破産すると保険はどうなる?【弁護士執筆】


執筆者:弁護士米盛太紀

Q:破産をすると、現在加入している健康保険や生命保険などの保険は、利用できなくなりますか。

A:破産をしても、健康保険は継続して加入し続けることができます。

生命保険などについても、解約する必要がないケースがほとんどです。

 

当事務所の破産再生チームにはこのようなご相談をたくさん受けます。

◎ 破産すると、健康保険はどうなりますか。

◎ 生命保険や子供のために積み立てた学資保険はどうなりますか。

健康保険の保険料を滞納している場合

正社員など、毎月の給料から社会保険料が天引きされている場合には、保険料を滞納しているということが考えられませんが、自営業者や短期のアルバイトなどの方で破産を考えている方の中には、健康保険料を滞納している方は比較的多いです。

まず、健康保険料を滞納してる場合に、破産をしても、健康保険料の滞納金は免責の対象にならないので、破産手続が終結しても支払義務が消滅しません。

すなわち、債務が消滅することがないので、自己破産しても滞納金を支払う必要があり、その結果、破産と健康保険証が使用できなくなるということ無関係であるといえます。

このように、自己破産をしたことは健康保険証の使用に全く影響がないことがわかります。

なお、その後も滞納が続くと保険証が切り替えられてしまう等の不利益を受けることがあります。

 

 

生命保険について

福岡地裁の運用基準(平成30年現在)においては、生命保険等の保険契約において解約した際に払い戻される金額(解約返戻金)の「見込額合計が20万円以下である場合」には、保険契約解約返戻金は換価・配当の対象となりません。

福岡地裁の換価基準については、こちらをご覧ください。

したがって、解約返戻金が20万円を超えない場合には、継続して契約し続けることができます

また、解約返戻金の見込額が20万円を超える場合であっても、必ずしも、生命保険を解約しなければならないのではなく、このような場合であっても、契約を継続することが可能な方法もあります。

例えば、解約返戻金の見込額の同程度の現金を破産財団に組み入れることで、生命保険については処分されることを免れることが考えられます。

厚い本

また、裁判所及び破産管財人に対し、自由財産拡張の申立てをすることなども考えられます。

東京地裁において、多額の自由財産の拡張が認められた例として、破産者及びその夫による破産の同時申立てられ、同一の破産管財人が選任された事案において、今後の生活費等に充てる資金として破産者に300万円の保険解約返戻金が拡張された例などもあります。

かかるケースでは、保険の再加入が認められない等の事情が考慮されたと考えられます。

当事務所においては、生命保険を今後も継続したいという依頼者に対しては、依頼者の希望に添えるか否か、またどのようにすれば、継続することができるかを、破産問題に精通した弁護士が事案に応じたアドバイスをしております。

 

 

任意の自動車保険

結論から言うと、自己破産の申立てをしても基本的に自動車保険が解約されることはありません。

生命保険などの場合には、解約返戻金が資産と判断されてしまう結果、当該解約返戻金が配当に回される可能性がありますが、他方、自動車保険を解約しても解約返戻金は払い戻されないのが通常ですので、自動車保険は資産としての価値はないと判断されます。

したがって、一般に、自動車保険は解約することなく、契約し続けることができます。

 

 

子供の学資保険について

破産した場合には、生命保険の場合と同様に、原則として、学資保険の解約返戻金が20万円を超える場合には、子供が受取人となっている場合であっても換価・配当の対象になりえます。

なぜなら、受取人が子供になっていたとしても、金銭の積立をしているのは、破産者の財産から支出されていたからです。

なお、裁判所及び破産管財人に対する自由財産の拡張の申立てによって、学資保険を例外的に守ることも可能です。

契約書の写真

当事務所に自己破産の申し立てをご依頼された場合には、当事務所の弁護士が自由財産の拡張の申立ても代理して行います。

もっとも、子供が受取人となっている学資保険があったとしても、契約名義人(契約者)があなたではなく、配偶者である場合には、原則として、当該保険を解約する必要はありません。

しかし、名義人は配偶者であるものの、金銭を実質的に支出しているのが、あなたということが明らかな場合には、当該解約返戻金も処分の対象となる場合もあります。

(そのような場合には、裁判官の裁量によって判断されますので、ケースバイケースで異なります。)

 

 

お悩みの方は弁護士にご相談ください

保険契約を解約した際に20万円を超える金額が戻ってくる場合には、原則として、当該保険契約は継続することができません。

なお、保険契約の種類や金額、目的等によっては、自由財産の拡張の申立てることで、解約する必要がない場合もあります。

自己破産を検討する際には、どのような財産が換価され失うのかを、確認しそれでも自己破産を行うのかを検討する必要があります。

また、保険に関連して、自分が受取人になっている保険については、こちらをご覧ください。

自己破産を検討している方は、どのような財産を失うかを破産を専門とする弁護士に相談し確認しておくことをオススメします。

 

 

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