少年事件の流れとは?【刑事弁護士がわかりやすく解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

少年事件とは

少年事件とは 、刑事事件のうち 、加害者が「少年」である場合を指します。

少年事件において 、少年は一部の例外を除き 、刑事裁判を受けるのではなく 、少年審判と呼ばれる手続を受けることになります。

現在の日本の法律上 、14歳未満の子どもは刑事処罰を受けないことになっています(刑法41条)。

そのため 、「少年」とは 、原則として14歳以上20歳未満の子どもを指します。

少年審判において下される 、「少年院送致」や「保護観察」などといった処分は 、成人事件における刑罰とは性質が全く違います。

これらの処分のことをまとめて「保護処分」と呼びます。

保護処分が言い渡されたとしても 、少年には前科はつきません。

捜査の対象になったという「前歴」や 、保護処分を受けたという履歴自体は残りますが 、前科のように生活や職業選択の上で不利益に働くことはありません。

こうした違いは 、非行に走ってしまった少年に罰を与えるというよりも 、少年が更生し二度と非行に走らずに済むよう導いていくことを第一に考えるという理念から生まれるものです。

こうした考え方を「保護主義」と呼び 、成人の事件における「刑罰主義」とは目的を異にします。

また 、一般の刑事事件においては 、どのような罪を犯したのかに着目し 、その罪の重さに応じて刑罰を決めていくことになります。

これに対し 、少年審判においては 、その少年がどのような非行を行なったかはもちろんですが 、それだけでは処分の重さは決まりません。

①非行を繰り返す危険性 、②家庭裁判所が保護処分を選択する相当性 、③矯正可能性といった要素を検討し 、処分を決定していくのです。

これら3つの要素をまとめて「要保護性」と呼びます。

この要保護性は 、少年審判における判断の対象として 、非常に重要であるといえます。

要保護性が高ければ 、少年院送致をはじめとする厳しい処分により 、少年を徹底的に矯正しなければならない 、という結論になるでしょう。

反対に 、要保護性が低ければ 、何らかの処分により少年を矯正しようとせずとも 、自分の力で更生に向け努力していくことができると判断され 、保護観察などの軽微な処分や 、不処分などといった結論が導かれることになります。

少年事件の究極の目的は 、①少年が二度と非行に走ることなく 、②保護処分を選択しなくとも 、③自分の力 、もしくは周囲の環境の力を借りながら更生していくことができるよう導いていくことです。

これは 、先ほど述べた要保護性の3要素と一致します。

すなわち 、少年事件においては 、周囲の大人たちが協力して 、少年の要保護性を解消していくために活動をしていくということになるのです。

 

通常の刑事事件  少年事件
対象 20歳以上 14歳以上20歳未満
手続の違い  通常の刑事裁判(原則として公開) 少年審判(原則として非公開)
理念  刑罰主義 保護主義
判断の対象  行為の内容 、情状酌量のための事実など  非行事実 、要保護性

 

 

逮捕された場合の少年事件の流れ

 

少年事件の場合でも 、事案の内容などによっては 、成人と同様に逮捕・勾留がなされるケースがあります。

勾留が継続している段階までは 、通常の刑事手続と変わらない扱いを受けます。

通常の刑事事件と異なるのは 、検察官が少年に対し何らかの処分を行うのが相当だと判断した場合 、起訴をするのではなく 、家庭裁判所に事件送致を行います。

その後 、家庭裁判所が審判を行うかどうかを決定することになります。

審判を行うことが決定されると 、家庭裁判所の調査官が少年本人やご家族から事情を聞くなどして 、少年の要保護性がどの程度か 、調査を行います。

この調査には相応の時間がかかりますので 、必要があると判断されれば 、少年に対し 、観護措置決定がなされます。

観護措置とは 、少年に関する必要な調査を進めていくため 、少年を一定期間少年鑑別所に送致し 、鑑別所の中で生活を行わせることを指します。

観護措置の期間は原則として2週間ですが 、最大で8週間まで延長することができ 、多くのケースでは概ね4週間程度行うことが多いといえます。

調査官による調査が一通り終了し 、調査官からの意見が出揃ったところで 、観護措置は終了し 、少年審判が開かれることになります。

 


在宅事件の少年事件の流れ

身体拘束を伴わない 、いわゆる在宅事件の場合 、観護措置が取られることは基本的にありません。

家庭裁判所から呼び出しを受け 、調査官との面談を何度か行うことで調査を進めていき 、調査が完了したところで少年審判に移行します。

 

 

少年事件における弁護士の役割

弁護士が少年審判に臨む場合 、成人の事件のように「弁護人」とは呼ばれず 、「付添人」と呼ばれます。

付添人の役割は 、大きく分けて2種類あります。

 

非行事実に関し 、少年の言い分を捜査機関や裁判官に伝えること

成人の刑事事件においては 、裁判において双方が提出した証拠をもとに主張を戦わせ 、場合によっては無罪を主張していくことになります。

これに対し 、少年審判においては 、捜査機関が家庭裁判所に送った証拠をもとにして 、裁判官が一人で非行事実の存否を判断します。

ですが 、仮に少年が非行に当たる行為をなんら行なっていない場合 、少年が自身の無罪を主張できるタイミングは 、審判において裁判官からなされる質問に答えるときくらいです。

そして 、自らの言い分を 、法的に意味がある形に落とし込んで主張していくことは 、法的知識の乏しい少年にとっては極めて高いハードルです。

捜査機関が収集した証拠により 、間違いなく少年の非行事実が認定できるのかを見極めるためにも 、刑事事件・少年事件に注力している弁護士を付添人に選任することは極めて重要といえます。

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要保護性の解消

弁護士は 、少年の付添人として 、少年の要保護性を解消していくことを目標として活動していきます。

付添人としての活動は 、被害者への謝罪や 、少年が社会に戻ってきた際の環境調整など 、一般の刑事事件においても行いうることには留まりません。

少年の話をしっかりと聞き取って 、少年がなぜ非行に走ってしまったのか 、生い立ちのレベルから少しずつ紐解いていき 、自分が非行を行うことになったきっかけがどこにあるのかを 、自ら認識してもらうよう努めます。

そして 、最終的に少年が 、自分のどこにどのような問題があったか 、その問題を改善するためにはどのようなことができるか 、といったことを 、自分自身の言葉で説明できるようになることを目指します。

付添人は 、少年の取り組みを間近で見守りつつ 、少年と一緒に悩み 、考え 、徹底的に少年に寄り添います。

こうした取り組みは 、片手間でできることではありません。

少年たちは 、大人が片手間で自分に接していることを見抜くと 、すぐに心を閉ざしてしまう可能性もあります。

少年たちの心に寄り添い続けるためにも 、少年事件に注力する弁護士を付添人に選任し 、きめの細かいサポートを継続して行うことには非常に大きな意味があるといえます。

 

少年事件のよくあるご相談

少年事件の判決はいつ出ますか?


少年審判においては 、事前に裁判官が事件の記録や調査官からの報告書など 、全ての記録に目を通しています。

そのため 、裁判官は 、事前にある程度の方向性を決めた上で少年審判に臨みますので 、 1回の期日で審判結果が言い渡されるケースがほとんどです。

このような運用から 、「事前に結果が決まっているのであれば 、審判の日にいくら頑張っても結果が変わらないのではないか」という疑問が出るかもしれません。

しかし 、裁判官は 、少年が審判の日に裁判官や付添人からの質問にどれだけ真剣に向き合って答えることができているか 、という姿勢を 、最後までよく見ていらっしゃるようです。

審判のときの受け答えの印象など 、裁判官の判断を左右しうる事情はいくつも存在しています。

そのため 、審判が言い渡されるそのときまで 、決して気を抜いたりすべきではありません。

弁護士に依頼するタイミングは早い方がいいですか?


少年事件においては 、少年事件に注力する弁護士を早期に選任しておくことのメリットは 、一般の刑事事件以上に大きいといえます。

具体的には 、以下のようなメリットがあります。

 

①少年との信頼関係の構築

少年の要保護性を解消していくためには 、何よりもまず少年自身が 、自ら起こしてしまった事件にしっかりと向き合い 、反省を深めていかなければなりません。

他方で 、少年は成人に比べて考える力が未熟であり 、ともすれば自身の行いから目を背けてしまいがちです。少年が自分一人で反省を深めていくことは容易ではありません。

そこで 、周囲の大人からのサポートが必要になるのです。

しかし 、付添人に対し 、最初から心を開いてくれる少年は極めて稀です。

そこで 、何度も少年に面会し 、時間をかけて少しずつ話を聞き 、少年にとことん寄り添うことで 、信頼関係を築き上げていく必要があります。

そのために 、少年と接する時間を少しでも長く確保しておくことができれば 、その分だけ早く信頼関係の構築ができ 、少年自身の反省を促していくことにもつなげられるといえます。

 

②環境調整

また 、少年の話を聞いていく中で 、少年を取り巻いている環境を調整すべき場合があります。

例えば 、少年が非行に走ってしまった背景に友人関係があるのであれば 、今後はそういった友人との交友をどうしていくか 、審判後はどこで生活をしていくのか 、仕事や学校についてはどうしていくかなど 、考えるべきことは沢山あります。

これらの環境調整を少しでも進め 、少年が社会復帰を果たした際に 、再度非行に走ってしまうことへの不安を少しでも取り除いておくことは 、少年の今後にとっても極めて有効であるといえます。

 

③少年やご家族自身が考えを深める時間を確保できる

以上の2点は 、付添人の活動をより充実したものにできるという点で共通しています。

他方で 、少年自身 、あるいはそのご家族にとっても 、早期に付添人を選任することにはメリットがあります。

事件を起こし 、警察による捜査を受け 、場合によっては身体拘束を受けるという体験は 、成人であっても大きな精神的ショックを受けるものです。

しかし 、未熟な少年が同様の体験をした場合 、成人とは比べ物にならないほど強くショックを受けてしまう可能性があります。

なぜなら 、少年は刑事事件に関する知識が成人より少なく 、今後自分がどうなってしまうのか 、先の見通しが全く立たないケースも多いからです。

自分の今後が全く見通せない状態で 、塞ぎ込んでしまうことも珍しくありません。

こうした状況でも 、弁護士に依頼をして早期に少年と面会し 、この先どうなっていくのかを分かりやすく説明してあげることで 、少年の気持ちにも余裕が出てくるかもしれません。

そうなって初めて 、少年は自身の行為について落ち着いて向き合い 、反省を深めていくことができます。

また 、前述した少年自身の未熟さゆえに 、周囲のサポートがあったとしても 、少年自身が自らの問題点に気づき 、どのように直していけば良いのかに気づくためには 、長い時間がかかります。

付添人を早期に選任し 、少年と一緒に課題を見つけ 、克服していく時間を少しでも多く確保することで 、自分自身の力で考え 、更生に向け努力を重ねていくことができるようになるかもしれません。

少なくとも 、少年が一人で取り組むよりも 、少年事件に注力する付添人を選任することで 、その可能性を高めることができます。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

未成年のお子さんが罪を犯してしまったり 、逮捕されたりした場合 、「少年院に行ってしまうのではないか」などとお考えになるのも無理はありません。

ご家族の不安は計り知れないものといえるでしょう。

少年事件は 、通常の刑事事件と異なり 、犯してしまった罪の内容だけで処分が決まるわけではありません

犯した罪が重いものでも 、少年自身が自らの問題を把握し 、更生に向けて努力できると示すことができれば 、少年院送致を回避できることも十分にあります。

お子さんが少年審判を受けることになったなど 、ご不安をお持ちの方は 、ぜひ一度少年事件に注力する弁護士にご相談ください。

 

 


少年事件のよくある相談Q&A


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