立ちんぼは犯罪?刑罰や逮捕のリスクを弁護士が解説

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士
  


立ちんぼは、売春防止法や迷惑防止条例に違反する行為であり、女性側・男性側ともに法的なリスクを伴います。

特に、相手が未成年であった場合には、客側に児童買春などの重い犯罪が成立するおそれがあります。

また、法的なリスクだけでなく、性被害や暴力、金銭トラブル、社会的信用の失墜など、立ちんぼにはさまざまな危険がつきまといます。

立ちんぼに関わってしまった場合には、できる限り早期に弁護士へ相談し、適切な対応をとることが重要です。

この記事では、立ちんぼに関係する犯罪の種類や刑罰、逮捕の流れ、リスク、会社や学校に知られずに解決するための方法などを、弁護士が解説します。

立ちんぼは犯罪?

立ちんぼ、すなわち、路上で売春の勧誘を行う行為は、後述するような犯罪に該当します。

ただし、単に路上に立っているだけで直ちに犯罪になるわけではありません。

まずは、立ちんぼの意味や語源を確認した上で、女性側と男性側のそれぞれにどのような犯罪や法的責任が問題となるのかをみていきます。

 

そもそも「立ちんぼ」とは?定義や語源(由来)

立ちんぼとは、路上や繁華街の一角などに立ち、通行人に対して性的サービスや売春を持ちかけて客を探すことを指す俗称です。

立ちんぼという言葉自体は、法律用語ではありません。

立ちんぼの語源は、日雇い労働者が仕事を待って立ち続けていた「立ちん坊(たちんぼう)」という言葉と言われています。

そこから転じて、街頭で売春の客待ちを指す俗語として使われるようになりました。
立ちんぼは、古くから歓楽街などでみられた行為で、現在でも都市部などの一部エリアで問題になっています。

近年では、SNSを利用して客を募集するケースもありますが、路上に立って直接客待ちをする手法が、一般に「立ちんぼ」と呼ばれる典型例です。

 

女性(立ちんぼ)に成立する犯罪と刑罰

立ちんぼを行う女性には、主に売春防止法違反や、各都道府県の迷惑防止条例違反が問題となります。

以下、それぞれどのような場合に成立し得るのか、またどのような刑罰が定められているのかをみていきます。

立ちんぼに成立する犯罪と刑罰

 

売春防止法違反

売春防止法は、売春そのものに加え、売春を助長したり、これを公然と勧誘したりする行為を規制する法律です。

この法律は、「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と定めています(売春防止法3条)。

引用:売春防止法|電子政府の総合窓口

もっとも、この規定には罰則がありません。

したがって、売春をしたこと自体が直ちに処罰されるわけではありません。

これに対し、公衆の目に触れるような方法で売春の客待ちや勧誘をする行為は、処罰の対象とされています(売春防止法5条)。

根拠条文
(勧誘等)
第五条 売春をする目的で、次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は二万円以下の罰金に処する。
一 公衆の目に触れるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 公衆の目に触れるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。路上での立ちんぼ行為は、このような売春の客待ちや勧誘にあたる可能性があります。立ちんぼは、単に路上に立っていること自体が処罰されるのではありません。公衆の目に触れる場所で売春の勧誘をすることによって、売春防止法違反となるのです。売春防止法5条に違反した場合の刑罰は、「6か月以下の拘禁刑又は2万円以下の罰金」です。

 

迷惑防止条例違反

立ちんぼは、売春防止法だけでなく、都道府県の迷惑防止条例違反となる場合もあります。

売春防止法は、売春の勧誘や客待ちそのものを処罰対象としています。

これに対し、一部自治体の迷惑防止条例は、売春ではなく、「売春類似行為」を目的とする客待ちを規制しています。

売春類似行為とは、対価を受け取って性行為以外の性的な行為を行うものを指します。

たとえば、東京都の条例では、公共の場所で不特定の者に対して売春類似行為をするために、公衆の目に触れるような方法で客引きや客待ちをする行為が禁止されています(東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例7条1項2号)。

参考:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例|東京都ホームページ

この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料が科されます(東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例8条4項)。

 

男性(客側)に成立する犯罪と刑罰

立ちんぼは、女性側だけでなく、客となる男性側にも法的なリスクがあります。

特に、相手が未成年であった場合や、相手の同意がないと評価される場合には、重い犯罪が成立するおそれがあります。

ここでは、男性側に成立しうる主な犯罪を解説します。

 

児童買春・児童ポルノ禁止法違反

相手の女性が18歳未満であった場合、客側の男性には、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(いわゆる児童買春・児童ポルノ禁止法)違反が成立する可能性があります。

この法律では、児童(18歳未満の者)に対し、金銭等と引き換えに性交等の性的な行為を行うことを、「児童買春」として禁じています(児童買春・児童ポルノ禁止法2条2項)。

参考:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律|電子政府の総合窓口

児童買春をした場合、5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金が科されます(児童買春・児童ポルノ禁止法4条)。

立ちんぼに客側で関わった男性は、相手の年齢次第で児童買春・児童ポルノ禁止法に違反するリスクがあるのです。

 

不同意性交等罪

不同意性交等罪は、相手の同意なく性交等を行った場合に成立する犯罪です(刑法177条1項)。

参考:刑法|電子政府の総合窓口

立ちんぼでは、たとえ金銭のやり取りがあるとしても、性交等の行為に全面的に同意しているとは限りません。

同意のないまま性交等に及べば、不同意性交等罪が成立する可能性があります。

また、相手が13歳未満であれば、同意の有無にかかわらず、性交等を行った時点で不同意性交等罪が成立します(刑法177条3項)。

相手が13歳以上16歳未満である場合でも、行為者が5歳以上年長であれば、同様に不同意性交等罪が成立します。

立ちんぼでは、相手の同意の有無や年齢を曖昧にしたまま性的な行為に及ぶと、重大な刑事責任につながるおそれがあるのです。

ワンポイント:男性側の売春防止法違反について

売春防止法では、売春の勧誘や客待ちなどの行為を処罰の対象としていますが、買春行為そのものには罰則が設けられていません。

つまり、客側の男性には、売春防止法違反による刑事責任は生じないということです。

ただし、罰則がないだけであり、売春・買春が合法というわけではありません。

売春防止法は、「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」と定めており、違法には違いありません(3条)。

また、近年では、買う側(客側)にも罰則を設けるべきではないかという議論が出てきています。

性的搾取の防止の観点から、買春者への罰則導入を求める声が上がっており、今後の法改正の動向が注目されています。

 

 

立ちんぼで逮捕される?

立ちんぼは、以上のような犯罪が成立する可能性のある行為です。

事案によっては、実際に立ちんぼで逮捕に至るケースもあります。

もっとも、犯罪の疑いがあるからといって、常に逮捕されるわけではありません。

以下では、逮捕が認められる条件と、立ちんぼで逮捕される主なケースについてみていきます。

 

逮捕の条件

犯罪の容疑者であるからといって、それだけで逮捕できるわけではありません。

逮捕は、法律上の要件を満たす場合に限って認められます。

容疑者を逮捕するには、まず、犯罪の嫌疑をかけるだけの相当な理由があることが必要です。

また、容疑の有無に加えて、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることも必要となります。

 

容疑の存在

まず、犯罪の容疑者として人を逮捕するためには、その人を疑うべき相当な理由が必要です。

立ちんぼの場合、声掛けの内容などを捜査することで、売春の勧誘を行ったことが裏付けられる必要があります。

単に女性が路上に立っていたというだけで、直ちに逮捕できるわけではありません。

 

逃亡や証拠隠滅のおそれ

容疑の存在に加えて、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることも、逮捕の要件となります。

たとえば、定まった住居や仕事がない場合や、任意の呼出しに応じない場合には、逃亡のおそれがあるとみられやすくなります。

また、関係者と口裏を合わせたり、証拠となるやり取りの履歴を消去したりするおそれがある場合などには、証拠隠滅のおそれがあると判断されることがあります。

逆に、定まった住居があり、任意の呼出しにも応じているような場合には、逮捕の必要が低いと判断されることもあります。

逮捕の必要がなければ、逮捕されずに在宅事件として捜査されることになります。

 

立ちんぼで逮捕される主なケース

立ちんぼで逮捕に至る経緯には、いくつかの典型的なパターンがあります。

以下では、代表的なケースを紹介します。

 

現行犯逮捕されるケース

立ちんぼの事案では、その場で現行犯逮捕される場合があります。

立ちんぼは、路上で公然と売春勧誘や客待ちを行うことが多いです。

そのため、警察官から行為を直接確認されやすく、現行犯逮捕に至りやすい面があります。

たとえば、警察官が路上での売春勧誘や客待ちの状況を直接確認し、その場で現行犯逮捕するケースがあります。

また、私服警察官に対して直接声をかけたことで、現行犯逮捕に結びつくこともあります。

現行犯逮捕は、逮捕状なしで行うことができるため、その場で身柄を拘束されることになります。

 

後日逮捕(通常逮捕)されるケース

その場での現行犯逮捕に至らなかったとしても、後日逮捕状が発付され、通常逮捕されることがあります。

通常逮捕は、捜査機関が証拠を収集した上で、裁判官に逮捕状を請求して行われる逮捕です。

たとえば、防犯カメラの映像や、客とのやり取りの記録、SNS上の募集や連絡内容などから、立ちんぼへの関与が疑われ、後日逮捕に至ることがあります。

特に、同じ場所で繰り返し立ちんぼをしていれば、その分だけ防犯カメラに映る機会や、警察の警戒対象となる機会も増え、後日の捜査で発覚しやすくなります。

また、立ちんぼそのものではなく、別の事件やトラブルをきっかけに、立ちんぼへの関与が発覚して逮捕に至るケースもあります。

たとえば、客との間で料金をめぐるトラブルが生じ、警察への通報によって立ちんぼ行為が明らかになることがあります。

また、客から暴行を受けるなどして警察が介入し、その過程で売春勧誘や売春行為が判明する場合もあります。

このようなケースでは、当初は別のトラブルへの対応として警察が関与したとしても、その後の捜査によって立ちんぼ行為で逮捕されることがあります。

 

客側が逮捕されるケース

立ちんぼで逮捕されるのは、女性側だけではありません。

立ちんぼでは、客側が売春防止法違反として罪に問われることはありません。

ただし、相手の女性が18歳未満の未成年であった場合、児童買春の容疑で逮捕されるケースがあります。

この場合、相手の女性が補導や逮捕をされた際の供述や、押収されたスマートフォンのやり取りの記録などから客側が特定されることがあります。

立ちんぼの中には、未成年で風俗店などに勤務できないために立ちんぼをしているというケースがあります。

「客側は罪にならないから」と、安易に立ちんぼの女性を相手に買春をしてしまうと、自身も罪に問われるリスクがあるのです。

逮捕の流れや、逮捕を防ぐ方法についての詳細は、以下のページをご覧ください。

 

 

立ちんぼで逮捕された場合の流れ

立ちんぼに関連する犯罪で逮捕された場合、その後は法の定める手続きに従って事件が進みます。

ここでは、逮捕から最終的な処分に至るまでの流れを順を追って解説します。

立ちんぼで逮捕された場合の流れ

①逮捕

逮捕されると、その場で身柄を拘束され、取り調べが開始されます。

逮捕されてから48時間以内に、事件は検察官に送致(送検)されます。

警察から検察へと事件の引き継ぎが行われ、身柄の拘束が継続します。

 

②勾留

送致を受けた検察官は、24時間以内に、容疑者を勾留する必要があるかどうかを検討し、必要であれば裁判官に勾留請求を行います。

勾留が認められた場合、原則として10日間、やむを得ない事情があればさらに最大10日間の延長が認められます。

つまり、合計で最大20日間にわたって身柄を拘束される可能性があります。

勾留期間中は外部との面会が制限され、家族など弁護士以外の者との接触も困難になる場合があります。

 

③起訴・不起訴の判断

捜査の結果を踏まえ、検察官が容疑者を起訴するかを判断します。

不起訴になれば釈放され、事件はそこで終了します。

一方、起訴された場合は、正式な刑事裁判の手続きに移行します。

また、罰金刑の場合は、簡易的な略式手続によって処理されることもあります。

 

④裁判・判決

起訴された場合は、裁判所で公判が開かれ、事件についての審理が行われます。

審理の結果を踏まえて、裁判官が判決を言い渡します。

 

⑤刑の執行

判決が確定すると、その内容に応じて刑が執行されます。

執行猶予付きの判決が言い渡された場合は、直ちに刑務所に収容されることはありません。

執行猶予期間中に再び罪を犯さなければ、刑の言い渡しは効力を失い、刑務所に入ることなく事件は終了します。

一方、実刑判決が言い渡された場合は、判決確定後に刑務所で服役することになります。

罰金刑の場合は、指定された期限内に罰金を納付する必要があります。

 

 

立ちんぼで補導された場合の流れ

立ちんぼをしていた者が18歳未満である場合には、逮捕ではなく、まず警察による補導や保護の対象となることがあります。

もっとも、その後の流れは年齢や事案の内容によって異なります。

たとえば、次のような流れになることがあります。

立ちんぼで補導された場合の流れ

 

①補導・保護

18歳未満の者の立ちんぼ行為を警察が把握した場合、逮捕ではなく、まずは補導や保護の対象となることがあります。

成人事件とは異なり、少年の事件では、処罰よりもその後の生活や更生により重きを置いた対応が目指されます。

 

②保護者への連絡

補導された後は、保護者に連絡がされ引取りが求められるのが一般的です。

 

③児童相談所への通告など

年齢や生活環境などの状況に応じて、児童相談所への通告などが行われることがあります。

 

④家庭裁判所に送致

立ちんぼは売春防止法や迷惑防止条例違反の非行に該当します。

未成年が起こした非行(少年事件)の場合、原則として警察や児童相談所等から、家庭裁判所に事件が送致されることになります。

もっとも、事案が非常に軽微であるような場合には警察からの厳重な指導のみで終了することもあり得ます。

 

⑤家庭裁判所調査官による調査

家庭裁判所に送られると、家庭裁判所調査官が、本人の性格、生活環境、非行の背景などを調査します。

 

⑥少年審判

家庭裁判所は、調査の結果を踏まえ、審判を開くのが相当であると判断した場合に、少年審判を開始します。

これに対し、調査や教育的な働きかけだけで足り、あえて審判を開く必要がないと判断した場合には、審判不開始として事件が終了することもあります。

少年審判が開始された場合には、家庭裁判所が、非行事実の有無や本人の性格、生活環境などを踏まえて、どのような処分が相当かを判断することになります。

 

⑦処分の決定

審判の結果などを踏まえ、家庭裁判所が処分を決定します。

処分には、不処分、保護観察、少年院送致などがあります。

保護観察は、少年を施設に収容せず、社会内で生活させながら、保護観察官や保護司の指導・監督のもとで更生を図る処分です。

少年院送致とは、非行の程度が重い場合や、家庭環境などから社会内での更生が難しいと判断された場合に、少年院に収容して矯正教育を行う処分です。

少年事件では、成人の刑事事件とは異なり、処罰よりも少年の更生や健全な育成を目的とした処分が行われます。

 

 

女性の立ちんぼのリスクやデメリット

立ちんぼを行う女性にとって、法律違反以外にもさまざまなリスクやデメリットがあります。

ここでは、立ちんぼを行う女性が直面しうる主なリスクを具体的に解説します。

 

逮捕・起訴され、前科につながるリスク

公衆の目に触れるような方法で売春の客待ちや誘引をした場合、売春防止法違反に問われるおそれがあります。

警察による摘発を受けて逮捕され、その後の捜査や裁判の結果有罪となれば、前科がつきます。

前科がついた場合、就職や資格取得の場面で不利益を受けることがあります。

また、結果的に処罰に至らないとしても、捜査の対象となれば、取調べや書類送検の対象となることがあります。

警察の捜査となること自体が、本人の生活や精神面に大きな負担となることもあります。

 

金銭感覚が乱れるリスク

立ちんぼでは、一般的なアルバイトや仕事と比べて、短時間でまとまった金額を得られることがあります。

そのため、通常の働き方による収入を低く感じるようになり、金銭感覚が乱れてしまうおそれがあります。

しかし、このような収入はあくまで一時のものであり、安定的に続くわけではありません。

年齢や体調、取締りの強化、客とのトラブルなどによって、突然得られなくなることもあります。

それにもかかわらず、高い生活水準に慣れてしまうと、生活費の不足や借金、浪費などの問題につながりかねません。

また、地道に働いて収入を得る感覚が薄れると、その後に一般的な仕事へ戻ろうとした際に、収入面や労働条件のギャップに苦しむこともあります。

このように、立ちんぼによる収入に慣れてしまうことは、その後の生活設計にも悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

家族や職場、学校に発覚するリスク

立ちんぼで逮捕された場合には、家族や職場、学校に事件のことが知られてしまうおそれがあります。

逮捕されると、一定期間にわたって外部との自由な連絡が難しくなります。

事案の内容によっては報道される可能性もあり、実名報道されれば、社会的信用を大きく損ないかねません。

また、報道されなかったとしても、逮捕や捜査への対応によって、仕事や通学に支障が生じ、欠勤や欠席の理由を説明せざるを得なくなることがあります。

家族や職場、学校に事情が知られると、人間関係や社会生活に深刻な影響が及ぶことがあります。

 

性被害や暴力被害に遭うリスク

立ちんぼでは、見知らぬ相手と密室で二人きりになる状況が生じます。

そのため、悪質な客によって、不同意性交や暴行などの深刻な被害を受けるおそれがあります。

ホテルの一室のような、外部に助けを求めにくい場所で接触することも多く、逃げたり抵抗したりすることが難しい状況に追い込まれることもあります。

また、立ちんぼという行為の性質上、被害に遭っても警察への相談をためらい、申告できないまま終わってしまうこともあります。

このように、暴力被害から身を守りにくい点は、立ちんぼに伴う重大なリスクの1つです。

 

報酬未払いや恐喝などの金銭トラブルに遭うリスク

立ちんぼでは、口頭で約束した対価が支払われないというトラブルが起こり得ます。

行為の後になって、約束した支払いを踏み倒されて、そのまま逃げられることもあります。

立ちんぼにおける金銭のやり取りは、売春という違法行為を前提とするものであり、法律上保護されません。

報酬の未払いが生じても、通常の契約に基づく未払金の請求と同じように、法的な手段で回収を図ることは困難です。

さらに、客や第三者から金銭を脅し取られる被害に遭うこともあります。

たとえば、行為の様子を撮影され、「拡散されたくなければ金を払え」などと脅されて恐喝に発展することがあります。

このように、立ちんぼでは報酬未払いにとどまらず、脅迫や恐喝などの二次的な金銭トラブルにもつながりやすいという危険があります。

 

盗撮やネット上での「晒し」被害のリスク

立ちんぼをしている姿を無断で撮影され、その画像や動画がSNSや匿名掲示板などに投稿されるリスクがあります。

近年では、立ちんぼが多い場所として注目を集めたエリアの写真や動画が、面白半分でインターネット上に拡散されることもあります。

一度ネット上に公開された画像や動画は、完全に削除することが難しく、長期間にわたって残るおそれがあります。

特に、顔が映っている場合には、身元を特定される危険もあります。

氏名や勤務先、学校名などの個人情報がさらに拡散されることで、日常生活に深刻な影響が及ぶこともあります。

また、本人が気づかないうちに画像や動画が拡散されていることもあり、発覚した時点では、すでに削除や回収が難しくなっていることもあります。

 

性感染症や望まない妊娠のリスク

不特定多数の相手と性行為を行うことにより、性感染症に感染するリスクが高まります。

たとえば、HIVや梅毒、クラミジア、淋病など、さまざまな感染症にかかるおそれがあります。

また、立ちんぼでは、避妊や感染予防が十分に徹底されないまま性行為が行われる危険もあります。

そのため、性感染症だけでなく、望まない妊娠につながるおそれもあります。

 

 

男性(客側)のリスクやデメリット

立ちんぼに関わるリスクは、客側の男性にも存在します。

「自分は買う側だから問題ない」と考えるのは、大きな誤りです。

立ちんぼを相手にすることには、法的なリスクから社会的なリスクまで、多方面にわたる危険があります。

 

相手が未成年の場合のリスク

客側にとって大きなリスクの1つが、相手が18歳未満の未成年であった場合の法的責任です。

売春で買う側には罰則がないというのは、売春防止法に関しての話です。

相手が18歳未満であれば、対価を渡して性交等を行うと、児童買春として処罰されるおそれがあります。

相手が年齢を偽っていた場合でも、外見や会話の内容から未成年の可能性を認識できたと判断されることがあります。

立ちんぼでは、いちいち相手の身分証明書を確認しないケースも多いでしょうから、知らないうちに児童買春の加害者となってしまう危険性があります。

 

美人局(つつもたせ)や恐喝被害に遭うリスク

立ちんぼは、女性の単独行動のように見えて、その背後に共犯者がいることもあります。

共犯者がいる場合、突然別の男性が現れ、「自分の女に手を出した」などと因縁をつけて金銭を要求されることがあります。

これは、いわゆる美人局(つつもたせ)と呼ばれる手口です。

また、写真を撮影されたり、身分証を奪われたりなどして、金銭を支払うよう恐喝されることもあります。

このような場合、売春という後ろめたさから警察への相談がためらわれ、要求に応じてしまうことがあります。

場合によっては、被害が一度で終わらず、さらに金銭を要求されるなど、被害が拡大するおそれもあります。

 

家族や職場に発覚し、社会的信用を失うリスク

客側の男性が逮捕された場合、その事実が家族や職場に知られるおそれがあります。

特に、相手が18歳未満であり、児童買春の容疑で摘発されたような場合には、事案の内容や立場によっては実名で報道されることもあります。

また、逮捕に至らなかったとしても、捜査の対象となれば、警察からの呼び出しや取調べへの対応が必要となります。

そのような過程で、家族や職場に不審を抱かれ、結果として家族や職場に事実が発覚することもあります。

そうなれば、家庭内の信頼関係が損なわれたり、職場での立場や評価に深刻な影響が及んだりするおそれがあります。

 

性感染症に感染するリスク

客側の男性にも、性感染症に感染するリスクがあります。

立ちんぼは、不特定多数との接触を通じて性感染症に感染している可能性があります。

梅毒やHIV、クラミジア、淋病など、性行為によって感染する病気は多岐にわたります。

特に、梅毒は近年、日本国内で感染者数の増加が続いています。

性感染症に感染すると、自身の健康が害されるだけでなく、配偶者やパートナーにうつしてしまうおそれもあります。

このような健康上の被害は、一度の行為であっても生じうるものであり、軽視できないリスクです。

 

 

会社や学校にバレずに解決するためのポイント

立ちんぼで捜査の対象となった場合、会社や学校に知られてしまうことが不安要素の1つとなります。

事件のことが周囲に発覚すれば、仕事や学業に影響が及ぶおそれがあります。

会社や学校に知られるリスクをできる限り抑えるには、早い段階で適切な対応をとることが重要です。

ここでは、周囲に知られずに解決を目指すためのポイントを解説します。

 

早期に弁護士へ相談する

立ちんぼで捜査の対象となった場合、できる限り早い段階で弁護士に相談することが重要です。

弁護士が早期に介入することで、事件の見通しを把握し、今後の対応方針を整理しやすくなります。

逮捕前の段階であれば、取調べへの対応や今後の見通しについて助言を受けながら行動することで、身柄拘束を避けたまま手続が進む可能性があります。

また、逮捕された後であっても、弁護士が速やかに接見して事情を確認し、今後の対応について助言することができます。

身柄拘束が長引けば、会社や学校に不自然な欠勤や欠席を知られるきっかけになりやすくなります。

そのため、周囲に知られるリスクを抑えるためにも、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

刑事事件における弁護士選びの重要性については、以下のページをご覧ください。

 

早期の身柄解放を目指す

逮捕後に身柄拘束が長引くと、職場や学校を無断で欠勤・欠席せざるを得なくなり、事件のことが周囲に知られるリスクが高まります。

そのため、できる限り早い段階での釈放や勾留の回避を目指すことが重要です。

たとえば、弁護士が検察官に対し、勾留請求をしないよう意見を述べたり、勾留決定後でもその判断を争ったりすることがあります。

このような活動が功を奏して、早期に身柄が解放されれば、不自然な長期欠勤や欠席を避けやすくなります。

職場や学校に詳しい事情を知られずに済む可能性を高めるためには、できる限り早期の身柄解放を目指すことが重要です。

 

不起訴処分の獲得を目指す

起訴されると刑事裁判が開かれ、有罪判決が確定した場合には前科がつきます。

裁判は公開の法廷で行われるため、事件が外部に知られるリスクも高まります。

これに対し、不起訴処分となれば前科はつかず、刑事裁判に至ることもありません。

そのため、会社や学校に知られるリスクを抑えるうえでも、不起訴処分を目指すことには大きな意味があります。

不起訴処分の獲得を目指すにあたっては、弁護士を通じて、反省の意思や再発防止に向けた取組を伝えることが重要です。

たとえば、反省文や誓約書を提出したり、生活を見直して再び同様の行為をしないための対策を講じたりすることが考えられます。

こうした事情を整理したうえで、事件の内容や本人の状況に応じた主張を行うことにより、不起訴に向けた働きかけをより適切に進めやすくなります。

 

取り調べに対して適切に対応する

逮捕後の取調べでは、警察官からさまざまな質問を受けることになります。

その際に不用意な発言をしてしまうと、供述の内容が書面の形で記録され、その後の手続に影響するおそれがあります。

そのため、取調べにどのように対応すべきかについては、できるだけ早く弁護士の助言を受けることが重要です。

事案によっては、話す内容を慎重に整理すべき場合もあれば、黙秘権の行使を含めて対応を検討すべき場合もあります。

また、証拠隠滅を疑われるような行動を避けることも重要です。

たとえば、事件に関連するSNSの履歴やメッセージを安易に削除すると、証拠隠滅のおそれがあると見られることになりかねません。

自分だけで判断して対応するのではなく、弁護士の助言を受けながら慎重に行動することが、結果として不利益の拡大を防ぐことにつながります。

 

 

立ちんぼについてのQ&A

立ちんぼで警察に声をかけられたらどうすべき?

警察官から声をかけられた場合は、まず冷静に対応することが大切です。

その場から逃げたり、虚偽の説明をしたりすると、かえって状況が悪化するおそれがあります。

一方で、必要のないことまで話しすぎると、後に不利な材料となることもあります。

そのため、その場では落ち着いて対応したうえで、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

 

立ちんぼはなぜなくならないのですか?

立ちんぼがなくならない背景には、短期間で現金を得たいという動機や、SNS等を通じて集客しやすくなっていることなどがあると考えられます。

加えて、特別な準備がなくても始めやすいことから、安易に関わってしまう人が後を絶たないという面もあります。

このような状況を根本的に解消しない限り、立ちんぼはなかなかなくならないとも思われます。

 

 

まとめ

この記事では、立ちんぼに関係する犯罪の種類や刑罰、逮捕の流れ、リスク、会社や学校に知られずに解決するための方法などを解説しました。

記事の要点は、次のとおりです。

  • 立ちんぼは、売春防止法や迷惑防止条例に違反する行為であり、拘禁刑や罰金の対象となる。
  • 客側の男性も、相手が未成年であれば、児童買春や不同意性交等罪が成立するおそれがある。
  • 立ちんぼで逮捕されるケースには、その場での現行犯逮捕と、後日の通常逮捕のパターンがある。
  • 立ちんぼには、逮捕や前科だけでなく、暴力被害や性感染症などの重大なリスクが多数ある。
  • 立ちんぼで捜査対象となった場合は、できる限り早期に弁護士へ相談することが重要である。

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