解決事例
更新日2019年4月9日

右直事故の直進車で、過失割合5:95にて解決した事例

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Nさん

受傷部位腰(腰椎捻挫)など
等級なし
ご依頼後取得した金額

内訳
相手方弁護士提示 弁護士によるサポートの結果
過失割合 15(依頼者):85(相手方) 5(依頼者):95(相談者)

 

状況

Nさん(50代、自営業)は、片道一車線の道路を自動二輪車(バイク)で直進していたところ、対向車線から加害者車両が右折を開始し、衝突するという事故に遭いました。

Nさんは、この事故により、腰部捻挫などの傷害負い、整形外科と整骨院に通院することとなりました。

事故後、間もなく相手方に弁護士が就いたため、今後の交渉に不安を感じたNさんは、当事務所に相談に来られました。

 

 

弁護士の対応

弁護士費用特約の使用

Nさんは、弁護士に依頼したい気持ちはありましたが、費用のことを懸念されていました。

ご自身のバイクには弁護士費用特約が付いていなかったため、自費で弁護士に依頼することは困難だと考えられていたのです。

しかし、弁護士において事情を確認してみると、Nさんはバイク以外にも自動車を所有しており、その任意保険に弁護士費用特約が付帯している可能性があることが分かりました。

そこで、Nさんにおいて、保険会社に確認したところ、自動車の方には弁護士費用特約が付帯されていることが分かり、Nさんの弁護士費用や実費の全てを弁護士費用特約で賄うことができました。

過失割合

本件で特に問題となったのが、過失割合です。

相手方弁護士は、別冊判例タイムズ【189】図を根拠として15(依頼者):85(相談者)での提案をしてきました。

この【189】図とは、バイクが交差点を直進して進入したところ、対向車線の四輪自動車が右折してきた結果、衝突した事故の過失割合を示したものです。

しかし、弁護士が実況見分調書(警察が作成した事故の状況図)を確認すると、加害者は、全く速度を落とすことなく、右折を開始しており対向車線の走行車に対する注意が全くなされていないことが分かりました。

事故状況からすると、Nさんに事故の発生を回避することは極めて困難と考えられました。

そこで、弁護士は、実況見分調書やその他事故車両の損傷状況等を根拠に、本件事故において、Nさんには、事故を回避することはできなかったことを主張し、Nさんには過失がないと主張を行いました。

もっとも、Nさんも紛争が長期化することは望んでおらず、早期解決を希望されていました。

そこで、弁護士において、示談交渉限りで、5(依頼者):95(相手方)という提案をしたところ、相手方弁護士もこれに了承し、過失割合が確定しました。

 

弁護士のアドバイス

弁護士費用特約について

弁護士費用特約には加入していない、あるいは、加入はしているけれども代理店に使用できないと言われた、といった理由で特約は利用できないと思って相談に来られる方がたくさんいらっしゃいます。

しかし、弁護士において、よくよく話を聞くと、家族の弁護士費用特約が使用できたり、また、そもそも使用できないという判断自体が誤っていたりすることがあります。

したがって、弁護士費用特約についても使用できるか否かについて、十分に確認することが必要です。

もし、被害者自身で判断がつかない場合には、専門家に相談されるべきです。

弁護士用特約を使用することができれば、弁護士費用はもちろんのこと、交渉や訴訟にかかる実費の大部分についてカバーすることができ、ほとんど手出しなしで弁護士に依頼することができます。

過失割合について

示談交渉における過失割合の交渉は、上記した判例タイムズを参考にして交渉を行います。

別冊判例タイムズは、正確には「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版」という題目の書籍で、様々な事故状況に応じて目安の過失割合が記載されているものです。

裁判においても参考にされる書籍であり、過失割合の決定にあたって最も参考にする資料です。

判例タイムズは、事故状況に応じて基本の過失割合が記載され、さらに、詳しい事故態様に応じて修正要素を加味して過失割合を導き出す必要があります。

したがって、被害者の方自身で過失割合を交渉することは困難ですので、相手方が提示している過失割合が本当に妥当なものなのか、示談する前に専門家に相談された方がよいでしょう。


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