掲載日:2019年6月4日|最終更新日:2019年6月4日

債務整理に関する質問です。

個人再生を考えていますが、来月に現在の仕事を退職する予定です。
このような状況で個人再生することができますか。
なお、生活費については当面の間、両親に援助してもらう予定です。
借金は、約300万円です。

ご質問に対し、当事務所の弁護士がご回答いたします。

個人再生手続は、小規模個人再生給与所得者等再生があります。

この手続には、いずれも継続的な収入があることが要件となります。

 

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いは?

 

個人再生手続とは

個人再生手続(小規模個人再生及び給与所得者等再生)は、その利用対象者を継続的な収入の見込みがある個人債務者に限定した再建型の手続です。

また、個人再生手続では、再生債権の総額が5000万円を超えないことが要件となっています。

なお、5000万円を超えるかどうかを算定する際、住宅資金貸付債権の額は、除外して算定されます。

債務免除の額は、小規模個人再生と給与所得者等再生で、以下のとおり異なります。

 

小規模個人再生の場合

小規模個人再生の場合、債務額に応じて、最低弁済額は異なります。

  1. 100万円未満の場合 → その基準債権額
  2. 100万円~500万円未満の場合 → 100万円
  3. 500万円~1500万円未満の場合 → 基準債権の5分の1
  4. 1500万円以上の場合 → 300万円

なお、上記の金額は、最低弁済額であり、清算価値保障原則により、上記金額に加算される可能性があります。

 

給与所得者等再生の場合

給与所得者等再生の場合には、上記の要件と合わせて、可処分所得という要件が付け加わります。

可処分所得とは、収入から税金や保険料等の必要な支払をした残りの金額で、債務者が自由に処分できる部分のことです。

すなわち、債務者の収入や家族構成等を基礎に当該債務者の可処分所得を算出し、その2年分以上の額を弁済原資に充てることが必要になります。

また、給与所得者等再生の場合には、一般のサラリーマンなど将来の定期的な収入を得る見込みがあり、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれることが要件となります。

 

返済期間

個人再生の場合、返済の期間は、原則として3年(最長5年)で、分割弁済していくことになります。

そのため、仮に、個人再生を申し立てる場合で、300万円の債務がある場合には、原則として返済額は100万円となり、100万円を3年で返済することになります。

そして、100万円を3年で返済することになるため、原則として、月額2万7000円あまりずつを返済する必要があるのです。

したがって、この場合には、最低限月2万7000円あまりを返済することができなければ個人再生を利用することはできないということになります。

 

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

小規模個人再生も給与所得者等再生も、個人再生という点で共通します。

もっとも、双方には、弁済額と債権者の消極的同意の有無という点が大きく異なりますので、いずれの手続で個人再生を行うかについては、これらの点を考慮して判断する必要があります。

弁済額

小規模個人再生の場合、先ほども記載したとおり、小規模個人再生の場合には、最低弁済額と清算価値保障原則を踏まえて、弁済額が決定されます。

これに対し、給与所得者等再生の場合、可処分所得要件も加わります。

そのため、一般に、小規模個人再生に比べ、給与所得者等再生の方が弁済額が大きくなります。

債権者の消極的同意の有無

小規模個人再生の場合、再生計画が認可されるためには、債権者の半数及び債権総額の過半数を占める債権者が再生計画に不同意していないこと(消極的同意)が要件とされています。

すなわち、債権者の半数が同意をせず、もしくは、債権総額の過半数を占める債権者が同意をしない場合には、再生計画は認可されないことになります。

これに対し、給与所得者等再生の場合、このような債権者の消極的同意は必要ありません。

そのため、大口債権者が反対の意思を表明している場合には、小規模個人再生ではなく、給与所得等再生を申し立てる必要があります。

以上より、いずれの手続により個人再生を行うかは、まずは小規模個人再生を検討し、反対をする大口債権者が想定される場合には、給与所得者等再生を検討するという流れが一般的です。

 

個人再生と自己破産の違い

個人再生手続の場合、弁済の原資が債務者の収入である点が自己破産と異なります。

すなわち、自己破産の場合、手続開始決定時の財産のみを対象に債権者に配当するのに対し、個人再生の場合には、債務者の収入に基づいて債務を返済していきます。

したがって、個人再生手続の場合には、弁済の原資が現在の財産ではなく、将来得られる財産も含まれるため、継続的に収入が得られる見込みがあることが要件とされているのです。

 

 

本件における弁護士の考え

本件では、小規模個人再生を申し立てることをおすすめします。

その場合、債務額は原則として100万円となります。

そして、再生計画において3年間の返済計画を立てた場合、原則として、毎月約2万7000円ずつを返済していくことになります。

なお、近い将来退職が決まっている場合、将来の収入を確実かつ容易に把握できることができないと判断される可能性が高いので、まずは、再就職先を見つけることが重要になります。

以上をまとめると、一定程度の継続した収入がなければ個人再生手続を申し立てることができないため、まずは、就職先をまずは見つけることが必要になります。

なお、申立て直前にアルバイトを開始した場合には、継続した収入といえるかで問題となり得る可能性がありますので、ご注意してください。

債務整理を悩まれている方は、どのような方法があるのか、それぞれの手続の特徴は何かを知るために、一度、債務整理を専門とする弁護士にご相談することをお勧めします。

 

 

弁護士が解説!債務整理についてよくある相談Q&A



債務整理についてもっとお知りになりたい方はこちら