器物損壊について
目次
器物損壊とは何か
器物損壊とは、他人の所有物を壊す、もしくは使えない状態にすることをいいます。
他人の車の窓ガラスを割る、などが典型例です。
また、他人所有の食器皿に放尿する行為も、物理的に食器皿を破壊したわけではなくとも、精神的にその食器皿を使用することを不可能にしたといえますから、器物損壊に当たります(大判明治42年4月16日)。
刑法第261条は「他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と規定しています。
器物損壊で起訴されないためには?
示談交渉を早期に開始することが重要となります。
器物損壊罪の事案においては、被害者がいるためまずはその被害を回復することが重要です。
示談が成功すれば、逮捕や起訴される可能性が低くなるでしょう。
そのためには、できるだけ早い段階で示談に着手する必要があります。
器物損壊で示談するメリット
器物損壊罪は、個人に対する罪ですから、所有者に許しをもらえれば、飛躍的に不起訴の可能性が上がります。
起訴前に告訴を取り下げてもらうことができれば、起訴される心配はなくなります。
逮捕されている場合、身体釈放も、示談の成立とともに実現に向かうことになるでしょう。
長期の身体拘束や、有罪判決によって、会社に器物損壊の事実が知れ渡ったり、会社を解雇されたりする危険性は増大してしまいます。
示談の進め方
①連絡先の電話番号を取得
まずは被害者の連絡先を取得する必要がありますから、警察等の捜査機関に連絡先の開示を求めていくことになります。
しかし、加害者ご本人からの開示については、拒否される可能性が高いと思われます。
被害者は加害者に対して恐怖心を持っていることが多く、連絡先を教えることに抵抗を感じるからです。
そこで、示談交渉については、基本的に弁護士から捜査機関に連絡先を照会します。
開示の相手が弁護士であれば、被害者の方も安心して、開示を許可してくれる可能性があります。
②被害弁償を申し入れる
次に、弁護士は、被害者に連絡をいれ、謝罪の意を伝達するとともに、被害弁償をさせてほしい旨を伝えます。
このとき、被害者の方は感情的になっていることも多く、すんなりと示談に応じてくれない可能性があります。
そのような場合、金銭賠償のほか、代替品の購入等、被害者の納得を得られる様々な案を提示する必要があります。
また、粘りよく交渉を続け、可能な限り早期の示談成立を実現します。
弁護方針
弁護活動のポイント
器物損壊事件については、不起訴処分の獲得が目標になります。
また、逮捕された場合は、早期釈放も目標として弁護活動を行うことになります。
弁護活動としては、示談交渉が中心になります。
その他、行為態様が悪質ではないこと、あなたに酌むべき事情があること、これまで前科前歴なく真面目に暮らしてきたこと、反省を深め更生を誓っていること等を意見書の形にして、処分決定権のある検察官に提出した上で検察官面会を求める活動も考えられます。
意見書に添付する形で証拠をも提出することが有益ですから、証拠の収集にも取り組むことになります。
やはり最重要任務は、示談交渉です。
器物損壊を認める場合
器物損壊を認める場合、逮捕はされるものの、勾留まではされないというケースが多いです。
検察官によって、在宅のまま起訴するか不起訴処分とするかが決定されます。
器物損壊罪は比較的軽微な犯罪として捕らえられています。
ですが、損壊した物の価値や、被害者との従前の関係性(トラブルになることが多かったなどの事情があるかどうか)、被害者の処罰感情によっては、勾留される可能性もありますし、懲役刑を科されることもありますので、被害者と早期に示談を成立させることが重要です。
器物損壊罪は、親告罪とされています(刑法264条)。
すなわち、被害者の処罰を求める意向(告訴)があって初めて検察官が起訴をすることが可能となるような仕組みになっています。
そこで、器物損壊を認める場合に重要になってくるのが、可能な限り早期から被害者に謝罪・交渉を重ね、可能な限り早期に示談を成立させ、告訴を取り消してもらうことです。
示談が成立すれば、釈放されますし、不起訴処分を手にすることができます。
また、被害額や前科の有無によっても左右されますが、仮に告訴を取り消してもらうことができなかったとしても、被害弁償を受け取ってもらえた場合は、不起訴処分となる可能性は残るといえます。
示談交渉に、被疑者が自ら臨むのは困難です。
被害者は、大切なものを壊した被疑者に敵対心を持っていますから、歩み寄ることはなかなかできません。
そのため、選任された弁護士が迅速に示談交渉に臨む必要があります。
示談交渉は、弁護士の技量と熱意によって大きく影響を受けますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要となります。
示談を成立させることができず、被害弁償も受け取ってもらえなかった場合、被害額によりますが、初犯であれば十数万円程度の罰金刑に処される可能性が高いといえます。
懲役刑となる可能性は高いとはいえませんが、罰金刑とはいえ前科であることには変わりがありませんので、前科がつくことを回避したいと考えるのであれば、早い段階で弁護士を通して示談交渉を進めていかなければなりません。
器物損壊を認めない場合
器物損壊を認めず、無罪を主張する場合としては、①過失で物を壊してしまっただけであり、故意はなかったという主張、②犯人は自分ではなく全く身に覚えがないという主張が考えられます。
いずれの場合も、起訴前であれば検察官に、起訴後であれば裁判官に、無罪を基礎付ける有利な証拠を豊富に提出し、説得する必要があります。
証拠の収集は、弁護士の熱意と技量がものをいいますから、刑事事件に専門特化した弁護士を選任することが重要となります。
まずは当事務所にお気軽にご相談ください。
