強姦と強制わいせつはどう違うのか?【弁護士が解説】
姦淫(性交等)を目的とするか否かという違いがあります。
強姦とは
強姦とは、被害者に対して、性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます。)を行う犯罪をいいます。
被害者が13歳以上の場合は、暴行又は脅迫を手段として用いることが要件となります。
被害者が13歳未満の場合は、暴行又は脅迫がなくとも性交等があれば成立します。
なお、強姦罪は、法改正によって、正式な名称は「強制性交等罪」に変わりました。
一般的には強姦罪の方が浸透していますので、以下も強姦罪と記載しています。
旧強姦罪は、処罰の対象は姦淫行為でした。
すなわち、男性が陰茎を女性の性器に挿入する行為のみを処罰の対象としていました。
法改正後は、姦淫だけではなく、性交、肛門性交又は口腔性交も処罰の対処となりました。
したがって、被害者は男性であっても強姦罪が成立します。
法定刑は5年以上の有期懲役となります。
有期懲役とは20年以下をいいます。
強制わいせつとは
強制わいせつ罪は、被害者に対して、「わいせつな行為をした」場合に成立する犯罪です。
強姦と同様に、被害者が13歳以上の場合は、暴行又は脅迫を手段として用いることが要件となります。
被害者が13歳未満の場合は、暴行又は脅迫がなくともわいせつ行為があれば成立します。

わいせつな行為とは、被害者の性的羞恥心を害する行為と言われています。
具体的には、陰部を触る、胸を触るなどの行為です。
また、キスについては、状況しだいでわいせつな行為に該当する場合があります。
法定刑は6か月以上10年以下の懲役となります。
強姦と強制わいせつは何が違う
姦淫(性交等)を目的とするか否かという違いがあります。
上述したとおり、強姦と強制わいせつは、行為や法定刑が異なります。
そして古い判例ですが、「本条(刑法第176条)のわいせつ行為には、姦淫の目的を持ってするわいせつ行為を含まない。」と判示されたことがあります(大判大3.7.21)。
すなわち、強姦も強制わいせつもいずれも、他者の性的自由を害する犯罪ですが、「姦淫の目的を持ってする」行為か否かで、強姦か強制わいせつかが決定されます(強姦罪の構成要件が変わった今、厳密に言えば「性交等の目的を持ってする」行為か否かが基準となるでしょう)。
以下、2つを比較すると下表のとおりとなります。
罪名 | 強姦罪 | 強制わいせつ罪 |
---|---|---|
行為 | 性交、肛門性交又は口腔性交を行う 13歳以上は暴行又は脅迫を手段として用いる |
わいせつな行為を行う 13歳以上は暴行又は脅迫を手段として用いる |
法定刑 | 5年以上20年以下の懲役 | 6か月以上10年以下の懲役 |
目的 | 性交等の目的が必要 | 性交等の目的は不要 |
強姦未遂を疑われる危険性があります
強制的に性交等をした場合は、強姦罪です。
この場合は、強制わいせつと明確に区別することが可能です。
しかしながら、性交等をしていない場合、「強姦未遂なのか強制わいせつなのか」、判断が分かれうることになります。
例えば、加害者としては、被害者の下着を脱がせることまでが目的であったとしても、強姦未遂の疑いで捜査を受ける可能性があります。
一般人からみても、「下着を脱がせて、姦淫(性交等)をしようとしたのではないか」と疑われかねませんし、警察もその可能性を視野に捜査をするのです。
強姦未遂と、強制わいせつとでは、法定刑が大きく異なりますから、真実姦淫の目的を有していなかったのであれば、その部分についてははっきりと主張をしていく必要があります。
早期に弁護人を選任することをお勧めします
弁護人を選任しないまま、捜査を進行させると、強姦の目的を有していたことを示す方向の証拠を豊富に収集され、取調べによる追及も厳しいものとなりかねません。
精神的に追い詰められ、虚偽の自白をしてしまう方も多数存在しています。
罪を犯した方であっても、自らが犯した過ちを超える罰則を課されることは不当です。被疑者、被告人にも権利があります。
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