淫行条例とは?弁護士がリスクや対処法を解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
  

淫行条例とは、未成年者に対する淫行を規制する条例です。

正式には「青少年健全育成条例」といった名称であることが多く、その中の淫行を規制している部分の規定を指して「淫行条例」と通称されており、「淫行条例」という名の条例が存在するわけではありません。

淫行条例には違反した際の罰則が定められているため、淫行条例違反は犯罪ということになりますが、どのような場合に淫行条例違反となるのか、正確にご存じの方は多くないかもしれません。

そこでこの記事では、淫行条例について、どのような行為が違反となるのか、違反した場合のリスクや対処法を、弁護士が解説します。

淫行条例とは?

淫行条例とは、未成年者に対する淫行(性的な行為)を規制する条例です。

実際には、「淫行条例」という条例は存在せず、「青少年健全育成条例」や「青少年保護育成条例」といった名称の条例の中の、淫行を規制している部分の規定を指して、「淫行条例」と通称されているのです。

 

条例とは?

条例とは法令の一種であり、都道府県や市町村の議会が定めるものをいいます。

法律が国会で定められた全国的なルールであるのに対して、条例は都道府県や市町村といった条例を議決した地方自治体内でのみ有効となる、いわば「ローカル・ルール」のようなものです。

このように、条例は適用範囲が地理的に限定されているという制約はあるものの、その自治体内においては、法律と同じ意味を持つことになります。

なお、青少年育成条例を定めているのは市町村ではなく都道府県であり、47都道府県の全てで、これに相当する条例が定められています。

 

淫行とは?

淫行とは、一般的にはみだらな行為やわいせつな行為を指しますが、淫行条例で規制される「淫行」は、青少年に対するこれらの行為であって、その育成に悪影響を及ぼすおそれのあるものをいいます。

条例は都道府県ごとに制定されているものであるため、規定の仕方は一様ではありませんが、基本的に淫行には罰則が規定されており、犯罪に当たるといえます。

 

 

淫行条例の構成要件

法的に犯罪が成立するための要件を、「構成要件」といいます。

法律の条文は何をもって犯罪となるかを規定していますので、構成要件とは、これを分解して「どのような行為をしたら犯罪に該当するのか」を整理したものと考えることもできます。

構成要件は全ての要件を満たした場合にはじめて犯罪となるため、ひとつでも満たさないものがあれば、その犯罪には該当しないということになります。

つまり、誤って犯罪を犯さないためには、構成要件を正確に把握しておくことが重要ということができます。

以下では淫行条例の構成要件について、東京都の淫行条例を例にとって解説します。

条例は法律のように全国一律の規制ではなく自治体ごとの独自規制であるため、その内容は必ずしも統一されていません。

もっとも、青少年育成条例については、青少年を有害な情報や行為から守り健全に育成するという目的で制定されており、内容的には類似ないし重複している部分も少なくありません。

そこで以下ではひとつの例として、東京都の淫行条例を例にとって淫行の構成要件を解説していきます。

あくまで東京都の例ですので、他県の条例にそのまま当てはまるわけではありませんが、他県でもおおむね似た内容の定めとなっているものと思われますので、参考としてください。

 

東京都の淫行条例

東京都の淫行条例は、正式名称を「東京都青少年の健全な育成に関する条例」といいます。

犯罪の構成要件とは、法令の条文を分解して犯罪が成立するための要件を整理したものですので、まずは淫行の条文を確認します。

【根拠条文】
(青少年に対する反倫理的な性交等の禁止)
第十八条の六 何人も、青少年とみだらな性交又は性交類似行為を行つてはならない。

引用元:東京都青少年の健全な育成に関する条例|東京都ホームページ

まず条文を構成要件に分解した上で、それぞれの要件について解説します。

構成要件 解説
何人も 主体に制限はない(ただし未成年は除く)
青少年と 性交等の相手は「青少年」に限定
みだらな 性交等のなかでも「みだらな」ものに限定
性交又は性交類似行為 性交だけでなく類似行為も含まれる

「何人も」

この文言だけを読むと、主体に限定はなく、文字どおり万人に対して禁止されているように見えますが、実は例外があり、この規定は青少年に対しては適用しないものとされています。

【根拠条文】
(青少年についての免責)
第三十条 この条例に違反した者が青少年であるときは、この条例の罰則は、当該青少年の違反行為については、これを適用しない。

引用元:東京都青少年の健全な育成に関する条例|東京都ホームページ

この条例では、「青少年」とは18歳未満の者、すなわち未成年者をいいます(条例2条1号)。

つまり、青少年に対してみだらな性交等を行った場合、原則として淫行に当たることになりますが、未成年者同士の性交等については、条例違反として処罰されることはないということです。

「青少年と」

上記のとおり、「青少年」とは18歳未満のものをいいます。

要件は年齢のみですので、性別や学生であるかといった、年齢以外の属性は「青少年」に当たるかを左右しません。

行為の相手方が18歳以上であれば、たとえ淫行に当たる行為を行った場合であっても、淫行条例違反となることはありません(別途他の法律に抵触する可能性はあります。)。

「みだらな」

淫行条例で規制されているのは、青少年に対する全ての性交等ではなく、「みだらな」ものに限られます。

そこで何をもって「みだら」というのかの解釈が問題となりますが、これについては、福岡県の青少年保護育成条例における「淫行」の解釈を示した判例が参考となります。

あくまで「淫行」の解釈であって、「みだら」について判断したものではない点には注意が必要ですが、一般的には、「みだら」についても同じ解釈になるだろうと考えられています。

判決文自体は長くなりますので、ポイントを抽出すると、「淫行」とは次のようなものをいうとされています。

・「淫行」とは、次のものをいう。

  1. ① 青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
  2. ② 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為

婚約中や、これに準ずる真摯な交際関係にある場合は、処罰の対象として考え難い。

参考判例:最判昭和60年10月23日|最高裁ホームページ

なお、淫行条例では「みだら」なものに処罰対象が限定されていますが、相手方が16歳未満である場合は、「みだら」かどうかにかかわらず、刑法上の不同意わいせつ罪となります(刑法176条3項)。

「性交又は性交類似行為」

「性交類似行為」については条文上の定義はありませんが、一般には、「実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為」であるとされ、具体的には、手淫、肛門性交、口腔性交などがこれに当たると考えられます。

 

 

淫行条例に違反するケースとは?

淫行条例違反となるのは、構成要件のすべてに該当したケースです。

18歳未満の者に対して性交等をするというのはある程度客観的な事情ですので、実際には、その行為が「みだら」に当たるかという点が問題となってきます。

上記の福岡県の事案で示されたとおり、「みだら」に当たるのは2つの類型があります。

 

未成熟に乗じた場合

1つめは、「心身の未成熟に乗じた不当な手段により」行った場合です。

判決の中で不当な手段として例示されているのは、誘惑、威迫、欺罔、困惑させるなどの手段です。

威迫や困惑させるなどの手段が例示されていることから、地位や立場などの力関係をことさら利用したようなケースがみだらであると判断されると考えられます。

「威迫」とは相手を不安にさせるような行為をいいますが、暴行や脅迫のような程度に達すると、条例違反ではなく刑法上の不同意わいせつ罪となります(刑法176条1項)。

また、誘惑については、金銭等のやりとりを伴うような典型的な「援助交際」については、条例違反ではなく「児童売春」として処罰されることになります(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条)。

 

単に自己の欲望を充足する場合

類型の2つめとしては、性交等が単に自己の欲望をみたすために行われたと認められる場合です。

線引きが困難な部分はありますが、一般的な交際関係にあるといえず、単に性的な行為だけの関係性であればこれに当たると思われます。

 

法令違反となる場合のまとめ

未成年者に対するわいせつ行為について、ここまで解説してきた要件をまとめると、次のようになります。

この記事は淫行条例の解説を中心としていますが、未成年者に対するわいせつ行為については、刑法など他の法律によって処罰される可能性がある点に十分気を付けていただきたいと思います。

相手方が16歳未満 相手方が16歳又は17歳
暴行・脅迫等による 対価の提供がある 未成熟に乗じ又は単に自己の欲望を充足
不同意わいせつ罪 不同意わいせつ罪 児童売春 淫行条例違反

 

 

淫行条例違反の5つのリスク

淫行条例に違反してしまった場合、さまざまなリスクがあります。

以下に一例をあげますが、いずれも非常に厳しいものとなっていますので、淫行条例違反となるリスクを十分認識し注意する必要があります。

 

淫行条例違反の罰則

淫行条例に違反した場合、東京都であれば「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処される可能性があります(条例24条の3)。

条例違反であっても犯罪は犯罪ですので、前科がつくことに変わりはありません。

刑罰を科され前科がつくと、法令に定められた罰則以外にも、社会で生活していく上でさまざまな不利益を被るおそれがあります。

前科について、詳しい解説はこちらをご覧ください。

 

マスコミによる報道

淫行条例違反を犯した場合、特に逮捕された場合などは、マスコミにより報道される可能性があります。

報道機関のスタンスによっては報道の際に実名が出ることもありますし、特に現代では新聞やテレビだけでなく、ネットニュースによって瞬く間に情報が拡散してしまいます。

そうなると条例違反の事実が勤務先や家族に知られる可能性が高まります。

一度報道によって情報が世に出ると、氏名を検索した際に、いつまでも事件の記事が検索結果に表示されるといったことにもなりかねません。

自らが招いたこととはいえ、報道によって多大な不利益を被ることを覚悟しなければならないといえるでしょう。

事件が報道されるか否かについては、こちらの解説を合わせてご覧ください。

 

会社を解雇される

淫行条例違反を犯した場合、勤務先である会社から解雇されるおそれがあります。

たとえば、塾の講師が生徒に対して淫行をしたようなケースであれば、淫行と業務が密接に関連していますので、ダイレクトに懲戒事由となってきます。

一方、通常の会社員の場合は、淫行は会社の業務とは無関係なプライベートでの不祥事ですので、直ちに会社の懲戒事由に該当するとはいえません。

もっとも、会社の信用や社会的評価を著しく毀損したような場合には、たとえ業務外での行いであっても、懲戒の対象となることがあります。

淫行条例違反は青少年に悪影響を与える点で社会的に強い非難が向けられる犯罪ですので、自社の従業員がそのような罪を犯したとなると、業務と無関係であっても、会社の悪評を招くことが避けられません。

特に、実名報道や社名を伴った報道などにより犯行が広く周知されたような場合には、会社の評判に与える影響も甚大となり、ケース次第では解雇を含めた処分を受けることがあり得ます。

そのような理由で前職を解雇されたとなると、再就職への影響も懸念されますので、解雇は大きなリスクの1つといえます。

逮捕が学校や会社に発覚するかについての詳しい解説は、こちらをご覧ください。

 

家族の信頼を失う

生活への影響としては、勤務先のほか、家族との関係悪化も心配されます。

淫行条例違反は、本来守られるべき未成年者に対してみだらな行為をして傷つけるという悪質な犯罪ですので、家族から向けられる目も当然厳しいものとなります。

既婚者であれば、単純な不倫や不貞行為ですら離婚事由となるのですから、ましてやその相手が未成年となれば、家庭に決定的な打撃を与えることも十分考えられます。

淫行条例違反は、単に自身が法律に定められた刑罰を受けてそれで終わりということではなく、さまざまな方面に迷惑をかけることが想像できるのではないでしょうか。

淫行が家族などに発覚するかについては、こちらの解説もお読みください。

 

民事上の損害賠償

淫行条例違反は犯罪であり、刑事罰として東京都の例であれば「二年以下の懲役又は百万円以下の罰金」という罰則が科されるおそれがありますが、それ以外にも、民事上の責任を問われる可能性があります。

未成年者を淫行によって傷つけているわけですので、刑事とは別に、民事上も不法行為として賠償する責任が発生するのです。

具体的には、被害者から慰謝料として損害賠償を請求される可能性があります。

100万円以下の罰金を科せられ、会社を解雇され、その上民事上の賠償責任まで発生するとなると、経済的にもかなりの負担となります。

たった一度の過ちであってもこれだけの責任を負う可能性があることを、ぜひ認識していただきたいと思います。

刑事事件の加害者に対する損害賠償請求についての詳細は、こちらをご覧ください。

 

 

淫行条例で逮捕されたときの流れ

淫行条例で逮捕された場合、次のような流れで事件は進行します。

逮捕

逮捕されると身柄が拘束され、48時間以内に検察庁に送検されます。

送検

容疑者の送致を受けた検察官は、24時間以内に容疑者の勾留を請求するか判断します。

勾留

勾留されると、10日間にわたって身柄の拘束が続きます。

また、10日間を上限に勾留延長される可能性があります(最大で20日間の拘束)

起訴

起訴とは刑事裁判にかけられることを意味します。

起訴前の勾留は最長でも20日間でしたが、起訴された場合、保釈されない限り判決まで勾留が続くことになります。

判決

 

 

淫行条例違反で弁護士をつけるメリット

淫行条例違反で逮捕されたり、あるいはその容疑をかけられたりした場合、弁護士をつけることには大きなメリットがあります。

 

的確な助言が得られる

犯罪の容疑者として捜査の対象となった場合、捜査がどのように進んでいくのか、取り調べにどのように対応すべきなのか、最終的にどのような処分が見込まれるかなど、不安なことも多いと思います。

たとえ責任から逃れるつもりがないとしても、上記のような不安を抱えたまま捜査への対応はしたくないというのは、当然の心情ではあります。

弁護士に相談することで、取り調べに対する適切な対応方針についてアドバイスを得られるほか、手続きや処分の見通しについても的確な助言が得られます。

自身の行為ときっちり向き合うためにも、淫行条例違反の捜査には、弁護士の助言の下で対応するのが望ましいといえます。

 

弁護活動によるサポートが得られる

弁護士に依頼することで、依頼を受けた弁護士はさまざまな弁護活動が可能となります。

たとえば、淫行条例違反の容疑者として逮捕されて「接見禁止」という処分を受けた場合、たとえ家族であっても原則として面会することは許されず、外部との連絡は一切絶たれた状態となります。

そのような状況でも、依頼を受けた弁護士だけは例外的に面会できるため、捜査の状況を逐一把握して最善の助言ができるのです。

また、被害者との示談を望む場合、スムーズに示談を進めるためには、法律の専門家である弁護士の介入はほとんど必須といえます。

弁護活動が功を奏せば、不起訴のような寛大な処分によって早期に社会復帰が可能になるケースもありますので、弁護士に依頼することのメリットは非常に大きいといえるでしょう。

 

 

淫行条例の弁護士の選び方

弁護士に依頼するというのはなかなかあることではありませんので、弁護士をどのように選べばよいかお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

弁護士はみな国家資格を有する法律の専門家ですので、どの弁護士に依頼しても基本的には適切な弁護を受けることができるといっていいでしょう。

しかし少しでもよい弁護士に依頼して安心を得たいということであれば、弁護士選びについてもポイントがあります。

 

刑事弁護に強い弁護士相談する

淫行条例違反で弁護士に依頼する場合、刑事弁護に強い弁護士相談することが重要となってきます。

書面でのやりとりが中心となる民事事件と異なり、刑事事件では、面会や被害者対応、法廷での弁護活動など、刑事事件特有のスキルが問われます。

特に、淫行条例違反のように被害者のいる犯罪では、被害者対応の経験を多く持つ弁護士が適任といえます。

刑事事件に強い弁護士であれば、数々の事件を処理してきた実績がありますので、心強い伴走役となってくれることでしょう。

刑事事件における弁護士選びの重要性については、こちらもご覧ください。

 

 

淫行条例の弁護のポイント

ここでは、淫行条例違反の事件についてどのような点に気を付けて弁護活動を行うのか、弁護士側の視点から、弁護のポイントについてご紹介します。

 

寛大な処分の獲得を目指す

刑事事件における弁護活動の目的は、できる限り軽い処分を獲得することです。

これは罪を逃れようということではなく、刑事手続きの上ではできるだけ負担の小さい処分を受け、早期に社会生活に復帰することで、しっかり罪と向き合って更生していくために大切なことなのです。

具体的には、不起訴処分や、仮に起訴された場合には執行猶予付きの判決となるように弁護活動を進めていきます。

 

被害者と一刻も早く示談する

以上のような有利な処分を得るために極めて重要なのが、被害者と速やかに示談することです。

示談とは、被害者に対して罪を認めて謝罪し、通常はいくらかの賠償金を支払うことで、許しを得ることをいいます。

被害者のいる犯罪、特に淫行条例違反のような性犯罪では、処分を決定するに当たって、被害者の処罰感情が重視されます。

処分はさまざまな事情を総合的に考慮して決められるため、示談が成立すれば必ず不起訴になるというものではありませんが、少なくともその可能性を大きく高めることは期待できます。

ただし、淫行条例違反は通常の刑事事件と異なり、被害者が未成年であるという特徴があり、一般的な事件と比較しても特に慎重な被害者対応が求められます。

未成年者との示談で注意すべきことについては、こちらで解説しています。

 

事案によっては黙秘を選択する

取り調べに対して、聞かれたことに全て正直に答えることは、反省の態度の表れとして有利に考慮される反面、捜査機関に情報を渡してしまうことになるため、犯罪の成立が微妙な事案などでは、黙秘する方が有利となることもあります。

刑事事件の経験が豊富な弁護士であれば、事案に応じた最適な対応を見極めて助言することができるのです。

 

 

淫行条例違反の解決事例

以上のように、淫行条例違反は、刑事事件に強い弁護士に依頼して示談交渉を適切に進めることができれば、不起訴処分で事件を終えることができる可能性があります。

また、事案によっては、黙秘の対応が適切なこともあります。

以下では、弁護士の判断で黙秘を勧めた結果、不起訴処分となった事例をご紹介していますのでご覧ください。

 

 

淫行条例についてのQ&A

高校生とセックスしたら犯罪ですか?

まず、淫行条例が対象とする「青少年」とは18歳未満の者とされていますので、問題は年齢であり、高校在学中であるかどうかは関係ありません。

そして構成要件のところで解説したとおり、淫行条例が規制しているのは未成年者との性行為すべてではなく、「みだらな行為」に当たるもののみが処罰対象です。

ただし一般的に言って、成人と未成年者の間に真摯な交際関係が認められるかというと、それなりのハードルがあると思われます。

何をもって、という線引きは難しいところもありますが、線引きが難しいからこそ、慎重な行動が求められているといえるでしょう。

なお、相手が16歳未満の場合(13歳以上の場合は5歳以上年の差があることが要件)、たとえ同意があったとしても、性交等を行うと「不同意性交等罪」(旧強姦罪)として処罰されることとなります。

 

18歳未満同士の性行為は犯罪ですか?

「何人も」の解釈に関連してご説明したとおり、東京都の場合、青少年自身は淫行条例の適用対象から除かれているため、18歳未満同士の性行為が淫行条例違反となることはありません。

 

 

大人は未成年者を恋愛対象にできない?

まず、淫行条例は「みだらな性交・性交類似行為」を規制しているため、性的行為を伴わない関係であれば、淫行条例違反とはなりません。

一方、性的行為が伴う場合は、「みだら」に該当しないことが必要となりますが、成人と未成年者の間に真摯な関係が認められることの難しさについては上記のとおりです。

また、大人が16歳未満の相手と性交等を行うと「不同意性交等罪」(旧強姦罪)として処罰されることとなります(相手が13歳以上の場合は5歳以上年の差があることが要件)。

例えば、20歳の大人が15歳の相手と性交等を行うと不同意性交等罪が成立することとなります。

 

援助交際は淫行条例に違反する?

「援助交際」の定義によりますが、単に食事などのデートにとどまる場合には、たとえ報酬のような対価を渡していたとしても、そもそも「淫行」ではないため条例違反にはなりません。

他方で、性的な行為が伴う場合には、対価を支払う援助交際は淫行条例違反にも当たるものの、児童売春として処罰されるケースが多いと思われます。

なお、相手が16歳未満の場合、食事などのデートにとどまる場合でも、わいせつな目的で面会を求めると、面会要求罪が成立する可能性があるので注意が必要です。

 

18歳未満と知らなかった場合も処罰される?

東京都の条例では、18歳未満と知らなかったことにつき無過失の場合を除き、年齢を知らないことを理由として処罰を免れることはできないとされています(条例28条)。

たとえば、年齢確認をしたにもかかわらず身分証を偽造されていたようなケースであれば、無過失となる余地もあり得ますが、実際には無過失と認められる事例は多くないと思われます。

 

 

まとめ

この記事では淫行条例について、条例の位置づけや構成要件、リスクや対処法などについて解説しました。

最後に、記事の要点は次のとおりです。

・淫行条例とは、正式には「青少年健全育成条例」のような名称で、都道府県によって定められている。

・犯罪が成立するための条件を「構成要件」といい、淫行条例の構成要件は、①青少年以外の者が②青少年に対して③みだらな④性交又は性交類似行為を行うことをいう。

・未成年者へのわいせつ行為については、淫行条例違反だけでなく、不同意わいせつ罪や児童売春など他の犯罪が成立する可能性もある。

・淫行条例違反には、刑事責任のみならず、民事上の賠償責任や社会生活への影響など多くのリスクがある。

・淫行条例違反を犯した場合は、刑事事件に強い弁護士に依頼することが重要である。

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