか、お子さん自身がその環境を受け入れる覚悟がどれだけあるか、といった点をうまく引き出せるよう、全力を尽くします。

 

 

 

まとめ

以上、未成年が盗撮で逮捕された場合の対応策等につきご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

大切なお子さんが逮捕され、少年審判を受けなければならなくなったとすれば、どうしたらいいかわからず、不安に陥ってしまうことでしょう。

そのような場合は、なるべく早い段階から少年事件に強い弁護士に相談し、弁護士との間でお子さんに関する情報を共有しておくべきです。

少年事件は、家庭裁判所に送致されてから1ヶ月程度で審判が開かれ、そこで処分が決定することになりますから、さほど時間的な余裕はありません。

なるべく早期に動き出していれば、その分お子さんのために行いうる付添人活動の選択肢も広がり、お子さんの抜本的な更生のためにより深く関わっていくことができるようになるでしょう。

この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。

 

 


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