
口座が凍結されているかを確認する方法としては、以下の問い合わせの4つがあげられます。
- ① ATMの操作
- ② インターネットバンキング・銀行アプリでの確認
- ③ 振込入金による確認及び
- ④ 銀行への問い合わせ
口座が凍結されても口座自体が解約されてなくなるわけではありませんが、取引ができなくなることによって大きな不便が生じます。
この記事では、口座が凍結されているかどうかを確認する方法、口座が凍結される原因、口座が凍結された場合の注意点などについて、弁護士がわかりやすく解説します。
目次
口座が凍結されているかわかる方法とは?
口座の凍結とは、一定の条件に該当した場合(例えば相続が開始した場合など)に、その銀行口座からの入出金や振込等の取引が停止されることをいいます。
口座が凍結されているかどうかを確認するには、次のような方法があります。
ATMでの確認
口座名義人の通帳やキャッシュカードを使ってATMを操作する方法です。
具体的には、①残高照会、②通帳記帳、または③預入れ(入金)の操作を試します。
凍結されている場合には「お取引できません」「お取り扱いできません」「このカードはご利用いただけません」等のメッセージが表示されます。
ただし、「口座凍結中である」ことが表示されるわけではありません。
【注意】引出し(出金)による確認は避けるべき
銀行口座からの引出し(出金)による確認は避けるべきです。
口座が凍結された場合は口座からの引出し(出金)もできなくなるため、物理的には引出し(出金)の操作によって凍結の有無を確認することもできます。
しかし、次のようなリスクがあるため、引出し(出金)による確認は避けることを強くおすすめします。
- 使い込みを疑われ、他の相続人とのトラブルに発展するリスクがある
- 相続財産を処分したと評価され、単純承認とみなされるリスクがある(民法921条)。
- 税務署から財産隠しを疑われ、ペナルティを科されるリスクがある
インターネットバンキング・銀行アプリでの確認
インターネットバンキングや銀行アプリへログインして確認する方法です。
口座が凍結されている場合、一般的には以下のいずれかの状態になります。
- ログインできない
- ログインできるが、残高照会や入出金・振込等の取引ができない(操作を選択できない状態)
- ログイン・残高照会はできるが、入出金・振込等の取引ができない(操作を選択できない状態)
ただし、「口座凍結中である」ことが表示されるわけではありません。
振込入金による確認
自分の口座から凍結している可能性のある口座に少額を振込んでみるという方法です。
凍結されている場合には、他の口座からの振込入金も受けられないケースが多いです。
ただし、凍結の原因や銀行の取扱いによっては凍結されていても振込入金は可能な場合もあるため、他の確認方法によるのが確実です。
銀行への問い合わせ
もっとも確実な確認方法は、凍結された口座の銀行(支店)やコールセンターに直接問い合わせをする方法です。
ただし、問い合わせをきっかけに凍結されていなかった口座が凍結されるケースもあるため、注意が必要です。
口座凍結の原因については後ほどくわしく解説します。
| 調査方法 | 確実性 | リスク・デメリット | 推奨度 |
|---|---|---|---|
| ATM確認 | 中〜高 | 出金はリスクあり | ◎ |
| アプリ確認 | 低〜中 | アプリや銀行によって取扱いが異なる(誤判断の可能性) | △ |
| 振込確認 | 低 | 凍結されていても振込可能な場合あり(誤判断の可能性) | △ |
| 銀行問い合わせ | 高 | 凍結につながるリスクあり | ◯ |
口座凍結をアプリで確認できる?
すでに解説したように、銀行アプリによって口座凍結を確認することができます。
口座凍結されている場合にアプリを操作すると、通常、以下のいずれかの状態になります。
- ログインできない
- ログインできるが、残高照会や振込等の取引ができない
- ログイン・残高照会はできるが、振込等の取引ができない
どの状態になるかは各銀行の取扱いによって異なりますが、アプリ上で「口座が凍結された」旨が表示されるケースはほとんどありません。
本当に口座凍結されているかを確実に判断するためには、銀行へ確認する必要があります。
口座が凍結される原因とは?
一般的に、口座が凍結される原因は大きく以下の4つに分けられます。

以下ではそれぞれの原因について解説します。
①口座名義人の死亡(相続による凍結)
銀行が口座名義人の死亡(相続の開始)を知った場合には、口座が凍結されます。
多くのケースでは、銀行は相続人等からの連絡を受けて口座名義人の死亡を知ります。
例えば、相続手続きを進める中で、一部の相続人が銀行に口座名義人の死亡を伝えるケースなどです。
また、銀行が新聞の訃報欄などから口座名義人の死亡を知り、親族に事実確認を行った上で口座を凍結する場合もあります。
なお、親族が役所に死亡届を提出しても、その段階で直ちに口座が凍結されることはありません。
役所から銀行に対して口座名義人の死亡が伝えられることはないためです。
相続の開始による口座凍結の目的は、相続人の一部が預金を勝手に引き出すことなどによる相続トラブル等の発生防止にあります。
②口座名義人の判断能力の低下(認知症発症など)
銀行が認知症発症などによる口座名義人の判断能力の低下を知った場合には、口座が凍結されます。
親族などから連絡があった場合や、口座名義人とのやり取りから判断能力が低下していると判断した場合には、銀行は口座を凍結します。
その目的は、判断能力の低下した口座名義人が詐欺被害にあうことや家族による不正な使い込みが行われること等の防止にあります。
③債務整理(個人再生・自己破産など)が開始した場合
口座を開設している銀行にカードローンなどの借金があるケースで、銀行が口座名義人について債務整理(個人再生・自己破産など)が開始されたことを銀行が知った場合には、口座が凍結されます。
銀行は、債務整理を受任した弁護士や司法書士からの通知、または裁判所からの通知を受けて債務整理が開始されたことを知り、口座を凍結します。
凍結の目的は、カードローン等の借金が債務整理の対象となり回収できなくなるリスクがある場合に、銀行口座の中にある預金を借金の返済にあてる(借金と相殺する)ための準備をすることにあります。
④口座が不正取引に利用された疑いのある場合
口座が不正な取引に利用された疑いのある場合、その口座は凍結されます。
例えば、口座が売買された疑いのある場合、振り込め詐欺の口座(受け子口座)として利用された疑いがある場合、口座情報が流出してなりすましによる商品購入が行われた場合、などです。
銀行は、その口座を利用した被害の発生を防ぐため、警察等からの情報提供によって口座を凍結します。
銀行担当者が不自然な入出金状況等から不正取引への利用を疑い、口座の凍結にいたる場合もあります。
口座凍結を確認するメリットとデメリット
特に、相続が発生した場合(口座名義人が亡くなった場合)には、口座状況の確認をきっかけに口座凍結が行われることがあります。
この場合のメリット・デメリットとしては、次のようなものがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
メリット
不正利用やトラブルを防止できる
口座が凍結されることで、誰も口座からの引出し(出金)や振り込み等を行うことができなくなります。
その結果、家族や第三者による不正な引き出し・使い込み等を防止することができ、銀行が相続の開始(口座名義人の死亡)を知った時点での預金残高を確定することができます。
また、「一部の相続人が預金を使い込んだのではないか」といった疑いが生じて相続人同士のトラブルに発展するのを防止することにもつながります。
相続放棄できなくなることを防げる
相続人によっては、預金の出金等によって相続放棄ができなくなる(単純承認したものとみなされる)リスクを認識しないまま口座の操作をしてしまうケースがあります。
口座の凍結によってこのようなリスクを避けることができます。
デメリット
日常の支払い・生活資金に支障が出る
口座が凍結されると、公共料金や家賃の自動引き落としがストップしてしまいます(自動引き落としを利用していた場合)。
また、口座名義人と生計をともにしており、凍結された口座に生活資金を入れていた場合には、生活資金のやりくりに支障が出ることもあります。
振込入金を受けられなくなる可能性がある
その口座が振込先に指定されていた場合、口座が凍結されると振込入金を受けられなくなる可能性があります。
※凍結された口座で振込入金を受け取ることができるかどうかは、凍結の原因や銀行の内規によって取扱いが異なりますが、相続の場合には振込入金を受けられなくなる可能性が高いです。
例えば、亡くなった口座名義人がマンションを賃貸しており、賃料の振込先を凍結された口座に指定していた場合などには、賃料(相続の対象となる財産です。)の受取口座を変更する必要があるなど、手間がかかります。
解除には時間と手間がかかる
口座凍結を解除するためには、銀行で所定の手続きをする必要があります。
その際には必要書類を収集して提出する必要があり、手間と時間がかかります。
口座凍結についての注意点

銀行への問い合わせをきっかけに口座凍結されることがある
口座が凍結されているかどうかを銀行に直接問い合わせる場合には、これをきっかけに銀行側が凍結の原因となる事実(相続の場合には口座名義人が亡くなった事実)を知り、それまで凍結されていなかった口座が凍結されることがあるため、注意が必要です。
上で解説したように、口座の凍結にはメリットとデメリットがあります。
銀行への問い合わせはデメリットについてもよく確認した上で行うようにしましょう。
口座からの出金は避ける
繰り返しになりますが、口座が凍結されているかどうかを確認するためであっても、口座からの出金は避けましょう。
預金の使い込みを疑われて他の相続人とのトラブルに発展するリスクや相続放棄できなくなるリスク、税務署から財産隠しを疑われるリスクなどがあるためです。
口座凍結の解除には銀行での手続きが必要
凍結された銀行口座を解除するには銀行での手続きが必要です。
解除に必要な書類は凍結の原因や各銀行によって異なる可能性があるため、事前に問い合わせて確認しましょう。
相続の開始(口座名義人の死亡)による凍結の場合、凍結を解除するためには、①被相続人(亡くなった方)から引き継ぐ相続人に口座名義を変更するか、または②口座を解約して払戻しを受けるか、のいずれかの方法を選択することになります。
その際には一般的に次のような書類が必要となります。
遺言書がある場合
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- 遺言書
- 検認調書または検認済み証書(公正証書遺言以外の場合)
- 被相続人の戸籍謄本(死亡が確認できるもの)
- 相続人または遺言執行者の印鑑証明書
- 遺言執行者の選任審判書謄本(遺言執行者が選任されている場合)
遺言書がない場合
| 遺産分割協議書がある場合 | 遺産分割協議書がない場合 |
|---|---|
|
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相続の開始による凍結の場合、凍結が解除されるまでには必要書類を提出してから2週間〜1ヶ月程度かかるのが一般的です。
口座凍結を放置しない
口座凍結を放置すると、公共料金等の支払いができないことによる遅延損害金の発生、滞納によるライフライン停止などのリスクがあります。
さらに、最後の取引から10年以上入出金が行われないと「休眠預金」となり、預金保険機構に移管されてしまいます。
移管後も手続きをすれば再び入出金できるようになりますが、手続きの手間がかかります。
口座が凍結されていることがわかった場合には、放置せずに銀行で手続きを行うことが大切です。
口座凍結についての相談窓口
相続に強い弁護士
相続の開始(口座名義人の死亡)による凍結の場合には、相続に強い弁護士に相談するのがおすすめです。
相続に強い弁護士であれば、口座凍結によるリスク(特に相続トラブルのリスク)や凍結解除に必要な手続きについて熟知しているため、適切なアドバイスをもらうことができます。
また、口座凍結以外にも相続全般に関する相談をワンストップで行うことができます。
なお、相続以外の原因で口座凍結されている場合にも、弁護士に相談することで銀行との交渉をスムーズに行える可能性が高いです。
銀行の窓口
口座凍結を解消するための手続きや必要書類等に関する相談は、銀行の窓口が適しています。
凍結された口座の銀行(支店)窓口、コールセンターに問い合わせてみるのがよいでしょう。
銀行では口座の凍結・解消に関する相談以外の法律相談等については対応することができません。
口座凍結をきっかけに相続問題等が発生した場合には、相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。
口座凍結についてのQ&A
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銀行口座はいつ凍結される?
例えば、相続の場合、役所への死亡届提出と同時に凍結されるわけではありません。
銀行が親族からの連絡や問い合わせを受けて口座名義人の死亡を知った時点で凍結されます。
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銀行口座凍結はいきなりされるの?
それ以外の原因(相続、判断能力の低下、不正利用の疑い)による凍結の場合には、本人や一部の相続人等が原因となる事実を認識しないまま凍結されることがあります。
これらの場合、口座凍結の原因となる事実を認識していなかった人にとっては「いきなり」行われたと感じられることでしょう。
例えば、相続による凍結のケースでは、一部の相続人からの連絡によって銀行が口座名義人の死亡を知った場合、銀行は他の相続人に知らせることなく口座凍結を行います。
このケースでは、銀行へ連絡した相続人にとっては「いきなり」ではありませんが、他の相続人からすると「いきなり」凍結されたということになります。
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口座凍結中も振り込まれる?
口座が不正取引に利用された疑いのある場合には、その口座への入金により被害が拡大することを防ぐ必要があるため、凍結後は振込入金を受けられなくなります。
口座名義人の死亡(相続)や判断能力の低下(認知症等)による凍結の場合には、振込入金を受けられなくなる銀行が多いようです(ただし、各銀行によって運用は異なります)。
債務整理の開始の場合には、凍結中も振り込まれるケースがあるようです(ただし、各銀行によって運用は異なります)。
以上のように、口座凍結中に第三者からの振込入金を受けられるかどうかは具体的な状況によって異なるため、口座を管理する銀行に問い合わせて確認する必要があります。
まとめ
- 口座が凍結されているか分かる方法には大きく、①ATMで残高照会や預入れ(入金)、通帳記帳を試す方法、②インターネットバンキング・銀行アプリで利用できる機能を確認する方法、③他の口座から少額の振込入金を試す方法、④銀行へ問い合わせる方法、の4つがあります。
- もっとも確実な確認方法は銀行へ問い合わせる方法ですが、問い合わせをきっかけに凍結されていなかった口座が凍結されてしまうケースもあるため、注意が必要です。
- 口座凍結の原因は(1)口座名義人の死亡(相続の開始)、(2)口座名義人の認知機能低下(認知症など)、(3)債務整理の開始、(4)不正取引への利用、の4つに分けられます。
- 口座凍結の解除には銀行での手続きが必要です。
相続の開始による凍結の場合には、相続に強い弁護士に相談されることを強くおすすめします。
当事務所では、相続に強い弁護士で構成する相続対策専門チームを設置しており、相続の開始による口座凍結に関するご相談をはじめ、相続同士のトラブル解決など相続全般に関するご相談をうけたまわっています。
遠方の方はオンラインでご相談いただくこともできますので、ぜひお気軽にご利用ください。







