破産を申し立てるとき手元に残せる財産とは?

破産をすると全ての財産を失うのでしょうか?

車はどうなりますか?

自宅にも物も没収されるのでしょうか?

 

執筆者:弁護士 米盛太紀

 

破産すると、現在有する財産のほとんどが失ってしまうと誤解されている方が大勢いらっしゃいます。

確かに、破産は、めぼしい財産があれば現金化(換価)され、債権者に配当されることがあります。

しかし、破産者の有する全ての財産が換価され、破産手続によって、破産者が一文無しになるわけではありません。

以下、福岡地方裁判所における運用基準について解説します。

 

破産財団と自由財産とは?

破産すると、破産者が有する財産は、「破産財団」と「自由財産」に分類されます。

「破産財団」とは、破産者が破産手続開始時に有する財産で破産管財人に管理処分権が専属する財産です。

破産手続開始時に破産者が有する財産は、原則として、破産財団となります。

「自由財産」とは、破産財団に属しない財産をいい、破産手続によって換価・処分の対象にならないため、破産手続が開始されても保持し続けることができます。

破産は、破産手続開始決定時に破産者が有する「破産財団」を債権者に平等に配当する手続ですので、破産手続開始決定後に破産者が新たに取得した財産(新得財産)は、原則として、「自由財産」となります。

また、破産開始決定時に破産者が有する財産の中でも、一定の財産については自由財産として認められています。

 

福岡地裁の換価基準

福岡地方裁判所においては、内部基準としての自然人の管財事件における換価基準が定められています。

①破産者が有する次の⑴から⑼の財産については、破産手続における換価又は取立て(以下「換価等」という。)をしない。

ただし、破産管財人の意見を聴いて相当と認める場合は、法定自由財産でないものについて、換価等をすることができる。

【換価等をしない財産】

⑴99万円に満つるまでの現金

⑵預貯金(残高合計が20万円以下である場合に限る。)

⑶保険契約解約返戻金(見込額合計が20万円以下である場合に限る。)

⑷自動車(処分見込額合計が20万円以下である場合に限る。)
ただし、初度登録から5年を経過した自動車については、なお相当な価値があることが類型的にうかがわれるもの(ハイブリッド車、電気自動車、外国製自動車、排気量2500ccを超えるものなど)を除き、価額を0円とみなすことができるものとする。

⑸居住用家屋の敷金等返還請求権

⑹電話加入権

⑺退職金債権のうち支給見込額の8分の7相当額(8分の1相当額が20万円以下である場合には、当該退職金債権の全額)

⑻家財道具

⑼差押えを禁止されている動産又は債権

 

②前項により換価等をしないことが財産状況報告集会において裁判所によって了承された財産については、自由財産拡張の裁判があったものとして取り扱う。

以上のとおり、⑴から⑼の財産については、自由財産として、原則として、破産後も保持し続けることができるのです。

 

自由財産拡張の申立て

福岡地方裁判所においては、原則として換価される財産についても、自由財産拡張の申立て等によって、換価等されないようにすることができます。

その場合には、裁判所及び破産管財人に対して、上申書を提出するとともに、破産管財人に対し、協議を申出ることが必要になります。

そして、換価することが不適切である理由を裁判所及び破産管財人に対し、説得的に説明することが求められます。

 

具体的には?

不動産について
以上の基準に照らしても明らかなとおり、破産すると、不動産を有していると、原則として、換価をされてしまいます。

不動産を有しているか否かの基準は、原則として、登記の有無になります。

そのため、両親が日常生活に利用していたとしても、登記名義人が破産者の場合、当該不動産は、原則として、破産財団に帰属することになります。

他方、結婚後に購入した不動産がある場合も、登記名義が配偶者の単独名義の場合には、原則として、破産者の破産財団に帰属することはありません。

また、不動産が破産財団に帰属する場合、不動産を換価の方法としては、①抵当権者(別除権者)の申立てによる競売、②破産管財人による任意売却等があります。

任意売却の方が、通常、高価に不動産を換価できるため、一般的には任意売却の方法によって、不動産が換価されます。

自動車について

上記の基準を満たす自動車であれば、自由財産として保持し続けることができます。

しかし、自動車ローンが残っている場合には、通常、自動車について所有権留保がなされている場合がほとんどです。

そして、所有権留保がされている自動車の引揚げについては、破産をしても可能ですので、この場合には、自動車は引き上げられてしまう可能性が高いです。

保険について

上記の基準に照らしても明らかな通り、解約返戻金が20万円を超える場合には、保険契約を解約し、その金銭を債権者へ配当しなければなりません。

もっとも、解約返戻金の見込額と同程度の現金を破産財団に組み入れることで、保険契約を解約することを免れる場合もあります。

また、自由財産拡張申立てが認められれば、自由財産として保持し続けることもできます。

なお、自動車や保険に関する詳しい内容についてはこちらをご覧下さい。

 

 

破産や個人再生などの手続の選択は、自由財産としてどの程度の財産が残せるか等、諸般の事情を考慮し、決定しなければなりませんので、一度債務整理を専門とする弁護士にご相談することをオススメします。

弁護士米盛太紀

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