支払督促とは?【弁護士執筆】

支払督促とはなんですか?

数年前に金融会社から借りた借金について、昨日裁判所から支払督促が届きましたが、どのように対処すればいいでしょうか?

放置するとどうなるのでしょうか?

 

 

弁護士の回答

債権者から電話がかかってきたり、書面が自宅に届いた場合にも、特に気にならないという方でも裁判所から書面が届くと驚かれる方が多いです。

支払督促は、裁判所での手続ですが、通常の訴訟に比べると、簡易な手続によって行うことができるので、債権者が、連絡の取れない債務者に対し、最初に採る手続としては、支払督促が一般的です。

それでは、支払督促がどのような手続かについて、以下で解説いたします。

 

支払督促とは?

支払督促とは、金銭の支払又は有価証券若しくは代替物の引渡しを求める場合に書類審査のみの簡易な手続で、債務者に債務の履行を求める手続です。

そのため、訴訟の場合のように審理のために裁判所に来る必要はありません。

また、手数料は、訴訟の場合の半額です。

つまり、支払督促は、裁判所を利用しつつも、簡易な手続によって債務者に対して、債務を返還請求することができる手続なのです。

 

支払督促の流れ

①債権者が支払督促の申立てを行うと、裁判所は、書面審査の上、債務者に対し、支払督促を送達します。

②支払督促を受けた場合、2週間以内に債務者が支払督促に対し異議を申し立てると、請求額に応じ、地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します。他方、異議を申し出ることなく、期間が徒過した場合には、債権者は仮執行宣言の申立てを行うことができます。
※債務者が支払督促を受領した後2週間を経過した日から30日以内にこの申立てをしない場合には、支払督促自体が失効します。

③債権者が仮執行宣言の申立てを行うと、裁判所は、債務者に対し、仮執行宣言付支払督促を債務者に送達します。

④仮執行宣言付支払督促を受けた場合、2週間以内に債務者が異議を申し立てると、請求額に応じ、地方裁判所又は簡易裁判所の民事訴訟の手続に移行します。

他方、異議を申し出ることなく、期間が徒過した場合には、債権者は、強制執行の申立てをすることができます。

以上のとおり、債権者は、支払督促を利用することによって、強制執行まですることができるのです。

これに対し、支払督促を受けた債務者としては、これを無視しつづけると強制執行の可能性があるので、債権者からの請求に対し法律上の主張等がある場合には、異議申立てを行い、訴訟手続内でこれを争う必要があるのです。

なお、督促異議申立ての理由(「私の言い分」)としては、以下の3つの選択肢があります。

  • 「債権者の言い分を認めない。」
  • 「分割払を希望します。」
  • その他

したがって、分割払いを希望する場合であっても、異議申立てをすることができます。

 

消滅時効の中断

支払督促には、消滅時効を中断させるという効果もあります。

貸金債権の場合、個人からの債権であれば10年、法人からの債権であれば商事債権となり5年で時効消滅します。

なお、資金債権の起算点は、法律上、権利を行使することができる時とされています。

そのため、厳密には、それぞれの契約内容を確認する必要がありますが、概ね最終弁済日、もしくは最終取引日と考えておけばいいでしょう。

消滅時効についての解説

消滅時効とは、法律で定められた一定期間を経過した場合、債権を消滅させる制度です。

また、以下のような特徴があります。

  • 時効が完成すると債権は起算点に遡って消滅します。つまり、最初からなかったことになります。
  • 時効の利益を受けるためには、援用という意思表示が必要になります。
  • 債権者は裁判上の請求や支払督促をすることで時効を中断させることができる。
  • 法律で定められた一定期間を経過した後に、裁判上の請求や支払督促をしても時効は中断しない。

すなわち、支払督促より前に消滅時効の期間が満了していれば、その後に支払督促をしたとしても消滅時効の完成を妨げることができません。

したがって、支払督促がされた場合であっても、時効によって債務が消滅していないかを確認する必要があるのです。

 

 

支払督促を受け取ったら?

支払督促が届いた場合、まずは取引履歴を確認し、時効が完成していないかを確認する必要があります。

仮に、支払督促前に時効期間が満了している場合には、2週間以内に異議を申し出る必要があります。

そして、訴訟手続内において、時効の援用を行うべきでしょう。

もし、支払督促を無視していると、仮執行宣言の申立てが行われ、場合によっては給与差押え等がなされる恐れがあります。

支払督促が届くと不安になる方は多いと思います。

まずは、弁護士にご相談することをオススメします。

また、支払督促を受ける方の多くは、その他にも債務を負っています。

そのため、支払督促にかかる債務のみを解決するのではなく、全体の債務額などを踏まえて、破産や個人再生についても検討すべきでしょう。

 

 


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