
土地の分筆(ぶんぴつ)とは、一つの土地を複数の土地に分ける手続きのことです。
土地の一部だけを売りたいときや、他の人と共有(きょうゆう)している土地を二つに分けてそれぞれ単独で所有したいときに行います。
この記事では、分筆登記を行うために必要な書類や、気になる費用の相場について、初めての方にもわかりやすく解説します。
分筆とは?
分筆の意味と読み方
「分筆」は「ぶんぴつ」と読みます。
その意味は、簡単にいうと、一つの土地を複数の土地に分けることをいいます。
土地を数えるときは「筆(ひつ)」という単位を使います。
一筆(いっぴつ)、二筆(にひつ)…というように数えます。
そこで、一つの土地を分けることを「分筆」というのです。
例えば、一筆の広大な土地を、以下のように3区画に分けるのが分筆です。

分筆登記とは?
登記記録は、土地一つにつき、一つずつ存在しています。
したがって、土地を分筆して、一つの土地が複数の土地になった場合には、「分筆登記」の手続きが必要になります。
登記記録には、土地の種類や面積、所有者、担保権(抵当権など)等が記録されています。
登記は、「土地」という大切な財産について、上記のような項目を公示するという重要な役割を果たしています。
土地を分筆したときには、必ず「分筆登記」の手続きを行うようにしましょう。
分筆と合筆との違い
「分筆」とは逆の意味である「合筆」という手続きがあります。
「合筆」は「ごうひつ」あるいは「がっぴつ」と読みます。
分筆は一つの土地を複数に分けることでしたが、合筆は、逆に、複数の土地を一つにまとめることをいいます。
分筆を検討するケース
では、どのような場合に土地の分筆が行われるのでしょうか。
分筆を検討するケースとして考えられるのは、以下のような場合です。
土地の一部を売却する場合
一筆の土地のうち、一部分を売却する場合には、土地を分筆する必要があります。
登記記録は一つの土地につき一つですので、分筆登記を行って、別々の土地にしないことには、土地の名義変更ができません。
したがって、土地の一部を売却するときには、分筆登記を行うことになります。
複数人で共有している土地を、それぞれ単独で所有したい場合
一つの土地を複数人で共有している場合、土地を売るなどの処分をするには、共有者全員が承諾していなければなりません。
例えば、AさんとBさんが共有している土地について、Aさんは売却したいと思っているけれども、Bさんはまだ売りたくないというケースについて考えてみましょう。
この場合、Bさんが売却を承諾しない限り、Aさんは土地を売ってお金を得ることができません。
そこで、二人が共有している土地を二つに分けて(分筆して)、それぞれが単独で、土地の半分ずつを所有するかたちにします。

このように、分筆登記を行って土地を分けることにより、Aさんも、Bさんも自分の好きなようにそれぞれの土地を使うことができるようになります。
共有の土地を分けることを「共有物分割(きょうゆうぶつぶんかつ)」といいます。
詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になさってください。
相続した土地を複数の相続人で分ける場合
相続した土地を複数の相続人で分ける場合も、上記で解説した「複数人が土地を共有する場合」と同様の問題が生じる可能性があります。
そうした問題を解決するために、相続した土地を相続人の数に応じて分筆するということがあります。
分筆ができない土地とは?
分筆を行う前提として、分筆前の土地と、その隣地との境界が確定している必要があります。
境界とは、土地と土地の「境目」をいいます。
「境界標」によって、土地の境界が明示されていれば問題はありませんが、お隣の土地の所有者との間で境界についての争いがあると、土地の分筆をすることができません。
その理由は、分筆登記を行う際には、法務局に「境界確認書」という書類を提出しなければならないからです。
したがって、分筆前の土地と、その隣地との境界が確定していない場合には、分筆の手続きを進めることができません。
土地の境界を示す目印として「境界標」というものが設置されます。
ただ、この境界標がなかったり、土地の所有者が勝手に移動させてしまうというケースも多々あります。
また、知らないうちに、お隣のブロック塀やフェンスなどが、自分の土地に越境しているというようなこともあり得ます。
お隣どうしで土地の境界についての争いが起こってしまうと、そう簡単には解決ができません。
いよいよ解決が難しいとなった場合には、裁判を起こすしかありません。
しかし、裁判になってしまうと、裁判が長期化し、境界の確定までに年単位の時間がかかってしまうことも珍しくありません。
このように、お隣どうしで言い分に違いがある場合には、土地の境界を確定することは大変難しいのです。
分筆の方法
分筆の流れ
土地の分筆は、おおむね以下のような手続きの流れによって行われます。

以下では、土地の境界が確定している場合と、確定していない場合とに分けて、分筆の流れを解説していきます。
境界が確定している場合
分筆の手続きに必要な情報を収集するため、法務局で次の資料を取得します。
- 登記記録(登記簿謄本)
- 地積測量図
- 地番現況図
- 公図(地番図)
これらは、いずれも土地の現状や権利関係を把握するための資料となります。
次に、分筆する土地の現況を把握するため、現地での調査を行います。
具体的には、土地の形状や土地の利用状況、境界の状況や周辺の環境等についても調査を行います。
また、このときには、隣地の所有者にも立ち会っていただき、境界標や塀の状況を手がかりにして、隣地との境界を確認していきます。
境界の確認には、隣地の所有者の同意が必要であり、仮に境界を確定できない場合には、土地の分筆を行うことはできません。
調査の結果、境界が確認できた場合には、隣地の所有者から境界確認書にサインをいただくことになります。
現地調査が終了した後、土地をどのように分筆するのかを決め、現地での測量を行った上で、分筆図面を作成します。
分筆図面は、土地の形状や面積、境界線などを正確に測定した上で作成する必要があります。
この図面は、法務局が分筆登記の可否を判断する際の資料の一つとなります。
分筆図面の作成が完了した後、分筆後の新しい境界上に「境界標」を設置します。
これが、分筆後の土地の境界を示す目印となります。
境界標は、一般的には金属あるいはコンクリート製の杭(くい)を地中に打ち込む方法で設置されています。
設置方法や境界標の大きさなどは、各自治体の条例などで定められています。
続いて、登記申請書類を作成します。
分筆登記の申請にあたって、法務局に提出しなければならない書類は以下のとおりです。
- 登記申請書
- 地積測量図
- 地形図(分筆図)
- 境界確認書
- 登録免許税納付用台紙及び申請手数料(収入印紙)
- 委任状(代理人が申請する場合)
各書類の詳細については、以下の「分筆登記の必要書類」のところでくわしく解説しています。
登記の申請書類の準備が完了したら、それらを法務局に提出し、分筆登記の申請を行います。
申請先は、土地の所在地を管轄する法務局になります。
法務局の管轄を知りたい方はこちらからご確認ください。
参考:管轄のご案内|法務局
無事に分筆登記が完了すると、分筆後の土地の登記記録が作成されます。
また、分筆後の土地についての「登記識別情報」というものが発行されます。
登記識別情報は、昔でいう「権利証」と同じ意味合いを持つ重要な情報です。
土地を売却したり、土地に担保権を設定する際に必要となります。
登記識別情報を受け取った後は、厳重に保管し、紛失などしないようにご注意ください。
境界が確定していない場合
境界が確定していない場合には、上記フロー図③の分筆案の作成等を行う前提として、土地の境界を確定させる必要があります。
境界を確定するためには、正確な測量を実施する必要があります。
そして、隣地の所有者にも立ち会ってもらった上で、双方の了解のもと、境界を決めることになります。
境界が決まったら、土地の境界を示す「境界標」を設置します。
なお、土地の測量には、専門的な知識・技術のほか、測量のための機器も必要です。
素人どうしで境界を決めようとすると、もめごとになってしまうケースもあるでしょう。
土地の測量については、「土地家屋調査士」という資格者がその専門家です。
土地の分筆を行いたいけれど、隣地との境界が確定していない…という場合には、まずは土地家屋調査士に相談するとよいでしょう。
分筆登記の必要書類
分筆登記を申請する場合には、次の書類が必要になります。
登記申請書
まず、分筆登記の申請書を作成する必要があります。
記載事項は、次のとおりです。
- ① 登記の目的
- ② 添付書類の内訳
- ③ 申請年月日と法務局名
- ④ 申請人の氏名及び住所
- ⑤ 代理人が申請する場合は代理人の氏名等
- ⑥ 連絡先の電話番号
- ⑦ 登録免許税額
- ⑧ 分筆前後の土地の表示(所在、地番、地目、地積)
- ⑨ 登記原因
地積測量図
地積測量図は、土地の分筆登記の申請を行う場合には、常に必要な書類となります。
地積測量図を見ることによって、分筆後の各土地の面積や、各境界の地点や境界標、分筆後の地番や隣地の地番などが分かります。
地形図(分筆図)
地形図は、法律によって添付が求められるものではありませんが、土地家屋調査士が登記申請を行う場合には、添付するのが一般的です。
簡単にいうと、土地がどのように分筆されるのかが分かるように地図に線を入れた図面になります。
境界確認書
境界確認書とは、土地の境界を確認した際に、隣地の所有者と取り交わした確認書や同意書のことです。
これにより、隣地との境界が確定しているということが確認できます。
登録免許税納付用台紙及び申請手数料(収入印紙)
登記申請を行う際には、登録免許税を納める必要があります。
台紙に必要な金額の収入印紙を貼る方法によって納付します。
なお、台紙といっても決まった様式があるわけではなく、A4サイズのコピー用紙で構いません。
委任状(代理人に登記申請を依頼する場合)
分筆登記を土地家屋調査士に依頼する場合には、委任状を添付する必要があります。
分筆にかかる期間
土地の境界が確定しており、土地をどのように分筆するかが決まっている場合には、事前の準備に1~2週間程度かかるでしょう。
その後、登記申請を行ってから登記が完了するまでに1~2週間かかりますので、全体として2週間から1か月程度と考えておけばよいでしょう。
一方、土地の境界が確定していない場合には、すでに解説したとおり、まずは隣地との境界を確定しなければなりません。
その場合、隣地の所有者との間で、境界についての確認を行いますが、それがスムーズにいくかどうかによって、分筆にかかる期間は変動します。
ケースによっては、数か月かかることもあります。
分筆の費用の相場
土地の分筆費用は、境界が確定している土地と、境界が確定していない土地とで、大きく違ってきます。
境界が確定していない土地の場合、分筆の登記費用に加えて、境界を確定するための測量の費用もかかるからです。
以下では、分筆登記にかかる費用と、境界確定のための測量にかかる費用とに分けて解説していきます。
分筆登記にかかる費用
分筆登記にかかる費用には、次のものがあります。
登録免許税は、登記の申請を行う際に国に納める税金です。
土地の分筆の場合、分筆後の土地一筆につき1000円かかります。
例えば、分筆後の土地が2筆の場合には2000円、3筆の場合は3000円となります。
土地を分筆する場合には、事前に登記情報や地積測量図などを取得して、土地の現状を把握し、どのように分筆するのかを決めることになります。
これらの資料を取得する際に、法務局に手数料を納める必要があります。
隣接する土地の数にもよりますが、一般的には数千円程度になるでしょう。
なお、隣地の所有者が亡くなっている場合には、亡くなった方とその相続人の戸籍謄本等が必要となるため、それらの書類を取得するための手数料が別途必要になります。
分筆登記を専門家である土地家屋調査士に依頼する場合、その報酬として10万円〜30万円程度が必要になります。
報酬額は、分筆する土地の広さなどによって異なりますが、一般的には上記の金額が相場といえます。
土地の分筆とあわせて、分筆後の土地の所有者を変更する場合には、所有権移転登記の申請を行う必要があります。
例えば、AさんとBさんが共有している土地を、Aさんが単独で所有する土地とBさんが単独で所有する土地に分ける場合、分筆登記とは別に、所有権移転登記が必要になります。
この場合の司法書士の報酬は、5万円〜10万円程度が相場です。
なお、所有権移転登記もあわせて行う場合には、司法書士の報酬のほか、登録免許税が必要になります。
上記の例のように複数人で共有していた土地を分ける場合には、登録免許税は不動産評価額 × 1000分の4となります。
例えば、不動産の評価額が1000万円の場合には、登録免許税は4万円です。
また、土地の一部を、分筆した後に売却して所有権移転登記を行う場合には、登録免許税は不動産評価額 × 1000分の20となります。
境界確定のための測量にかかる費用
境界を確定するための測量を、ご自身で行うのはあまり現実的ではありません。
正確な測量を行うには、専門的な知識や技術のほか、専用の機械なども必要になります。
ここでは、測量を土地家屋調査士に依頼した場合の費用の相場をご紹介しておきます。
土地の測量は、一般的には、土地が広くなればなるほど高額になります。
また、隣地に里道(りどう)や水路がある場合にも、費用が加算されることが多いようです。
例えば、50坪の土地であれば20万円〜60万円程度、100坪の土地であれば30万円〜70万円程度かかるのが一般的です。
具体的な金額を知りたい場合には、お近くの土地家屋調査士に相談のうえ、費用の見積りを依頼するとよいでしょう。
分筆の注意点
分筆後の土地が、建築基準法の接道義務(道路に2m以上接している)を満たさない場合、その土地には建物を建てることができません。
分筆する前に、必ず上記の接道義務を満たすかどうかを確認するようにしましょう。
また、土地を分筆した後に、道路に面しない土地や形状の悪い土地ができると、その後の利用価値が下がってしまうため注意が必要です。
分筆を検討している場合には、専門家である土地家屋調査士に相談されることをおすすめします。
分筆についてのQ&A
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分筆すると固定資産税は高くなりますか?
ただし、分筆した土地を売却したり、用途変更があった場合には、固定資産税額が変動する可能性があります。
分筆後の土地の形状や土地に接している公道の幅員などによって、土地の評価額が変動するからです。
心配な場合には、土地を分筆する前に税の専門家である税理士に相談するとよいでしょう。
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分筆は誰がやる?
ただし、土地の分筆を行うにあたっては、現地での調査や測量が必須のため、専門家ではない方がご自身で行うのは現実的ではありません。
土地の調査や測量は、専門的な知識や経験、測量機器が必要になるからです。
また、隣地との境界が確定していない場合には、なおのこと専門家である土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。
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分筆費用は誰が払う?
ただし、土地の売買で、買主が特に希望してその土地の一部を買いたいと申し出たというような事情があれば、土地の分筆にかかる費用は買主に負担してもらうということもありえるでしょう。
逆に、土地の所有者である売主が、土地の一部だけ売ることを希望して分筆したのであれば、原則どおり所有者が支払うということになります。
まとめ
この記事では、土地の分筆について詳しく解説をしてきました。
これから土地を分筆する予定のある方や、相続で広い土地を受け継いだ方などの参考になれば幸いです。
なお、土地の分筆の前提問題として、隣地との境界が問題となるケースは少なくありません。
その場合、当事者どうしでの話し合いがまとまらなければ、民事裁判を起こさなければならないこともあります。
土地の問題でお悩みの方は、一度、デイライト法律事務所にご相談ください。
弁護士は法律問題全般について対応可能ですし、必要に応じて、信頼できる専門家をご紹介することもできます。
ぜひ、お気軽にご相談ください。







