相続とは、亡くなられた方(被相続人)が所有していた財産上の地位を、相続人に引き継ぐことです。
現在の法律では、相続においては遺言がなければ、法定相続どおり、配偶者や血族がお亡くなりになられた方の遺産を引き継ぐことになります。
相続で注意しなければならないのは、必ずしもプラスの財産を引き継ぐことばかりではないということです。
お亡くなりになられた方が借金などでマイナスの財産しか持っていない場合では、相続人は被相続人のマイナス財産を引き継ぐことになります。
しかし、マイナスの資産しかない、あるいは清算を行なった結果マイナスの財産しか残らないという場合には「相続放棄」や「限定承認」という制度があり、被相続人の遺産を相続しなくてもよいのです。
また、相続においては、よくドラマなどでもあるように、誰がいくらの財産を引き継ぐのかという点で、紛争になることが往々にしてあります。特に下記のような場合において、紛争になることが多いです。
紛争になりやすい事柄
1.相続の開始
2.遺言の有無
3.相続人または受遺者の範囲
4.相続財産の範囲
5.相続分・寄与分
6.具体的な分割
7.遺留分
一度、相続人の間で争いが起きた場合には、とても当事者同士で解決を行なうことが難しいという状況に陥りやすいので、相続問題でお悩みになられる前に弁護士までご相談されることをお勧め致します。
相続人の範囲
相続人の範囲は、民法で次のとおり定められています。 死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
配属者は常に相続人 | その他の相続人 | |
---|---|---|
第1順位 死亡した人の子供 その子供が既に死亡しているときは孫(代襲相続人)、孫が死亡しているときは曾孫(再代襲相続人)などの直系卑属が相続人となります。 |
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第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など) 父母がいない場合は祖父母が相続人、祖父母がいない場合は曾祖父母が相続人となります。 ※第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。 |
||
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供である甥姪(代襲相続人)が相続人となります。 ※ 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。 |
※兄弟姉妹の場合は、子供の場合と異なり再代襲相続はありません。すなわち、甥姪の子供は相続人とはなりません。
祖父母は代襲相続人ではなく、両親がいない場合に相続人となります(民法889条)。
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
第八百八十八条 削除
(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
2 第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。
(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。
引用元:民法|電子政府の窓口
相続分
各相続人が相続する財産の割合(相続分)については、民法に規定があり、各相続人の相続分は、誰が相続人であるかによって下表のように決められます。
相続人 | 相続分 |
---|---|
配偶者と子供 | 各2分の1 |
配属者と直系尊属(両親など) | 配偶者3分の2、直系尊属(両親など)3分の1 |
配属者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1 |
配偶者のみ又は子供のみ | 配偶者又は子供がすべて |
直系尊属(両親など)のみ又は兄弟姉妹のみ | 直系尊属(両親など)又は兄弟姉妹がすべて |
子供、直系尊属(両親など)又は兄弟姉妹が複数名いるときは、それぞれの相続分は、頭数で割ったものとなります。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。
相続割合シミュレーター

相続分の計算は一般の方が自分で計算するのは大変です。
下記は、当事務所が制作した相続分の概算をシミュレーションできる計算機です。
ご入力いただければ、相続分の概算が算出可能ですので、ご参考にされてください。
法定相続分の算出を基本としていますが、配偶者については、割合を変更できるように設定しています。
被相続人(亡くなった方)に関して、以下の項目にご入力ください。
相続人 | 相続割合 | 相続する遺産の額 |
配偶者 |
※複数名の場合は1名の金額を表示しております
注意事項
※代襲相続人とは
子供や兄弟姉妹が死亡している場合、その子供が相続人となり、これを代襲相続人といいます。
代襲相続人が死亡している場合に、さらにその子供が遺産を相続することを再代襲相続といいます。
なお、兄弟が相続人となる場合、再代襲相続はありません。
※相続放棄がある場合
相続放棄をされる方がいる場合、その方は人数に含めずに算定してください。また、代襲相続も起こりません。
(免責事項)
この自動計算機は、簡易迅速に相続割合を算定することを目的としているため、正確ではありません。
また、この自動計算には下記のような問題点があります。
そのため、あくまで参考程度にとどめて、正確な相続分の額については相続問題に精通した弁護士にご相談されるようにしてください。
相続においては、遺産の範囲を調査し、かつ、適切に評価しなければなりません。特に遺産に不動産や株式がある場合、評価が難しく専門家の意見が重要となります。
- 相続人が配偶者のみの場合は相続割合を100%とする
- 相続割合は少数第3位を四捨五入して算定する
- 配偶者控除の要件を満たすものとして算定とする
- 再代襲相続には対応しておりません
当事務所には、相続問題に注力する弁護士と税理士のみで構成される相続対策チームがあり、相続問題に直面されている方々を強力にサポートしています。
遠方の方については、LINEなどを利用したオンライン相談も可能です。相続問題でお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
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