
地目変更とは、土地の利用目的が変更された場合に、その土地の登記記録の情報を変更することをいいます。
地目変更の登記申請は、費用があまりかからず、必要書類も比較的シンプルです。
しかし、農地を宅地にする場合などは、事前の手続き(農地転用)が必要となります。
また、地目変更の登記申請をせずに放置していると、土地の所有者に10万円以下の過料が科される可能性もあります。
この記事では、地目変更の必要書類や費用、自分で申請する場合の手順や注意点をわかりやすく解説します。
ぜひ参考になさってください。
地目変更とは?

そもそも「地目(ちもく)」とは、土地の利用目的ごとに付けられている名前のようなものです。
例えば、住宅の敷地になっている土地は「宅地」、農耕地の場合は「田」や「畑」などが地目になります。
このほかには、「学校用地」、「山林」、「墓地」、「公園」、「雑種地」などがあります。
土地の地目が変わった場合、所有者は変更があった日から1か月以内に、地目変更の登記を申請しなければなりません(不動産登記法37条参照)。
この登記申請の手続きのことを、一般的に「地目変更」といいます。
そして、この申請を怠ると、10万円以下の過料が課される可能性があります(不動産登記法164条参照)。
例えば、登記記録上の地目が「畑」となっている土地を、一時的に資材置き場として利用する場合でも、地目変更は必要なのでしょうか?
資材置き場の地目は、一般的に「雑種地」となることから、「畑」から「雑種地」への地目変更が必要なのか…?という疑問が生じます。
しかし、この場合には、地目変更の登記申請を行う必要はありません。
現在の土地の利用状況が一時的なものである場合には、地目変更があったとは認定されないからです。
つまり、短期間の利用が前提となっている場合には、地目変更は不要ということになります。
地目変更を検討するケース

「畑」から「宅地」への地目変更
「畑」から「宅地」への地目変更を検討するケースとしては、これまで畑だった土地に、住宅を建てたいと思った場合が考えられます。
ただし、土地の所有者といえども、勝手に地目を「畑」から「宅地」へと変更することはできません。
「畑」から「宅地」への地目変更を行う場合、地目変更の登記を行う前提として、「農地法」という法律に定められている手続きを踏む必要があります。
簡単にいうと、農地を宅地に変更する場合には、農業委員会の許可等を得る必要があるということです。
具体的には、「農地転用届出」、「農地転用許可」、「非農地証明」のいずれかの手続きをとることになります。
これらの手続きの担当窓口は、各市町村に設置されている「農業委員会」になります。
農業委員会の許可等が得られない場合には、地目変更をすることはできませんので、住宅を建てる前に、所定の手続きを行う必要があります。
「山林」から「宅地」への地目変更
山の全部を崩して全体を住宅地にする場合、あるいは山の一部を削り取って平らな住宅地にするような場合に、「山林」から「宅地」への地目変更を検討する必要があります。
ちなみに、地目が「山林」となっている土地に、住宅を建てることができないわけではありません。
建築許可等の所定の手続きを踏めば、山林にも住宅を建てることができます。
そして、山林の場合は、農地とは違って、住宅などを建築してから、土地の地目を「山林」から「宅地」へ変更する流れとなります。
ただし、山林が「保安林」に指定されている場合には注意が必要です。
登記記録上の地目が「山林」となっていても、実は「保安林」に指定されている場合があります。
この場合は、地目変更を行う前に、保安林の解除をする手続きが必要になります。
「雑種地」から「宅地」への地目変更
「雑種地」とは、法律で定められている地目のうち、「田」、「畑」、「山林」、「宅地」など、特定の地目には該当しない土地をいいます。
他の地目には当てはまらない「その他の土地」というイメージです。
例えば、ゴルフ場や飛行場、駐車場や資材置き場などが「雑種地」に分類されています。
こうした用途に利用されている「雑種地」に住宅や店舗、事務所などの建物を建てて「宅地」として利用する場合には、地目変更の手続きが必要となります。
農地転用の場合の地目変更
「農地転用」とは、農地を農業以外の用途(宅地や駐車場など)に変更することをいいます。
農地転用を行う場合には、「農地法」という法律に定められた手続きを踏む必要があります。
具体的には、農地転用について農業委員会の許可等を得る必要があるということです。
このような規制がされている理由は、国内の農業資源を適切に守り、農業とのバランスの取れた土地利用を促進するという点にあります。
日本では農地の面積が年々減少していることから、農業の持続性を確保するために、農地転用の規制が厳格化しているといわれています。
農業委員会は各市町村に設置されている組織ですが、農地転用を行う場合には、農業委員会と密な連絡を取って進める必要があります。
なぜなら、その土地の現況や性質(市街化区域なのか、あるいは市街化調整区域なのか)によっても、必要な手続きが異なるからです。
農地転用が必要なケースでは、あらかじめ土地家屋調査士などの専門家に相談されることをおすすめします。
地目変更は自分でできる?
地目変更の登記は、土地の測量や複雑な図面を作成する必要はないため、自分でやることも不可能ではありません。
ただし、申請書や添付書類を準備する必要はありますので、多少の手間と時間がかかることは知っておいたほうがよいでしょう。
また、書類の内容等に不備があった場合には、補正を行うために、何度か法務局に出向くことになるかもしれません。
法務局が開いている日中の時間帯に、ある程度の時間が確保できるという方であれば、地目変更の登記を自分で行うことは可能といえるでしょう。
なお、すでに解説したとおり、地目変更が「農地転用」による場合には、別途、農業委員会の許可等が必要となります。
この手続きはやや複雑なものですので、農地転用による地目変更については、ご自身で行うことは困難な場合もあるでしょう。
地目変更登記の手続きとは?
地目変更登記の流れ
地目変更登記の流れは以下のとおりです。

地目変更登記は誰がする?
地目の変更登記は、その土地の「所有者」が行うのが原則です。
所有者とは、登記記録上の所有権の登記名義人のことをいいます。
所有権の登記がされていない場合には、「表題部所有者」が行うことになります。
「表題部所有者」とは、まだ所有権の登記がされていない土地について、最初の所有者として記録されている人をいいます。
なお、所有者がすでに死亡している場合には、その相続人が地目変更登記を申請することができます。
この場合、申請者が所有者の相続人であることを証明する文書として、相続人の戸籍謄本や所有者の除籍謄本などが必要となります。
また、地目の変更登記は「土地家屋調査士」に、その代理申請を依頼することができます。
地目変更登記の申請先
地目変更登記の申請をどこの法務局にすればよいのかというと、その土地の所在地によって決まります。
法務局は全国各地にありますが、それぞれの法務局が担当するエリアというのが決まっています。
これを「管轄(かんかつ)」といい、簡単にいうと、法務局のような公的機関がその権限に基づいて取り仕切っている区域や範囲のことをいいます。
例えば、不動産の所在地が「東京都千代田区」の場合には「東京法務局」が、「東京都渋谷区」の場合には「東京法務局渋谷出張所」が管轄の法務局となります。
あくまでも土地がどこにあるのかで決まりますので、申請する人の住所などは考慮されません。
管轄の法務局の調べ方
管轄法務局を調べるには、土地の正確な所在地を確認する必要があります。
土地の正確な所在地を知るためには「登記事項証明書」や「固定資産税納税通知書課税明細書」を確認すると良いでしょう。
法務局のホームページには「管轄のご案内」が掲載されており、どこが管轄の法務局になるのかを確認することができます。
法務局の管轄を知りたい方は以下からご確認ください。
参考:法務局の管轄
地目変更に必要な書類
地目変更登記申請書
地目変更をする場合に、必ず必要になるのが「登記申請書」です。
以下では、登記申請書のサンプルをご紹介しますので、参考になさってください。
地目変更登記申請書のサンプルと書き方
登 記 申 請 書
登記の目的 地目変更
添付情報 許可書
令和〇年〇月〇日申請
東京法務局 渋谷出張所
申請人 東京都千代田区〇〇町一丁目〇番〇号
山田 一郎 ㊞
連絡先の電話番号 〇〇ー〇〇〇〇ー〇〇〇〇
| 不動産番号 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 土 地 の 表 示 |
所 在 | 東京都渋谷区○○町二丁目 | |||
| ①地 番 | ②地 目 | ③地 積 ㎡ | 登記原因及びその日付 | ||
| 11番 | 畑 | 145 | |||
| 宅地 (※1) |
145 (※2) |
00 | ②③令和○年○月○日 地目変更 (※3) |
||
登記申請書を作成するにあたっての注意点を説明します。
まず、サンプルの(※1)部分には、変更後の地目を記載します。
サンプルでは、地目が「畑」から「宅地」になった場合を想定しています。
次に、サンプルの(※2)部分ですが、宅地及び鉱泉地以外の土地については、10㎡を超えていれば、1㎡未満の端数は表示しません。
上記サンプルは畑から宅地への地目変更なので、1㎡未満の端数も表示することとなります。
そこで、従来の「145」㎡の部分を「145.00」㎡に変更します。
サンプルの(※3)部分ですが、ここには、現実に地目を変更した日付(建物を建築した日など)と地目変更の旨を記載します。
今回のサンプルでは、②の「地目」と③の「地積」を変更するので「②③令和〇年〇月〇日地目変更」と記載します。
農業委員会の許可書等
「畑」や「田」から「宅地」等への、いわゆる農地転用の場合には、農業委員会からの許可書等が必要になります。
農地転用の手続きには、主として「農地転用届出」、「農地転用許可」、「非農地証明」の3種類があります。
通常、農地が市街化区域内にあれば「農地転用届出」の手続きで済みますが、市街化区域以外の農地の場合には、「農地転用許可」の手続きが必要になります。
また、土地の現況が10年あるいは20年以上、農地以外の目的で利用されており、農業委員会が認める場合には、「非農地証明」が発行されるケースもあります。
住所を証明する文書
申請人(土地の所有者)の登記記録上の住所と現住所が異なる場合には、申請人の登記記録上の住所から、現住所までの異動を証明するための文書が必要になります。
具体的には、申請人の「住民票」や「戸籍の附票」が住所を証明する文書になります。
なお、申請人の登記記録上の住所と現住所が一致している場合には、上記の文書を提出する必要はありません。
相続人の戸籍謄本や被相続人の除籍謄本等
地目変更が必要な土地の所有者がすでに死亡している場合には、その相続人が登記の申請を行うことになります。
その場合、申請人が所有者の相続人であることを確認するために、相続人の戸籍謄本や被相続人(亡くなった方)の除籍謄本等を法務局に提出する必要があります。
ちなみに、その土地について、相続による所有権移転の登記がされていなくても、地目変更の登記を申請すること自体は可能です。
ただし、現在、相続登記は義務化されていることから、所有権の移転登記がされていない場合には、地目変更の登記とあわせて、相続登記の申請も行うことをおすすめします。
相続登記の義務化については、以下の記事を参考になさってください。
代理人の委任状
地目変更の登記申請を土地家屋調査士に依頼する場合には、「委任状」を作成します。
そして、土地家屋調査士が登記申請を行う際に、添付書類としてその委任状を法務局に提出することになります。
地目変更の費用はいくら?
登録免許税
地目変更の登記の場合、登録免許税はかかりません。
実費
地目変更を行うにあたっては、事前に土地の登記記録や公図などを取得します。
これらの取得費用は、土地が一つの場合は1000円~2000円くらいになるでしょう。
このほかの実費としては、申請書を作成するための用紙や印刷にかかる費用(用紙代、インク代など)があります。
また、申請書類を法務局に提出しに行くための交通費や郵便料金なども別途必要になります。
土地家屋調査士の報酬
地目変更の登記を土地家屋調査士に依頼する場合には、報酬を支払う必要があります。
土地が一つの場合、土地家屋調査士の報酬は、一般的には5~6万円くらいです。
土地家屋調査士に依頼した場合には、面倒な書類の収集や法務局とのやりとりを代行してもらうことができます。
行政書士の報酬
農地転用の場合で、農業委員会の許可や届出が必要なケースでは、その申請の代理を行政書士に依頼することができます。
その場合の行政書士の報酬は、「届出」の場合は3~5万円、「許可申請」の場合は8~15万円が相場です。
地目変更の注意点
地目変更の注意点としては、「農地転用」が関係する場合です。
すでに解説したとおり、農業委員会とのやりとりや調整が必要となりますし、これらを行わずにした農地転用は「違法転用」となってしまいます。
また、土地を売買するようなケースでは、地目が「田」や「畑」のままだと、契約を結べないこともあります。
したがって、登記記録上の地目が「田」や「畑」である土地を「宅地」に変更するような場合には、一度、専門家に相談されることをおすすめします。
そして、地目変更の登記申請は、地目変更があった日から1か月以内にしなければならないとされています。
1か月以内と期間が短いため、登記申請を忘れることのないようにご注意ください。
地目変更の相談窓口
法務局
地目変更について、どのような手続きが必要なのか、申請書には何を書けばよいのかというような一般的な事項については、法務局の窓口で相談することができます。
土地の所在地を管轄する法務局でもよいですし、一般的な事項について尋ねるだけであれば、ご自宅から最寄りの法務局の窓口に行って相談してもよいでしょう。
ちなみに、手続き相談が予約制となっている法務局も多いため、事前に電話で問い合わせをしてから出かけることをおすすめします。
司法書士
司法書士は不動産登記の専門家ですが、地目変更の登記については、ごく一部の場合を除き、司法書士が代理して申請を行うことはできません。
地目変更の登記について、一般的に代理申請ができるのは土地家屋調査士になります。
司法書士に相談した場合には、地目変更についての一般的な説明を受けることはできるかもしれませんが、詳しい説明を受けたり、申請の代理を依頼することはできません。
不動産登記には様々な種類があるのですが、その代理申請をすることができる専門家としては司法書士と土地家屋調査士がいます。
大まかな区分けとしては、「権利」に関する登記は司法書士が、「不動産の物理的状態」に関する登記は土地家屋調査士が、それぞれ行うこととされています。
「権利」に関する登記とは、例えば、売買や相続などによって不動産の「所有権」が移った場合の登記です。
「不動産の物理的状態」に関する登記とは、例えば、土地の分筆や地目変更がこれにあたります。
このように、登記事項の性質に応じて、司法書士なのか、土地家屋調査士なのかが区別されています。
土地家屋調査士
すでに解説したとおり、地目変更の登記について代理することができるのは土地家屋調査士になります。
地目変更の登記をしなければならないけれど、時間も手間もかけたくないという方は、お近くの土地家屋調査士に相談するとよいでしょう。
行政書士
農地転用を行う場合、農業委員会への許可申請等を代理できるのは行政書士になります。
特に、農業委員会の「許可」が必要となるケースは、農地転用の中でも複雑な手続きが必要となります。
ご自身で行うのが難しい場合には、行政書士に相談するのがよいでしょう。
地目変更についてのQ&A
![]()
地目が畑なのに家が建っているのは違法ですか?
まず、地目が「畑」や「田」となっている農地を「宅地」として利用するためには、農業委員会の許可を受けて、それを届け出る必要があります。
このことを「農地転用」といいます。
この農地転用の手続きを取らずに、勝手に家を建てている場合には、いわゆる「違法転用」となってしまいます。
農地転用の許可は受けていたにもかかわらず、地目変更の登記をしていなかったということであれば、速やかに地目変更の登記を行いましょう。
なお、「違法転用」をしている場合には、原則として、現況を農地(畑)に戻す必要があります。
まとめ
この記事では、地目変更とは何か、地目変更の登記を自分で行う場合の費用や必要書類などについて解説をしてきました。
地目変更の登記は、申請期限(地目変更から1か月以内)を過ぎると、10万円以下の過料が課される可能性もあります。
また、「畑」や「田」などの農地を「宅地」などとして利用する場合には、別途、農業委員会への手続きも必要になるなど、細かな注意点もあります。
地目変更について、何か心配事がある場合には、一度、専門家に相談されることをおすすめします。
デイライト法律事務所では、様々な法律問題に対応しています。ぜひお気軽にご相談ください。







