MDMAとは?覚醒剤との違いや効果、逮捕のリスクを解説

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士
  


MDMAとは、合成麻薬の一種で、法律上、所持や使用、譲渡などが厳しく禁止されている違法薬物です。

近年では、クラブやイベントの場で、若年層を中心に広まっているともいわれています。

MDMAの所持や使用は、逮捕・処罰の対象となり得ます。

また、MDMAの使用は、法律で厳しく罰せられるだけでなく、身体に重大な悪影響を及ぼすおそれがあります。

MDMAがどのようなものであるか、正しい知識を身に着け、絶対に手を出さないようにする必要があります。

この記事では、MDMAについて、その意味や効果、体への危険性、成立する犯罪と刑罰、逮捕後の流れ、ケース別の弁護活動などを、弁護士が解説します。

MDMAとは?意味と他のドラッグとの違い

MDMAとは

MDMAとは、合成麻薬の一種で、法律上、所持や使用、譲渡などが厳しく禁止されている違法薬物です。

「エクスタシー」などの俗称でも知られており、クラブやパーティーの場で使用されることも多いようです。

まずは、MDMAの意味や語源、覚醒剤との違いについて詳しく解説します。

 

MDMAの意味や語源や隠語

MDMAは、「3、4−メチレンジオキシメタンフェタミン」という化学物質の略称です。

英語では「3、4-methylenedioxymethamphetamine」と表記され、その頭文字を取って、「MDMA」と呼ばれています。

この物質は、メタンフェタミン(覚醒剤の主成分)と類似した構造を持つ合成薬物です。

MDMAは、麻薬及び向精神薬取締法において「麻薬」として指定されており、日本国内での所持や使用、譲渡などが違法とされています。

MDMAには、さまざまな隠語や俗称が存在します。

代表的なものとしては、「エクスタシー」「バツ」「タマ」「X(エックス)」などがあります。

「バツ」や「エックス」という隠語は、錠剤の表面に×印の刻印がみられることがあることに由来します。

また、英語圏では「molly(モリー)」という呼び名も知られています。

親しみやすそうな俗称で呼ばれているとしても、その中身は危険な薬物であることに注意しなければなりません。

 

「エクスタシー」や「モリー(molly)」とは?MDMAの種類

MDMAは本来、上記のような成分を指す言葉です。

もっとも、実際には、その成分だけでなく、それを含んださまざまな剤型の薬物を指して使われることがあります。

MDMAを含有する薬物には、たとえば「エクスタシー」や「モリー(molly)」といったものが存在します。

「エクスタシー」は、MDMAを含む錠剤型の薬物を指す俗称として広く使われている名前です。

錠剤の表面には、キャラクターやロゴ、ブランドマークなどが刻印されていることが多く、カラフルな見た目をしているのが特徴です。

このような外見は、薬物の危険な印象を薄れさせ、おしゃれなグッズのように見せてしまいます。

これが、若い世代が安易に手を出してしまう要因のひとつとなっています。

一方、「モリー(molly)」は、純粋なMDMAの結晶や粉末を指す俗称です。

「モリー(molly)」という呼び名は、一般に「molecule(分子)」や「molecular(分子の)」といった単語に由来するといわれています。

錠剤型の「エクスタシー」と区別して、粉末や結晶状のMDMAそのものを指す俗称として使われています。

錠剤型のエクスタシーには、他の薬物が混ぜられていることもあるといわれます。

これに対してモリーは、「純度が高い」とうたわれることがあります。

しかし、仮に不純物が混じっていないとしても、主成分であるMDMA自体がそもそも危険な薬物です。

さらに、モリーとして流通しているものにも、他の合成薬物や不純物が混入しているケースもあるとされています。

つまり、いずれの形であっても安全とはいえず、使用には重大な健康リスクと法的リスクが伴います。

 

MDMAと覚醒剤との違い

MDMAと覚醒剤は、化学的には類似点があるものの、法律上の分類や刑罰の重さ、効果などの面で違いがあります。

 

法的な違い

MDMAも覚醒剤も違法な薬物ですが、取り締まりの根拠となる法律が異なります。

覚醒剤は、「覚醒剤取締法」によって規制されています。

これに対しMDMAは、「麻薬及び向精神薬取締法」によって麻薬として規制されています。

このように、適用される法律そのものが異なります。

刑罰の面では、覚醒剤の所持や使用に対する法定刑は10年以下の拘禁刑であるのに対し、MDMAの所持や使用では7年以下の拘禁刑です。

このように、どちらも重い犯罪ですが、所持や使用の法定刑は、覚醒剤の方が重く定められています。

 

効果の違い

覚醒剤の主な作用は、強い覚醒作用や興奮作用です。

覚醒剤を使用すると、眠気や疲労感を感じにくくなるといわれています。

これは覚醒剤が、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の放出を強め、脳や中枢神経を強く興奮させるためです。

一方、MDMAは、脳内でセロトニンなどの神経伝達物質の働きを強く変化させます。

これにより、覚醒作用に加えて、幸福感や他者との一体感、感覚の変化といった独特の作用をもたらすとされています。

このため、MDMAは「共感系ドラッグ」と呼ばれることもあります。

MDMA 覚醒剤
規制している法律 麻薬及び向精神薬取締法 覚醒剤取締法
所持・使用の法定刑 7年以下の拘禁刑 10年以下の拘禁刑
主な効果 覚醒作用、幸福感、感覚の変化など 強い覚醒作用、興奮作用

 

 

MDMAの効果とは?使うとどうなる?

MDMAを使用すると、脳内の神経伝達物質に大きな影響が及ぶとされています。

具体的には、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンといった物質の放出が強く促されることで、精神面や身体面にさまざまな変化が生じます。

ここでは、MDMAの主な効果と、その効果が持続する時間について解説します。

 

MDMAの主な効果

MDMAを摂取すると、通常は摂取後30分前後から1時間程度で効果が現れはじめるとされています。

まず、精神面での効果として挙げられるのは、強い多幸感や高揚感です。

MDMAを使用すると、脳内でセロトニンが強く作用します。

そのため、強い幸福感を覚え、他者に対する親近感や共感が強まるといわれています。

さらに、音楽や光といった感覚的な刺激に対する感受性が高まることもあります。

これにより、五感が鋭くなったように感じることがあるとも報告されています。

身体面では、心拍数や血圧の上昇、体温の上昇、発汗の増加などが生じます。

また、ドーパミンやノルアドレナリンの作用によって疲労感が薄れ、長時間動き続けても疲れを自覚しにくくなります。

しかし、これらの効果は、薬物が脳の神経伝達物質の働きに影響を与えることで生じるものです。

効果が切れた後には、強い反動が生じることも懸念されます。

 

MDMAの効果が持続する時間

MDMAの効果が持続する時間は、一般的に3時間から6時間程度とされています。

ただし、摂取量や個人の体質、体調、他の薬物やアルコールの併用の有無などによって、持続時間は変動します。

効果は、摂取後30分前後から1時間程度で現れはじめます。

そこからしばらくの間、多幸感や共感といった精神的な効果が強く現れるとされています。

その後は徐々に効果が薄れていきますが、完全に消失するまでには、数時間を要します。

MDMAの効果が感じられなくなった後も、体内から薬物が完全に排出されるまでには、さらに時間がかかります。

尿検査では、摂取後数日間にわたって検出されることがあります。

また、毛髪検査であれば更に長期間検出されることがあります。

 

 

MDMAの体への危険性とは?依存性や副作用

MDMAは、「他の薬物ほど危険ではない」といった誤った認識で手を出してしまう人も少なくないとされています。

しかし、MDMAの使用には、深刻な健康上のリスクが伴います。

ここでは、MDMAの依存性と副作用について詳しく解説します。

 

依存性

MDMAには、身体的な依存性と精神的な依存性の両方が存在します。

身体的な依存性とは、薬物の使用を中断したときに離脱症状(禁断症状)が現れることを意味します。

MDMAの場合、覚醒剤やヘロインと比較すると身体的な依存性はやや低いといわれることもあります。

それでも、使用するうちに身体が薬物に慣れてしまい、使用をやめた際に不快な症状が生じることがあります。

一方、精神的な依存性とは、薬物使用で得られる感覚が忘れられず、やめたいと思ってもやめられなくなることを意味します。

この精神的な依存が、繰り返しの使用につながり、さらには使用量や頻度の増加を招くことになります。

また、MDMAを繰り返し使用することで耐性が形成されます。

耐性とは、同じ量の薬物では以前と同じ効果が得られなくなる現象のことです。

耐性が形成されると、より多くの量を摂取しようとするため、過剰摂取のリスクが高まります。

 

副作用

MDMAの副作用は、身体面・精神面の双方に及びます。

 

身体的な副作用

MDMAの身体的な副作用のうち、特に危険なのが、体温の異常上昇です。

MDMAは、体温調節機能に悪影響を及ぼし、体温が40度を超える高体温状態に陥ることがあります。

高体温に伴って大量の発汗が起こるため、脱水症状にもつながりやすくなります。

脱水が進むと、めまいや意識障害が現れ、重い場合には命にかかわることもあります。

また、MDMAは、横紋筋融解症を引き起こすこともあります。

これは、筋肉の細胞が壊れて、その成分が血液中に流れ出す状態です。

横紋筋融解症は、腎臓に大きな負担をかけ、急性腎不全に至るおそれがあります。

この他、MDMAは肝臓にも深刻な障害を生じさせることがあり、肝不全に至るケースもあるとされます。

 

精神的な副作用

MDMAを使用すると、精神的な副作用も生じます。

使用中や使用直後に現れる精神的な副作用としては、強い不安感やパニック発作があります。

MDMAの精神的な影響は、必ずしも快いものばかりではありません。

脳内のバランスが崩れることにより、突然強い不安や恐怖感に襲われることがあります。

また、幻覚が生じることもあります。

現実には存在しないものが見えたり聞こえたりする状態に陥り、正常な判断が難しくなります。

錯乱状態に陥り、自分がどこにいるのか、何をしているのかがわからなくなるケースもあるとされます。

このような精神状態は、本人だけでなく、周囲の人を危険にさらすこともあります。

 

MDMA使用後の反動

MDMAの効果が切れた後には、強い反動が生じることがあります。

これは、MDMAの使用によって脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、その反動として心身にさまざまな不調が現れるものです。

代表的な症状としては、気分の落ち込みや強い疲労感、倦怠感、イライラ、不眠などが挙げられます。

使用中に強い多幸感や高揚感を覚えた反動で、効果が切れた後に強い虚脱感を覚えることもあります。

こうした不調は数日続くことがあり、日常生活に影響を及ぼす場合もあります。

また、この反動の辛さから再びMDMAを使用し、依存につながっていくというおそれもあります。

 

長期使用による健康被害

MDMAを長期にわたって繰り返し使用した場合、脳や神経系に長期的な悪影響が及ぶおそれがあります。

特に、セロトニン系への影響が懸念されます。

セロトニンは、気分の安定や睡眠、食欲などに関わる神経伝達物質です。

MDMAの使用を繰り返すことで、その働きに変化が生じる可能性があるといわれています。

その結果、気分の落ち込みや不安、不眠などの不調が続きやすくなることがあります。

他にも、記憶力や注意力、認知機能の低下がみられることもあります。

物事を覚えにくくなったり、考えがまとまりにくくなったりといった症状が出ることがあります。

こうした影響は、薬物の使用をやめた後もしばらく残ることがあるとされます。

そのため、日常生活や社会生活に支障を及ぼすおそれがあります。

 

過剰摂取(オーバードーズ)のリスク

MDMAの過剰摂取は、命にかかわる重大な健康被害を引き起こすおそれがあります。

特に注意が必要なのは、高体温、けいれん、意識障害、臓器障害などの重い症状です。

なかでも、セロトニンの働きが過剰になることで起こる「セロトニン症候群」は、重症化すると死亡に至ることもあります。

また、重い高体温や多臓器不全などにより、危険な状態になることもあります。

さらに、MDMAを他の薬物やアルコールと併用すると、過剰摂取や重篤な副作用のリスクが高まります。

たとえば、抗うつ薬のようなセロトニン系に働く薬と併用した場合には、作用が強まる危険が高くなります。

実際に、MDMAの使用に関連する死亡事例も報告されています。

「一度だけの使用なら安全」といったことは、まったくありません。

 

 

MDMAで成立する犯罪と刑罰の重さ

MDMAは、麻薬及び向精神薬取締法において「麻薬」に分類されています。

MDMAの使用や所持などの行為は、麻薬及び向精神薬取締法違反として処罰されます。

ここでは、MDMAに関して成立しうる主な犯罪と、その刑罰の重さについて解説します。

MDMAで成立する犯罪(麻薬及び向精神薬取締法違反)
行為 罰則
所持 7年以下の拘禁刑(営利目的の場合、1年以上10年以下の拘禁刑と、情状により300万円以下の罰金を併科)
使用
譲渡・譲受
製造・輸出入 1年以上10年以下の拘禁刑(営利目的の場合、1年以上の有期拘禁刑と、情状により500万円以下の罰金を併科)

 

所持

MDMAをみだりに所持した場合、7年以下の拘禁刑に処せられます(麻薬及び向精神薬取締法66条1項)。

参考:麻薬及び向精神薬取締法|電子政府の総合窓口

「みだりに」とは、法的に正当な理由がないことを意味します。

免許を受けた麻薬取扱者のような法的な例外に当たらない限り、MDMAを所持することは違法となります。

 

使用

MDMAをみだりに使用した場合も、7年以下の拘禁刑に処せられます(麻薬及び向精神薬取締法66条の2第1項)。

「使用」とは、MDMAを違法な薬物との認識の下で、体内に摂取することをいいます。

MDMAは錠剤であることが多く、これを飲み込んで使用することが多いです。

 

譲渡・譲受

MDMAの譲渡・譲受についても、7年以下の拘禁刑が科されます(麻薬及び向精神薬取締法66条1項)。

MDMAを他人にあげる行為も、他人からもらう行為も、いずれも犯罪となります。

 

製造・輸出入

MDMAの製造や輸出入は、1年以上10年以下の拘禁刑に処せられます(麻薬及び向精神薬取締法65条1項)。

 

営利目的の場合

これらの行為が営利目的で行われた場合には、刑罰がさらに加重されます。

たとえば、営利目的でのMDMAの所持・譲渡・譲受は、1年以上10年以下の拘禁刑に処せられます(麻薬及び向精神薬取締法66条2項)。

また、情状により300万円以下の罰金が併科されることもあります。

さらに、営利目的での製造・輸出入は、1年以上の有期拘禁刑と、情状により500万円以下の罰金の併科となります(麻薬及び向精神薬取締法65条2項)。

営利目的での犯行の場合、MDMAを取り扱うことによって利益をあげている可能性があります。

そのため、単に拘禁刑の年月を引き上げるだけでなく、情状により罰金を科すこととされているのです。

このように、MDMAに関連する犯罪には、いずれも重い刑罰が定められています。

一回の使用であっても、法律上は重い処罰の対象となる行為であることを理解しておく必要があります。

 

 

MDMAで逮捕されるとどうなる?刑事事件の流れ

MDMAに関連する犯罪で逮捕された場合、その後の手続きは法律に基づいた流れで進行します。

ここでは、逮捕から起訴に至るまでの流れと、起訴後の刑事裁判の流れについて、順を追って解説します。

 

逮捕・勾留から起訴までの流れ

MDMAの所持や使用などの容疑で逮捕された場合、起訴までの手続きは、次のような流れで進みます。

逮捕・勾留から起訴までの流れ

 

①逮捕

まず、警察による逮捕が行われます。

逮捕されると、警察署の留置施設に収容され、警察官による取り調べを受けることになります。

逮捕後、警察は48時間以内に事件を検察官に送致(送検)しなければなりません。

 

②送検

送検を受けた検察官は、引き続き身体を拘束する必要があるかどうかを判断します。

必要があると認めた場合には、送検から24時間以内に、裁判官に対して勾留を請求します。

 

③勾留

裁判官が勾留の請求を認めると、原則として10日間の勾留が開始されます。

勾留期間中は、引き続き警察や検察による取り調べが行われます。

捜査の必要がある場合には、勾留期間がさらに最大10日間延長されることがあります。

つまり、逮捕されてから最長で23日間にわたって身体拘束が続く可能性があります。

 

④起訴・不起訴の判断

勾留期間の満了までに、検察官は起訴するか不起訴とするかを判断します。

起訴された場合は刑事裁判に進み、不起訴となった場合は釈放されます。

薬物事件は、証拠隠滅のおそれがあると判断されやすいため、勾留が認められるケースが多い傾向にあります。

また、共犯者がいる場合や、入手ルートの解明が必要な場合には、捜査が長期化することもあります。

 

起訴後(刑事裁判)の流れ

検察官が起訴を決定すると、刑事裁判の手続きへと移行します。

起訴後(刑事裁判)の流れ

 

①公判

起訴されると、裁判所で公判が開かれます。

公判では、検察官が証拠を提出して被告人の有罪を立証し、弁護士が被告人の立場から反論や情状を主張します。

MDMA事件では、使用や所持の事実関係に加え、入手経路や使用の動機、反省の有無などが審理の対象となります。

 

②判決

すべての審理が終了すると、裁判官が判決を言い渡します。

MDMA事件の場合、初犯で本人が反省しているなどの事情があれば、執行猶予付きの判決が得られる可能性があります。

一方、再犯の場合や、営利目的が認定された場合などには、実刑判決が下される可能性もあります。

 

③刑の執行

執行猶予が付かずに拘禁刑の実刑判決が確定した場合には、刑罰の執行を受けることになります。

また、罰金刑となった場合には、定められた金額の納付が必要になります。

 

 

MDMA使用のリスクやデメリット

MDMA使用のリスクは、刑事罰にとどまりません。

ケースによっては、その人の社会生活全体に影響を及ぼすことがあります。

 

健康リスク

MDMAを使用すると、身体や精神にさまざまな悪影響が生じるおそれがあります。

たとえば、高体温や脱水症状、心拍数の異常な上昇、意識障害、精神錯乱などの急性症状が挙げられます。

また、繰り返し使用することで薬物依存に陥り、自分の意思では使用をやめられなくなる危険性もあります。

さらに、繰り返して使用することで長期的な影響が生じ、記憶力や集中力の低下、うつ症状などの後遺症が残る可能性も指摘されています。

MDMAを使用した場合、最悪の場合には命に関わる事態を招くこともあります。

「一回だけなら大丈夫」「少量なら問題ない」といった考えは危険です。

興味本位や軽い気持ちでMDMAに手を出すことは、絶対にあってはなりません。

 

逮捕のリスク

MDMAを使用すれば、麻薬及び向精神薬取締法違反として逮捕される可能性があります。

逮捕後に勾留が認められると、勾留の延長も含めて、最大で23日程度にわたって身柄を拘束されることがあります。

その間は、仕事や学校に通常どおり通うことが難しくなり、勤務先や学校に事情を知られるきっかけにもなり得ます。

 

実名報道のリスク

薬物事件は社会的な関心が高く、逮捕に至った場合には、事案によって実名で報道されることがあります。

特に、インターネット上に情報が出た場合、いつまでも検索エンジンに残り続け、長期にわたって社会生活に支障をきたすおそれがあります。

一度ネット上に拡散された情報は、完全に削除することが困難です。

就職や転職の際に過去の報道が発覚することで、採用に悪影響を及ぼすことも考えられます。

また、人間関係においても、友人や知人などに事件が知られることで、信頼関係が損なわれる可能性があります。

このように、実名報道は、将来のさまざまな場面で不利益が生じるリスクを伴います。

 

前科のリスク

事件が起訴されて有罪判決を受ければ、前科がつくことになります。

前科がつくと、就職活動や転職活動において不利に働くことがあるほか、資格や職種によっては就業そのものに影響することもあります。

公務員や士業などを目指している場合には、将来の進路選択に大きな支障が生じるおそれがあります。

 

仕事や学業への影響

MDMAの使用が発覚すると、仕事や学業にも大きな影響が及ぶおそれがあります。

まず、逮捕や勾留によって長期間出勤・通学できなくなれば、それだけで勤務先や学校に事情を知られる可能性が高まります。

職場では、欠勤の長期化や会社の信用を損なったことを理由に、懲戒処分や退職につながるおそれがあります。

また、学校であれば、学生の本分に背く行為として、学則違反で停学や退学などの懲戒処分が検討されることがあります。

特に、実名報道や長期の欠勤・欠席によって事実が周囲に知られた場合には、その影響がより大きくなりやすいといえます。

 

反社会的勢力と関わるリスク

MDMAは、その入手経路によっては、反社会的勢力との接点となる危険があります。

薬物の売買は、一度きりで終わるとは限りません。

反復して取引する過程で、氏名や連絡先、住所などの個人情報を把握されるおそれがあります。

相手方との関係を断とうとした際に、脅迫や嫌がらせ、個人情報の横流しといったトラブルに発展する危険もあります。

このように、MDMAの使用は、薬物そのものの危険にとどまらず、継続的な被害に巻き込まれる入口にもなり得るのです。

 

 

【ケース別】MDMA事件の対処法と弁護士の弁護活動

MDMA事件といっても、その内容や争点はさまざまです。

容疑を認めている場合と否認している場合とでは、弁護活動の方向性も大きく異なります。

また、営利目的が疑われている場合や、家族が逮捕された場合にも、それぞれに応じた対応が必要になります。

ここでは、ケースごとの対処法や弁護士の弁護活動について解説します。

 

容疑を認めている場合

MDMAの所持や使用について容疑を認めている場合、弁護士の活動は、処分をできる限り軽くする活動(情状弁護)が中心となります。

特に、起訴された場合には、執行猶予付き判決を目指して、有利な事情を丁寧に整理していくことが重要です。

その際には、本人が深く反省していることに加え、薬物との関係を断つための具体的な再犯防止策を講じていることも重視されます。

たとえば、専門の医療機関への通院、薬物依存症の回復プログラムへの参加、家族による監督体制の整備などが考えられます。

弁護士は、こうした事情を証拠としてまとめ、再犯防止に向けた環境が整いつつあることを裁判所に示していきます。

初犯で営利目的がなく、このような更生に向けた事情がそろっている場合には、執行猶予が付される余地があります。

これに対し、再犯の場合には、執行猶予へのハードルが高くなります。

再犯事案では、前回以降の生活状況の変化や、今回どのような再発防止策を講じているのかを、より具体的に示すことが重要になります。

 

身に覚えがない・容疑を否認する場合

MDMAの所持や使用について身に覚えがなく、容疑を否認する場合、弁護士は不起訴処分や無罪判決の獲得に向けて弁護活動を行います。

たとえば、「他人から預かった荷物の中にMDMAが入っていたが、それが違法薬物だとは知らなかった」というケースが考えられます。

麻薬の所持罪が成立するためには、その物が違法薬物であることについて認識があること、すなわち故意が必要です。

そのため、違法なものであると認識する可能性すらなかった場合には、故意がないとして犯罪が成立しない可能性があります。

弁護士は、荷物を預かった経緯や状況、依頼者と荷物の持ち主との関係、中身を確認する機会があったかなどを丁寧に検討し、証拠を整理していきます。

また、取調べの中で不用意な供述をして不利にならないよう、取調べへの対応について助言することで、依頼者の権利を守ります。

 

営利目的が疑われている場合

MDMAで営利目的が認定されると、罪が大幅に重くなります。

そのため、営利目的が疑われている場合には、まずは営利目的の認定を回避することが重要になります。

単に自身で使用していたに留まらないことをうかがわせる状況や証拠があると、営利目的が疑われます。

たとえば、大量のMDMAを所持していた場合や、小分け用の袋や電子はかりなどの器具を持っていた場合、売買をうかがわせるメッセージのやり取りが見つかった場合などが挙げられます。

これに対し、弁護士は、たとえば所持していたMDMAが自己使用の範囲にとどまるものであったことや、譲渡・販売によって利益を得る目的がなかったことなどを主張します。

また、仮に営利目的の認定が避けられない場合でも、少しでも軽い量刑となるよう情状弁護を行います。

利益の額が小さいことや継続的な売買ではないこと、従属的な立場にとどまっていたことなどを主張し、寛大な判決の獲得を目指します。

 

家族がMDMA事件で逮捕された場合の対処法

家族がMDMA事件で逮捕された場合、まず重要なのは、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することです。

刑事事件で逮捕された場合、家族であっても、自由に本人と面会できるわけではありません。

特に、接見禁止処分が付された場合には、弁護士以外の者は本人と面会することができなくなります。

これに対し弁護士は、専門家の立場で本人と接見し、取調べへの対応や今後の手続の見通しについて助言することができます。

そのため、家族としては、まず弁護士を手配し、本人をサポートできる体制を整えることが大切です。

また、弁護士と連携しながら、身元引受人としての受入れ体制や、釈放後の生活環境を整えていくことも重要です。

こうした事情は、身柄の拘束や量刑を検討する場面で有利な事情として考慮されることがあります。

 

警察が来る前に自首を検討している場合の対処法

MDMAの所持や使用で自首を検討している場合には、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

自首とは、犯罪事実や犯人が捜査機関に発覚する前に、自ら進んで申告することをいいます。

自首が成立した場合、刑を減軽できることが法律上定められています(刑法42条1項)。

また、自首の内容やその後の対応次第では、逮捕の回避や勾留の阻止につながる余地もあります。

もっとも、自首をしさえすれば常に有利な結果になるとまではいえず、的確な見極めが必要になります。

そのため、自首を考えている段階で弁護士に相談し、自首が成立するかどうかや、どのような形で申告するのが適切かを事前に検討することが重要です。

弁護士は、警察に対する申告の進め方を助言するとともに、必要に応じて出頭に同行したうえで、その後の取調べへの対応についてもサポートします。

自首を弁護士に依頼するメリットについては、以下のページをご覧ください。

 

 

MDMAについてのQ&A

尿検査で陽性が出たら争えませんか?

尿検査でMDMAの陽性反応が出た場合、それを正面から争うことは簡単ではありません。

 

科学的な検査は、客観性や信頼性が高く、使用を疑わせる重要な証拠として扱われるためです。

もっとも、個別の事情によっては、犯罪の成立や証拠の信用性を争う余地が生じることもあります。

たとえば、検査の手続きに問題があった場合や、意図せず摂取させられた可能性がある場合などです。

そのため、尿検査で陽性反応が出た場合には、早い段階で弁護士に相談し、事実関係や検査の経過を踏まえて対応を検討することが重要です。

 

友人のMDMAを預かっていただけでも逮捕されますか?

他人のMDMAを預かっていただけであっても、所持罪に問われる可能性があります。

麻薬及び向精神薬取締法における「所持」は、自分の管理下に置くことをいい、誰の所有物であるかは問わないためです。

したがって、友人のものであっても、それがMDMAであると知りながら預かっていた場合には、所持罪が成立するおそれがあります。

 

MDMAは合法ですか?

MDMAは、違法な薬物です。

麻薬及び向精神薬取締法により「麻薬」に指定されており、所持や使用、譲渡、製造、輸出入等の行為は、すべて禁止されています。

法の規制が追いついていない薬物を「脱法ドラッグ」と呼ぶことがありますが、MDMAは法的に規制された薬物であり、完全に違法です。

 

 

まとめ

この記事では、MDMAについて、その意味や効果、体への危険性、成立する犯罪と刑罰、逮捕後の流れ、ケース別の弁護活動などを解説しました。

記事の要点は、次のとおりです。

  • MDMAは麻薬及び向精神薬取締法で「麻薬」に指定された違法薬物であり、所持や使用、譲渡、製造、輸出入等のすべてが禁止されている。
  • MDMAの使用は、高体温や脱水、精神障害など深刻な健康被害を引き起こすおそれがある。
  • MDMAの単純所持や使用には7年以下の拘禁刑、営利目的の場合には1年以上10年以下の拘禁刑が科され、罰金が併科されることもある。
  • 逮捕された場合は最長23日間の身体拘束を受ける可能性があり、起訴されれば刑事裁判で前科がつくほか、仕事や学業にも深刻な影響が及ぶ。
  • MDMA事件で有利な結果を得るためには、弁護士による早期の弁護活動が有効である。

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