掲載日:2020年1月24日|最終更新日:2020年1月24日

「過去の過大な設備投資などにより借入金が膨らみ、現在の金利負担が重すぎです。」

「売上げが大幅に減少し、経費削減が追いつかない状況です。金融機関にどのように説明すれば良いですか?」

弊所の破産再生チームは、このような相談を多く受けています。

資金繰りが悪化した企業の経営状態を回復するための方法には、いくつかの方法がありますが、その中の一つに第二会社方式による事業再生があります。

経営危機の対処を考えていますか?

第二会社方式による事業再生の説明をする前に、事業再生を行うにあたって重要なことを説明いたします。

事業再生と聞くと、金融機関に債権放棄をしてもらう、金融機関に追加融資をしてもらう、不採算事業の切り離し、従業員のリストラなどを大胆な改革をイメージされる方が多いです。

確かに、資金繰りが極めて悪化した企業の場合には、このような大胆な方法で経営改善を遂行する必要があります。

しかしながら、このような方法は、病気で例えれば、外科手術にあたります。

企業の体制にメスを入れるため、結果として、大きな副作用を生じさせます。

つまり、企業の外部や内部に大きな影響を与えてしまうことになります。

そのため、薬による治療で病気が治癒できるのであれば、それに越したことはありません。

つまり、経営状況が悪化する前に経営努力などによって窮地を脱することができるのであれば、大きな副作用を生じさせないこのような方法で事業の再建に取り掛かるべきです。

そして、大きな副作用を生じさせずに事業の再建を図るためには、早期に着手をすること以上に大切なことはありません。

経営上の問題が発生した場合には、早期に企業内外の専門家に相談することが何よりも重要です。

 

 

全ての経営者が考えておくべき事業再生

また、事業再生とは、資金繰りに行き詰った経営危機の企業だけの問題ではありません。

むしろ、会社経営上、何らかの問題が発生したときには、すぐに内外の人材を活用して解決を試みるという、企業にとって当然のリスク管理の延長線上にあり、全ての企業が常に直面している問題とも密接に関連しています。

例えば、ある企業が人材不足に陥ったとします。

人材不足による倒産は近年増加傾向にありますが、人材不足は事業運営上大きな問題に発展することが多々あります。

人材不足の状態を何もせずに放置すると、近い将来、経営危機に陥ることは容易に想像できると思います。

そこで、人材不足という問題が発生したときに、専門家に相談するなどして、人材不足解消を試みたり、事業の縮小をするなどして、人材不足による経営危機を回避するという企業・経営者にとって、当然のリスク管理の延長線上に、事業再生は位置付けられるのです。

そして、企業の財務状態が悪化すればするほど事業再生の成功可能性は低くなり、企業の財務状態が健全な状態で事業再生に着手することで企業の再建を成功へ導くことが可能となります。

すなわち、事業再生は、経営危機の企業だけの問題ではなく、むしろ、健全な企業の経営者こそ常に考えておくべき問題といえるのです。

 

 

第二会社方式とは?

それでは、可能な限り手を尽くしても経営努力では再建が困難な場合には、やむを得ず、外部の専門家の関与のもと、大胆な改革に着手する必要があります。

その方法の一つに近年増加傾向にある第二会社方式があります。

 

増加傾向にある第二会社方式

従来の会社から資産を譲渡したり、事業を譲渡したり、あるいは会社分割などの方法で、事業を第二会社に移転する方法です。

「経営責任」という金融機関の論理を勘案すると、従来の企業が債権放棄に応じることが困難な場合もあります。

その場合、新しい第二会社を利用して債権の放棄を受けられることがあります。

そして、従来の企業は、残務整理を行うことになります。

なぜなら、第二会社には事業継続に見合う範囲の負債を移転しただけで、その余の部分、すなわち債務超過部分は従来の会社に残っているからです。

そして、残務整理の方法には、破産申立てなどを行うことになります。

 

 

基本スキーム

はじめに、従来の企業における再建計画書及び第二会社における事業計画書を策定し、計画書に基づき債権者に第二会社方式に理解・協力を得る必要があります。

経営に行き詰まり返済が出来なくなったからといって、すぐに第二会社を設立して事業譲渡することで債権放棄を受けられるというわけにはいきません。

債権者の認める範囲で、債権者の立場に配慮しながら落しどころを探る必要があります。

債権者の合意が得られれば実行に移ります。

収益用不動産のような資産のみを第二会社に譲渡する「資産譲渡」、黒字の事業をまるごと第二会社に譲渡する「事業譲渡」などによって、業績の良い部門のみを第二会社で引き取ります。

そして、従来の企業は、破産申立てをするなどして清算することになります。

その際に、第二会社に従来の企業の倒産の影響(連鎖倒産など)が及ばないよう注意する必要があります。

 

 

事業再生を成功させるために

企業の経営状態が極めて悪化した状況で事業再生を成功させるためには、どうしても債権者の協力が必要になります。

そして、債権者の協力とは端的に言えば、債権放棄などが考えられますが、中小企業のために金融機関が債権放棄に応じることは残念ながら多くありません。

そこで、第二会社を利用することで事実上の債権放棄を目指すことが有効な手段になる場合があるのです。

なお、第二会社方式を遂行するためには、緻密な計算と根気強く交渉を重ねることが必要になります。

資金繰りに困窮している、事業の再建を検討しているといった悩みを抱えている経営者の方は一度事業再生を専門とする弁護士に相談することをオススメします。

 

 

 

 

弁護士が解説!倒産・再生についてよくある相談Q&A





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