遺産を独り占めした人の多くは、最終的に法的制裁や家族関係の破綻といった厳しい末路をたどることになります。
相続は本来、法律に基づいて公平に財産を分配する制度です。
ですが、さまざまな理由から、ひとりの相続人が遺産を独占しようとするケースがあります。
このような行為は、短期的には利益を得られたかのように見えるかもしれません。
しかし、長期的には法的な制裁を受けるだけでなく、家族との絆を永遠に失うという取り返しのつかない結果を招くことがあります。
その背景には、経済的理由や感情的な対立など、さまざまな要因が存在します。
この記事では、遺産を独り占めした人の末路について、遺産の不正取得のパターンや法的な制裁、遺産の独り占めを防ぐ方法、対処法などを、弁護士が解説します。
目次
遺産を独り占めした人の末路とは?ケース別に解説
遺産を独り占めした人にどのような末路が待っているかは、ケースによって変わってきます。
単に「自分がすべて相続するものだ」という誤解から行動した場合と、意図的に他の相続人の権利を侵害した場合では、結果も大きく異なります。
また、独り占めの方法や時期によっても、直面する法的問題は変わってきます。
ここでは、遺産を独り占めした人がたどる末路を、ケース別に解説します。
生前に独り占めするケース
生前に遺産を独り占めするケースとしては、被相続人(亡くなった人)がまだ生きている間に、その財産を不当に取得したり、自分に有利になるよう働きかけたりするケースがあります。
このような行為は、相続法上のさまざまな問題を引き起こします。
なお、以下では、生前の段階であっても「被相続人」と表記しています。

生前に財産を使い込んだ
被相続人が高齢で判断能力が低下している間などに、その財産を勝手に使い込むケースがあります。
厳密に言えば「遺産」を使い込んでいるわけではありませんが、使い込んだ分だけ相続財産が減少することから、遺産独り占めの一種といえます。
このような行為を行った相続人は、「相続廃除」の対象となる可能性があります。
相続廃除とは、相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱を行った場合に、被相続人の請求により家庭裁判所の審判を経て相続権を失わせる制度です。
民法では、「被相続人に対して虐待をし、若しくは重大な侮辱を加えたとき、又は著しい非行があったとき」に廃除の対象となると規定しています(892条)。
参考:民法|e-Gov法令検索
被相続人の財産を無断で使い込む行為は、「著しい非行」に該当する可能性があります。
相続廃除された場合、相続人は完全に相続権を失うことになり、遺留分すら請求できなくなります。
また、被相続人が亡くなった後でも、他の相続人から相続廃除の遺言があったことを理由に、相続権を争われる可能性があります。
このような末路を避けるためにも、被相続人の財産は、たとえ将来自分が相続するものであっても、勝手に使用することは避けるべきです。
相続廃除の詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
親の認知症などを利用して無効な遺言を作成させた
認知症などで判断能力が低下した被相続人に対し、強引に自分に有利な遺言を作成させるケースも見られます。
このような遺言は、後に遺言無効の訴えによって覆される可能性があります。
民法では、遺言をする時点で遺言能力有する必要があるとされており、認知症が進行して判断能力を失っている状態での遺言は、無効となる可能性があります(963条)。
参考:民法|e-Gov法令検索
そのような不正な手段で作成した遺言は、最終的に無効となり、法定相続分に基づいた公平な分配が行われることになります。
また、だますなどの詐欺的な手段で遺言を作成させた場合は、欠格事由に該当する可能性があります(民法891条4号)。
欠格事由に該当すると、その部分だけでなく一切の相続権を失うことになります。
具体的には、「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、又は取り消すことを妨げた者」は相続欠格者となり、相続権を失います。
さらに、このような行為は家族の信頼を失うことにもつながり、家族関係の修復が困難になる可能性もあります。
認知症と遺言の効力についての解説は、以下のページをご覧ください。
生前贈与を利用して、実質的に遺産を独り占めする
被相続人が生きているうちに、特定の相続人だけが多額の財産を生前贈与として受け取り、実質的に遺産を独り占めしようとするケースもあります。
しかし、このような行為は法的に「特別受益」とみなされ、最終的には公平な分配がなされるように調整されます。
特別受益とは、特定の相続人が亡くなった方から受けた「遺産の前渡し」といえるような特別な利益のことです。
住宅資金や事業資金の援助、他の相続人と比べて不公平といえるほどの高額な学費などがこれにあたります。
一方で、通常の生活費の援助や、常識の範囲内のお祝いなどは特別受益とはみなされないのが一般的です。
民法では、特定の相続人だけが生前に多くの贈与を受けていた場合、その金額を一旦すべての遺産に合算した上で、各相続人の取り分を計算し直すことになっています(民法903条1項)。
参考:民法|e-Gov法令検索
つまり、多額の生前贈与を受けていた場合、「相続財産の前渡し」とみなされるということです。
その結果、実際の遺産分割では、その分を差し引いた額しか受け取れないことになります。
また、被相続人の意思に反して生前贈与を強要したような場合は、相続廃除の対象となる可能性もあります。
このように、生前贈与を通じた遺産の独り占めは、最終的に法的な調整を受け、不当に利益を得ることはできないという結果に至ります。
特別受益についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
相続開始後に独り占めするケース
相続開始後、つまり被相続人が亡くなった後に遺産を独り占めするケースもあります。
このような行為も、さまざまな法的問題を引き起こします。

「すべて相続させる」旨の遺言があった
「すべてを相続させる」という遺言があった場合でも、実際にすべての相続財産を独占することができるわけではありません。
たとえそのような遺言がある場合でも、他の相続人には「遺留分」という最低限の権利が保障されているためです。
遺留分とは、被相続人の財産のうち、一定の割合について、相続人に最低限保障される取り分のことです。
民法では、直系尊属(両親など)のみが相続人である場合は相続財産の3分の1、それ以外(配偶者は子供など)の場合は相続財産の2分の1が遺留分の総額となります(民法1042条)。
参考:民法|e-Gov法令検索
たとえば、配偶者と子2人が相続人である場合、配偶者の遺留分は4分の1(全体の2分の1×法定相続分2分の1)、子それぞれの遺留分は8分の1(全体の2分の1×法定相続分4分の1)となります。
遺言で、全財産を特定の相続人に相続させると指定された場合でも、他の相続人は遺留分を請求することができます。
遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使して、不足分の支払いを求めることができます。
このような遺留分の請求を受けた場合、遺言によって全財産を相続した人は、金銭による支払いが必要となります。
結果として、「すべて相続させる」旨の遺言があっても、実質的には全財産を独占することはできず、他の相続人の権利を尊重する必要があるということです。
遺留分についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
勝手に使い込んだ
相続開始後に、他の相続人に知らせることなく遺産を勝手に使い込むケースも見られます。
このような行為をした場合、不当利得として返還請求される可能性があります。
不当利得とは、法律上の原因なく他人の財産から利益を得て、それによって他人に損失を与えた場合に、その利益を返還する義務が生じるものです(民法703条)。
参考:民法|e-Gov法令検索
相続財産は、相続人全員の共有財産となるため、勝手に処分することは許されません。
他の相続人の持分を侵害して使い込んだ場合、使い込んだ相続人は不当利得として、他の相続人の法定相続分に相当する金額を返還する義務があります。
このように、遺産を勝手に使い込んだとしてもその分の返還義務を負うことになるため、独り占めすることはできないのです。
遺産の使い込みについての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
遺産分割に応じない
遺産分割協議に応じず、実質的に遺産を独占しようとするケースもあります。
遺産分割協議とは、相続人全員が話し合いによって、誰がどの財産を取得するか、遺産の分け方を決める手続きです。
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要であり、一人でも反対する相続人がいれば成立しません。
しかし、一部の相続人が遺産分割協議に応じない場合、その相続人が事実上遺産を管理し続けることで、実質的に遺産を独占してしまう状況が生じることがあります。
たとえば、被相続人と同居していた相続人が、預金通帳や不動産の権利証などを管理しており、他の相続人に情報を開示せず、協議にも応じないというケースです。
このような状況では、他の相続人は自分の相続分を受け取ることができず、事実上、遺産が独占されてしまいます。
また、協議に応じないことで時間を稼ぎ、その間に遺産を使い込んだり、処分したりするケースも見られます。
しかし、このような場合、他の相続人は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が間に入り、当事者間の話し合いによって遺産分割の問題を解決する手続きです。
調停で合意に至らない場合は、審判手続きに移行し、裁判所が遺産分割の内容を決定することになります。
裁判所は、各相続人の法定相続分や寄与分、特別受益などを考慮して、公平な分割を実現しようとします。
特に、遺産分割に応じない相続人がいる場合、裁判所は他の相続人の利益を保護するために、より積極的に介入する傾向があります。
また、遺産分割調停や審判の過程で、隠していた財産や不正な行為が発覚するリスクもあります。
さらに、悪質な場合には、調停や審判の過程で出された決定に従わないと、強制執行の対象となることもあります。
このように、遺産分割に応じないという方法で遺産を独占しようとしても、最終的には法的な手続きによって公平な分割が実現されることになります。
遺産分割協議についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
なぜ遺産を独り占めしてしまうのか?
遺産を独り占めしてしまう背景には、さまざまな理由があります。
経済的な理由から行動する場合もあれば、感情的な対立や環境要因が影響することもあります。
ここでは、遺産の独り占めに至る主な理由を解説し、なぜこのような行為に走ってしまうのかを考えてみましょう。
経済的理由
経済的な困窮や不安が、遺産の独り占めにつながるケースは少なくありません。
借金がある、失業中、収入が不安定など、個人的な経済問題を抱えており、目の前にある親の財産に手を出してしまうケースがあります。
特に、多額の借金を抱えている場合や、生活に困窮している場合は、親の財産が唯一のよりどころに見えてしまうことがあります。
また、将来の経済的不安から、可能な限り多くの財産を確保しておきたいという心理も働きます。
このような経済的理由による遺産の独り占めは、一時的な問題解決にはなるかもしれません。
しかし、長期的には法的な責任を問われ、さらに経済的な負担が増えるリスクがあります。
また、家族との関係が壊れることで、精神的なサポートを失い、より孤立した状況に陥る可能性もあります。
経済的な困難を理由に遺産を独り占めすることは、短期的な解決策にはなり得ても、長期的には法的制裁や家族関係の破綻というより大きな問題を引き起こすことになります。
感情的理由
遺産の独り占めは、しばしば感情的な要因が大きく影響しています。
家族間の感情的なしこりや対立が、公平な遺産分割を妨げることがあります。
介護などで面倒を見ていた
被相続人の介護や世話を一人で担ってきた相続人が、「自分に世話を押しつけられた」「自分ばかりが苦労した」という感情から、遺産を独占しようとするケースがあります。
たしかに、被相続人の介護や世話を長期間にわたって行った場合、その貢献度に応じて、法定相続分に上乗せする形でより多くの財産を受け取ることが認められる場合があります(寄与分)。
しかし、寄与分は一定の範囲内で認められるものであり、寄与分があるからといって、遺産を独り占めできるわけではありません。
寄与分の算定には、介護の期間や内容、他の相続人の協力状況などが考慮されますが、通常は遺産の一部に限られます。
また、介護を理由に遺産を独占しようとすると、他の相続人との間で感情的な対立が深まり、法的な紛争に発展するリスクが高まります。
結果として、介護の苦労に見合った評価を得るどころか、家族との関係が破綻し、精神的な負担が増えるという末路をたどることになります。
寄与分がある場合の遺産分割については、以下のページをご覧ください。
不仲や感情的な対立など
兄弟姉妹間や親子間の不和が、遺産の独り占めにつながることがあります。
この場合、必ずしも遺産を金銭的に独占したいわけではなく、「あいつには渡したくない」という感情が主な動機となっています。
長年にわたる確執や、過去の出来事に対する恨みなどが、公平な遺産分割を妨げる要因となることがあります。
しかし、このような感情的な理由による遺産の独り占めは、法的には認められません。
相続法は、原則として各相続人の法定相続分に基づいた公平な分配を前提としており、個人的な感情は考慮されません。
また、感情的な対立を理由に遺産を独占しようとすると、その対立はさらに深まり、家族関係が修復不可能なまでに悪化する可能性があります。
さらに、法的な紛争に発展した場合、裁判費用などの経済的負担も生じます。
感情的な理由で遺産を独り占めしようとした結果、精神的にも経済的にも大きな代償を払うことになるのです。
環境や状況によるもの
遺産の独り占めは、相続人を取り巻く環境や状況によっても引き起こされることがあります。
物理的な環境や法的知識の不足が、結果として不公平な遺産分配につながるケースを見ていきましょう。
被相続人と同居の親族による独り占め
被相続人と同居していた相続人が、他の相続人に知らせることなく遺産を独占するケースがあります。
これは、空間的に近く自分の物にしやすいという環境が影響しています。
同居の相続人は、被相続人の預金通帳や印鑑、重要書類などにアクセスしやすいことが多いです。
そのため、被相続人の死後、すぐに財産を自分の名義に移したり、使用したりすることができます。
また、他の相続人が遠方に住んでいる場合、遺産の全容を把握しにくく、同居していた相続人の説明を信じるしかないという状況も生まれます。
しかし、このような行為は、他の相続人の権利を侵害するものであり、後に発覚した場合、法的な責任を問われることになります。
また、隠していた事実が明らかになることで、家族からの信頼を完全に失うことにもなります。
同居していたという事実は、相続においてある程度の寄与分が認められる可能性はありますが、それを理由に遺産を独占することは認められません。
遺言書に書かれてあった
「すべてを相続させる」という遺言があったため、他の相続人の権利を無視して遺産を独占するケースもあります。
しかし、先述したように、他の相続人には遺留分という最低限の権利が保障されています。
これは、すべてを特定の相続人に相続させるという遺言があった場合でも同様です。
また、遺言の有効性についての知識不足から、形式的に無効な遺言や、被相続人の真意を反映していない遺言を根拠に、遺産を独占しようとするケースもあります。
しかし、このような誤解や知識不足に基づく行為も、法的には認められず、最終的には他の相続人の権利が保護されることになります。
知識不足や認識の欠如
相続に関する法的知識の不足や誤解が、遺産の独り占めにつながることもあります。
たとえば、「少しずつ預金を引き出せば気づかれない」「長男だから全部もらえるはずだ」「生前贈与は相続財産とは関係ない」といった安易な考えや誤った認識が、後の大きなトラブルにつながります。
こうした法的知識の不足は、結果として他の相続人の権利を侵害する行為につながり、後に法的な責任を問われることになります。
知識不足や認識の欠如による遺産の独り占めも、最終的には法的な調整を受け、公平な分配が実現されることになるのです。
遺産の独り占めを防ぐには
遺産の独り占めは、家族間の深刻な対立を引き起こし、長期にわたる法的紛争の原因となります。
このような事態を防ぐためには、被相続人自身が生前から適切な対策を講じることが重要です。
ここでは、遺産の独り占めを防ぐための効果的な方法を解説します。

意思を明確に書面で残す
被相続人の意思を「遺言書」の形で書面で残すことは、遺産の独り占めを防ぐ最も基本的な対策です。
特に、公正証書遺言は、公証人の面前で作成され、原本が公証役場に保管されるため、安全性が高いという特徴があります。
遺言の内容が明確であれば、相続人間で解釈の相違が生じにくくなります。
また、信頼できる第三者を遺言執行者に指定することも有効です。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するための権限を持ち、公平な遺産分割を促進する役割を果たします。
このように、被相続人の意思を明確に書面で残すことで、相続人が遺産を独り占めしようとする余地を減らすことができます。
遺言書についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
財産状況をオープンにする
財産の全容を家族間で共有することも、遺産の独り占めを防ぐ上で重要です。
財産目録を作成して家族と共有し、定期的に家族会議を開くことで、相続人間の情報格差や不信感をなくします。
財産目録には、預貯金、不動産、有価証券、生命保険、美術品など、すべての資産と負債を記載します。
また、財産の保管場所や管理方法についても情報を共有することが大切です。
定期的な家族会議では、被相続人の意向を伝え、各相続人の希望や懸念を話し合う機会を設けます。
このように財産状況をオープンにすることで、一部の相続人が情報を独占し、遺産を隠したり独占したりする余地がなくなります。
生前のうちに財産管理の方法を工夫する
生前から計画的に財産を管理・移転することで、相続時のトラブルを防ぐことができます。
家族信託や生前贈与を活用して計画的に財産を移転したり、生命保険の受取人を指定したりすることで、争いの種になりやすい現金を円満に渡せます。
家族信託は、被相続人が信頼できる家族に財産管理を託す仕組みで、認知症になった場合でも柔軟に対応できるというメリットがあります。
生前贈与は、財産を少しずつ移転することで、相続時の争いを減らす効果があります。
ただし、特定の相続人にのみ贈与を行うと、他の相続人との公平性が問題となるため、バランスを考慮する必要があります。
生命保険の活用も効果的で、相続税の非課税枠を利用しながら、指定した受取人に確実に財産を渡すことができます。
このように、生前から財産管理の方法を工夫することで、相続時のトラブルを未然に防ぐことができます。
認知症などによる将来のリスクに備える
高齢になると認知症などで判断能力が低下するリスクがあり、そうなると財産管理が困難になります。
このような状況に備え、任意後見制度などを利用して、信頼できる人に財産管理を託す準備をしておくことが重要です。
任意後見制度は、判断能力が低下する前に、将来の財産管理や生活支援を任せる人(任意後見人)をあらかじめ決めておく制度です。
また、家族の中から後見人を選ぶことが難しい場合は、弁護士などの専門家に依頼することも検討できます。
このように、認知症などによる将来のリスクに備えることで、判断能力が低下した状態で特定の相続人に財産を独占される事態を防ぐことができます。
あなたの遺産が独り占めされたら?対処法を解説
もし家族の中に遺産を独り占めしようとする人がいた場合、適切に対処することが重要です。
ここでは、遺産が独り占めされた場合の効果的な対処法を解説します。

まずは証拠を集める
遺産の独り占めに対処するためには、まず客観的な証拠を集めることが重要です。
遺産目録、預貯金の取引履歴、不動産の登記事項証明書など、財産の全体像と現状を把握できる客観的な資料を収集します。
被相続人の通帳のコピーや、生前の財産状況を示す書類があれば、それらも重要な証拠となります。
また、独り占めを行っている相続人とのやり取りを記録しておくことも大切です。
メールや手紙、電話での会話内容をメモするなど、後で証拠として使える形で記録を残しておきましょう。
このように証拠を集めることで、後の交渉や法的手続きの際に自分の主張を裏付けることができます。
他の相続人と連携する
遺産の独り占めに対しては、他の相続人と協力して対応することが効果的です。
一人で抱え込まず、他の相続人と情報を共有し、協力して対応するための体制を築きます。
直接話し合いの場を設けるとよいでしょう。
家族会議を開催し、各自が持っている情報を共有することで、遺産の全体像を把握しやすくなります。
また、複数の相続人が共同で行動することで、独り占めを行っている相続人に対する交渉力も高まります。
ただし、感情的な対立が深まらないよう、冷静かつ事実に基づいた話し合いを心がけることが大切です。
財産が勝手に処分されないよう手続きする
遺産が独り占めされる可能性がある場合、早急に財産を保全する手続きを取ることが重要です。
金融機関に連絡して被相続人の口座を凍結したり、法務局で不動産の登記状況を確認したりして、財産の保全を図ります。
金融機関に対しては、被相続人の死亡証明書を提示し、相続手続きが完了するまで口座を凍結するよう依頼します。
不動産については、法務局で登記簿謄本を取得し、所有権の移転がないか確認します。
また、貴重品や美術品などの動産については、現状を写真に撮るなどして記録しておくとよいでしょう。
このように、財産が勝手に処分されないよう適切な手続きを取ることで、遺産の保全を図ることができます。
内容証明郵便で請求の意思を伝える
話し合いで解決しない場合、内容証明郵便で遺産の返還や遺産分割協議の実施を求める正式な書面を送付し、こちらの意思を明確に伝えます。
内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を相手に送ったかを公的に証明できる郵便制度です。
書面には、遺産目録の提示や、特定の財産の返還、遺産分割協議の開催など、こちらの要求する事項をはっきり記載します。
また、要求に応じない場合の対応(法的手続きを取る可能性があることなど)についても、触れておくとよいでしょう。
内容証明は、あくまで送ったことの記録が残るだけのものではありますが、内容証明を送付するということ自体が、一定の重みをもつという面もあります。
このような正式な書面を送ることで、相手に問題の深刻さを認識させ、適切な対応を促すことにもなります。
家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
当事者間での解決が難しい場合の最終手段として、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが考えられます。
調停とは、裁判所の調停委員が当事者の間に入り、話し合いによる解決を目指す手続きです。
裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、双方の意見を聞きながら、互いに納得できる解決策を探ります。
調停委員が間に入ることで、公平な話し合いによる解決が期待できます。
遺産分割調停の申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
申立書には、相続人全員の氏名や住所、相続財産の内容、申立ての趣旨などを記載します。
調停では、各相続人の主張を聞いた上で、調停委員が公平な解決案を提示します。
調停で合意に至らない場合は、審判手続きに移行し、裁判所が遺産分割の内容を決定することになります。
このように、法的な手続きを利用することで、遺産の独り占めに対して公正な解決を図ることができます。
遺産分割調停についての詳しい解説は、以下のページをご覧ください。
遺産を独り占めをされた方が弁護士に相談するメリット
遺産の独り占めに対処するためには、法的な知識と経験が不可欠です。
弁護士に相談することで、以下のような多くのメリットが得られます。
まず、弁護士は相続法に精通しており、依頼者の権利を守るための最適な方法を提案できます。
特に、遺産分割協議や調停、審判といった法的手続きについて、専門的なアドバイスが受けられます。
また、弁護士が代理人として相手方と交渉することで、感情的な対立を避けながら冷静に問題解決を図ることが可能です。
さらに、弁護士は証拠の収集や財産の保全方法にも詳しいため、ご自身で対応するよりも効果的に手続きを進められます。
たとえば、被相続人の預金取引履歴の取得や、不動産の権利関係の調査など、具体的な手続きを任せることができます。
弁護士に依頼することで、今後の見通しを立てやすくなる点も大きなメリットです。
ご自身の権利がどの程度認められるか、解決までに要する時間や費用など、現実的な見通しを知ることで、安心して手続きに臨めます。
特に、遺産の額が大きい場合や、相手が話し合いに応じないケースでは、弁護士への相談が極めて有効です。
相続問題を弁護士に相談するメリットについては、以下のページをご覧ください。
遺産を独り占めについてのQ&A
![]()
遺産を独り占めするとどうなるのか?
具体的には、遺留分侵害額請求や不当利得返還請求などの民事訴訟を起こされるリスクがあります。
また、家庭裁判所での遺産分割調停や審判によって、公平な分配が行われることもあります。
さらに、家族関係の破綻という精神的な代償も大きいといえるでしょう。
![]()
遺産相続で揉める家族の特徴は?
まず、日頃からコミュニケーション不足で、お互いの考えや希望を共有していない家族が多いです。
また、被相続人の生前から兄弟姉妹間や親子間で感情的な確執があるケースも少なくありません。
さらに、相続に関する知識が不足しており、誤解や思い込みによって対立が深まるケースも見られます。
事前に遺言や家族会議などの準備をしていない家族も、もめやすい傾向にあります。
まとめ
この記事では、遺産を独り占めした人の末路について、遺産の不正取得のパターンや法的な制裁、遺産の独り占めを防ぐ方法、対処法などを解説しました。
記事の要点は、次のとおりです。
- 遺産を独り占めした人は、最終的に法的制裁を受け、他の相続人への返還や賠償を余儀なくされる。
- 遺産の独り占めには、生前に財産を使い込むケースや相続開始後に分割に応じないケースなど、さまざまなパターンがある。
- 独り占めの背景には、経済的理由や感情的対立、知識不足など複数の要因が存在する。
- 遺産の独り占めを防ぐには、公正証書遺言の作成や財産状況の共有、任意後見制度の活用などが効果的である。
- 遺産を独り占めされた場合は、証拠収集や他の相続人との連携、相続問題に強い弁護士への相談などが重要である。
当事務所では、相続に注力する弁護士及び税理士からなる専門チームを構築しています。
相続対策チームは、相続に関する専門知識やノウハウを活用し、相続問題の解決に尽力しています。
遠方にお住まいの方でもお気軽に当事務所の専門サービスをご利用いただけるように、LINE、Zoom、などを活用したオンライン相談をご提供しております。
相続問題については、当事務所の相続弁護士までお気軽にご相談ください。
