例えば、知人とケンカして怪我を負ったり、他人から殴られて後遺症を負ったりした場合、被害者が加害者に対して、損害賠償請求が可能です。

ここでは、このような類型の人身障害事故について解説します。

 

暴力行為の場合

047205暴力行為は、加害者が故意または過失により被害者の権利(生命、身体または財産)を侵害したといえることから、それによって発生した損害について、民事上の賠償請求が可能です。

損害賠償の内容については、こちらをご覧ください。

また、刑事上、傷害罪が成立するので、怪我の程度によっては刑事告訴も可能です。

ケンカの場合

例えば、ケンカで双方が押し問答をしていたところ、一方が倒れて大怪我を負って後遺症が残ったような場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求ができるのでしょうか。

このような場合、「ケンカ両成敗」という言葉がありますが、ケンカだからといって、当該加害行為が直ちに正当視されることはありません。

上記の事例では、特段の事情がなければ、加害者の不法行為責任が成立し、被害者は損害賠償請求が可能です。
したがって、加害者は、被害者の治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料などの賠償しなければなりません。

ただし、ケンカであるからには、被害者にも落ち度があります。そのため、加害者から被害者側の過失を主張される可能性があります。

過失割合と過失相殺

ケンカの過失割合は、ケンカになった事情、双方の行為の態様、損害の程度によって判断されることになります。

例えば、上記の事案で、被害者対加害者の過失割合が3対7で損害額が6000万円で確定したとします。
この場合、被害者が相手に請求できるのは、4200万円ということになります。
6000万円☓(1−0.3)=4200万円

このように、自分の過失の分(30%)を控除して相殺することを過失相殺といいます。

 

【参考判例:福岡地裁小倉支部昭和60年3月29日判決】

会社の同僚同士のケンカで、酔った相手から悪口を言われ殴られたことから、カッとなって殴り返したところ、相手がアスファルト道路に転倒して頭を打ち、救急病院に運ばれたが、担当医の誤診もあって植物状態になってしまった事案
この事案において、裁判所は約1億円の損害の発生を認めたが、被害者側にも3割の過失があったとして、過失相殺を認めました。

 

 

正当防衛が成立する場合

例えば、ケンカの主な原因のある一方が先に手を出し、その後も攻撃的であったため、他方がこれに応戦しても防衛的と判断されるような場合は、防戦した方の行為は正当防衛と評価される可能性もあります。

まずは、福岡にある当事務所にお気軽にご相談ください。