抵当権がある場合の相続はどうなりますか?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

抵当権が付いた不動産の分割方法については、当該不動産を引き継ぐ方が他の相続人との関係では債務を負担するなどの方法が考えられます。

 

抵当権とは

抵当権とは、債務の担保に供した物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済(優先弁済的効力)を受ける権利をいいます。

自宅などの不動産は、通常高額なため銀行などから借り入れをして購入します。

このとき、銀行は、「万一返済してもらえなかった場合のリスク」が心配です。

抵当権を不動産に設定しておくと、返済してもらえなかったときに、競売して売却代金を充当することが可能です。

抵当権にはこのような効力があるため、不動産の購入の際によく活用されており、相続の場面でも耳にすることが多い言葉です。

なお、ここで銀行のような抵当権の権利者(債権者)を抵当権者といいます。

お金を借りている方のことを債務者といいます。

銀行から借りているお金のことを、被担保債務といいます。

根拠条文
(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

引用元:民法|電子政府の窓口

 

 

借金も相続しないといけないの?

遺産とは、お亡くなりになられた方が残した財産のことをいいます。

財産というと、現金、不動産などを思い浮かべますが、相続の対象となるという法的な意味では、亡くなった方の一切の権利義務、すなわち借金や抵当権の債務者としての義務なども対象となります。

合わせて読みたい
遺産の範囲について

今回は、お父さんが金融機関から借りたお金の担保として抵当権がついているので、被担保債務の名義もお父さんであり、債務も相続の対象となっています。

 

 

相続人が複数いる場合

債務は、相続と同時に、法定相続分の割合に従い当然に各相続人に帰属します。

例えば、相続人がご兄弟二人の場合は、2分の1ずつとなります。

合わせて読みたい
法定相続分について

 

 

抵当権付きの不動産の分割

しかし、そうであるからといって、抵当権のついた不動産も、法定相続分の割合に従い、皆で相続する必要はありません。

抵当権付きの不動産を誰か一人が相続することももちろん可能です。

しかし、その後抵当権が行使されてしまうと、その相続人は不動産を失ってしまいます。

それと同時に、その不動産をもって、本来他の相続人が法定相続分の割合に従い相続した債務を、当該不動産を相続した相続人が代わりに支払ったことになります。

そのため、他の相続人に対し、代わりに債務を支払ったことを理由に求償権を行使することが可能です。

また、不動産を取得する必要性が高くない場合は、売却してその代金を分けるという方法も考えられます。

この場合は、抵当権者(銀行)の承諾が必要となる場合がほとんどだと思われるので、事前に相談する必要があります。

 

 

遺産分割協議書のポイント

遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)が死亡時に有していた遺産について、個々の遺産の権利者を確定させるための手続をいい、遺産分割協議書は、その合意内容が記された書面のことをいいます。

適切な内容の遺産分割協議書を作成しておかないと、後々トラブルとなる可能性もあります。

そのため、相続が発生したら、遺産分割協議書の作成を検討すべきです。

抵当権付きの不動産がある場合、銀行に対する借金が残っているため、誰がどの遺産を相続し、誰が借金を相続するかなどを明記しておくことをお勧めいたします。

また、遺産分割協議において、不動産を相続する者が残る債務も負担する旨取り決め、不動産の評価額から残る債務を引いた額をその不動産の価値として分割協議のなかで評価する方法も考えられます。

なお、当事務所では、遺産分割協議書のサンプルをホームページ上に掲載しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。

合わせて読みたい
遺産分割協議書の書き方

 

 

被担保債務が第三者名義である場合

なお、今回のケースとは別に、被相続人以外の方が住宅ローンの借り入れをしている場合も考えられます。

このような場合は、その被担保債務の債務者が十分な資力をもっているかどうかで、不動産をどう評価すべきかが変わります。

被担保債務の債務者に資力があるのであれば、もし後に抵当権を行使され、不動産が失われたとしても、不動産を相続した者が債務者に求償権を行使することが可能です。

そこで、被担保債務について考慮に入れず不動産を評価し、のちに抵当権を行使された場合には、不動産を相続したものが被担保債務の債務者に求償する方法が考えられます。

これに対して被担保債務の債務者に資力がない場合には、抵当権が行使された後に求償権を行使しても回収することが困難となりますので、はじめから被担保債務の残額を不動産評価額から控除した価額で、遺産分割協議を行うべきといえます。

 

 

まとめ

以上、抵当権がある場合の相続について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

借金や抵当権の債務者としての地位も相続の対象となります。

抵当権は金融機関等が債権者となり、負債の返済方法などが問題となるため、とても複雑で素人の方にはわかりにくいです。

また、トラブルを防止するためには遺産分割協議書の作成が望ましいと考えます。

これらをスムーズに行うためには相続問題に対する専門知識と豊富な経験が必要となるため、相続問題の専門家に相談されることをお勧めいたします。

当事務所には、相続問題に注力する弁護士、税理士のみで構成される相続対策チームがあり、相続問題を強力にサポートしています。

相続問題でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

合わせて読みたい
ご相談の流れ

 

 

なぜ遺産相続のトラブルは弁護士に依頼すべき?

続きを読む

まずはご相談ください
初回相談無料