会社・職場での事故(労働災害)

109381例えば、労働者が会社・職場で業務中に災害に遭い、後遺障害を負った場合、労災請求や使用者(会社)に対して損害賠償請求が可能です。

ここでは、このような労働災害について解説します。

 

労働基準法上の災害補償

労働者が業務上において人身傷害を負った場合、使用者は療養のための費用を負担しなければなりません。

また、その労働者が働けない場合、休業中の賃金を一定程度、補償しなければなりません。

ただし、労働者が下記の「労災保険法による労災保険給付」を受ける場合、使用者は災害補償の責めを免れることができます(労働基準法84条1項)。

 

 

労災保険法による労災保険給付

使用者の災害補償だけでは、労働者の救済としては不十分です。

そこで、災害補償を補完する制度として、労働者災害補償保険法による労災保険制度があります。

【休業している場合】

労災保険では、次の補償があります。

療養補償給付:治療費の補償
休業補償給付:休業日数に応じた平均賃金の6割

さらに休業特別支給金として平均賃金の2割の額の補償
障害補償給付:障害等級認定を受けた場合の補償
遺族補償給付:死亡事故の場合の遺族に対する補償

遺族補償年金または遺族補償一時金という形で支給
葬祭料:葬祭に通常要する費用
傷病補償年金:療養開始後1年6ヶ月を経過した日において、負傷、疾病の程度が一定程度に達している場合に支給
介護補償給付:介護を受けている労働者に支給

 

【対象となる場合】

労働災害が労災保険の給付の対象となるためには、①業務遂行性と②業務起因性という二つの要件を満たす必要があります。

①業務遂行性
業務遂行性とは、当該災害が業務を遂行する機会に発生したということをいいます。
通常の業務中だけでなく、担当業務の遂行に必要な行為、付随する行為等もこれに含まれます。

②業務起因性
業務起因性とは、業務と負傷・死亡・病気について、業務との間に因果関係があることをいいます。

労災保険は、上記の業務遂行性と業務起因性の要件を満たせば給付されます。

次に述べる民法上の損害賠償請求とは異なり、使用者の故意・過失が要件とはされていないことに注意が必要です。

労災保険給付について、くわしくは、当事務所の労働ホームページをごらんください

 

民法上の損害賠償請求

災害補償や労災保険給付だけで、労働者の損害を十分に回復できるとは限りません。

ましてや、使用者が労働者を安全に作業させるための注意を行っていたために労働者が災害に遭うケースもあります。

このような場合、民法上の不法行為(民法709条)や安全配慮義務違反(民法415条)に基づく損害賠償の請求が可能です。

具体的には、労働者若しくは遺族の逸失利益(災害にあわなければ得られたであろう賃金その他の収入の喪失利益)、精神的損害(慰謝料)、治療費、その他の物的損害などのすべての損害賠償の請求が可能です。

ただし、労働者が使用者から災害補償を受けた場合、使用者の民法上の損害賠償責任は、災害補償の価額だけ減免されることになります(労働基準法84条2項)。

また、労災保険給付を受けた場合についても、既支給分については、使用者の民法上の損害賠償責任が減免されることになると考えられています。

したがって、労災補償が行われた場合、労働者が使用者に対して請求できる損害賠償の範囲は、精神的損害(慰謝料)、逸失利益と労災補償の価額の差額となります。

 

上記のように、労災事故は、労災保険に対する知識が必要であり、複雑です。労災問題にくわしい専門家へのご相談をお勧めします。

まずは、福岡にある当事務所にお気軽にご相談ください。