弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士
携帯代を払えず、滞納し続けると、最終的には携帯電話の利用が停止され、さらには契約を強制的に解除されることになります。
また、携帯の端末を分割で購入していると携帯代には端末代も入っています。
これはローンと同じ扱いです。
滞納が長期に及ぶと、ご自身の信用情報に深刻な傷がつき、将来の生活に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。
そして、最終的には、給料や預貯金を差し押さえられてしまうリスクもあります。
そこで、この記事では、携帯代の支払いが遅れるリスクや、そのような状況に陥ってしまった場合の具体的な対処法などについて、弁護士が詳しく解説していきます。
目次
携帯代を払えないとどうなる?
携帯電話は現代社会において、コミュニケーション、情報収集、決済など、私たちの生活に不可欠なインフラとなっています。
もし携帯代を払えなくなってしまったら、一体どのような事態に陥るのでしょうか。
携帯代を滞納し続けると、最終的には携帯電話の利用が停止され、さらには契約を強制的に解除されることになります。
また、滞納が長期に及ぶと、ご自身の信用情報に事故情報が登録され、将来の生活に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、新たな携帯電話の契約が難しくなったり、クレジットカードの作成や住宅ローン、自動車ローンなどの各種ローンの利用ができなくなったりといった事態に直面することになります。
さらに、法的な手続きを経て財産を差し押さえられるリスクも発生します。
携帯代を滞納することには、単なる通信サービスの停止に留まらず、社会的な信用を失い、経済的な活動にも大きな制約をもたらすリスクが潜んでいるのです。
以下では、携帯代を滞納した場合に具体的に発生するリスクと、その進行について段階的に解説していきます。
ご自身の状況と照らし合わせながら、リスクを正しく理解し、早期の対処に繋げてください。
携帯代を滞納した場合のリスク
携帯電話の利用料金を滞納することは、単にサービスが停止されるだけでなく、以下のように信用情報に深刻な影響を及ぼし、将来の生活にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
以下、それぞれのリスクについて詳しく解説していきます。
①遅延損害金の発生
携帯代の支払いが期日を1日でも過ぎると、その翌日から「遅延損害金」が加算され始めます。
遅延損害金とは、金銭の支払いを遅滞したとき(期限までに支払えなかったとき)に、支払いが遅れたために権利者に生じた損害を賠償するために支払うものです(民法419条第1項)。
遅延損害金は一般に、利息と同様「年〇%」という形で決められるので、「遅延利息」「延滞利息」などとも呼ばれます。
滞納が長引けば長引くほど、この遅延損害金は膨らみ、当初の請求額を大きく上回る金額を支払わなければならなくなります。
大手キャリアの遅延損害金利率は、通信料で年14.5%程度、端末料で年3.0%(法定利率)程度に設定されており、決して軽視できるものではありません。
②督促状・利用停止予告の送付
滞納から約7〜10日後には、ハガキやSMS(ショートメッセージサービス)などで督促状が届きます。
この督促状には、未払い料金の請求に加え、遅延損害金や利用停止の可能性などの今後の対応が記載されていることが一般的です。
この時点で携帯料金の延滞を解消できれば、利用停止を回避することができますが、この機会を逃すと、いよいよ携帯電話が使えなくなる段階へと進んでしまいます。
③携帯電話の利用停止
利用停止予告後も支払いが確認できない場合、支払い期日から15〜30日程度で携帯電話が利用停止になります。
通話やモバイルデータ通信、SMSやキャリアメールの送受信など、携帯電話の基本的な機能が一切使えなくなります。
家族割などを利用している場合、同一契約の家族の携帯電話も同時に利用停止となる可能性があるため注意が必要です。
ただし、利用停止はあくまで一時的なものであり、滞納料金を支払えば再び利用できるようになります。
Wi-Fi環境下であれば、GmeilやYahooメールなどのフリーメール、LINEやInstagram、XなどのSNS・コミュニケーションアプリなどは引き続き利用できる場合もありますが、端末代金を滞納している場合はWi-Fiの利用も制限される可能性があります。
携帯料金の滞納による利用停止の内容は、各キャリアによって異なるため、公式サイトなどで確認しておいてください。
④携帯電話の強制解約
携帯代の滞納が2〜4ヶ月に及ぶと、携帯電話の契約が強制的に解約されます。
強制解約に至った場合、利用していた電話番号やメールアドレスは抹消され、たとえ滞納料金を支払ったとしても、その電話番号やメールアドレスを再利用することはできません。
大手キャリアでは、ドコモが約2ヶ月後、auが約3ヶ月後、ソフトバンクが約4ヶ月後を目安に強制解約となることが多いと言われています。
強制解約となっても、滞納していた携帯代や端末代の支払い義務が免除されるわけではありませんので、引き続き負債を抱えている状態になります。
⑤信用情報機関への登録(ブラックリスト入り)
携帯電話の端末を分割払いで購入している場合、その契約は「割賦購入契約」に該当します。
端末代金を2〜3ヶ月程度滞納すると、信用情報機関に「事故情報」として登録されてしまいます。
これが、いわゆる「ブラックリストに載る」と言われている状態です。
信用情報機関として、株式会社シー・アイ・シー(CIC)と株式会社日本信用情報機構(JICC)の2つがあり、多くの携帯電話会社がこれらいずれか、または両方に加盟しています。
事故情報が登録されると、概ね5年程度の期間、新たなクレジットカードの作成、住宅ローンや自動車ローンなどの各種ローンを組むこと、キャッシングの利用、賃貸住宅の契約などが困難になります。
また、ローンの保証人になることもできなくなるなど、日常生活の様々な場面で不利益を被る可能性があります。
通信料のみの滞納であれば信用情報機関に登録されることはありませんが、端末代金を分割払いにしている場合には注意が必要です。
⑥通信業界団体への登録(携帯ブラック)
携帯料金を長期滞納すると、上記のブラックリストとは別に、携帯ブラックになる可能性があります。
携帯代を滞納し、契約が強制解約に至ると、通信業界団体の「電気通信事業者協会(TCA)」や「テレコムサービス協会(TELESA)」に「不払者情報」として登録されます。
これが「携帯ブラック」と呼ばれる状態です。
TCAやTELESAに加盟している携帯電話会社・通信事業者間では、この不払者情報が共有されています。
そのため、一度携帯ブラックに載ってしまうと、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルといった主要キャリアはもちろん、TCAやTELESAに加盟している他の通信事業者においても、新たな携帯電話の契約が非常に困難になります。
この不払者情報は、契約解除後約5年間が経過すると自動的に抹消されますが、その間は携帯電話の新規契約に大きな支障が生じることになります。
ただし、TCAやTELESAに加入していない一部の格安SIMであれば、契約できる可能性もゼロではありません。
⑦裁判や差押えのリスク
携帯代の滞納が3ヶ月以上の長期に及ぶと、携帯電話会社から法的措置を取られるリスクが生じます。
具体的には、裁判所から「支払督促」や「訴状」といった書類が特別送達で届く可能性があります。
これらの書類は、携帯電話会社が未払い料金を回収するために、裁判手続きを開始したことを意味します。
支払督促や訴状が届いたにもかかわらず、答弁書の提出や異議申立てなどの適切な対応を取らずに放置してしまうと、最終的に財産の差押えといった強制執行手続きへと移行する恐れがあります。
差押えは、預貯金、給与、不動産など債務者の財産を強制的に差し押さえ、滞納している債務の返済に充てる手続きです。
これにより、個人の財産が失われるだけでなく、勤務先など周囲の人々にも滞納の事実が明らかになってしまう可能性があります。
携帯が使えなくなるタイミングは?
携帯電話の利用料金を滞納すると、一定期間が経過した後に回線が停止され、携帯電話が使えなくなります。
携帯電話が使えなくなるタイミングについては、各携帯キャリアによって多少の差はありますが、一般的な流れとしては、支払い期日を過ぎた後、「数週間から1ヶ月程度」で利用停止になる傾向があります。
通常、支払い期日を過ぎてから数日〜1週間程度で、携帯電話会社から未払い料金に関する督促状やSMSが送られてきます。
これは、支払いの確認が取れていないことと、今後の対応についてのお知らせです。
この段階で支払いを済ませれば、これまで通り携帯電話を使い続けることができます。
督促にもかかわらず支払いが滞った場合、次に送られてくるのが利用停止の予告です。
この予告には、「いつまでに支払いがなければ、携帯電話の利用を停止します」という具体的な期日が記されています。
この期日も過ぎてしまうと、いよいよ携帯電話の回線が停止され、通話やデータ通信ができなくなります。
携帯代が払えないときの対処法
携帯キャリアのサポートセンターに相談する
まず最初に検討すべきは、現在契約している携帯電話会社に直接相談することです。
支払いが難しいと感じた時点、あるいはすでに期日を過ぎてしまった場合でも、ためらわずにサポートセンターに連絡しましょう。
状況によっては、支払期日の延長や、一時的な支払い方法の変更など、個別の事情に応じたアドバイスや対応を検討してもらえる可能性があります。
債務整理を検討する
携帯代だけでなく、クレジットカードの利用代金や他のローンの返済など、複数の借金を抱えており、全体として返済が困難な状況にある場合は、債務整理を検討すべき段階かもしれません。
債務整理とは、法的な手続きを通じて借金を減額したり、支払いを猶予してもらったり、あるいは債務自体を免除してもらったりする手続きの総称です。
債務整理には、以下の3つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理は、裁判所を介さずに、弁護士が債務者の代理人として直接、携帯電話会社や信販会社などの債権者と交渉する手続きです。
交渉によって将来発生する利息や遅延損害金をカットしてもらい、月々の返済額を軽減するために返済期間を延長してもらいます。
一般的には、元金を3年から5年程度の期間で無理なく返済する計画を立て、合意形成を目指します。
次に、個人再生は、裁判所の監督のもとで進められる手続きで、借金の総額を大幅に減額(通常は5分の1から10分の1程度)してもらい、減額された借金を原則として3年間で分割返済していく方法です。
多額の借金があるものの、自宅などの重要な財産を手放したくない場合や、自己破産による職業上の制限を避けたい場合に有効な選択肢となります。
最後に、自己破産は、借金問題の最終的な解決策として、裁判所に申し立てを行い、借金の支払い義務を全額免除してもらう手続きです。
裁判所が「免責」を認めれば、多額の借金であっても全てが帳消しになります。
しかし、自宅や車など一定以上の価値がある財産は処分する必要があり、一部の職業に一時的な就業制限がかかるなどのデメリットも存在します。
債務整理に強い弁護士に相談する
携帯代の支払いが滞り、複数の借金を抱えている状況で、ご自身にとって最適な債務整理の方法がわからない、あるいは手続きに不安がある場合は、債務整理に強い弁護士に相談してください。
多くの法律事務所では、借金問題に関する初回無料相談を提供しています。
この無料相談では、現在の借金の状況、収入、家族構成、保有資産などを詳細にヒアリングした上で、相談者一人ひとりの状況に合わせた最適な債務整理の方法を具体的に提案してもらえます。
さらに、各手続きのメリット・デメリット、具体的な流れ、必要となる費用、そして解決までにかかる期間についても、専門的な視点から分かりやすく説明を受けることができます。
主な携帯各社の相談窓口
NTTドコモの相談窓口
携帯代の支払いが困難になった場合、問題を悪化させないためにも、早期に契約中の携帯電話会社に相談することが非常に重要です。
NTTドコモをご利用の方で、携帯代の支払いについて相談したい場合は、「ドコモインフォメーションセンター」をご利用ください。
- 電話番号:ドコモの携帯電話からは「151」、一般電話からは「0120-800-000」
- 対応時間:午前9時から午後8時まで(年中無休)
- その他:Webサイト上での手続きであれば24時間対応しているサービスもあります。
最新の情報や詳細については、NTTドコモの公式サイトの「お問い合わせ」ページをご確認ください。
auの相談窓口
auをご利用の方で、携帯代の支払いに関する相談がある場合は、auお客様センターをご利用ください。
- 電話番号:「0077-7027」または、「0720-977-033」
- 対応時間:午前9時から午後8時まで(年中無休)
- その他:AIが24時間回答してくれるチャットサポートもあります。
参考:お問い合わせ|au
ソフトバンクの相談窓口
ソフトバンクをご利用の方で、携帯代の支払いに関する相談がある場合は、「ソフトバンクカスタマーサポート」をご利用ください。
- 電話番号:ソフトバンクの携帯電話からは「157」、一般電話からは「0800-919-0157」
- オペレーター対応:10:00 ~ 19:00(年中無休)
- その他:Webサイトからの相談は24時間受け付けています。
携帯代の不払いについてのQ&A
どうしても携帯料金が払えない場合どうすればいいですか?

支払い期日の延長や、一時的な支払い方法の変更など、状況に応じたアドバイスや対応を検討してもらえる可能性があります。
また、複数の借金を抱えている場合は、借金問題に強い弁護士に相談し、債務整理手続きを検討することも重要です。
携帯代を何ヶ月滞納したら止まる?

具体的な停止時期は携帯キャリアによって異なりますが、督促状や利用停止の予告が届いた後に停止されます。
さらに滞納を続けると、数ヶ月後には強制解約となり、電話番号やメールアドレスも失われることになります。
まとめ
携帯代の支払いが滞ると、遅延損害金の発生から始まり、携帯電話の利用停止、さらには強制解約へと段階的にリスクが進行します。
特に、端末代を分割払いにしている場合は信用情報機関に事故情報が登録され、将来のローンやクレジットカード契約に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
最終的には、裁判や財産差し押さえといった法的措置に至る可能性もあります。
もし、携帯代の支払が困難になったり、他の借金と合わせて返済に行き詰まったりした場合は、お一人で悩まず、債務整理に詳しい弁護士にお早めにご相談することをおすすめします。
デイライトでは、債務整理に詳しい弁護士による破産再生チームを設け、皆様の借金問題の解決に尽力しています。
借金問題については当事務所まで、どうぞお気軽にご相談ください。