会社の破産【弁護士がわかりやすく解説】

会社の破産とは

破産とは、債務者が経済的に破綻し、債務の支払いが不可能になった場合に、法人が所有する財産全てを換金して債務者に公平に支払い、その後の債務を原則として全て帳消しにするための方法です。

会社は、それぞれの目的のために存在し、経済活動を行っています。

経営陣の方々は自社を永続的に成長・発展させようと尽力されていると思います。

しかし、どんなに強い会社であっても、いつかは幕を閉じます。

特に、現代社会では、技術が進化するスピードは早くなっており、企業が置かれた経営環境は刻々と変化しています。

これまでニーズがあった商品やサービスは、以前よりも早い期間でコモディティ化するようになっており、プロダクト・ライフサイクルは短くなっています。

また、現在は昔と比べて起業しやすく、多くのスタートアップ企業が存在します。

イノベーションを生み出すべく、リスクを取って攻めの経営にチャレンジしているベンチャー企業も増加しています。

このような社会的な背景から、企業の平均寿命は短くなっており、現在は15年とも言われています。

日本経済にとって、経営破綻した企業の債務を帳消しにし、経営陣の経営陣の方々を再出発させることは必要不可欠です。

したがって、破産は経営陣の方々を再出発させるための手続といえます。

 

 

破産の流れ

破産は、債務者等が裁判所に申立てを行い、裁判所が破産手続開始決定を下すことで始まります。

その後、破産管財人が選任され、債務者の財産の管理・換価や債権調査などが行われます。

破産管財人の任務が終了すると、裁判所は破産手続終結決定をします。

そして、会社の法人格も消滅することとなります。

また、代表者の方などが会社の債務について保証人となっている場合、通常は代表者の方についても、個人破産の申立てを行います。

個人破産の場合は、免責手続を行い、債務の帳消しを目指します。

弁護士への相談

弁護士は会社の負債状況等を分析し、最適な債務整理の方法を提案。

破産することを決定

弁護士の助言を基に破産するか否かを意思決定する。

受任通知の発送・申立て準備

弁護士から債権者に対して受任通知を発送し、玄関等に張り紙を行うなどして対外的に破産する旨を表明。

売掛金の回収、従業員への解雇通知、その他破産の申立ての準備を行う。

破産手続の申立て

原則として本店所在地を管轄する地方裁判所へ申立を行う。

受任通知発送から申立てまでは通常3~6ヶ月程度。

審  尋

裁判官と面談。破産の経緯や債務状況等について事情を説明。

破産手続開始決定

支払不能又は債務超過の場合、裁判所が開始決定を行う。

破産管財人の選任

破産管財人(弁護士が選任される)は、財産の管理・換価、債権の調査、契約関係の処理を行う。

債権者集会

会社代表者は債権者集会において必要な説明を行う。

代理人弁護士も出席してサポート。

配  当

債権者に対して配当できるだけの現金があれば配当を行う。

会社の破産に伴い、代表者も自己破産する場合、代表者について免責手続を行う。

免責手続 ⇒ 免責決定

会社の破産に伴い、代表者も自己破産する場合、代表者について免責手続を行う。

再出発

通常は破産申立てから終了するまで半年から1年程度。

 

 

 

破産する場合の注意点

債権者への対策が必要

債権者が会社の資金繰りの悪化に気づくと、無理な取り立てを誘発することとなります。

例えば、破産申立ての随分前に債権者に対して受任通知を発送したり、玄関へ張り紙を掲示したりすると、債権者の無用な混乱を招くおそれがあるので注意が必要です。

 

申立て費用が必要

破産を申立てる場合、依頼する弁護士費用と裁判所に支払う費用(予納金)が必要となります。

申立てに要する費用を準備できない場合、「破産したくても破産できない」という状況になるため注意が必要です。

 

弁護士費用

当事務所の破産申立ての弁護士費用はこちらのページをご覧ください。

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弁護士費用

裁判所に支払う費用

裁判所に対して支払う予納金は、債務額等に応じて数十万円から数百万円まで、事案によって異なります。

福岡地裁では、最低額は20万円となっています。

 

破産申立て前の取引行為も否認の可能性がある

経営状況が悪化し、破産が免れない状態になった後に、資産を売却したり、特定の債権者に弁済をすると、申し立てた後に、破産管財人から否認権を行使されるおそれがあります。

そのような状況に至った場合、破産申立て前であっても、「会社の財産はすべての債権者のもの」であり、当該行為は債権者の公平を害すると考えられるからです。

したがって、破産を視野に入れている場合、資産の売却等は注意が必要です。

 

日常生活の制限

破産手続は、破産者である会社や代表者個人について、隠している資産がないか、免責不許可事由がない等も調査対象となります。

そのため、破産手続の期間については、日常生活において不自由に感じることがあります。

まず、会社や代表者個人は、財産の管理処分権を失います。そして、本人宛の郵便物は、破産管財人に配達されるようになります。

また、裁判所の許可を受けないで引っ越ししたり、海外旅行など長期の旅行はできなくなります。

さらに、破産する代表者個人は、免責決定が確定するまで、弁護士や公認会計士等の一定の職業につくことが制限されます。

破産後も、一定期間(10年程度)、住宅ローンの設定やクレジットカードの作成・利用が難しくなります。

 

 

破産が成功する3つのポイント

POINT1弁護士との念入りな打ち合わせ

破産は、債権者だけではなく、従業員やその他の取引先に対しても重大な影響を及ぼします。

そのため、弁護士と事前に入念な打ち合わせを行うことがスムーズに破産するためのポイントとなります。

カレンダー例えば、事業活動をストップする日(Xデー)を設定します。

前述したとおり、あまり早く受任通知を出すと、無用な混乱を招くこととなるため、Xデーを設定して、その日以降に受任通知を出すようにするのが基本です。

また、従業員に対する解雇予告の通知のタイミングや方法も打ち合わせが必要です。

さらに、会社財産の散財を防ぐための対策、賃貸物件の明け渡しなどのタイミングについても打ち合わせが必要となります。

その他、売掛金の回収や在庫商品の換価なども弁護士の指導のもと行うべきです。

 

POINT2会社財産の処分は弁護士に相談

前述したとおり、経営状況が悪化した時点での会社財産の処分は、否認されるおそれがあります。

最悪、破産できないという自体にもなりかねないので、経営状況が悪化している状況では、弁護士に相談した上で、会社財産の処分や債権者への弁済を行うべきです。

 

POINT3破産についての誤解を取り除く

上述したとおり、破産すると破産手続の間は日常生活が一部制限されます。

しかし、破産に対するネガティブなイメージから、実際にはない不利益を受けるという誤解が見られます。

例えば、破産すると、裁判所から職場に通知が行く、家族の就職や進学に影響する、家族がクレジットカードを作れなくなる、自宅に借金の取り立てが来る、などが典型です。

これらはすべて事実と異なります。破産は原則として本人のみに適用されるので、その影響がご家族に及ぶことはありません。

これらの間違った情報に惑わされず、正しい知識にもとづいて対処することがポイントとなります。

 

 

破産のご相談について

破産については倒産・再生問題に関する専門的な知識・経験が必要となるため、当事務所では破産再生チームに所属する弁護士がサポートしております。

破産について、お気軽にご相談ください。

ご相談の流れはこちらのページをご覧ください。

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