家賃滞納はいつまで大丈夫?強制退去の流れと対処法も解説

家賃滞納が直ちに強制退去に繋がるわけではありませんが、一般的に「3ヶ月程度」の滞納が目安となります。

しかし、「いつまでなら大丈夫」という安易な考えは、事態を深刻化させ、最終的には強制的に退去させられてしまうリスクを招きかねません。

それでは、家賃滞納はいつから危険な状態となるのでしょうか。

また滞納した場合にどのような流れを経て強制退去にまで至るのでしょうか。

そして、そうした事態を避けるためにどのような対策を講じるべきなのでしょうか。

この記事では、これらの疑問点について、弁護士がわかりやすく解説していきます。

家賃滞納はいつまで大丈夫?

まず、家賃の滞納はいつまでであればトラブルにならないのでしょうか。

家賃滞納が直ちに強制退去に繋がるわけではありませんが、一般的に「3ヶ月程度」の滞納が目安となります。

賃貸借契約は、大家(賃貸人)と入居者(賃借人)の間の信頼関係に基づいて成り立っています。

1〜2ヶ月の家賃滞納があったとしても、一時的な経済状況の悪化や予期せぬ事情によって支払いが遅れている可能性も否定できません。

そのため、この程度の期間の滞納では、裁判所も「信頼関係が破壊された」とまでは判断せず、強制退去を認めることは稀です。

しかし、3ヶ月以上の家賃滞納が続くと、その状況は一変します。

これは、単なる一時的な支払い遅延とは考えにくく、入居者が賃料を支払う意思がない、または支払う能力がないと判断される可能性が高まります。

裁判所も、この期間の滞納は大家との信頼関係を著しく損なう行為とみなし、強制退去を認める判断を下しやすくなるのです。

もちろん、滞納期間が3ヶ月を超えたからといって、即座に強制退去となるわけではありません。

一方で、滞納期間が短い場合であっても、繰り返しの滞納は大家との信頼関係を損なう要因となります。

たとえ1ヶ月以内の滞納であっても、何度も繰り返されるようであれば、大家は契約解除を検討する可能性があります。

賃貸借契約書には、家賃の支払い期日や遅延した場合の取り決めが明記されていますので、改めて確認しておくことが重要です。

したがって、「いつまで大丈夫」という安易な考えを持つのではなく、家賃の支払いが困難になった場合は、できるだけ早く大家や管理会社に相談し、適切な対応をとることが重要です。

放置すれば事態は悪化の一途を辿り、最終的には住居を失うだけでなく、法的な責任を問われる可能性もあることを強く認識しておくべきでしょう。

強制退去までの手続きの流れについては、以下で詳しく解説していきます。

 

 

家賃滞納するとどうなる?強制退去までの流れ

それでは、家賃を滞納するとどのような流れで手続きは進んでいくのでしょうか。

ここでは、家賃を滞納してから強制退去に至るまでの一般的な流れと、その各段階でどのようなことが起こるのか、について解説していきます。

家賃滞納するとどうなる?強制退去までの流れ

 

①大家や管理会社からの連絡

家賃の支払いを延滞してしまうと、まず大家や管理会社から連絡が来ることになります。

電話で、家賃が未払いとなっている事実と、期日までの支払いをお願いするといった、比較的穏やかな連絡が入ることがあります。

しかし、支払いが遅れたまま放置してしまうと、今度は書面による督促状が届くことになります。

督促状には、滞納している家賃の金額や支払い期日、支払いが遅れた場合の措置などが記載されているはずです。

この段階でしっかりと対応しないと、事態はより深刻になっていくことを理解しなければなりません。

また、管理会社が直接借りている部屋まで訪問して、家賃の支払いを督促することも行われることもあります。

 

②保証人への連絡

家賃を長期間滞納してしまうと、大家や管理会社は、賃貸借契約時に設定した保証人に連絡を取る可能性が高くなります。

なお、近年は、保証人の代わりに家賃保証会社を利用するケースも増えています。

この場合、一定期間の滞納が続くと、家賃保証会社が大家に立て替え払いを行うことになります。

その後は、家賃保証会社から賃借人に対して、立て替えてもらった家賃の支払いが請求されることになります。

家賃保証会社は、督促などを頻繁に行うのが通常ですので、何度も連絡が入ったりすることもしばしばあります。

 

③内容証明郵便による契約解除予告

大家や管理会社からの再三の連絡や督促にもかかわらず、家賃の支払いに応じない場合、「内容証明郵便」という特殊な郵便で、賃貸借契約の解除予告が送られてくる可能性があります。

内容証明郵便は、いつ、誰から誰へ、どのような内容の文書が送られたかを日本郵便が証明してくれるものです。

つまり、「手紙を受け取っていない」や「そんなことは聞いていない」といった言い逃れはできなくなるということです。

そして、この内容証明郵便には、通常、滞納している家賃の金額、支払い期日、そして「この期日までに支払いがない場合は、賃貸借契約を解除する」という旨が記載されています。

この郵便を受け取ったということは、大家が法的措置も視野に入れている可能性が高いということです。

 

④賃貸借契約の解除

内容証明郵便で指定された期日までに、家賃を支払わない、または大家さんとの間で合意に至らない場合、正式に賃貸借契約が解除されることになります。

契約が解除されると、あなたは賃貸不動産に住み続ける正当な理由を失うことになります。

契約解除後も部屋に居座り続ける場合、大家は次の段階である「明け渡し請求訴訟」の手続きに進むことになります。

契約が解除されてしまった以上、速やかに部屋を明け渡すことが、事態を悪化させないための最善の策と言えるでしょう。

 

⑤明け渡し請求訴訟

賃貸借契約が解除されたにもかかわらず、あなたが自主的に部屋を明け渡さない場合、大家は裁判所に「明け渡し請求訴訟」を起こすことになります。

これは、裁判所を通じて、賃貸人に部屋を明け渡すよう命じる判決を求める手続きです。

裁判所から訴状が届くと、あなたは裁判に対応しなければなりません。

裁判では、大家が賃貸借契約を解除した正当な理由(家賃滞納の事実やその他信頼関係を破壊された事実など)を主張し、それに対してあなたは自分の言い分を主張することになります。

裁判の期日では、大家からは賃貸借契約書、内容証明郵便、これまでの督促の記録などが証拠として提出されることになります。

これに対して、もし支払い遅延にやむを得ない理由があったり、大家の対応に問題があったりする場合は、それらを具体的に主張し、証拠を提出する必要があります。

なお、裁判に出席しなかったり、大家の主張が認められたりした場合、裁判所は私に対して「建物を明け渡しなさい」という判決を下すことになります。

請求を認容する判決が下された場合には、速やかに部屋を明け渡さなければなりません。

もし、判決が出ても私が自主的に退去しない場合、いよいよ強制執行という最終手段が取られることになります。

なお、賃貸借契約が解除されても部屋を明け渡さないでいると、家賃相当額もしくはそれ以上(契約で家賃の2倍という金額が設定されていることもあります。)の損害賠償もしなければなりません。

 

⑥強制退去の執行

明け渡し請求訴訟で大家が勝訴し、請求認容判決が確定したにもかかわらず、あなたがまだ部屋に住み続けている場合、大家は裁判所に「強制執行」を申し立てることができます。

強制執行とは、裁判所の執行官が自宅を訪れ、強制的に部屋からあなたやあなたの家財道具を運び出す手続きです。

この強制執行は、たとえあなたが不在にしていても、予告なしに行われることがあります。

執行当日には、執行官の他に、大家やその代理人(弁護士など)、そして家財道具を運び出すための業者などが立ち会います。

家財道具は、一時的に倉庫などに保管されることになりますが、保管料はあなた自身が負担しなければなりません。

強制執行まで至ってしまうと、住む場所を失ってしまうため、精神的にも経済的にも大きな負担を強いられることになります。

 

 

家賃滞納の5つのリスク

家賃を滞納してしまうと、単に「支払いが遅れる」というだけでなく、さまざまなリスクが生じます。

ここでは、家賃滞納によって引き起こされる可能性のある主なリスクについて、詳しく解説していきます。

家賃滞納の5つのリスク

 

遅延損害金が発生する

家賃の支払いが一日でも遅れてしまうと、賃貸借契約の内容に基づき、「遅延損害金」が発生する可能性があります。

これは、支払いが遅れたことに対するペナルティとして課せられるもので、滞納している家賃の金額と滞納日数に応じて計算されます。

遅延損害金の利率は、賃貸借契約書に明記されていることが一般的です。

もし記載がない場合は、法律で定められた利率(民法改正により、2020年4月1日以降に発生した遅延については年3.0%、それ以前は年5.0%)が適用されることになります。

例えば、家賃が10万円で、遅延損害金の利率が年14.6%と定められている場合、1ヶ月(30日として計算)滞納すると、以下のような遅延損害金が発生する可能性があります。

遅延損害金 = 100,000円 × 0.146% ÷ 365日 × 30日 = 1,197円

このように、滞納期間が長引けば長引くほど、遅延損害金の金額も膨らんでいきます。本来支払うべき家賃に加えて、余計な費用まで負担することになるため、経済的な負担はさらに大きくなります。

 

保証人や賃貸保証会社に連絡がいく

家賃を1ヶ月から2ヶ月程度滞納してしまうと、大家や管理会社は、賃貸借契約時に設定した保証人、あるいは利用している賃貸保証会社に連絡を取るのが一般的です。

保証人は、あなたが家賃を支払えなくなった場合に、代わりにその支払い義務を負う人のことです。

親族や友人に連帯保証人になってもらっている場合、家賃滞納は、その人に経済的な負担をかけるだけでなく、信用を失うことにも繋がりかねません。

一方、賃貸保証会社を利用している場合は、滞納の連絡後、保証会社が大家に家賃を立て替える「代位弁済」が行われることがあります。

しかし、これで支払い義務がなくなるわけではありません。

今度は、立て替えてもらった家賃をあなたが保証会社に支払う必要が生じます。

さらに、保証会社によっては、保証事務手数料などの追加費用が発生する場合もあります。

いずれの場合にしても、家賃滞納は第三者に迷惑をかける行為であり、その後の人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があることを認識しておくべきでしょう。

 

裁判を起こされる

家賃の滞納が長期間にわたると、大家や管理会社は、法的な手段に訴える可能性が高まります。

一般的には、3ヶ月以上の滞納が目安と言われています。

まず、内容証明郵便で「催告書」という最終通告が送られてくることが多いでしょう。

この催告書に指定された期日までに支払いがない場合、大家は裁判所に「明け渡し請求訴訟」を起こす可能性があります。

「明け渡し請求訴訟」は、賃貸人が賃借人に対して、賃貸物件から退去するよう求める裁判手続きです。

裁判を起こされると、あなたは裁判所からの通知を受け取り、期日までに答弁書を提出したり、裁判所に出頭したりしなければなりません。

これらの手続きは精神的な負担が大きく、時間や労力も費やす必要があります。

 

建物から強制的に退去させられる

明け渡し請求訴訟で大家が勝訴し、判決が確定したにもかかわらず、あなたが自主的に退去しない場合、大家は裁判所に「強制執行」を申し立てることができます。

強制執行とは、裁判所の執行官が賃貸物件を訪れ、強制的に部屋からあなたとあなたの家財道具を運び出す手続きです。

この強制執行は、あなたの意思に関わらず、強制的かつ容赦なく行われます。

たとえ留守にしていても、鍵を解錠して室内に立ち入ることができ、家財道具は運び出され、部屋の鍵は交換されることになります。

 

家賃滞納でブラックリストに載ることも

一般的に、家賃の滞納そのものが、すぐに信用情報機関のいわゆる「ブラックリスト」に登録されるわけではありません。

信用情報機関は、主にクレジットカードやローンの利用状況などを記録しているためです。

しかし、賃貸契約の際に「信販系」の賃貸保証会社を利用している場合には、注意が必要です。

信販系の保証会社は、信用情報機関に加盟していることが多く、家賃を2ヶ月以上滞納すると、その滞納情報が信用情報機関に事故情報として登録される可能性があります。

信用情報に事故情報が登録されると、その情報が一定期間(通常は滞納が解消されてから5年程度)記録として残ります。この期間中は、以下のような様々な不利益を被る可能性があります。

  • クレジットカードの新規作成や利用が困難になる
  • ローンの審査に通りにくくなる(住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど)
  • 新たな賃貸契約を結ぶ際に、保証会社の審査に通らない可能性がある
  • 携帯電話端末の分割払いが利用できなくなる
  • 奨学金やローンの保証人になることが難しくなる など

このように、家賃滞納が原因で信用情報に傷がついてしまうと、将来的に様々な経済活動に支障をきたす可能性があります。

特に、これから新しくクレジットカードを作りたい、ローンを組みたいと考えている方にとっては、家賃滞納は絶対に避けるべきでしょう。

なお、ブラックリストについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

家賃を滞納しそうな場合の対処法

家賃を滞納しそうな場合の対処法

 

大家や管理会社に相談する

家賃の支払いが難しいと感じ始めたら、できるだけ早く大家や管理会社に連絡を取り、正直に状況を説明することが最も重要です。

連絡をせずに滞納してしまうと、大家さんや管理会社からの信頼を失い、事態を悪化させてしまう可能性があります。

相談する際には、なぜ支払いが遅れそうなのか、具体的な理由といつ頃であれば支払いが可能になりそうかを誠実に伝えましょう。

場合によっては、支払い期日を少し待ってもらえたり、分割での支払いに応じてもらえたりする可能性があります。

 

親族や友人などに援助してもらう

すぐに家賃を用意できる見込みがない場合は、家族や親しい友人に一時的な経済的援助を頼んでみるのも一つの手段です。

親しい間柄であれば、無利息または低い金利で融資を受けられる可能性もあります。

ただし、借りる際には、返済期日や返済方法を明確にし、書面にしておくなど、後々のトラブルを避けるための配慮が必要です。

また、親しい間柄であったとしても、お金の援助を受けることが難しい場合もあることを理解しておきましょう。

 

公的支援制度を活用する

家賃の支払いが困難になった場合には、国や自治体が提供する「住居確保給付金」や、「生活福祉資金貸付制度」などの公的な支援制度の活用を検討しましょう。

まず、離職や廃業後2年以内の方、または収入が離職・廃業と同程度まで減少している方などは、「住居確保給付金」の支給を受けられる可能性があります。

この制度は、経済的に困窮し、住居を失うおそれのある方に対して、一定期間、家賃相当額を自治体から大家や管理会社へ直接支給するものです。

支給期間は原則3ヶ月間ですが、求職活動などを誠実に行っているなどの条件を満たせば、最長9ヶ月まで延長できる場合があります。

支給額には上限があり、自治体や世帯人数によって異なります。

申請や相談は、お住まいの自治体の福祉課で行うことができます。まずは、ご自身の状況が受給要件に該当するかどうかを確認してみることをおすすめします。

次に、低所得者世帯、高齢者世帯、障害者世帯などを対象に、生活に必要な資金を低利または無利子で借りることができる「生活福祉資金貸付制度」も利用できる可能性があります。

この制度には、様々な種類の貸付があり、一時的な生活費の不足に対応するためのものや、住宅の維持に必要な資金を借りられるものなどがあります。

こちらも、お住まいの自治体の社会福祉協議会などが窓口となっていますので、相談してみることをおすすめします。

 

消滅時効の援用について

家賃の支払いを滞納していたとしても、延滞から長期間経過している場合には、その滞納家賃の支払い義務が「消滅時効」によって消滅している可能性があります。

消滅時効とは、一定期間権利が行使されない場合に、その権利が消滅する制度です。家賃の支払い義務の消滅時効期間は、原則として権利を行使できる時から5年です。

ただし、単に5年が経過しただけでは、支払い義務が自動的に消滅するわけではありません。

「消滅時効を援用する」という意思表示を、滞納者であるあなた自身が、大家や管理会社に対して行う必要があります。

この意思表示は、内容証明郵便など、証拠が残る形で行うようにしてください。

消滅時効の援用は、法的な判断を伴う複雑な手続きとなる場合があるため、ご自身の状況が時効の成立要件を満たしているかどうか、また、どのように援用手続きを進めるべきかについては、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

安易な判断で援用してしまうと、かえって不利な状況に陥る可能性もあります。

なお、消滅時効の援用や、消滅時効が成立する条件、援用のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にされてください。

 

 

家賃の支払いが難しい場合は債務整理を検討する

債務整理とは

債務整理とは、借金の返済が難しくなった時に、借金の減額や免除、返済期間の延長などの手続きを行うことで、借金問題を解決するための方法です。

債務整理には、以下のように3つの手続きがあり、それぞれ条件や効果が異なります。

  • 任意整理
  • 個人再生
  • 自己破産

まず、任意整理とは、カード会社や金融機関と直接話し合い、金利を下げてもらったり、返済期間を長くしてもらったりすることで、月々の支払いを楽にするものです。

通常、3〜5年で返済計画を立てます。

次に個人再生は、裁判所の関与のもと、借金を大幅に減らし、原則3年(最長5年)かけて返済していく方法です。

借金が多くて完済が難しいけれど、家などの財産を残したい場合や、自己破産による仕事への影響を避けたい場合に有効です。

最後に、自己破産とは、裁判所に申し立てて、借金の支払いを全額免除してもらう手続きです。

裁判所が免責を認めれば、多額の借金も帳消しになります。

しかし、家などの財産は手放す必要があり、一部の職業に就けなくなるなどのデメリットもあるため、誰にでも適しているわけではありません。

 

自己破産すると滞納家賃はどうなる?

自己破産は、裁判所に申し立てを行い、免責許可決定を受けることで、原則として全ての借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。

滞納している家賃も、自己破産の対象となるため、免責が認められれば、支払い義務はなくなります。

しかし、滞納家賃が免責となることで、大家さんは未払いの家賃を回収できなくなるため、契約の解除を検討する可能性があります。

そのため、滞納家賃がある場合に自己破産をする場合には、引っ越しせざるを得ないケースが多いでしょう。

また、引っ越しを避けて今住んでいるところで生活を続けたいとして、自己破産手続き中やその直前に、滞納していた家賃を支払うことは、偏頗弁済(へんぱべんさい)に該当する可能性があります。

偏頗弁済とは、特定の債権者のみに債務を支払うことで、他の債権者と不公平な扱いになる状況を指します。

偏頗弁済は免責不許可事由に該当するため、事前に弁護士などの専門家に相談したうえで、適切に対応することが不可欠となります。

 

個人再生すると滞納家賃はどうなる?

個人再生は、裁判所の認可を得た再生計画に基づき、借金の一部を減額してもらい、残りを原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。

滞納している家賃も、原則として再生債権として扱われ、他の債務と同様に減額の対象となります。

個人再生においても、弁護士に依頼した時点で既に発生している家賃の滞納分は、原則として個別の支払いが禁じられます。

しかし、家賃の支払いが滞ったままの状態が続けば、債務不履行となり、最終的には賃貸借契約を解除され、住居からの退去を余儀なくされる可能性が高いです。

もし、個人再生の手続きを取りながらも現在の住居に住み続けたいのであれば、滞納している家賃をできる限り早期に解消することが重要となります。

この場合も、偏頗弁済の問題があるため、弁護士に相談したうえで慎重な対応が必要となります。

 

任意整理をすると滞納家賃はどうなる?

任意整理は、裁判所を通さずに、債権者と直接交渉することで、将来の利息のカットや分割払いなどについて合意を目指す手続きです。

滞納している家賃を任意整理の対象とするかどうかは、債務者の判断に委ねられます。

一般的には、賃貸契約を維持するために、滞納家賃を任意整理の対象から外し、他の債務について交渉を行うことが多いでしょう。

その場合、滞納家賃は別途、大家さんと支払い方法について協議する必要があります。

ただし、大家さんとしては、過去に家賃を滞納した入居者との契約継続に難色を示す可能性もあります。

任意整理によって他の借金の負担が軽減されたとしても、毎月の家賃支払いが滞るようであれば、契約解除に至ることも考えられます。

 

 

家賃滞納の相談窓口

家賃滞納の相談窓口

 

自立相談支援機関

解雇や病気などによって収入が減少し、家賃の支払いが困難になった場合は、お住まいの自治体の自立相談支援機関に相談してください。

ここでは、生活困窮者の自立に向けた相談支援を行っており、状況によっては住宅確保給付金の申請支援を受けることができます。

住宅確保給付金は、離職・廃業後2年以内であることや、収入や預貯金の額が一定の要件を満たす場合に、原則として3ヶ月間、自治体から大家さんや管理会社へ家賃相当額が支給される制度です。

ただし、支給額には上限があり、自治体によって異なります。

自立相談支援機関への相談は、今後の生活の見通しが立つまでの間の一時的な措置として有効です。

まずは、お住まいの自治体の福祉担当窓口に問い合わせてみましょう。

 

社会福祉協議会

大家や管理会社に家賃の支払いを待ってもらえず、早急な支払いが必要な場合には、社会福祉協議会に相談することを検討してください。

社会福祉協議会では、生活に困窮している方に対して、生活福祉資金貸付制度に基づいた融資を行っています。

緊急小口資金や総合支援資金といった種類の貸付があり、無利子または低金利で一定額の融資を受けることができる場合があります。

社会福祉資金貸付制度の詳細については、お住まいの地域の社会福祉協議会にお問い合わせください。

 

家賃滞納の問題に強い弁護士

法的な対応が必要になる場合には、家賃滞納の問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、法律の専門家として、個々の状況に応じた適切なアドバイスや解決策を提案してくれます。

まず、弁護士に依頼することで、大家や管理会社からの督促や、債権者からの取り立ての連絡窓口を弁護士に一本化することができます。

債権者からの直接的な連絡が減ることで、ご自身の精神的な安定を取り戻すことができます。

また、弁護士は、法的な知識と交渉力を用いて、大家や管理会社との間で交渉を進めることができます。

例えば、分割払いの交渉や、場合によっては債務整理の手続きを検討することも可能です。

さらに、家賃滞納と併せて、他の借金問題も抱えている場合は、弁護士に相談することで、総合的な解決策を検討することができます。

任意整理や個人再生、自己破産などを弁護士に依頼すれば、複雑な債務整理手続きを代理で進めてもらうことができます。

家賃滞納の問題にお困りの方は、早期に弁護士に相談することで、法的リスクを回避し、より良い解決策を見つけることができます。

 

 

家賃滞納についてのQ&A

家賃を何ヶ月滞納したらやばいですか?

一般的に、3ヶ月程度の家賃滞納が一つの目安となるでしょう。

3ヶ月以上の滞納が続くと、「信頼関係の破壊」とみなされ、法的な強制退去の手続きに進む可能性が高まります。

この期間を超えて滞納を放置することは、住居を失うリスクを著しく高める危険な状態と言えるでしょう。

なお、滞納期間が短くても、繰り返しの滞納は大家との信頼関係を損ない、契約解除の理由となることもありますので注意が必要です。

 

家賃を繰り返し滞納すると、どのようなトラブルが生じるのか?

家賃を繰り返し滞納すると、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
  • 遅延損害金の発生
  • 保証人への連絡
  • 賃貸保証会社からの請求
  • ブラックリストへの登録
  • 契約解除と強制退去
  • 家賃滞納していると、引っ越しはできないのか?

家賃を滞納中であっても引っ越し自体は可能です。

ただし、新たな賃貸契約を結ぶ際に、大家や管理会社は入居審査を行います。

過去の滞納によって賃貸保証会社を利用できなかったり、信用情報に事故情報が登録されていたりする場合は、支払い能力に不安があると判断され、入居を断られる可能性が高まります。

また、現在滞納している家賃を清算せずに引っ越そうとすると、大家から損害賠償請求を受ける可能性もあります。

 

 

まとめ

家賃滞納は、放置すると法的措置による強制退去に至る重大な問題です。

一般的に3ヶ月程度の滞納が危険ラインとされており、それ以前でも家賃を繰り返し滞納すると、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。

  • 遅延損害金の発生
  • 保証人への連絡
  • 賃貸保証会社からの請求
  • ブラックリストへの登録
  • 契約解除と強制退去

支払いが困難になった場合は、大家や管理会社への相談や、公的支援制度の活用、債務整理の検討といった対処法があります。

特に、法的問題に発展する可能性がある場合は、早めに専門家への相談が不可欠です。

弁護士に相談して債務整理を行えば、借金返済の負担が軽くなり、生活を立て直すことも、将来への見通しを付けることもできるようになります。

デイライト法律事務所では、借金問題に注力する弁護士たちによる破産再生チームを設け、借金でお困りの皆様を強力にサポートしています。

家賃滞納でお困りの際は、一人で悩まず、当事務所の弁護士にご相談ください。

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