痴漢の冤罪、示談すべきですか?【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

弁護士の回答

基本的に無実であれば示談はおすすめできません。

 

冤罪とは

冤罪とは、実際には無実であるにも関わらず、犯人として扱われてしまうことを言います。

刑事事件については、「疑わしきは罰せず」という大原則があり、冤罪はあってはならないことです。

しかし、新聞報道等でも目にするように、冤罪で刑務所に服役した受刑者が長年月が経過した後に新証拠が発見され冤罪だったという事案もあります。

このような冤罪は、捜査機関の違法捜査が原因で生じることが多くあります。

本当はやっていないのに、捜査担当者から過酷な取り調べを受け、心身ともにボロボロとなり、虚偽の自白をしてしまうというパターンです。

検察官のもとで自白調書を取られると、刑事裁判の段階で無罪を争っても、自白調書が証拠となり、有罪となることが多いです。

 

 

痴漢事件の冤罪と示談

例えば、電車の中で、急に女性が「この人痴漢!」と言って騒ぎ出した場面を想像してください。

まったく触れてもいないのに、たまたま隣りにいた人が犯人と間違われた場合、無実を主張すべきです。

ただ、捜査機関から厳しい追求がなされた場合、痴漢を行ったことを前提として、示談で成立させたいと考える方がいます。

このような場合も示談はせず、基本的には無罪を主張すべきです。

捜査はお辛いと思いますが、刑事弁護士にできるだけ早くご相談されることで、違法捜査を抑制できると思います。

これに対して、「ひょっとしたら触れてしまったかもしれないが認識がない」「当たっただけで触ろうとはしなかった」といったケースもあります。

このような場合、示談すべきか否かは一概に言えず、状況しだいでしょう。

そのときの電車内の混み具合、目撃者の有無、その他の証拠状況等では言い逃れができないこともあります。

捜査段階から裁判まで徹底的に争うと時間、労力、弁護士費用等を考えると得策ではない場合もあります。

例えば、痴漢(強制わいせつ罪)までは認めないものの、被害者に対する迷惑行為として示談交渉する方法もあります。

個々のケースによるので、刑事弁護士に相談しながら対応を考えるようにしてください。

 

 

痴漢の示談の流れ

示談交渉は、以下のような流れで進めていくことになります。

被害者の連絡先は、捜査機関が把握していますが、加害者に対して警察が被害者の連絡先を教えることはありません。

ですが、弁護人を選任しておけば、加害者には連絡先を教えないことを条件に、弁護人限りで連絡先を教えてもらえる可能性があります。

弁護人が連絡先を把握し次第、直ちに被害者に連絡を取り、被害者に謝罪をした上で、示談交渉を開始します。

特に、痴漢という事案の性質上、被害者は強い処罰感情を有していることが多いといえます。

そうした被害者の心情に寄り添いつつ、慎重に示談交渉を進めていく必要があります。

無事に示談が成立すれば、弁護人が示談書を作成し、被害者の署名・押印をもらい、捜査機関に示談書を提出することになります。

 

 

痴漢の示談金の相場

痴漢(各都道府県の迷惑行為防止条例違反)の示談金に関しては、概ね20〜40万円程度となるケースが多いといえます。

ですが、同じ被害者に対して執拗に痴漢行為を行うなど、事案が悪質である場合や、被害者の処罰感情が極めて強い場合、加害者の資力状況など、様々な要素により金額は変動します。

 

 

痴漢の示談のメリットとデメリット

痴漢を疑われた場合に示談することには、以下のようなメリット・デメリットが存在します。

メリット デメリット
  • 身体拘束や厳しい取調べを回避でき、家族や勤務先への発覚のリスクを抑えることができる
  • 前科がない場合、高い確率で起訴猶予となることが見込まれる
  • 仮に起訴された場合でも、量刑面で大きく考慮される
  • 弁護士費用や高額の示談金を支払うことになり、金銭的な影響が大きい
  • 示談の条件次第で、交通機関などの利用を制限されることがある
  • やっていない罪を認めることになり、裁判になったときに否認に転じることは難しい

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

冤罪であるにも関わらず疑いをかけられてしまった場合、ご自身の潔白を証明するため、可能な限り闘って無罪を勝ち取るべきであるといえます。

ですが、極限状態に追い込まれ、冷静な判断ができなくなってしまう方もいらっしゃいます。

そのような場合、刑事事件に注力する弁護士に相談の上、専門的な視点からの意見を取り入れることは、ご自身にとって最善の解決を図る上で極めて有用であるといえます。

お困りの際は、ぜひ一度刑事事件に注力する弁護士に相談されることを強くお勧めいたします。

 

 


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