相続放棄されたら債権者は泣き寝入り?対処法を解説


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

お金を貸していた相手が亡くなり、その親族が全員相続放棄をしてしまった場合、債権者としては「もう泣き寝入りするしかないのか……」と諦めてしまいがちです。

結論から言うと、諦める必要はありません。

相続人が誰もいなくなった場合でも、家庭裁判所に「相続財産清算人(旧:相続財産管理人)」の選任を申し立てることで、残された不動産などの財産から債権を回収できる可能性があります

本記事では、相続放棄された場合の債権回収ルートや、手続きにかかる期間・費用などの注意点を弁護士が分かりやすく解説します。

相続人がいない場合の債権回収

相続放棄された債権者は泣き寝入り?

相続人がいる場合には、亡くなった方の借入金などの債務は相続人が法定相続分の割合で当然に承継します。

しかし、相続人がいない場合や、相続人が相続放棄をして誰も相続人がいなくなった場合には、債務を承継する人がいないため、そのままでは債権者は泣き寝入りになってしまいます。

では、相続人がいない場合には債権者はどのようにしたらよいのでしょうか。

相続人がいない場合には、相続の利害関係者や検察官が相続財産清算人(旧:相続財産管理人)の選任を、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てることができます。

そして、この「利害関係者」には、亡くなった方の債権者や亡くなった方から特定遺贈を受けた者などが含まれるとされています。

根拠条文

(相続財産の管理)
第九百十八条 相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない。ただし、相続の承認又は放棄をしたときは、この限りでない。
2 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
3 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

引用:民法|電子政府の窓口

 

相続財産清算人の手続き

この申し立てがされると、

① 相続財産清算人選任及び選任公告
② 相続債権者・受遺者に対する請求申出の公告、催告、弁済
③ 相続人捜索の公告
④ 相続人不存在の確定

といった手続きを経ます。

つまり、相続財産清算人が選任されれば、相続財産清算人が公告をして、亡くなった方の債権者からの請求申出を待ち、請求があった債権者に対して債務を弁済していくのです。

相続財産清算人は、相続財産の中に不動産が含まれる場合には、その不動産を売却し換価して、債権者に弁済をすることになります。

 

相続財産清算人の申し立ての留意点

1.時間がかかる

相続財産清算人を申し立てたとしても、すぐに相続財産清算人が選任されるわけではなく、選任され公告がされるまでに2~3か月はかかると言われています。

また、公告後、2か月を待って、債権者を確定し、確定された債権者に対して弁済を行っていくことになります。

そのため、弁済までは少なくとも4か月以上の期間がかかることになるのです。

なお、不動産の換価の場合には、それなりに期間を要するため、4か月以上かかる場合も多いと思われます。

 

2.費用の負担がある

加えて、相続財産清算人には報酬を支払う必要があるので、残っている財産が少ない場合には、相続財産清算人の申し立ての際に、申立人が予納金を支払わなければならないこともあります。

そのため、債権者としては、予納金を支払ってまで申し立てをすべきか検討するべきといえます。

相続では、相続人だけではなく、亡くなった方に対して債務を負っている方や、債権を持っている方も利害関係人として現れてきます。

そのため、相続は複雑な法律関係となりやすく、紛争にもなりやすいと言えます。

このような紛争を回避するために、相続問題については、専門家に相談し、助言をもらいながら進めていかれると良いでしょう。

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