トレントとは?違法になる条件と開示請求の示談金相場

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士
  


トレントとは、ファイルを効率的にやり取りするための「BitTorrent(ビットトレント)」という技術を用いた、ファイル共有の仕組みのことです。

トレントそれ自体は、違法な技術ではありません。

ただし、著作権で保護されたコンテンツを権利者に無断でやり取りすると、著作権法上の責任を問われる可能性があります。

特にトレントでは、ダウンロードと同時にアップロードが行われる仕組みとなっています。

そのため、ただダウンロードしただけのつもりでも、開示請求や損害賠償請求、刑事責任につながることがあります。

この記事では、トレントについて、その仕組みや違法になるケース、開示請求が届いた場合の対応の流れ、成立し得る犯罪や示談金の相場などを、弁護士が解説します。

トレント(BitTorrent)とは?仕組みと違法になるケース

トレントとは、「BitTorrent(ビットトレント)」という技術を用いたファイル共有の仕組みです。

トレントでは、ダウンロードと同時に他の利用者へファイルを送信することがあり、この仕組みが、トレントの違法性に関係しています。

ここでは、トレントの基本的な仕組み、違法となるケース、利用が発覚する流れを解説します。

 

ビットトレントの基本的な仕組み

ビットトレントとは、多数の利用者がインターネットを通じて直接ファイルをやり取りする、P2P(ピア・ツー・ピア)方式のファイル共有技術です。

通常のダウンロードでは、利用者は企業などが管理するサーバーからデータを受け取ります。

これに対し、ビットトレントでは、同じファイルを持っている利用者同士が、ファイルの断片を分け合いながら通信します。

トレントと通常のファイル共有の違い

大きなファイルを細かく分割し、複数の相手から同時に受け取るため、大容量のファイルでも効率的に共有できる点が特徴です。

一方で、ビットトレントでは、ファイルを受け取るだけでなく、自分が受け取ったデータを他の利用者へ送信する仕組みとなっています。

つまり、ダウンロードする側でありながら、同時にアップロードする側にもなるのです。

この仕組みが、トレントの大きな特徴であり、後で述べる違法アップロードの問題につながります。

 

torrentファイルとtorrentサイトについて

トレントでファイルをやり取りするには、通常、BitTorrentクライアントと呼ばれる専用ソフトを使います。

このソフトに読み込ませるために使われるのが、torrentファイルというファイルです。

torrentファイルは、動画や画像などのファイル本体ではありません。

ダウンロードしようとするファイルを、ネット上のどの利用者から、どのように集めればよいかという情報が記録された、小さなファイルです。

これを上記のクライアントソフトに読み込ませることで、実際のデータのやり取りが始まります。

torrentサイトとは、torrentファイルやそれに類する情報を掲載しているウェブサイトです。

その中には、映画やアニメ、音楽、漫画、ゲームなどの著作物について、権利者の許可なく共有されているtorrentファイルを掲載しているものもあります。

このようなtorrentファイルを利用してダウンロードすると、著作権法違反となる可能性があります。

 

torrentファイルの開き方と注意点

BitTorrentクライアントでtorrentファイルを読み込ませると、他の利用者との通信が始まります。

この際、データのダウンロードだけでなく、アップロードが同時に進みます。

そのため、自分としてはファイルをダウンロードしているだけのつもりでも、他の利用者へデータを送信している場合があります。

また、トレントでは、通信相手にIPアドレスが表示される仕組みとなっています。

権利者側がトレントネットワーク上でIPアドレスや日時を記録し、プロバイダへ発信者情報開示請求をするなどの対応が取られることがあります。

 

トレントの利用が違法になる条件

トレントという技術は、インターネット上の通信の仕組みにすぎず、それ自体が違法なわけではありません。

トレントの利用が違法になるかどうかは、共有されているファイルが著作権の対象となる著作物にあたるか、権利者の許諾があるか、どのような形で送受信に関与したか等によって判断されます。

特に問題になりやすいのは、アップロードによる著作権侵害と、違法にアップロードされた著作物のダウンロードです。

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知的財産権侵害について

 

アップロードが違法となる条件

アップロードが違法となるのは、著作権者の許諾なく、著作物をインターネット上で不特定多数の人が受け取れる状態にした場合です。

アップロードは、著作物を公衆に送信したり、送信できる状態に置いたりする行為です。

そのような行為は、公衆送信権侵害となる可能性があります(著作権法23条1項)。

参考:著作権法|e-Gov法令検索

たとえば、権利者の許諾なく映画のデータをトレント上で共有し、他の利用者がダウンロードできる状態にした場合、公衆送信権侵害として著作権法違反となる可能性があります。

トレントでは、ファイルをダウンロードする利用者も、同時に他の利用者へデータを送信する側にもなります。

そのため、知らない間に著作物を他の利用者へ送信していることになり、アップロード行為として著作権侵害を問われることがあるのです。

 

ダウンロードが違法となる条件

トレントで著作権法違反となるのは、アップロード行為に限られません。

ファイルをダウンロードするだけの行為であっても、違法となる場合があります。

ダウンロードが違法となるのは、違法にアップロードされた著作物であることを知りながら、その著作物をダウンロードした場合です。

著作物をコピーする行為は、本来、著作権者の許諾を要する行為です(著作権法21条)。

個人的に楽しむためなど、私的使用目的で行う複製については、著作権法上、例外的に認められる場合もあります。

ただし、違法にアップロードされた著作物であることを知りながらダウンロードする場合は、私的使用目的であっても、この例外にはあたりません(著作権法30条1項3号・4号)。

特に、正規版が有料で提供されている著作物を、違法にアップロードされたものと知りながらダウンロードした場合には、刑事罰の対象となります(著作権法119条3項)。

トレントサイトには、権利者の許諾なくアップロードされたコンテンツが含まれていることがあります。

そのため、トレントサイトを経由して著作物をダウンロードすると、違法ダウンロードにあたる可能性があります。

 

トレント利用がバレる仕組み

トレントを、完全に匿名で利用することは困難です。

トレントでは、同じファイルをやり取りしている利用者同士の間で、IPアドレスが表示される仕組みになっているためです。

IPアドレスとは、インターネット通信で端末や回線を識別するために使われる番号です。

著作物の権利者は、トレントネットワークに接続することで、対象ファイルを共有している利用者のIPアドレスや通信日時を把握することができます。

ただし、IPアドレスの情報だけで、直ちに利用者の氏名や住所までが特定できるわけではありません。

そこで、権利者側は、記録したIPアドレスと通信日時をもとに、プロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、契約者情報の開示を求めます。

開示が認められると、その通信をしていた契約者の氏名や住所などが、権利者側に開示されます。

このように、トレントの利用は、IPアドレスの確認とプロバイダへの開示請求を通じて、契約者情報の特定へとつながります。

匿名で利用できているように見えても、このような手続きにより、トレント利用が権利者側に発覚することがあるのです。

 

 

トレントで開示請求されたら?対応の流れとその後

トレント利用による著作権侵害を疑われた場合、プロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という書面が届くことがあります。

これは、権利者側が、著作権侵害が疑われる通信を行った利用者の情報開示を求めていることを知らせる書面です。

ここでは、意見照会書が届いた場合の対応や、開示請求後の流れ、損害賠償請求との関係を解説します。

 

発信者情報開示請求とは

インターネット上で著作権侵害があったと考えられる場合、権利者側は、プロバイダに対して、その通信に使われた回線の契約者情報の開示を求めることができます。

この手続を、「発信者情報開示請求」といいます。

トレント上で著作権侵害を発見した場合、権利者は、通信者のIPアドレスや通信日時などを把握することはできます。

もっとも、IPアドレスだけでは、利用者の氏名や住所までを特定することはできません。

そこで、権利者側は、記録したIPアドレスや通信日時をもとに、その通信に使われた回線の契約者情報の開示を、プロバイダに請求することがあるのです。

 

突然届く「発信者情報開示に係る意見照会書」

契約しているプロバイダから、「発信者情報開示に係る意見照会書」という書面が届くことがあります。

これは、権利者側から発信者情報開示請求を受けたプロバイダが、契約者本人に意見を確認するための書面です。

書面には、対象となった著作物の名称、IPアドレス、通信日時などが記載されていることがあります。

もっとも、意見照会書が届いたからといって、直ちに契約者情報が開示されたわけではありません。

開示に同意するかどうか、どのような理由を回答するかによって、その後の対応に影響することがあります。

 

開示請求の意見照会書が届く理由

意見照会書が届くのは、プロバイダが契約者情報を開示するかどうかを判断する前に、契約者側の事情を確認するためです。

契約者情報は個人情報であるため、権利者側から求められたからといって、直ちに開示するわけではありません。

プロバイダは、権利者側の資料だけでなく、契約者側の回答内容も踏まえた上で、開示の可否を判断します。

そのため、発信者情報開示請求があった場合には、契約者にそのことを知らせ、請求に対する意見を求めるために、意見照会書を送付するのです。

もっとも、意見照会書は、契約者が反対すれば必ず開示を止められるという書面ではありません。

開示を拒否するのであれば、単に同意しないとだけ回答するのでなく、身に覚えがない、第三者が回線を利用した可能性がある、対象ファイルや通信日時に疑義があるなど、具体的な事情を記載することが重要です。

なお、プロバイダがソフトバンクの場合は意見照会書を出していないケースが多いです。

そのため、ソフトバンクと契約している場合には、いきなり開示請求が認められた旨の書面が届く可能性があります。

 

開示請求された後の流れ

開示請求が行われた後は、次のような流れで進みます。

開示請求された後の流れ

 

①権利者がプロバイダへ開示請求を行う

著作権者などの権利者が、プロバイダに対して発信者情報開示請求を行うところから手続が始まります。

 

②意見照会書を送付

開示請求を受けたプロバイダから契約者へ、開示に同意するかどうかを尋ねる書面を送付します。

 

③契約者の回答

契約者は、同意するか否かの意見を書面で回答します。

無回答のまま放置することもできますが、それが有利に働くとは限りません。

トレント事案で無回答とした場合、ほぼ全てのケースで開示が認められるのではないかと思われます。

 

④プロバイダによる開示

意見照会を経て、プロバイダが自ら開示の可否を判断するか、裁判所の手続きを通じて開示するかどうかが決まります。

いずれにせよ開示が認められると、契約者の氏名や住所といった個人情報が権利者へ伝えられます。

 

⑤権利者からの請求

開示が認められた旨の書面がプロバイダから届きます。

その後、特定された個人に対し、権利者から損害賠償の請求や、刑事告訴が行われることがあります。

個人情報の開示から請求書面が届くまでは、数か月かかる可能性もあります。

 

開示請求を無視したらどうなる?

開示請求には、回答の義務があるわけではありません。

ただし、意見照会書を無視して回答しなかったとしても、それで開示請求の手続が止まるわけではありません。

回答しない場合、一般的には、開示を拒む事情について特段の主張がないものとして扱われます。

そのため、プロバイダは、権利者側から提出された資料をもとに、開示の可否を判断することになります。

また、プロバイダが任意に開示しない場合でも、権利者側が裁判手続を通じて開示を求めることがあります。

その結果、契約者情報が開示されれば、権利者側から損害賠償請求や示談交渉の連絡が届く可能性があります。

意見照会書への回答は、契約者側の事情を伝える機会でもあります。

そのため、心当たりがない場合には、無視するのではなく、具体的な事情を整理して回答することが重要です。

 

開示請求の拒否は認められる?

意見照会書に対して、「開示に同意しない」と回答すること自体は可能です。

ただし、同意しないと回答したからといって、それだけで必ず開示が見送られるわけではありません。

プロバイダは、権利者側の資料と契約者側の回答内容を踏まえて、開示の可否を判断します。

また、プロバイダが開示しないと判断した場合でも、権利者側が裁判手続によって開示を求めることがあります。

その場合、契約者が同意していなくても、裁判所の決定によって情報が開示される可能性があります。

したがって、開示請求を拒否するとしても、単に「同意しない」と書くだけでは不十分です。

身に覚えがない場合には、対象ファイルや通信日時に疑義があるなど、開示を拒む具体的な理由を回答する必要があります。

自宅のWi-Fiを他人に使用された可能性がある場合などは、開示を拒む理由になり得ます。

 

著作権侵害による損害賠償請求

開示によって契約者の情報が明らかになると、権利者側から、著作権侵害を理由に損害賠償を請求されることがあります。

これは、違法なアップロードやダウンロードによって権利者に生じた損害について、金銭での賠償を求めるものです。

損害賠償の額は、対象となった著作物の種類や数、共有された期間、アップロードの有無などによって変わります。

ダウンロードだけの場合は、その著作物を正規に購入・利用していれば支払われたはずの金額などをもとに、損害額が検討されることがあります。

これに対し、アップロードがあった場合は、他の利用者に送信された数量や、権利者が本来受けられたはずの利益・利用料相当額などを踏まえて、損害額が算定されることがあります。

トレントでは、接続している間に他の利用者へのアップロードが行われる仕組みであるため、請求額も多額に上る可能性があります。

そのため、請求された金額をそのまま受け入れるのではなく、対象作品、通信日時、共有状況、損害額の算定方法を確認し、請求額に争う余地がないかを検討する必要があります。

 

 

トレントで捕まる?逮捕される確率と検挙数

トレントを違法に利用すると、民事上の損害賠償だけでなく、刑事事件として立件される可能性もあります。

ここでは、トレントの利用によってどのような犯罪が成立するのか、そして実際に逮捕される可能性がどの程度あるのかを解説します。

 

トレント利用で成立する犯罪とは?

トレントの違法利用が刑事事件になる場合、中心となるのは著作権法違反です。

ただし、アップロード行為とダウンロード行為では、侵害される権利や刑事責任が認められるための要件が異なります。

 

違法アップロード

著作権者の許諾なく著作物をインターネット上で送信したり、他の利用者が受信できる状態に置いたりする行為は、公衆送信権という権利の侵害にあたります。

公衆送信権には、著作物を送信できる状態に置く送信可能化も含まれます。

著作権者の許諾なく著作物をアップロードし、公衆送信権や送信可能化権を侵害した場合、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金が科され、これらが併科されることもあります(著作権法119条1項)。

参考:著作権法|e-Gov法令検索

特に、トレントでは、ファイルをダウンロードする際に、同時に他の利用者へデータを送信する仕組みになっています。

そのため、利用者本人はダウンロードのつもりであっても、実際にはアップロードにも関与したものとして、公衆送信権侵害を問われることがあります。

刑事事件としては、権利者の許諾がない著作物をトレント上で共有し、他の利用者が受信できる状態にした行為が、著作権法違反として捜査の対象になることがあります。

 

違法ダウンロード

違法にアップロードされた著作物であることを知りながらダウンロードする行為は、複製権侵害にあたることがあります。

ただし、違法ダウンロードのすべてが刑事罰の対象になるわけではありません。

違法ダウンロード罪の刑事罰が問題になるのは、有料で販売・配信されている著作物を、違法にアップロードされたものと知りながらダウンロードした場合です。

特に、音楽や映像については、1回のダウンロードでも刑事罰の対象となる可能性があります。

違法ダウンロード罪の法定刑は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金で、これらが併科されることもあります(著作権法119条3項)。

トレントで共有されている映画や音楽、漫画、ゲームソフトなどのコンテンツは、権利者の許諾なくアップロードされているものが含まれていることがあります。

そのため、違法にアップロードされたものと知りながらダウンロードしていた場合には、違法ダウンロード罪として刑事責任を問われる可能性があります。

 

違法ダウンロードの検挙数と逮捕の可能性

警察庁の統計では、著作権侵害事犯の検挙事件数と、そのうちインターネットを利用した事件数が公表されています。

たとえば、令和6年中の著作権侵害事犯の検挙事件数は65事件であり、そのうちインターネット利用事犯は52事件でした。

著作権侵害事犯の検挙事件数のうちのインターネット利用事犯の割合

参考:令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について 第3 知的財産権侵害事犯 1 商標権侵害事犯及び著作権侵害事犯 (2)著作権侵害事犯の検挙状況|警察庁

もっとも、これは著作権侵害事犯全体のうち、インターネットを利用した事件数であり、違法ダウンロードだけの数字ではありません。

違法ダウンロードについては、法改正によって規制対象が広がったと説明されることがあります。

しかし、違法にアップロードされた著作物をダウンロードした場合でも、直ちに刑事罰の対象となるわけではありません。

刑事罰の対象となるのは、正規版が有料で提供されている著作物を、違法にアップロードされたものと知りながらダウンロードした場合など、一定の要件を満たす場合です。

また、音楽・映像以外の著作物については、反復・継続してダウンロードしたことも刑事罰の要件とされています。

そのため、摘発されているケースの多くはアップロードの事案と推測され、ダウンロードのみでの検挙事案は、あるとしても少数と考えられます。

ただし、ビットトレントの場合は注意が必要です。

ビットトレントでは、ダウンロードと並行して、受け取ったデータを他の利用者へアップロードする仕組みになっています。

そのため、利用者本人は「ダウンロードしただけ」と考えていても、実際には著作物を他の利用者へ送信したとして、公衆送信権や送信可能化権の侵害を問われる可能性があります。

つまり、ビットトレントの事案では、違法ダウンロードだけでなく、アップロードによる著作権侵害として捜査・立件の対象となることがあるのです。

したがって、違法ダウンロードの検挙件数が多くないからといって、ビットトレントの刑事リスクを軽く見ることはできません。

 

違法ダウンロードしたファイルを削除したらセーフ?

違法にダウンロードしたファイルを後から削除しても、それだけで過去の行為がなかったことになるわけではありません。

ダウンロードやアップロードが行われた時点で、要件を満たせば、著作権侵害としての責任は発生します。

また、トレントの場合は、接続中に他の利用者へデータを送信していることがあります。

そのため、後からファイルを削除しても、過去に行われた通信やアップロードの事実まで消えるわけではありません。

むしろ、そのような行為は、証拠隠滅行為のように受け取られるおそれもあります。

権利者側は、IPアドレスや通信日時などの記録をもとに調査を進めます。

ダウンロードしたファイルを消したとしても、一定の期間、IPアドレス等の情報は残り続けます。

そのため、端末上のファイルを削除しただけで、開示請求や損害賠償請求を避けられるとは限りません。

共有中のファイルを削除し共有状態を解消するということであれば、さらなるアップロードによる被害拡大を止めるという点で、意味はあります。

ただし、それは違法行為を継続しないための対応であり、すでに行われたダウンロードやアップロードについての責任を免れさせるものではありません。

 

 

トレント不正利用の示談金相場

トレントの違法利用に関する示談金は、事案によって幅がありますが、数十万円から100万円前後、内容によっては数百万円程度になることもあります。

もっとも、示談金について一律の相場があるわけではありません。

実際の金額は、対象となった著作物の種類や数、アップロードの有無、共有された期間、権利者側の請求方針などによって変わります。

トレントでは、ファイルをダウンロードすると同時に、他の利用者へアップロードもする仕組みとなっています。

このため、自身としてはダウンロードだけのつもりであっても、アップロード行為の責任を問われることがあるのです。

 

映像作品・アニメの場合

映画、アニメ、ドラマなどの映像作品では、1作品ごとの販売価格や配信価格、利用料相当額などをもとに損害額が検討されることがあります。

トレントでは、無断で公衆送信したものとして権利者側から損害賠償を求められることがあります。

対象作品の本数、共有されていた期間、アップロードの状況によっては、示談金が高額になることがあります。

 

音楽の場合

音楽の場合は、1曲単位、アルバム単位、音源データの数などが金額に影響します。

1曲ごとの価格は比較的低額であるとしても、多数の楽曲やアルバムをまとめて共有していた場合には、対象となる著作物の数が多くなります。

また、トレント上で他の利用者へ音源データを送信していた場合には、単なるダウンロードではなく、無断アップロードとして扱われる可能性があります。

そのため、曲数が多い事案では、それに伴って示談金も高額になりやすいといえます。

 

漫画・書籍の場合

漫画や書籍の場合は、1冊単位で損害を計算する以外に、場合によっては、複数巻のセット単位で損害額が計算されることがあります。

電子書籍として販売されている作品であれば、正規に購入された場合の販売価格や利用料相当額が算定の参考になります。

特に、漫画などであれば、1巻だけでなく、シリーズ作品をまとめたセットのファイルが共有されることもあります。

その場合、対象となる巻数が増えるため、示談金が高額になる可能性があります。

 

ゲーム・ソフトウェアの場合

ゲームやソフトウェアは、1本あたりの販売価格が比較的高額になることがあります。

そのため、無断でダウンロードされた本数や、アップロードによって他の利用者へ共有された状況によっては、損害額が大きく算定されることがあります。

対象となったソフトの価格、共有された期間、アップロードの有無によって、示談金の水準が変わります。

 

示談条件を検討する際のポイント

示談条件を検討する際は、提示された金額の大きさだけでなく、その金額がどのような根拠で請求されているのか、減額や争う余地があるのか、示談によってどこまで解決できるのかを確認する必要があります。

トレントの事案では、対象作品の数、アップロードの有無、共有された期間、損害額の算定方法などによって、妥当な解決内容が変わります。

そのため、示談に応じるかどうかは、請求額だけを見て判断するのではなく、請求の根拠と示談書の内容を踏まえて検討することが重要です。

 

請求額の根拠を確認する

権利者側が提示する金額は、権利者側の主張する請求額です。

あくまで一方の言い分であって、客観的に確定した損害額というわけではありません。

そのため、まずは、どの著作物について、どのような根拠でその金額が請求されているのかを、確認する必要があります。

対象作品の数、アップロードの状況、損害額の算定方法などによって、請求額の妥当性は変わります。

 

減額交渉や裁判で争う余地がないか

権利者が提示する請求額が過大である場合には、減額交渉や裁判で争う余地があります。

たとえば、対象作品の数に誤りがある、アップロードの状況が十分に裏付けられていない、損害額の算定が過大であるといった事情があるのであれば、提示額をそのまま受け入れる必要はありません。

一方で、請求を争う場合には、裁判に発展する可能性や、解決までにかかる時間・費用等の負担も考慮する必要があります。

そのため、示談に応じるか、金額を交渉するか、裁判で争うかは、請求の根拠と事実関係を踏まえて判断することになります。

 

示談書の内容を確認する

示談に応じる場合でも、示談書の内容は慎重に確認する必要があります。

特に、示談によって解決される範囲は重要です。

対象となる著作物や通信行為が特定されているのか、同じ件について今後追加請求をしない旨が定められているのかを確認する必要があります。

また、刑事告訴との関係が適切に処理されているかも確認すべき点です。

刑事責任を追及しない旨が明記されていない場合、別途刑事責任を問われる可能性も残ります。

示談金を支払えば当然にすべての責任を免れるわけではないため、示談書でどこまで合意されているのかを確認した上で判断する必要があります。

特に、個別作品ごとに示談を行う場合、「示談後に同社の他の作品について著作権侵害が確認された場合には、別途違約金が発生する」というような内容が含まれていることがあります。

利用している本人ですらどの作品をダウンロードしたかを正確に覚えていないケースが多いでしょうから、個別作品ごとの示談の際には注意しましょう。

 

 

トレント問題を弁護士に依頼するメリット

トレント利用に関する問題は、意見照会書への対応から示談交渉、さらには刑事事件化のリスクまで、専門的な判断を求められる場面が続きます。

これらを個人だけで適切に処理するのは難しく、弁護士に依頼することで得られる利点は少なくありません。

トレント問題を弁護士に依頼するメリットには、次のようなものがあります。

トレント問題を弁護士に依頼するメリット

 

意見照会書・開示請求への対応を任せられる

弁護士に依頼すれば、意見照会書の内容確認や、開示に同意するかどうかの判断、回答書の作成といった一連の手続きを任せることができます。

意見照会書に回答する際は、対象とされている著作物、通信日時、権利者側が主張する侵害内容、契約回線の利用状況などを踏まえて検討する必要があります。

開示に同意しない場合は、単に「同意しない」と記載するだけでは十分とはいえません。

権利者側の請求内容や資料を確認した上で、開示を拒む理由があるのか、あるとしてどのように回答書に反映するのかを整理する必要があります。

弁護士に依頼することで、意見照会書への回答はもちろん、開示後に損害賠償請求や示談交渉へ進んだ場合の対応も見据えて進めることができます。

 

権利者との示談交渉を代理してもらえる

権利者側から損害賠償や示談金を請求された場合、弁護士に示談交渉を任せることができます。

弁護士に依頼すれば、権利者側との連絡窓口を弁護士に一本化し、請求内容や提示された金額の妥当性を検討した上で交渉を進めることができます。

トレントの事案では、対象作品の数や、アップロードの状況、損害額の算定方法などによって、請求額に争う余地がある場合があります。

また、示談では金額だけでなく、示談によって解決される範囲、今後追加請求をしない旨の条項、刑事告訴の取り扱いなども確認する必要があります。

弁護士が交渉に入ることで、請求額の減額だけでなく、示談書の内容も含めて、後日の紛争を避ける形で解決を目指しやすくなります。

 

刑事事件化・訴訟化のリスクを見据えた対応ができる

トレント問題では、示談交渉だけでなく、民事訴訟での賠償請求や、刑事告訴等の法的手続きに発展する可能性もあります。

弁護士に依頼すれば、現在の請求にどう対応するかだけでなく、交渉がまとまらなかった場合に訴訟へ進む可能性や、権利者側から刑事告訴される可能性も踏まえて対応方針を立てることができます。

著作権法違反には、権利者の告訴が起訴の条件となるものがあります。

そのため、事案によっては、権利者側との示談や、告訴しない旨の確認が、刑事事件化のリスクを下げる上で重要になることがあります。

また、民事の面でも、請求額を争うのか、減額交渉で解決を目指すのか、訴訟も見据えて対応するのかによって、取るべき対応は変わります。

弁護士に依頼することで、民事・刑事の両方のリスクを見据えた上で、事案に応じた適切な対応を取りやすくなります。

 

家族や勤務先に知られにくい形で進められる

トレント問題では、家族に郵便物を見られたり、権利者側とのやり取りを周囲に知られたりすることを不安に感じる方もいます。

弁護士に依頼すれば、受任後の権利者側との連絡や示談交渉について、弁護士を窓口として進めることができます。

弁護士が窓口になれば、権利者側からの連絡や書面の送付先を弁護士宛てにするよう求めることができます。

示談に関する交渉や連絡を弁護士を通じて進められるため、本人が権利者側と直接やり取りする場面を減らせます。

そのため、家族や勤務先等に知られるリスクを抑えながら、今後の対応を進めやすくなります。

 

 

トレント案件の最近の動向と今後の予想

トレントを利用したことによる著作権侵害は数年前から話題となっていますが、今もなおトレント案件の相談や依頼は後を絶ちません。

今後も著作権者がトレントの利用者に対して開示請求・損害賠償請求を行う傾向は続くでしょう。

また、意見照会書が届いてから数か月後に、別の作品についての意見照会書が再び届くというケースも相当見受けられます。

トレントを日常的に利用していた場合には、1件だけで対応が終わると考えるのは危険かもしれません。

示談を検討する際には、1件だけでは済まない可能性があるということを念頭において、金銭面の交渉を行うようにする方が無難です。

なお、弊所では、刑事事件にまで発展したケースはまだありませんが、安易に刑事事件にならないと考えて放置するようなことは絶対にお勧めしません。

 

 

トレントについてのQ&A

トレントの開示請求が来る確率はどのくらいですか?

トレント利用者のうち、どの程度の割合で開示請求が届くのかについて、正確な確率を断定することはできません。

開示請求が行われるかどうかは、対象となる著作物、想定される被害額、権利者の方針などによって変わります。

著作物の共有が長期・大量にわたるなど、被害が大きい場合には、開示請求を受ける可能性も高まると考えられます。

 

家族や職場にバレずに解決できますか?

弁護士に依頼すれば、権利者側との連絡や示談交渉について、弁護士を窓口として進めることができます。

書面の送付先を弁護士宛てにするよう求めたり、権利者側とのやり取りを弁護士経由にしたりすることで、本人が直接対応する場面を減らせます。

そのため、家族や職場に知られるリスクを抑えながら対応を進めやすくなります。

特に、意見照会書が届いた段階や、権利者側から請求を受けた段階で早めに相談すれば、その後の対応を一任することもできます。

 

開示請求の意見照会書に「同意しない」と書けば大丈夫ですか?

意見照会書に「同意しない」と回答すること自体は可能です。

ただし、「同意しない」と書いただけで、必ず開示を防げるわけではありません。

プロバイダは、権利者側の資料や契約者側の回答内容を踏まえて、開示の可否を判断します。

また、プロバイダが任意に開示しない場合でも、権利者側が裁判手続を通じて開示を求めることがあります。

開示に同意しないのであれば、対象作品、通信日時、利用状況、権利者側の資料などを確認した上で、開示を拒む理由を具体的に回答する必要があります。

 

 

まとめ

この記事では、トレントについて、その仕組みや違法になるケース、開示請求が届いた場合の対応の流れ、成立し得る犯罪や示談金の相場などを解説しました。

記事の要点は、次のとおりです。

  • トレントとは、BitTorrentという技術を用いて、利用者同士でファイルを共有する仕組みである。
  • トレントでは、ダウンロードと同時に他の利用者へデータを送信するため、著作物を無断でやり取りすると、アップロードによる著作権侵害を問われる可能性がある。
  • 違法にアップロードされた著作物であることを知りながらダウンロードした場合、複製権侵害となることがあり、著作物の種類や利用態様によっては刑事罰の対象となる可能性もある。
  • トレントの利用は、IPアドレスや通信日時の記録をもとに特定され、プロバイダから発信者情報開示に係る意見照会書が届くことがある。
  • 開示請求や損害賠償請求への対応を誤ると、不利益が大きくなることがあるため、早い段階で弁護士に相談することが重要である。

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