弁護士が入った会社の整理と言えば、裁判所を使った倒産や民事再生が思い浮かぶかもしれません。確かに、これらの法的整理は、公平性、強制力、安定性など種々の利点があります。しかし、かなりの時間や費用がかかること、また、再建を目指す場合には倒産情報がオープンになるために、信用が著しく毀損されてしまうリスクがあります。

そこで、法的整理(破産や民事再生等)とは違い、裁判所による監督を受けずに債権者と債務者とが自主的に協議を行い、債務の整理・調整等を行う方法が考えられます。それが私的整理です。

 

私的整理のメリット

①手続が柔軟かつ迅速である。

法的整理は、債務の整理の進め方が法律により厳格に決まっています。

一方、私的整理は、裁判所のような公的機関を通さずに、債権者と債務者の協議によって自由に進めていきます。また、私的整理の場合、「私的整理ガイドライン」というものがあり、このガイドラインでは3か月程度で整理を終了することが予定されています。他方、法的整理の場合、半年以上はかかることから、比較的短時間で手続を終了させられるといえます。

 

②整理の対象債権者を限定できる。

私的整理では債権カットが一律ではなく、合意した債権者の債権だけをカットの対象とできます。そのため、取引先の中で、自社に対して依存度の高い下請企業や零細な取引先に負担をかけないため、連鎖倒産という事態を防ぐことができます。

 

③秘密の保持がしやすい

破産や民事再生、会社更生の場合、手続開始決定がなされると、各債権者に通知が出され、公告もなされます。そのため、手続を行っていること自体を秘密にすることはできません。また、法的整理の場合、債権者などは、申立をした会社から裁判所に提出されている書類を閲覧したりコピーしたりすることができます。そのため、会社の経営情報・財務情報が債権者・取引先などに知れ渡ることになります。

しかし、私的整理の場合、このようなことはなく秘密を保持することが可能です。

 

私的整理のデメリット

①整理案に同意しない債権者に対してはなんらの強制力はない。

法的整理と異なり、私的整理には多数決原理は導入されていません。すなわち、再建計画に同意しない債権者を法的に拘束できないため、その債権者を説得しなければならないという労力が生じます。

 

②強制執行を抑制するような制度的な保障がない。

一部の強硬な債権者が債務名義(裁判判決、公正証書など執行ができる権利)を取得して強制的手段に出てくるおそれがあります。

上記のようなマイナス面に対しては、特定調停など対抗策がない訳ではありませんが、商工ローン、街金融が複数存在した場合には法律的整理に移行せざるを得ない場合もあります。

 

 

 

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