
除籍謄本(じょせきとうほん)とは、戸籍に記載されていた人が結婚・離婚・転籍・死亡などにより全員いなくなった状態の戸籍の写しのことです。
銀行や法務局で「亡くなった方の除籍謄本を取ってきてください」と言われ、聞き慣れない言葉に困っていませんか?
相続手続きでは、この除籍謄本を「出生から死亡まで」全てを遡って集める必要があり、非常に手間がかかります。
除籍謄本はコンビニでは取得できません。
しかし、広域交付を利用すれば、本籍地が遠くても最寄りの役所窓口で取得できたり、オンライン申請・郵送を使って自宅にいながら取り寄せたりすることが可能です。
この記事では、他の謄本との違いや除籍謄本に記載されている内容、除籍謄本の取り方、自分で集めるのが難しい場合の対処法について、相続に強い弁護士がわかりやすく解説します。
目次
除籍謄本(じょせきとうほん)とは?戸籍謄本・原戸籍との違い
除籍謄本の意味や読み方

除籍謄本(じょせきとうほん)とは、戸籍に記載されていた人が結婚・離婚・転籍・死亡などにより全員いなくなった状態の戸籍の写しことです。
戸籍制度とは
戸籍制度(こせきせいど)とは、日本人が生まれてから亡くなるまでの重要な事項(出生、結婚、離婚、認知、氏の変更、死亡など)を「戸籍簿」という記録に登録して管理する仕組みのことをいいます。
戸籍簿は、本籍のある各市区町村が管理しています(本籍については後ほど解説します)。
原則として、ひとつの戸籍(簿)は夫婦と未婚の子どもで構成されています。
子どもが結婚した場合、その子どもは親の戸籍から抜けて(除籍)、結婚相手との新たな戸籍が作られます。

除籍とは
「除籍」とは、戸籍から抜けることを意味します。
次のような場合に、戸籍から抜ける(除籍する)ことになります。
- 子どもが結婚して親の戸籍を抜けるとき
- 夫婦が離婚して戸籍を抜けるとき
- 子どもが養子縁組をして養親の戸籍に入るとき
- 亡くなったとき
- 全員の本籍を変更したとき(転籍) など
ある戸籍に入っていた全員が上記のいずれかに該当して戸籍から抜けると、最終的にその戸籍は誰もいない状態になります(転籍の場合は戸籍に入っている全員が除籍されます)。
この状態の戸籍簿を「除籍簿」といいます。
この除籍簿の全部の内容を記載した書面(除籍簿の写し・コピー)が「除籍謄本」です。
除籍謄本と戸籍謄本・改製原戸籍謄本との違い

相続手続きでは、亡くなった方の戸籍を「生まれた時から亡くなる時まで」遡って集める必要があります。
そのため、現在の戸籍だけでなく、過去の「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」をセットで取得することになります。
| 項目 | 戸籍謄本 | 除籍謄本 | 改製原戸籍謄本 |
|---|---|---|---|
| 状態 | 現役の戸籍 (誰かが在籍している) |
閉鎖された戸籍 (全員いなくなった) |
古い様式の戸籍 (法改正前のもの) |
| 記載内容 | 現在の夫婦や未婚の子供など | 過去に在籍していた全ての人 | コンピュータ化前の古い戸籍 |
| 相続の役割 | 相続人が現在生きているかの確認 | 出生から死亡までの連続性を証明する | コンピュータ化で消えた情報の確認 |
戸籍謄本との違い
戸籍謄本とは、中に人が入っている状態の戸籍の内容が記載された書面(戸籍の写し)のことです。
除籍謄本は戸籍の中にいた全員が抜けて誰もいなくなった状態の戸籍の内容が記載された書面のことです。
除籍謄本と戸籍謄本とは、人がいる状態の戸籍の内容が記載されているかどうか、という点で異なります。


改製原戸籍との違い
改製原戸籍謄本(「かいせいげんこせきとうほん」または「かいせいはらこせきとうほん」と読みます。)とは、古い様式で作られた戸籍です。
戸籍に関する法律が改正されると、戸籍の様式が変更されることがあります。
このような場合には、古い様式から新しい様式へと戸籍が書き換えられます。
書き換え前の古い様式の戸籍のことを「改製原戸籍」といい、その内容を記載した書面(改製原戸籍の写し)を「改製原戸籍謄本」といいます。
つまり、改製原戸籍謄本は中に人が入っている状態の古い様式の戸籍の写しです。
戸籍の様式変更によって前の戸籍は使われなくなります。
ただし記録のために「改正原戸籍謄本」として役所内に保管されます。
除籍謄本と除籍の全部事項証明書との違い

- 除籍謄本:紙で管理されている除籍簿の写し
- 除籍の全部事項証明書:電子(コンピューター上)で管理されている除籍簿の写し
このように、除籍謄本と除籍の全部事項証明書は、管理方法の違いによって名称が異なるものの、記載されている内容は基本的に同じであるため、そのまま手続きに使用して問題ありません。
なお、現在でも「除籍の全部事項証明書」は「除籍謄本」と呼ばれることが多いことから、この記事では除籍の全部事項証明書を含めて「除籍謄本」と呼びます。
相続手続きでは「抄本」ではなく「謄本」が必要

除籍謄本と似た言葉に「除籍抄本(じょせきしょうほん)」があります。
- 除籍謄本(全部事項証明書):その戸籍に入っていた全員分の記録
- 除籍抄本(個人事項証明書):その戸籍に入っていた特定の人だけの記録
遺産相続の手続きでは、必ず「全員分」の記載がある「除籍謄本(全部事項証明書)」を請求してください。
抄本(一部の人だけ)では、他にも相続人がいないかどうかの証明ができないため、銀行や法務局で手続きを受け付けてもらえません。
相続の手続きで除籍謄本が必要になる場面と理由
相続の手続きでは、被相続人(亡くなった方)の戸籍を出生から死亡までさかのぼって取得し、法定相続人を確定する必要があります。
その際、現在の戸籍謄本に加えて、被相続人が結婚や死亡によって戸籍から除かれた際に作成される除籍謄本も重要な書類です。
また、遺産分割やその後の遺産の名義変更の際にも、相続人であることを証明するために除籍謄本が必要となる場合があります。
不動産の相続登記、金融機関での解約に際して、金融機関や法務局などから提出を求められます。
下表は、遺産相続において除籍謄本が必要となる具体的な場面とその理由をまとめた一覧です。
【一覧表】除籍謄本が必要となる場面・理由・提出先
| 必要な場面 | 必要な理由 (除籍謄本を出す目的) |
提出先 |
|---|---|---|
| 相続人の調査 | 誰が法定相続人にあたるのかを正確に特定し、見落としによる後日のトラブルを防ぐため。 | (手元で確認) |
| 公正証書遺言の検索依頼・写しの請求 | 亡くなった方が公正証書遺言を作成していたか検索を依頼したり、その写しの交付を請求したりするため。 | 公証役場 |
| 遺言書の検認 | 自筆証書遺言や秘密証書遺言の内容・存在を裁判所に確認してもらう手続き(検認)の請求のため。 | 家庭裁判所 |
| 相続放棄・限定承認 | 相続放棄・限定承認するため。 ※父母・祖父母や兄弟姉妹が申請する場合は、生まれてから亡くなるまでの連続する戸籍謄本類が必要です。 |
家庭裁判所 |
| 法定相続情報一覧図の申請 | 法務局に戸籍一式と一覧図を出すことで、以後の手続きが「紙1枚」でラクになる証明書を発行してもらうため。 | 法務局 |
| 相続税の申告 | 税務署へ正当な相続人を証明するため。 (※法定相続情報一覧図での代用も可能です) |
税務署 |
| 不動産の名義変更 (相続登記) |
自宅や土地などの名義を相続人に書き換えるため。 (※法定相続情報一覧図での代用も可能です) |
法務局 |
| 預貯金の払戻し・名義変更 | 金融機関の口座凍結を解除し、解約や名義変更を行うため。 (※法定相続情報一覧図での代用も可能です) |
金融機関 |
| 株式の名義変更 | 証券会社等で有価証券の相続手続きを進めるため。 (※法定相続情報一覧図での代用も可能です) |
証券会社等 |
| 生命保険金の受取り | 被相続人が「死亡した事実」を保険会社に確認してもらい、保険金を受け取るため。 | 保険会社等 |
除籍謄本は誰が取れる?どこで取れる?
除籍謄本を取れる人とは?家族は取れる?
原則として、除籍謄本を取れる人は次の範囲に限られます。
- (1)除籍謄本に記載されている本人
- (2)除籍謄本に記載されている本人の配偶者(妻・夫)、直系親族(父母・祖父母・子ども・孫など)
- (3)(1)または(2)から委任された代理人(弁護士等の専門家も代理人にあたります。)
家族の中でも兄弟姉妹は除籍謄本を取れない場合があります。
上記以外の人で除籍謄本を取ることができるのは、正当な理由がある人に限られます。
例えば、兄弟姉妹が遺産の相続人となった場合には、除籍謄本を取得することができます。
また、家族以外の人でも本人から遺贈(遺言で財産をあげることをいいます。)を受けた場合などには、除籍謄本を取得することができます。
なお、次の表のとおり、申請者によって利用できる申請方法は異なります。
| 申請方法 | 申請者 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本人 | 配偶者 | 直系親族 | 代理人 | それ以外の利害関係者 | ||
| オンライン | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | |
| 窓口 | 本籍地の窓口 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | △(※) |
| 広域交付 | ◯ | ◯ | ◯ | × | × | |
| 郵送 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | △(※) | |
※利害関係者は正当な理由が認められる場合にのみ取得可能です。
除籍謄本はどこで取れる?
除籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得することができます。
除籍簿はそれぞれ本籍地の市区町村役場で保管されているためです。
除籍謄本の3つの取得方法
ここでは、除籍謄本を取得する、3つの方法について、ご紹介していきます。
取得方法①:除籍謄本をオンラインで取得する
スマホ、マイナンバーカードがあれば、オンラインによって除籍謄本の申請が可能です。
マイナンバーカードは、本人確認のために必要となります。
申請が完了すると、除籍謄本が住民登録されている住所に郵送されます。
オンライン申請を利用できるのは、本人とその配偶者・直系親族(本人の両親・祖父母・子・孫など)のみです。
※兄弟姉妹や代理人はオンライン申請を利用することはできません。
定額小為替や返信用封筒が不要になる
オンライン申請のメリットは、定額小為替(750円)や返信用封筒が不要になる点です。
ただし、手数料や郵送料は負担する必要があります。
この手数料等は、申請時にクレジットカードで事前決済となります。
手数料は、1通当たり700円から750円とする自治体が多いです。
注意!本籍地の自治体が未対応の場合も
オンライン申請は、ほとんどの自治体で対応しています。
しかし、過疎地域やマイナンバーカードによる電子申請システムが整備されていない、一部の小規模自治体はオンライン申請に対応していません。
取得方法②:除籍謄本を窓口で取得する
除籍謄本は、市区町村役場の窓口で申請することができます。
申請先の市区町村役場は、(1)本人の本籍地の市区町村役場または(2)全国各地の市区町村役場(最寄りの市区町村役場)です。
(1)本籍地の市区町村役場の窓口での申請は、除籍謄本に記載されている本人とその配偶者・直系親族(本人の両親・祖父母・子・孫など)のほか、兄弟姉妹(相続人となる場合)や代理人なども利用することができます。
(2)全国各地の市区町村役場(最寄りの市区町村役場)での申請(広域交付)をすることができるのは、本人とその配偶者・直系親族のみです。
※兄弟姉妹や代理人は広域交付を利用することができません。
除籍謄本を窓口で申請する場合には、決められた開館時間内に窓口へ行く必要があります。
取得方法③:除籍謄本を郵送で取得する
除籍謄本は郵送で交付申請を行い、郵送で取り寄せることができます。
郵送による交付申請は、除籍謄本に記載されている本人とその配偶者・直系親族(本人の両親・祖父母・子・孫など)のほか、兄弟姉妹(相続人となる場合)や代理人なども利用することができます。
除籍謄本はコンビニでは取得できない
除籍謄本をコンビニで取得したいと考えている方は多いです。
しかし、現在、除籍謄本については、コンビニで取得することはできません。
そのため、オンライン、窓口もしくは郵送での申請が必要となります。
なお、戸籍謄本(戸籍の全部事項証明書)については、市区町村によってはコンビニで取得できる場合があります。
除籍謄本を取得するのに必要な費用
除籍謄本の取得には1通あたり750円程度の手数料がかかることが多いです。
オンラインや郵送で除籍謄本の交付を申請して郵送で受け取る場合には、手数料のほかに送料(切手代等)がかかります。
手数料等の支払い方法は申請方法によって異なります。
| 申請方法 | 支払い方法 |
|---|---|
| オンライン | クレジットカード、PayPay等 |
| 窓口 | 現金・電子マネー・クレジットカード等(市区町村によって取り扱いが異なります) |
| 郵送 | 定額小為替(市区町村によってはクレジットカード決済に対応していることも) |
オンライン申請の手数料
手数料は、1通当たり700円から750円とする自治体が多いです。
しかし、渋谷区など、自治体によっては、手数料はかからず、郵送料だけ徴収する自治体もあるようです。
くわしくは、取得しようとする自治体のウェブサイトをご確認ください。
除籍謄本の取得にかかる期間
除籍謄本の取得にかかる時間は取得方法によって異なります。
| 申請方法 | 取得にかかる時間の目安 |
|---|---|
| オンライン | 申請から10日前後 |
| 窓口 | 本籍地の市区町村役場:即日 広域交付(最寄りの市区町村役場):即日〜1週間前後 |
| 郵送 | 申請(ポスト投函)から10日〜2週間前後 |
※死亡直後は取得できません(死亡届の提出から1〜2週間前後で取得できるようになります)。
※オンラインでの申請・広域交付・郵送での申請については、状況により数週間程度かかる場合もあります。
【見本付き】除籍謄本のどこを見る?相続手続きでのチェックポイント
除籍謄本を取得したら、そこに「どんな情報が載っているのか」、そして「実務でどこの欄をチェックすべきなのか」を確認しましょう。
まずは、実際の除籍謄本にどんな情報が記録されているのか、サンプルを下図で示します。
除籍謄本の見本画像
除籍全部事項証明書のサンプル

除籍謄本のサンプル

引用:除籍全部事項証明書(除籍謄本)・除籍個人事項証明書(除籍抄本)|北区
【一覧表】除籍謄本・除籍全部事項証明書に記載されている主な情報
下表は上のサンプルで確認できる情報と相続手続きとの関連(ポイント)をまとめたものです。
| 項目 | 確認できる情報 | 相続のチェックポイント |
|---|---|---|
| 本籍・筆頭者 | 本籍地、戸籍の筆頭者の氏名 | すべての戸籍を正しく紐付けるための基準 |
| 戸籍事項 | 戸籍の改製日、改製理由、全員が抜けて閉鎖(除籍)された日 | 戸籍全体の歴史と閉鎖された時期の確認 |
| 身分事項 | 戸籍に記録されていた人の氏名、生年月日、父母、続柄、結婚・離婚の記録、元配偶者や現在の配偶者の情報、従前の戸籍、死亡日や届出人 | 相続人の調査と特定 |
| 認証文 | 認証の日付と認証者 | 記載内容全体の証明 |
画像を見ながらチェック!相続で特に重要となる2つのポイント
上のサンプル画像(見本)を確認しながら、手元の書類をチェックしてください。
ここが相続手続きを進める上での重要なポイントとなります。
① 被相続人が「死亡した事実」を確認する
銀行や法務局の手続きでは、被相続人(亡くなった方)が確実に亡くなっていることの証明が必要です。
身分事項欄に、「死亡」や「死亡日」が記載されているかを確認します。
また、古い縦書きの戸籍であれば名前の上に「大きく×印」がついており、コンピュータ化された横書きの用紙であれば「除籍」と記載されています。
その戸籍にいた全員にこの記載(または×印)があることで、その戸籍が「空っぽになって閉鎖された除籍謄本である」という証明になります。
②さらに古い戸籍へさかのぼるための「従前戸籍」を見つける
相続手続きで最も大変なのが、出生まで戸籍をさかのぼる作業です。
今ある除籍謄本だけで生まれた時まで網羅できていない(途中で結婚や転籍をしている)場合は、その戸籍が「どこから新しく作られて引っ越してきたか」という過去の履歴を探さなければなりません。
戸籍の冒頭にある「改製日」「消除日」や個人の欄にある「従前戸籍」等と書かれた欄をチェックしてください。

例えば、上の除籍全部事項証明書のサンプルを見ると、「改製日」は「平成15年6月1日」、「消除日」は「令和3年5月1日」、「従前戸籍」は「東京都渋谷区◯◯町一丁目1番地」となっています。
この記載内容から、次の情報を入手できます。
- この除籍全部事項証明書は平成15年6月1日から令和3年5月1日までを証明していること
- 次に請求すべき「一つ古い戸籍の本籍地」は東京都渋谷区◯◯町一丁目1番地であり、渋谷区役所に対して、次の謄本を請求できること
戸籍事項として記載される典型的な語句の意味をご紹介します。
- 編成:新しく戸籍を作ること
- 転籍:本籍を変更すること
- 改製:法改正によって戸籍の様式が変更されたこと
- 消除:戸籍を閉鎖すること
除籍謄本がない!古い戸籍が廃棄されていた場合の対処法
除籍謄本については、法律によって150年の保存期間が定められています。
平成22年以前の保存期間は80年でした。
したがって、古い除籍の情報については、市区町村に保管されている除籍簿自体が廃棄されている可能性があります。
このような場合、役場で「廃棄済証明書」を発行してもらい、その証明書を使って、相続手続き(預貯金の引き出しや不動産の名義変更等)を進めていきましょう。
除籍謄本を取得する際の注意点

亡くなった直後は取得できない
亡くなった方の除籍謄本を取得する場合、亡くなった直後は取得できないことに注意が必要です。
亡くなった方が戸籍から除籍されるためには死亡届が提出されることが必要とされています。
そして、死亡届が提出されてから戸籍に反映されるまでには1〜2週間前後の時間がかかるためです。
除籍謄本の取得には時間がかかる場合がある
保管状況によっては、除籍謄本の取得に時間を要する場合があります。
除籍謄本を期限の定められている手続き(例えば、相続放棄の手続きなど)に利用する場合には、時間的な余裕をもって準備を行うことが大切です。
相続人調査の場合は連続した戸籍謄本類が必要
すべての相続人の洗い出し(調査)を行う場合には、亡くなった方の生まれてから死亡するまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本を取得する必要があります。
1通でも抜け漏れがあると、把握できない相続人が出てきてしまう可能性があります。
生まれてからなくなるまでの連続した戸籍謄本等を取得することで、知られていなかった養子や非嫡出子、兄弟姉妹などの存在も漏れなく把握することができます。
連続した戸籍謄本等は、相続人調査以外にも、遺言書の検認、相続放棄、相続登記、相続税の申告、預貯金の名義変更などの手続きで提出を求められることがあります。
古い除籍謄本は読み解くのが難しい
現在の除籍謄本(除籍の全部事項証明書)は電子化されたデータが印字されていますが、昭和の初期やそれ以前の古い除籍謄本は手書き(毛筆など)で作成されています。
旧字体が使用されているケースや、文字に癖があるケースなどもあり、読み解くのが難しいことが少なくありません。
また、現在の除籍の全部事項証明書とは様式も異なることから、一般の方が記載されている内容を自力で理解するのは難しい側面があります。
相続人の調査等で利用する場合には連続性があるかどうかを判断する必要があるため、読み解くのが難しいと感じた場合には、相続にくわしい弁護士等の専門家に依頼することをおすすめします。
除籍謄本の取得を専門家に依頼すべき?
除籍謄本の取得を専門家に依頼すべきかどうかは、置かれている状況によって異なります。
専門家に依頼したほうが良いケース
次のようなケースでは、除籍謄本の取得を専門家に依頼するのがおすすめです。
- 手続きの期限が迫っているケース
- 本人・配偶者・直系親族以外の方が取得するケース
- 相続関係が複雑なケース
手続きの期限が迫っているケース
手続きの期限が迫っているケースでは、除籍謄本の取得や手続きを専門家に依頼するのがおすすめです。
特に、相続手続きにおいては膨大な書類の取得が必要となることがあります。
手続きに不慣れな方が書類を準備する場合には時間と手間がかかり、期限に間に合わない可能性があります。
また、焦って手続きをすることで書類の抜け漏れが発生する可能性もあります。
期限が迫っている手続きに除籍謄本等の取得が必要となるケースでは、専門家に依頼することを検討しましょう。
本人・配偶者・直系親族以外の方が取得するケース
すでに解説したように、除籍謄本を取得することができる人の範囲は、除籍謄本に記載されている本人やその配偶者、直系親族に限られています。
それ以外の方が取得するケースでは、除籍謄本を取得する権利があることを市区町村役場に認めてもらう必要があるため、専門家に依頼した方がスムーズに取得できる可能性があります。
例えば、兄弟姉妹や甥姪が相続人として除籍謄本を取得するケースや、受遺者が除籍謄本を取得するケースなどでは、専門家への依頼を検討してみてもよいでしょう。
相続関係が複雑なケース
相続関係が複雑なケースでは、除籍謄本の取得を専門家に依頼するのがおすすめです。
例えば、代襲相続のケースや数次相続のケースなどです。
代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、もともと相続人になる予定だった人が相続権を失った場合に、その子どもが代わりに遺産を相続することをいいます。
数次相続(すうじそうぞく)とは、すでに発生している相続手続きの途中で一部の相続人が亡くなり、次の相続が発生することをいいます。
このようなケースでは、相続関係が複雑なため取得する書類(除籍謄本等)に抜け漏れが生じたり、相続人の特定に抜け漏れが生じたりするリスクがあります。
そのため、相続手続きに詳しい専門家に除籍謄本等の取得を依頼するのがおすすめです。
専門家に依頼するメリット
除籍謄本の取得を専門家に依頼するメリットとして、次のような点をあげることができます。

取得漏れのリスクがない
除籍謄本の取得を専門家に依頼する場合、必要な書類を過不足なく取得してもらうことができます。
特に、相続人の調査等に利用する場合には、生まれてからなくなるまでの連続した戸籍謄本等を漏れなく取得する必要があります。
自力で取得する場合には、戸籍謄本や除籍謄本等の読み方がわからないために取得漏れが発生するリスクがあります。
相続に詳しい弁護士等の専門家に取得を依頼する場合、専門家は戸籍の取得手続きに慣れており、読み方についても熟知しているため、取得漏れが生じることはありません。
取得にかかる手間と時間を節約できる
除籍謄本の取得を専門家に依頼する場合、取得にかかる手間と時間を節約できることもメリットです。
特に、相続の場面では、除籍謄本だけでなく戸籍謄本や改製原戸籍謄本などの様々な書類を取得する必要があります。
相続に詳しくない場合には、どのような書類を取得すべきかを調べるところから始めなければならないため、膨大な手間と時間がかかります。
また、オンラインで申請できない書類(改製原戸籍謄本など)がある場合には市区町村役場の窓口へ行ったり、書類を準備して郵送で申請を行ったりする手間がかかります。
専門家に依頼する場合には、このような手間や時間がかかりません。
他の相続手続きとあわせて依頼するとスムーズ
戸籍謄本や除籍謄本等の取得だけでなく、相続人の調査、遺産分割協議、相続放棄、相続登記、相続税の申告等の相続手続きとあわせて依頼することで、これらの手続きをスムーズに進めることができます。
相続手続きは相続法に関する専門知識が必要となるため、相続人の数や遺産の数が多い場合には、一般の方が自力で進めるのはかなりハードルが高いといえます。
また、相続人だけで手続きを進める場合には感情的な対立が生まれてトラブルになることも少なくありません。
相続手続きについて少しでも疑問や不安がある場合や、相続トラブルになる可能性がある場合などには、除籍謄本等の取得と相続手続きをあわせて弁護士に依頼することをおすすめします。
なお、弁護士に裁判手続や遺産分割協議、相続放棄、遺言書の執行等を依頼する場合には、通常、その報酬の中に戸籍謄本等の取得にかかる報酬分も含まれています。
専門家に依頼するデメリット

費用がかかる
専門家に依頼する場合には、費用がかかるというデメリットがあります。
除籍謄本の取得費用(手数料・切手代)のほかに、専門家(行政書士・司法書士・弁護士等)に報酬を支払う必要があります。
専門家の報酬は、それぞれの専門家によって異なります。
一部の専門家は単純な除籍謄本の取得の代行のみを受け付けており、その場合の報酬相場は1通あたり1000円〜3000円前後です。
ただし、除籍謄本の取得のみに対応している専門家は少なく、相続人の調査等と合わせて3万円〜10万円前後の料金がかかるケースが多いといえます。
かえって時間や手間がかかる場合もある
除籍謄本の利用目的や必要な通数等によっては、自分で取得する場合よりもかえって時間や手間がかかる場合があります。
専門家に依頼する場合には、アポイント(予約)を取ったり、事務所へ行ったり、詳細を相談したりするための手間と時間がかかるためです。
取得する書類の種類が少なく、トラブルになるリスクのない単純な手続きの場合には、専門家に依頼せずに自力で取得することを検討するのがよいでしょう。
除籍謄本のよくあるQ&A
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亡くなった人の除籍謄本の取り方とは?
自分で取得する方法はさらに、①オンラインで申請する方法(市区町村によっては対応していない場合があります。)、②本籍地または最寄りの市区町村役場の窓口で申請する方法、③郵送で申請する方法の3つがあります。
ただし、①オンラインで申請する方法と②のうち最寄りの市区町村役場の窓口で申請する方法(広域交付)については、申請する方が亡くなった方の配偶者(妻・夫)または直系親族(親・祖父母・子ども・孫)のみが利用できます。
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親が死亡したら除籍謄本はどうやって取るの?
自分で交付申請して取得することも、専門家等の代理人に依頼して取得してもらうこともできます。
また、自分で交付申請する場合には、①オンラインで申請する方法(市区町村が対応している場合)、②本籍地または最寄りの市区町村役場の窓口で申請する方法、③郵送で申請する方法のいずれも利用することができます。
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除籍謄本に有効期限はある?
除籍謄本には誰もいなくなった戸籍の状態が記載され、その後に変更されることがないためです。
もっとも、除籍謄本の提出先(金融機関等)から「発行日より1年以内のもの」といった形で有効期限を指定される場合があります。
また、除籍謄本については法律によって150年の保存期間が定められています。
その戸籍に入っていた全員が除籍されてから150年を過ぎると、市区町村に保管されている除籍簿自体が廃棄される可能性があります。
まとめ
- 除籍謄本とは、その戸籍に入っていた人が全員いなくなった状態の戸籍の写しのことです。
- 戸籍謄本は、中に人が入っている状態の戸籍の内容を記載したものである点で、除籍謄本とは異なります。
- 除籍謄本は、相続人の調査や遺言書の検認、相続放棄、相続した遺産の名義変更等の手続きで必要となります。
- 除籍謄本は市区町村役場の窓口での申請や郵送での申請、オンラインでの申請によって取得することができます(オンラインの申請については対応していない市区町村もあります)。
- 除籍謄本の取得を専門家に任せた方が良いケースとしては、相続手続きの期限が迫っているケース、兄弟や甥姪・受遺者等が取得するケース、相続関係が複雑なケース、などをあげることができます。
- 遺産分割協議や相続放棄などの相続手続きにおいて除籍謄本の取得が必要となるケースで、手続きについて疑問や不安がある場合、トラブルになる可能性がある場合などには、相続にくわしい弁護士に相談されることをおすすめします。
- 当事務所では、相続にくわしい弁護士だけで構成する相続対策専門チームを設置しています。
除籍謄本の取得だけでなく、遺言書の作成・執行、遺産分割協議、相続放棄、相続トラブル、相続登記、相続税の申告・節税対策など、相続に関するご相談をうけたまわっています。
遠方の方はオンラインでご相談いただくこともできますので、ぜひお気軽にご相談ください。







