未支給の年金を相続できますか?【弁護士が解説】


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

年金の相続について

先日、夫が亡くなったのですが、夫が受給していた国民年金の未払い分があることが分かりました。

年金の未払い分も遺産となるのでしょうか?

 

 

弁護士の回答

国民年金は、受給者が死亡してその未払い分を受ける場合、その未払い分を受給する資格、順番が法律により決まっています。

そのため、遺産に含まれるわけではありません。

 

国民年金について

国民年金は、2か月に1回、偶数月に支払われるものですので、死亡した日にちによって、未支給分の老齢基礎年金を請求することができます。

この老齢基礎年金の未支給分は、もともと亡くなった方に支払われるものなので、遺産に含まれるようにも思えます。

しかし、未支給分の請求資格は、国民年金法19条により定められているので、年金を受給していた方(亡くなった方)の遺産とはならず、請求した人が固有の権利として受け取ることができることになります。

簡単に言えば、相続の対象ではないということです。

 

 

未支給年金の受給順位

未支給年金は、「生計を同じくしていた」下記の者が請求できますが、順番が法定されています(①が第1順位です)。

  1. ① 配偶者
  2. ② 子
  3. ③ 父母
  4. ④ 孫
  5. ⑤ 祖父母
  6. ⑥ 兄弟姉妹
  7. ⑦ これらの者以外の三親等内の親族

今回の事案の場合は、亡くなった方の配偶者なので①に当たり、未払い年金を固有の権利として請求できることになります。

遺産ではないので、他に相続人がいても渡す必要はありませんし、相続放棄した場合であっても、支給されます。

根拠条文

(未支給年金)
第十九条 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であつたときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となっていた被保険者又は被保険者であつた者の子は、同項に規定する子とみなす。
3 第一項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
4 未支給の年金を受けるべき者の順位は、政令で定める。
5 未支給の年金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

引用元:国民年金法|電子政府の窓口

(未支給の年金を受けるべき者の順位)
第四条の三の二 法第十九条第四項に規定する未支給の年金を受けるべき者の順位は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の三親等内の親族の順序とする。

引用元:国民年金法施行令|電子政府の窓口

 

 

未払い年金の請求手続き

未支給年金請求書に、以下の書類を添付して、請求者の住所の管轄する年金事務所に提出すれば未払い年金の受給をすることができます。

なお、請求できる期間は受給権者が死亡した日から5年以内となっています。

なお、死亡した場合に死亡届を提出しないと年金が支払われ続けることになりますが、死亡後の年金を受給することはできませんから、後に返還をしなければならなくことに注意しましょう。

死亡届は、死亡日より14日以内の提出が義務付けられていますので、後々紛争とならないように、迅速に提出する必要があります。

どの財産が遺産に含まれるか迷った場合には、一度、当事務所にご相談ください。

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