亡くなった人がいるとき|やること・注意点を完全ガイド


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

亡くなった人がいるとき、ご遺族は深い悲しみの中で、葬儀や役所への届出、保険・年金、相続に関する手続きなど、多くの対応を進める必要があります。

死亡後の手続きには期限があるものも多く、「何から始めればよいのかわからない」「亡くなった人の預貯金を下ろしてよいのか」「遺品を処分してもよいのか」など、不安に感じる方も少なくありません。

特に、相続放棄を検討している場合には、亡くなった人の預貯金や物を安易に処分すると、後から相続放棄ができなくなる可能性もあります。

そのため、死亡後の手続きは、期限と注意点を整理しながら慎重に進めることが大切です。

この記事では、亡くなった人がいるときに行うべき手続きについて、2週間以内のチェックリスト、戸籍謄本の取り方、預貯金の払戻し、準確定申告、遺品整理の注意点などを、わかりやすく解説します。

親・配偶者・身内が亡くなり、これから何をすればよいか知りたい方や、相続手続きで失敗したくない方は、ぜひ最後までお読みください。

親・身内が亡くなったらどうする?2週間チェックリスト

親や身内が亡くなった直後は、死亡診断書の受け取り、近親者への連絡、葬儀社の選定、ご遺体の搬送など、まず対応すべきことが続きます。

その後も、死亡届の提出、火葬許可証の取得、健康保険や年金に関する手続き、勤務先や契約会社への連絡などを順番に進めていく必要があります。

 

亡くなった方がいるときの手続きの流れ

亡くなった方がいるときの手続きの流れ

 

亡くなった方がいるときのチェックリスト

すべてを一度に終わらせようとすると負担が大きくなりますので、まずは期限が近いものから整理することが大切です。

ご遺族の負担を少しでも減らすために、亡くなってから概ね2週間以内に行うべき手続きや対応をリストアップしました。

以下のチェックリストで全体像を把握し、期限が迫っているものから順にご確認ください。

期限の目安 内容 手続き先
当日 死亡診断書の受け取り 病院・医師
近親者への連絡 親族
葬儀社の選定 葬儀社
ご遺体の搬送 葬儀社
病院・施設等の精算手続き 病院・介護施設等
2日目 死亡届の提出 市区町村役場
火葬許可証の取得 市区町村役場
2~3日以内 通夜 葬儀社等
2~4日以内 葬儀 葬儀社等
火葬・火葬後の許可証の保管 火葬場・葬儀社
14日以内 葬儀費用の支払い・領収書の保管 葬儀社
世帯主変更の手続き 市区町村役場
健康保険の資格喪失手続き 市区町村役場
介護保険証の返却・資格喪失手続き 市区町村役場
年金に関する手続き 年金事務所
速やかに 勤務先等への連絡 勤務先
諸契約の解約手続き 各契約会社
生命保険に関する手続き 保険会社
3ヶ月以内 相続放棄をするかの検討 家庭裁判所・弁護士等

なお、通夜・葬儀・火葬の日程は、地域の慣習、火葬場の空き状況、宗教・宗派、親族の都合などによって変わります。

それでは、時期ごとに区切って具体的な内容と注意点を詳しく解説していきます。

 

当日に行うこと

身内が亡くなった当日は、まず死亡診断書の受け取り、近親者への連絡、葬儀社の選定、ご遺体の搬送などを行うことになります。

突然のことで気持ちの整理がつかないまま対応しなければならない場面も多いため、できれば一人で抱え込まず、親族や信頼できる人と役割分担をしながら進めることが大切です。

 

死亡診断書の受け取り

病院で亡くなった場合、医師から死亡診断書を受け取ります。

死亡診断書は、死亡届と一体になっていることが多く、役所へ死亡届を提出する際に必要になります。

また、生命保険金の請求や各種手続きで死亡診断書のコピーを提出することがあります。

そのため、原本を提出する前に、必要に応じてコピーを取っておきましょう。

事故死、突然死、自宅で亡くなった場合など、医師が死亡に立ち会っていない場合や死因の確認が必要な場合には、「検案(けんあん)」が行われ、死亡診断書の代わりに「死体検案書」が作成されることがあります。

いずれの場合も、重要な書類のため、紛失しないように保管しましょう。

 

近親者への連絡

死亡診断書の受け取りと並行して、近親者へ連絡します。

まずは、配偶者、子、親、兄弟姉妹など、特に近い親族に連絡しましょう。

深夜や早朝であっても、これらの身内には電話で伝えるのが一般的です。

この段階では葬儀の日程などはまだ決まっていませんので、まずは「亡くなった」という事実と、現在の安置場所(病院など)を手短に伝えれば問題ありません。

 

葬儀社の選定

病院で亡くなった場合、ご遺体をいつまでも病室に安置しておくことはできず、数時間以内での退院(搬送)を求められることがほとんどです。

そのため、速やかに搬送・葬儀を依頼する葬儀社を決める必要があります。

病院や施設から葬儀社を紹介されることもありますが、故人や家族が希望していた葬儀社がある場合は、そちらに連絡しても問題ありません。

また、いったん「搬送のみ」を依頼し、自宅に戻ってから落ち着いて葬儀社を選ぶこともできます。

葬儀社を選ぶ際は、葬儀の形式、費用、対応地域、搬送の可否、見積書の内容などを確認しておくと安心です。

 

ご遺体の搬送

病院や施設で亡くなった場合、ご遺体を安置場所へ搬送する必要があります。

搬送先は、自宅、葬儀社の安置施設、斎場などが考えられます。

どこに安置するかは、葬儀の日程、親族の集まりやすさ、費用、住宅事情などを踏まえて決めましょう。

搬送の際には、退院の手続きなども同時に行うケースが一般的です。

 

病院・施設等の精算手続き

入院していた病院や、入所していた介護施設などの利用費用の精算を行います。

当日の支払いが難しい場合や夜間で窓口が閉まっている場合は、後日支払う約束をして退院することもあります。

支払いをした場合は、領収書を必ず保管しておきましょう。

これらの費用は、相続財産や相続人間の費用負担の問題に関わることがあります。

また、亡くなった方に借金がある可能性がある場合や、相続放棄を検討している場合には、故人の財産から支払ってよいか慎重な判断が必要になるケースもあります。

不安がある場合は、支払い前に弁護士へ相談することも検討しましょう。

 

通夜までに行うこと

通夜までには、死亡届の提出と火葬許可証の取得を行う必要があります。

実務上は、葬儀社が死亡届の提出を代行してくれることも多いですが、届出人の署名などが必要になります。

葬儀社に任せる場合でも、手続きの内容は把握しておくことが大切です。

 

死亡届の提出

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。

国外で亡くなった場合は、その事実を知った日から3か月以内です。

死亡届は、右半分が医師の書いた「死亡診断書(死体検案書)」になっており、左半分に届出人が記入します。

記入した死亡届は、次のいずれかの市区町村役場に提出します。

  • 亡くなった方の死亡地
  • 亡くなった方の本籍地
  • 届出をする人の所在地

実際には、葬儀社のスタッフがご遺族から記入済みの死亡届を預かり、役所への提出を代行してくれるケースもあります。

 

火葬許可証の取得

死亡届が受理されると、火葬に必要な火葬許可証が交付されます。

自治体によっては「埋火葬許可証」などの名称で交付されることもあります。

この許可証がないと、法律上ご遺体を火葬することができません。

したがって、お通夜が終わり、翌日の火葬に間に合わせるためには、遅くとも通夜の日までには死亡届の提出と火葬許可証の取得を済ませておく必要があります。

こちらも葬儀社が代行して取得し、火葬の当日まで預かってくれることが一般的です。

 

火葬後までに行うこと

通夜、葬儀、火葬は、亡くなった後の数日間で行われることが多い手続きです。

ただし、日程は地域や火葬場の状況、宗教・宗派、親族の都合によって変わります。

ここでは一般的な流れとして説明します。

 

通夜

通夜は、ご家族や親しい方々が故人と最後の夜を過ごす儀式です。

一般的には亡くなった翌日や翌々日(2〜3日以内)に行われることが多いですが、都市部などで火葬場が混雑している場合は、それ以上待つケースも珍しくありません。

チェックリストの「2〜3日以内」はあくまで目安とお考えください。

 

葬儀

通夜の翌日の日中に、葬儀・告別式を執り行います。

ごく身内だけで行う「家族葬」や、通夜を行わず1日で終える「一日葬」など、近年は葬儀の形式も多様化しています。

親族の状況や故人の遺志を尊重して形式を選びましょう。

また、葬儀と同日に「初七日法要(本来は亡くなってから7日目に遺骨等の前で僧侶が読経を行う儀式のこと)」も行うケースが一般的です。

 

火葬・火葬後の許可証の保管

葬儀・告別式が終わると、出棺して火葬場へ向かいます。

火葬を行う前に、先ほど役所で取得した「火葬許可証」を火葬場に提出します。

無事に火葬が終わると、一般的には提出した火葬許可証に「火葬済」の印が押されて返却されます。

この済印が押された許可証は、後日、お墓や納骨堂へご遺骨を納める際に必要になることが多い重要な書類です。

紛失を防ぐため、ご遺骨を納めた骨箱(白木の箱)の中に一緒に入れて保管する方が多いです。

 

14日以内に行うこと

葬儀や火葬が終わると、少し落ち着く一方で、公的な手続きが必要になります。

14日以内を目安に行う手続きとしては、世帯主変更、健康保険証等の返却、介護保険証の返却、年金に関する手続きなどがあります。

 

葬儀費用の支払い・領収書の保管

葬儀が終わって数日経つと、葬儀社から費用の請求書が届きます。

支払い期日は葬儀社によって異なりますが、葬儀が終わってから1週間〜10日程度に設定されていることが多いです。

ここで支払った葬儀代の領収書(および明細書)は、大切に保管してください。

後日、相続税の申告が必要になった場合、一定の葬儀費用は遺産総額からマイナス(控除)することができ、相続税を減らすことができるからです。

また、葬祭費を申請する際にも、葬儀費用の領収書や会葬礼状など、葬儀を行ったことがわかる資料を求められることがあります。

お布施など領収書が出ないものについては、支払った日付、金額、相手(寺院名など)をメモに残しておきましょう。

 

世帯主変更の手続き

亡くなった方が住民票上の「世帯主」であり、同じ世帯に残された方が2人以上いる場合は、新たに世帯主を誰にするかを届け出る「世帯主変更届」を市区町村役場に提出する必要があります。

期限は亡くなった日から14日以内です。

なお、残された世帯員が1人だけの場合や、残されたのが母親と15歳未満の子どもだけの場合など、次の世帯主が明らかな場合は手続きを省略できることがあります。

 

健康保険の資格喪失手続き

亡くなった方の健康保険の種類によって手続き先が変わります。

亡くなった方が「国民健康保険」や「後期高齢者医療制度」に加入していた場合は、14日以内に市区町村役場の窓口へ資格確認書を返却し、資格喪失の手続きを行います。

この際、葬祭費の支給申請も同時に行えることが多いので確認しましょう。

一方、亡くなった方が会社員で職場の「健康保険」に加入していた場合は、勤務先を通じて返却・手続きを行います。

 

介護保険証の返却・資格喪失手続き

亡くなった方が65歳以上であった場合、または40歳から64歳で要介護・要支援認定を受けていた場合は、介護保険に関する手続きが必要になります。

一般的には、14日以内を目安に、市区町村役場で資格喪失の手続きや介護保険被保険者証の返却を行います。

ただし、自治体によっては、死亡届の提出により手続きが進む場合もあるため、窓口で確認しましょう。

未納分の保険料の精算や、過払い分の還付なども同時に手続きすることが一般的です。

 

年金に関する手続き

亡くなった方が年金を受け取っていた場合、年金受給停止や未支給年金の確認が必要です。

日本年金機構にマイナンバーが収録されている方については、年金受給権者死亡届の提出を原則として省略できます。

必要な場合は、厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に提出する必要があります。

また、提出が不要な場合でも、未支給年金の請求など、別途必要となる手続きがあります。

未支給年金とは、亡くなった方がまだ受け取っていない年金や、亡くなった月分までの年金について、一定の遺族が請求できるものです。

年金の手続きが遅れると、亡くなった日以後の年金を受け取ってしまい、後日返還が必要になることがあります。

年金証書や基礎年金番号がわかる書類を確認し、年金事務所や年金相談センターに相談しましょう。

 

できるだけ速やかに行うこと

役所関係以外にも、故人の生活に関わる契約関係の整理が必要です。

明確な期限がないものもありますが、無駄な支払いを防ぐためにも速やかに進めましょう。

 

勤務先等への連絡

亡くなった方が現役でお仕事をされていた場合、速やかに勤務先へ連絡し、退職の扱いとなる手続きを行います。

前述の健康保険の資格確認書の返却に加え、未払い給与や退職金の受け取りに関する確認も必要です。

また、企業年金に加入していた場合や、会社の組合から慶弔金が出る場合もあります。

遺族年金や健康保険の給付について、勤務先から必要書類や手続き先を案内してもらえることもあるため、総務や人事の担当者と連携を取ることが大切です。

 

諸契約の解約手続き

亡くなった方が契約していたサービスについては、解約や名義変更の手続きが必要です。

たとえば、次のような契約が考えられます。

  • 電気・ガス・水道などの公共料金
  • 固定電話、携帯電話、インターネット回線などの通信費
  • NHKの受信料
  • 新聞
  • サブスクリプションサービス(動画配信、雑誌など)
  • クレジットカード

契約を放置すると、原則として亡くなった後も料金が発生し続けます。

ただし、同居家族がそのまま使い続ける電気・ガス・水道などについては、解約ではなく名義変更が必要になる場合もあります。

生活に必要な契約まで誤って止めてしまわないよう注意しましょう。

 

生命保険に関する手続き

亡くなった方が生命保険に加入していた場合、死亡保険金を受け取るための手続きを行います。

まずは保険証券を探し、加入の有無と「受取人」が誰に指定されているかを確認しましょう。

受取人に指定されているご本人が、保険会社に連絡をして請求書類を取り寄せます。

保険法上、保険金を請求する権利は、原則として、権利を行使できる時から3年間行使しないときは時効により消滅します。

もっとも、具体的な起算点は保険の種類や契約内容によって問題になることがあるため、加入している保険が判明したら、早めに保険会社へ連絡しましょう。

 

3ヶ月以内に行うこと

死亡後すぐに葬儀や役所の手続きに追われる一方で、相続についても早めに確認しなければなりません。

特に重要なのが、相続放棄をするかどうかの検討です。

 

相続放棄をするかの検討

亡くなった方に借金がある場合や、財産よりも負債の方が多い可能性がある場合には、相続放棄を検討する必要があります。

相続放棄とは、亡くなった方の財産も借金も一切引き継がないための手続きです。

相続放棄をするためには、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。

ここで注意が必要なのは、「3か月以内に考えればよい」というだけでは足りないということです。

相続放棄をする場合は、期間内に家庭裁判所で正式な手続きを行う必要があります。

単に親族間で「自分は相続しない」と伝えたり、遺産分割協議書に財産を受け取らないと書いたりするだけでは、法律上の相続放棄にはなりません。

また、相続放棄を検討している場合には、亡くなった方の預貯金を引き出したり、財産的価値のある遺品を処分したりする行為には注意が必要です。

場合によっては、相続を認めたものと評価され、相続放棄ができなくなる可能性があります。

そのため、借金の有無がわからない場合、督促状や請求書が届いている場合、預貯金や遺品をどう扱ってよいかわからない場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

 

 

身内が亡くなった人にかける言葉とは?

身内が亡くなった人に対して、どのような言葉をかければよいのか悩む方は少なくありません。

親しい相手であればあるほど、「何か言葉をかけたい」と思う一方で、「不用意なことを言って傷つけてしまわないか」と不安になることもあるでしょう。

身内が亡くなった人にかける言葉としては、無理に気の利いたことを言おうとする必要はありません。

基本的には、お悔やみの気持ちを簡潔に伝え、相手の心身を気遣う言葉を添えることが大切です。

ただし、「重ね重ね」「たびたび」といった不幸が続くことを連想させる「忌み言葉」を使わないこと、亡くなった原因や経緯を詮索しないことは、最低限守るべき重要なマナーです。

 

対面の場合の注意点

対面でお悔やみを伝える場合は、長く話しすぎず、まずは簡潔に弔意を伝えることが大切です。

通夜や葬儀の場では、遺族は多くの参列者への対応や葬儀の段取りに追われています。

そのため、詳しい事情を尋ねたり、長時間話し込んだりすることは控えましょう。

対面では、次のような短い言葉で十分です。

  • このたびは、誠にご愁傷さまでございます。
  • 心よりお悔やみ申し上げます。
  • どうかお身体を大切になさってください。

相手が話したそうにしている場合には静かに耳を傾け、あまり話したくなさそうな場合には無理に会話を続けないようにしましょう。

 

LINEの場合の注意点

LINEで言葉をかける場合は、短く、相手が返信しなくてもよい内容にするのが基本です。

亡くなった直後や葬儀の前後は、遺族が多くの連絡や手続きに追われています。

長文や質問が多いメッセージは避けましょう。

例えば、次のような文面が考えられます。

このたびは心よりお悔やみ申し上げます。大変な時期だと思いますので、返信は不要です。どうか無理をなさらないでください。

LINEでは、「返信は不要です」「落ち着いたらで大丈夫です」と添えると、相手の負担を軽くできます。

また、スタンプだけで済ませることは避け、短くても自分の言葉で伝える方が丁寧です。

 

メールの場合の注意点

メールでお悔やみを伝える場合は、LINEよりも少し丁寧な表現を用いるのが一般的です。

特に、仕事関係の相手、目上の方、普段LINEでやり取りをしていない相手には、メールの方が適していることがあります。

件名は、「お悔やみ申し上げます」「ご訃報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます」など、内容がわかるものにしましょう。

本文では、次のように弔意と相手を気遣う言葉を簡潔に記載します。

このたびはご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご家族の皆様のお悲しみはいかばかりかと拝察いたします。ご返信には及びませんので、どうかご自愛ください。

メールでも、返信を求めない配慮が大切です。

「ご返信には及びません」「落ち着かれてからで構いません」といった一文を添えるとよいでしょう。

身内が亡くなった人にかける言葉に、唯一の正解があるわけではありません。

相手の悲しみを急がせず、無理に励まそうとせず、静かに寄り添う姿勢が大切です。

 

 

亡くなった人の戸籍謄本の取り方とは?

亡くなった人の戸籍謄本は、相続人の確認や財産の名義変更など、さまざまな場面で必要になります。

ここでは、戸籍が必要になる場面、取得すべき範囲、そして最新の便利な取得方法(広域交付制度)とその注意点について詳しく解説します。

 

亡くなった人の戸籍謄本が必要になる場面

亡くなった人の戸籍謄本は、主に次の3つの場面で必要になります。

  • 相続人の確認
  • 相続放棄や遺産分割の手続き
  • 預貯金の解約や不動産の名義変更

 

相続人の確認

誰が法律上の正当な相続人であるかを確定するために、亡くなった人の戸籍謄本が必要になります。

戸籍をさかのぼって調べることで、前の配偶者との間の子どもや、認知していた子どもなど、ご家族も把握していなかった相続人の存在が判明するケースも実際には少なくありません。

そのため、遺産分割や預貯金の解約、不動産の名義変更を進める前に、戸籍によって相続人を正確に確認することが重要です。

 

相続放棄や遺産分割の手続き

亡くなった人の戸籍謄本は、相続放棄や遺産分割の手続きでも必要です。

相続放棄をする場合、家庭裁判所に相続放棄の申述を行います。

この際、亡くなった人の死亡の記載がある戸籍謄本や、申述人が相続人であることを示す戸籍謄本などの提出が必要になります。

また、相続人同士で遺産分割協議を行う場合にも、誰が相続人なのかを確定しておく必要があります。

相続人全員が参加していない遺産分割協議は、原則として有効に成立しません。

そのため、遺産分割協議を始める前にも、戸籍を確認して相続人を漏れなく把握することが重要です。

 

預貯金の解約や不動産の名義変更

亡くなった人の戸籍謄本は、預貯金の解約や不動産の名義変更でも必要になります。

金融機関は、亡くなった人の口座を解約したり、預貯金を払い戻したりする際に、相続人が誰であるかを確認します。

そのため、亡くなった人の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑登録証明書などの提出を求められることが一般的です。

また、亡くなった人が不動産を所有していた場合には、法務局で相続登記を行い、不動産の名義を相続人に変更する必要があります。

この相続登記の手続きでも、亡くなった人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本などが必要になります。

必要書類は、金融機関や登記の内容によって異なるため、実際に手続きをする前に、提出先に確認しておくと安心です。

 

取得が必要な戸籍の範囲

相続手続きでは、基本的に、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍を揃える必要があります。

亡くなった人が結婚、転籍、養子縁組、離婚などをしている場合、戸籍が複数に分かれていることがあります。

その場合、最後の戸籍だけを取得しても、出生から死亡までの身分関係を確認できません。

そのため、相続手続きでは、亡くなった人の最後の戸籍から順にさかのぼり、出生時の戸籍まで集めていきます。

 

亡くなった人の戸籍はどこで取れる?

亡くなった人の戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得できます。

また、令和6年(2024年)3月1日からは、戸籍証明書等の広域交付制度が始まりました。

これにより、本籍地が遠くにある方でも、最寄りの市区町村の窓口で、すべての戸籍証明書等を請求できるようになりました(※コンピュータ化されていない戸籍証明書は除く)。

ただし、郵送や代理人による請求はできません。

戸籍証明書等を請求できる方が、市区町村の窓口で請求する必要があります。

戸籍謄本については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ下記ページもお読みください。

 

 

亡くなった人の預貯金を下ろすには?

亡くなった人の預貯金は、相続財産にあたります。

そのため、亡くなった人の銀行口座から預貯金を下ろす場合は、相続人の確認や遺産分割の状況に応じて、金融機関所定の手続きを行う必要があります。

ここでは、亡くなった人の銀行口座がどうなるのか、そして預貯金の払戻しを適切に受けるための方法を解説します。

 

亡くなった人の銀行口座はどうなる?

金融機関が口座名義人の死亡を知ると、亡くなった人の銀行口座は、凍結されるのが原則です。

口座が凍結されると、預貯金の引き出し、振込み、口座振替、ATMでの出金などができなくなります。

公共料金やクレジットカード、施設利用料などの引き落としも止まることがあります。

もっとも、人が亡くなると自動的にすべての金融機関へ通知されるわけではありません。

金融機関が死亡の事実を把握した時点で、口座の取引が制限されるのが一般的です。

しかし、「凍結される前にキャッシュカードで引き出してしまおう」と無断でお金を下ろすことは避けましょう。

他の相続人との間でトラブルに発展したり、引き出した預貯金を自分のために使った場合などには、相続財産を処分したとして、相続放棄との関係で問題になることがあります。

 

亡くなった人の預貯金を下ろす主な方法

亡くなった人の預貯金を下ろす方法は、主に次の3つです。

亡くなった人の預貯金を下ろす主な方法

どの方法を使うべきかは、遺言書の有無、相続人の人数、相続人間の話し合いの状況、すぐに必要な費用の有無などによって異なります。

 

遺産分割前の払戻し制度を利用する

遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で亡くなった人の預貯金を払い戻せる制度があります。

家庭裁判所で手続きをしないで金融機関で払い戻しを受ける場合、相続人は、原則として、次の金額の範囲で預貯金の払戻しを受けることができます。

相続開始時の預貯金額 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分(※)

ただし、同じ金融機関から払い戻せる金額には上限があり、1金融機関あたり150万円までとされています。

なお、この制度により払い戻しを受けた金額は、後の遺産分割において、その相続人が遺産の一部として取得したものと扱われます。

※法定相続分とは、法律で決められた、遺産を分ける割合の基準のことです。

 

遺言書に基づいて払い戻す

亡くなった人が遺言書を残している場合は、遺言書の内容に基づいて預貯金の払戻しや解約を行うことがあります。

例えば、遺言書で「長男に〇〇銀行の預金を相続させる」と定められている場合、その相続人が金融機関に必要書類を提出して払戻しを受けることが考えられます。

また、遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者が金融機関で手続きを行うこともあります。

ただし、遺言書がある場合でも、金融機関によって必要書類や確認事項は異なります。

自筆証書遺言の場合には、原則として家庭裁判所の検認(けんにん:遺言書の偽造や変造を防ぐための確認手続き)が必要になる点にも注意が必要です。

 

遺産分割協議後に払い戻す

遺言書がない場合や、相続人全員で話し合って預貯金の分け方を決める場合には、遺産分割協議後に払い戻す方法が一般的です。

遺産分割協議とは、相続人全員で、亡くなった人の遺産を誰がどのように取得するかを話し合う手続きです。

預貯金についても、相続人全員で合意することで、その内容に従って払戻しや解約を進めることができます。

 

銀行口座解約の必要書類

亡くなった人(被相続人)の銀行口座を解約する際に必要な書類は、金融機関や手続きの内容によって異なります。

一般的には、次のような書類を求められることが多いです。

  • 遺言書(ある場合)
  • 遺産分割協議書(ある場合)
  • 各金融機関が用意している払戻請求書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 相続人を確認できるすべての戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 手続きする人の本人確認書類
  • 通帳、キャッシュカードなど

ただし、すべてのケースで上記の書類が必要になるわけではありません。

遺言書がある場合、遺産分割協議書がある場合、法定相続分で払い戻す場合、遺産分割前の払戻し制度を利用する場合など、手続きの方法によって必要書類は変わります。

そのため、詳しくは口座を解約したい銀行の案内に従うようにしてください。

 

亡くなった人の預貯金が少額の場合

亡くなった人の預貯金が少額の場合、金融機関ごとの簡易手続を利用できることがあります。

例えば、残高が一定額以下である場合には、通常よりも簡略化された書類で払戻しに応じてもらえるケースがあります。

必要書類や基準額は金融機関によって異なるため、口座のある金融機関に確認しましょう。

ただし、預貯金が少額であっても、亡くなった人の相続財産であることに変わりはありません。

少額だからといって、勝手に引き出して自分のために使ったりすると、後から他の相続人に説明を求められたり、相続放棄との関係で問題になったりすることがあります。

葬儀費用や病院代など、必要な支払いのために使用した場合には、領収書、請求書、通帳の履歴などを残しておきましょう。

 

 

亡くなった人の確定申告は必要?

亡くなった人の確定申告は、「準確定申告」といいます。

亡くなった人が生前に個人事業をしていた場合、不動産収入があった場合、給与収入が高額だった場合などには、準確定申告が必要になる可能性があります。

一方で、すべてのケースで準確定申告が必要になるわけではありません。

ここでは、準確定申告の意味や必要になるケース、申告を行う人などについて解説します。

 

亡くなった人の確定申告は「準確定申告」

亡くなった人の確定申告は、準確定申告といいます。

通常の確定申告は、1月1日から12月31日までの所得について、翌年に申告する手続きです。

これに対し、準確定申告とは、年の途中で亡くなった場合に、その年の1月1日から死亡した日までの所得金額と税額を計算し、相続人が申告する手続きです。

なお、準確定申告はあくまで亡くなった方の「所得税」に関する精算手続きです。

亡くなった方の遺産に対して課せられる「相続税の申告」とは別の手続きですので、混同しないように注意しましょう。

 

準確定申告が必要になる主なケース

準確定申告が必要になるかどうかは、亡くなった人の所得や控除の内容によって判断します。

亡くなった方が自営業(個人事業主)であった場合や、アパート経営などで不動産所得があった場合は、準確定申告が必要になることが多いです。

給与所得者(会社員)や年金受給者であっても、生前の収入状況によっては申告が義務付けられます。

具体的には、次のようなケースです。

  • 給与の収入金額が2,000万円を超えていた
  • 2か所以上から給与を受け取っており、年末調整されていない給与等がある
  • 公的年金等の収入金額が400万円を超えている
  • 給与や年金以外の所得(満期保険金や副業など)が20万円を超えていた
  • 土地、建物、株式などを売却し、譲渡所得が発生している

一方で、申告の義務はなくても、準確定申告を行うことで払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)ケースもあります。

代表的なのは、亡くなった年に高額な医療費を支払っていた場合(医療費控除)や、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合です。

入院や治療費の領収書が残っている場合は、還付が見込めるか確認してみましょう。

 

準確定申告を行う人

準確定申告は、亡くなった方の相続人全員で行うのが原則です。

相続人が複数いる場合は、相続人全員が連署(一つの申告書に全員が署名)して税務署へ提出します。

各相続人が別々に申告書を提出することも法律上は可能ですが、その場合は申告した内容を他の相続人に通知する義務が生じます。

実務上は、計算間違いや申告漏れを防ぐためにも、相続人全員で協力して一つの申告書を作成・提出するのが一般的です。

 

準確定申告の期限

準確定申告の期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」と定められています。

通常の確定申告の時期(翌年の2〜3月)を待つ必要はなく、多くのケースでは、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内に、申告と納税を行う必要があります。

この期限を過ぎてしまうと、申告内容や納税額によっては、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されることがあるため、十分な注意が必要です。

 

 

亡くなった人の物を処分するのは要注意

亡くなった人の物を処分するのは要注意

身内が亡くなった後、慌てて「遺品整理(部屋の片付け)」を始めようとする方が少なくありません。

しかし、亡くなった人の物を処分するときは、相続との関係に注意が必要です。

 

亡くなった人の物は「相続財産」にあたることがある

亡くなった人が所有していた物は、日用品であっても、法律上は相続財産に含まれることがあります。

預貯金や不動産が相続財産になることはよく知られていますが、それだけではありません。

自動車、貴金属、時計、骨董品、美術品、まだ使用できる家電製品や家具など、財産的価値がある物は、相続財産として扱われます。

そのため、他の相続人に無断で勝手に売却したり、捨ててしまったり、あるいは親族間で「形見分け」として譲り受けたりすると、他の相続人から「遺産を勝手に処分した」と主張され、トラブルになることがあります。

相続人全員での遺産分割協議が終わるまでは、財産的価値がある遺品については、原則として現状維持に努める方が安心です。

 

相続放棄ができなくなる可能性がある

相続放棄を検討している場合には、亡くなった人の物を処分する前に慎重に判断する必要があります。

民法上、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合、原則として、相続を単純承認したものとみなされます。

単純承認とは、亡くなった人の財産だけでなく、借金などの負債も含めて相続することです。

そのため、亡くなった人の財産的価値のある物を売却したり、廃棄したり、自分のものとして使用したりすると、相続放棄との関係で問題になることがあります。

 

ワンポイント:保存行為や最低限の片付けは許される場合があります

遺品に触れてはいけないとはいえ、冷蔵庫の中の腐りかけの生鮮食品や、明らかに財産的価値のないゴミ(生活ゴミ)まで放置しなければならないわけではありません。

腐敗した食品を処分して衛生状態を保つことや、壊れた窓ガラスを応急的に修理して防犯対策をすることなどは、一般的には財産の価値を維持するための保存行為と評価されます

保存行為にとどまる限り、それだけで直ちに相続放棄ができなくなるわけではありません。

ただし、「価値のないゴミ」なのか「財産的価値のある遺品」なのか、「単なる形見分け」なのか「相続財産の処分」なのかは、事案によって判断が分かれることがあります。

相続放棄を少しでも検討している場合は、自分で片付けを始める前に、弁護士にどこまで片付けてよいかを相談することをおすすめします。

相続放棄については、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ぜひ下記ページもお読みください。

 

 

亡くなった人がいる方のQ&A

ここでは、亡くなった人がいる方からよく寄せられる質問について、お答えします。

 

親が亡くなったら何をすればいい?


まずは、死亡診断書の受け取りと、死亡届の提出を最優先に行いましょう。

その後、葬儀の手配や、年金・健康保険の資格喪失手続き(14日以内)などを進めます。

役所関係の手続きが一段落したら、預貯金や不動産、借金などの「相続財産」の調査を開始することをおすすめします。

もし借金が多く「相続放棄」をする場合は、3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要になります。

 

亡くなった人を指す呼び方には何がありますか?


法律上、亡くなった人は「被相続人」と呼ばれます。

被相続人とは、相続の対象となる財産や負債を残して亡くなった人のことです。

相続放棄、遺産分割、相続登記などの場面で使われます。

一般的には、「故人」「亡くなった方」「ご逝去された方」などの表現が使われます。

身内については、「亡父」「亡母」「亡夫」「亡妻」などと表現することもあります。

 

亡くなった人の夢を見るのはどうして?


大切な人を失った直後に、その人の夢を見るのはごく自然なことです。

悲しみを受け入れるための心のプロセスの一部とも言われており、無理に忘れようとしたり、思い悩んだりする必要はありません。

ただし、不眠や心身の不調が長く続く場合は、一人で抱え込まずに医療機関やカウンセラーに相談することをご検討ください。

 

亡くなった人に会いたいときどうすればいい?


亡くなった人に会いたいと思うことは、自然な感情です。

無理に忘れようとする必要はありません。

お墓参りをする、写真を見る、手紙を書く、思い出を家族と話すなど、自分にとって負担の少ない方法で気持ちを整理していきましょう。

一方で、相続手続きや遺品整理がつらくて進められないという場合には、弁護士などの専門家に手続きを任せることもできます。

 

亡くなった人の顔を見に行くときの服装は?


亡くなった人の顔を見に行くときは、場面に応じて服装を選びます。

葬儀前に自宅や安置場所へ弔問する場合は、黒や紺、グレーなどの地味な平服で差し支えないことが多いです。

通夜や葬儀に参列する場合は、喪服または準喪服を着用するのが一般的です。

派手な色の服、強い香水、過度なアクセサリーは避けましょう。

 

 

まとめ

亡くなった人がいるときは、何から始めればよいのかわからず、不安になる方が少なくありません。

まずは、死亡診断書の受け取りや葬儀社の選定など、死亡直後に必要な手続きを一つずつ進めましょう。

その後、健康保険、介護保険、年金、勤務先、公共料金や携帯電話などの契約関係を整理していきます。

ただし、預貯金を下ろす場合や遺品を処分する場合には、相続人間のトラブルや相続放棄への影響に注意が必要です。

相続放棄を検討している場合は、財産に手を付ける前に、できるだけ早く方針を確認しましょう。

亡くなった人に関する手続きで迷ったときは、期限のあるものを優先しつつ、相続に関わる判断は慎重に進めることが大切です。

戸籍の収集、預貯金の払戻し、遺産分割、相続放棄、遺品処分などで不安がある場合には、弁護士に相談することで、今後の見通しを整理しやすくなります。

弁護士法人デイライト法律事務所では、相続事件に注力する弁護士が在籍する専門部署を設置しており、相談から交渉、裁判対応まで一貫してサポートしています。

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相続に関する不安を抱えている方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

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