破産申立て前に保険を解約できる?【弁護士執筆】


執筆者:弁護士宮崎晃

弁護士の回答

契約書の写真資産散逸行為となる可能性があるため基本的にはやめるべきです。

保険には、掛け捨てタイプのものと、積み立てタイプのものがあり、生命保険や学資保険等の積み立てタイプのものについては、解約すると、解約返戻金が支払われます。

そのため、破産前に、保険を解約して、現金にしたいという相談が多く寄せられています。

保険契約を解約して現金化すると、資産散逸のおそれがあります。

そのため、福岡地裁では、破産申立前に解約した保険がある場合、その内容や使途についての説明を求めています。

そして、説明が不明確だったり、内容に問題があると、管財事件となる可能性があります。

また、場合によっては免責許可にも影響します。

解約返戻金をギャンブルなどに費消したようなケースでは、免責不許可となる可能性もあるでしょう。

また、申立代理人である弁護士が破産の申立費用に当てるために、保険を解約するよう指示することが考えられます。

確かに、弁護士費用は破産を申し立てるために必要不可欠なものですので、有用の資ともいえそうです。

しかし、弁護士は、資産散逸防止義務を負っていると解されています。

そのため、基本的には解約はせず、どうしても必要があれば、裁判所と協議しながら慎重に検討すべきだと考えます。

福岡地裁では、破産手続が円滑に進むように、福岡県弁護士会所属の弁護士に対して、破産レターを発送しています。

以下の文章は、2015年3月に福岡地裁が発出した破産レター(4)のうち、資産散逸防止についての記事を抜粋したものです。

資産散逸防止について

(1)申立代理人の資産散逸防止義務

一般に、申立てを受任した申立代理人は、将来破産財団を形成することになる申立人の資産を適切に管理する義務を負担すると解されています。別表の各裁判例も、債務者との間で同人の破産申立てに関する委任契約を締結した弁護士は、破産制度の趣旨に照らし、債務者の財産が破産管財人に引き継がれるまでの間、その財産が散逸することのないよう、必要な措置を採るべき法的義務(財産散逸防止義務)を負う旨判示しています。

(2)資産散逸に関する裁判所の対応

当部では、申立人がかつて有した相当の価値を有する資産が申立時に存在しない場合には、申立書等において、その説明を求めています。例えば、受領した退職金や保険解約返戻金については、内容、使途等を説明していただいています。

これらが明らかとならないときは、事案に応じ、「同時廃止基準について」における資産調査型、否認対象行為調査型その他に該当することとなり、原則として管財事件として進行することとならざるを得ません。

さらに、管財人の調査の結果、資産の散逸が認められるような場合には、事情に応じて、管財人から、否認権を行使したり、申立代理人に対し、損害賠償責任を追及せざるを得ない場合もあります(別表の各裁判例及び当庁における各実例参照)。

したがって、申立代理人におかれては、このようなことがないよう、受任後直ちに、申立人に対し、資産散逸行為を行うことがないよう十分な説明をし、かつ、財産の種類、内容等に応じて適切な資産保全措置を行うなどして、その散逸を防止し、管財人に適切な引継ぎをされるようお願いします。

弁護士が解説!債務整理についてよくある相談Q&A



債務整理についてもっとお知りになりたい方はこちら

●当事務所の解決事例
●よくある相談Q&A
●債務整理における弁護士費用
●債務整理に関する書式集
●個人再生について
●自己破産について
●任意整理について
●過払い金返還請求について
●家族にバレずに借金の問題を解決できる?