労災の後遺症|後遺障害認定基準や会社への請求も解説

執筆者:弁護士 鈴木啓太
弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

労災の後遺症|後遺障害認定基準や会社への請求も解説

労災によってケガをしたり病気になり、治療を継続したものの、体に何らかの後遺症が残ってしまったとき、従業員の方が請求できるお金は、大きく分けると以下の2つの種類があります。

  • 労災保険(国)から支給されるお金
  • 会社に対して直接請求するお金(損害賠償)

後遺症が残ってしまった場合には、まずは国に対して「後遺障害」の申請をすることが極めて大切です。

労災の後遺障害の認定を受けることで、労災から給付金がもらえるだけでなく、会社に対して、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」を追加で請求することができ、補償される金額が大幅に増額する可能性があるからです。

ただし、会社に請求するためには安全配慮義務違反が認められる必要があります。

この記事では、労災の後遺障害等級の認定基準、等級(1〜14級)ごとにもらえる金額・日数の目安、後遺障害の申請の手続き、会社へ請求できるケースなどを解説していますので、ご参考にされて下さい。

労災の後遺症(後遺障害)とは?

労災の後遺障害とは?

労災の後遺症とは、労災によってケガをしたり病気になり、治療を継続したものの、何らかの症状が残ってしまう状態のことです。

労災は、労働災害の略であり、労働災害には通勤災害と業務災害があります。

 

後遺症と後遺障害との違い

後遺症と後遺障害は似ている言葉ですが、実務上は少し違う意味合いで使います。

「後遺症」とは、症状固定(これ以上治療をしても良くも悪くもならない状態)になったときに、何らかの症状が残っている状態のことです。

一方で、労災における「後遺障害」とは、症状固定(これ以上治療をしても良くも悪くもならない状態)になったときに、症状が残っていることに加え、労働能力の喪失を伴っており、その症状が障害等級表にあてはまるものをいいます。

イメージとしては、後遺症の概念の方が広く、後遺症の一部の症状が後遺障害に当てはまるというようなイメージです。

 

 

労災の後遺障害認定基準

後遺障害等級(1級〜14級)の認定基準

後遺障害等級は、1級から14級まで定められており、1級が最も重い後遺障害です。

級の中の「号」によって後遺障害の内容が具体化されています。

以下の表が後遺障害等級表です。

等級 障害の内容
第14級
  1. 1 一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
  2. 2 三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  3. 2-2 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  4. 3 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 4 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 5 一手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 6 一手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
  8. 7 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
  9. 8 局部に神経症状を残すもの
第13級
  1. 1 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 2 一眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
  3. 2-2 正面視以外で複視を残すもの
  4. 3 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 3-2 五歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  6. 3-3 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
  7. 4 一手の小指の用を廃したもの
  8. 5 一手の母指の指骨の一部を失つたもの
  9. 6 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
  10. 7 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
  11. 8 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
第12級
  1. 1 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 2 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 3 七歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  4. 4 一耳の耳かくの大部分を欠損したもの
  5. 5 鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 6 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  7. 7 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
  8. 8 長管骨に変形を残すもの
  9. 8-2 一手の小指を失つたもの
  10. 9 一手の示指、中指又は環指の用を廃したもの
  11. 10 一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
  12. 11 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
  13. 12 局部にがん固な神経症状を残すもの
  14. 13 外貌に醜状を残すもの
第11級
  1. 1 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 3 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 3-2 十歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  5. 3-3 両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
  6. 4 一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  7. 5 せき柱に変形を残すもの
  8. 6 一手の示指、中指又は環指を失つたもの
  9. 7 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
  10. 8 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第10級
  1. 1 一眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 1-2 正面視で複視を残すもの
  3. 2 そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 3 十四歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
  5. 3-2 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  6. 4 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  7. 5 一手の母指又は母指以外の二の手指の用を廃したもの
  8. 6 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
  9. 7 一足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
  10. 8 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 9 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第9級
  1. 1 両眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 2 一眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  3. 3 両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの
  4. 4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 5 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 6 そしやく及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 6-2 両耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  8. 6-3 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になつたもの
  9. 7 一耳の聴力を全く失つたもの
  10. 7-2 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 7-3 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 8 一手の母指又は母指以外の二の手指を失つたもの
  13. 9 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指の用を廃したもの
  14. 10 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
  15. 11 一足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 11-2 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 12 生殖器に著しい障害を残すもの
第8級
  1. 1 一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 2 せき柱に運動障害を残すもの
  3. 3 一手の母指を含み二の手指又は母指以外の三の手指を失つたもの
  4. 4 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指の用を廃したもの
  5. 5 一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
  6. 6 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  7. 7 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
  8. 8 一上肢に偽関節を残すもの
  9. 9 一下肢に偽関節を残すもの
  10. 10 一足の足指の全部を失つたもの
第7級
  1. 1 一眼が失明し、他眼の視力が〇・六以下になつたもの
  2. 2 両耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  3. 2-2 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が一メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  4. 3 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 4 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 5 一手の母指を含み三の手指又は母指以外の四の手指を失つたもの
  7. 6 一手の五の手指又は母指を含み四の手指の用を廃したもの
  8. 7 一足をリスフラン関節以上で失つたもの
  9. 8 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 9 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 10 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 11 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 12 両側のこう丸を失つたもの
第6級
  1. 1 両眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 2 そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になつたもの
  4. 3-2 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの
  5. 4 せき柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 5 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  7. 6 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
  8. 7 一手の五の手指又は母指を含み四の手指を失つたもの
第5級
  1. 1 一眼が失明し、他眼の視力が〇・一以下になつたもの
  2. 1-2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 1-3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 2 一上肢を手関節以上で失つたもの
  5. 3 一下肢を足関節以上で失つたもの
  6. 4 一上肢の用を全廃したもの
  7. 5 一下肢の用を全廃したもの
  8. 6 両足の足指の全部を失つたもの
第4級
  1. 1 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 2 そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 3 両耳の聴力を全く失つたもの
  4. 4 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
  5. 5 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
  6. 6 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 7 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
第3級
  1. 1 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
  2. 2 そしやく又は言語の機能を廃したもの
  3. 3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 5 両手の手指の全部を失つたもの
第2級
  1. 1 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  2. 2 両眼の視力が〇・〇二以下になつたもの
  3. 2-2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  4. 2-3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  5. 3 両上肢を手関節以上で失つたもの
  6. 4 両下肢を足関節以上で失つたもの
第1級
  1. 1 両眼が失明したもの
  2. 2 そしやく及び言語の機能を廃したもの
  3. 3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  4. 4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  5. 5 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
  6. 6 両上肢の用を全廃したもの
  7. 7 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
  8. 8 両下肢の用を全廃したもの

 

「しびれ」や「痛み」で14級は認定される?12級との違い

「しびれ」や「痛み」の症状の場合、認定される可能性があるのは、14級9号あるいは、12級12号です。

14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」に該当する場合に認定されます。

12級12号は、「局部にがん固な神経症状を残すもの」に該当する場合に認定されます。

両者の違いは、「がん固な」という言葉の有無です。

具体的には、12級12号は、しびれや痛みが労災事故によるものであることを医学的に「証明」できる場合に認定されます。

つまり、レントゲン、CT、MRIなどから骨や筋肉などに異常が見られ、それが原因で痛みや痺れが生じていることが明確に確認できる場合に、12級12号が認定されるのです。

14級9号は、医学的に「証明」はできないものの、事故の態様や治療経過、症状の経過などの諸事情を総合的に考えて、労災事故により症状が残っていることを医学的に「説明」できれば認定されます。

 

 

労災の後遺症(後遺障害)で請求できるお金の全体像

労災保険(国)から支給される給付金と計算方法

労災の後遺障害に認定されると、まずは国(労働基準監督署)から「障害補償給付」が支給されます。

これは会社側に落ち度があるかどうかにかかわらず、等級に該当すれば必ずもらえる安心なお金です。

労災保険からもらえるお金は、一律で「〇〇万円」と決まっているわけではなく、以下の2つの要素を掛け合わせて計算されます。

  • あなたの1日あたりの給料(給付基礎日額)
  • 認められた後遺障害等級に応じた「支給日数」

そのため、給料が高い人や、症状が重く等級が上の人ほど、もらえる金額は大きくなります。

まずは、ご自身の等級で「何日分のお金」と「いくらのお見舞金(特別支給金)」がもらえるのか、以下の早見表で確認してみましょう。

 

後遺障害等級・給付内容の早見表
等級 認定基準の目安 労災保険からの給付日数(毎年または一括) 障害特別支給金(一律)
1級 両目が失明、常に介護が必要な状態など 給付基礎日額の313日分(年金) 342万円
2級 随時介護が必要、精神に著しい障害など 給付基礎日額の277日分(年金) 320万円
3級 終身労務に服することができない状態など 給付基礎日額の245日分(年金) 300万円
4級 両耳の聴力を全廃、一上肢をひじ以上で失うなど 給付基礎日額の213日分(年金) 264万円
5級 特に軽易な労務以外の労務に服することができない状態など 給付基礎日額の184日分(年金) 225万円
6級 せき柱の著しい変形、一上肢の2関節の用を廃するなど 給付基礎日額の156日分(年金) 192万円
7級 軽易な労務以外の労務に服することができない状態など 給付基礎日額の131日分(年金) 159万円
8級 一上肢の1関節の用を廃する、一下肢を5cm以上短縮など 給付基礎日額の503日分(一時金) 65万円
9級 服することができる労務が相当な程度に制限される状態など 給付基礎日額の391日分(一時金) 50万円
10級 一上肢の1関節の機能に著しい障害を残すなど 給付基礎日額の302日分(一時金) 39万円
11級 せき柱に変形を残す、労務遂行に相当な支障があるなど 給付基礎日額の223日分(一時金) 29万円
12級 1つの重大な関節が動かない、しびれ(頑固) 給付基礎日額の156日分(一時金) 20万円
13級 片足の指が動かなくなったなど 給付基礎日額の101日分(一時金) 14万円
14級 体の一部に傷跡が残った、しびれや痛み 給付基礎日額の56日分(一時金) 8万円

※記載はあくまで代表例です。実際の等級判定は、医師の診断や詳細な労災認定基準に基づき総合的に判断されます。

 

会社へ請求できるお金(後遺障害慰謝料・逸失利益)

労災事故が発生したことについて、会社に落ち度がある場合(安全配慮義務違反がある場合)には、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益を請求することができます。

 

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の金額は、等級に応じて相場が決まっています。

具体的には、下表のとおりです。

等級 後遺障害慰謝料額
第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

 

後遺障害逸失利益の計算方法

逸失利益とは、後遺障害により働きづらくなったり、死亡したりすることで将来の収入が減ってしまうことに対する補償です。

後遺障害逸失利益は、以下の計算式で計算します。

計算式 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 喪失期間に対応するライプニッツ係数

 

基礎収入

基礎収入とは、原則、事故前年の年収額です。

事故前年の源泉徴収票の「支払金額」の部分に記載のある金額が基礎収入となります。

 

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によって、どの程度、働きづらくなったのかを割合で示すものです。

一般に、等級に応じて、以下のような割合になっています

等級 喪失率
第1級 100%
第2級 100%
第3級 100%
第4級 92%
第5級 79%
第6級 67%
第7級 56%
第8級 45%
第9級 35%
第10級 27%
第11級 20%
第12級 14%
第13級 9%
第14級 5%

 

喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間は、症状固定日から67歳までの期間が原則です。

つまり、40歳で症状固定した場合には、27年が労働能力喪失期間となります。

ライプニッツ係数とは、中間利息を控除する係数です。

逸失利益は将来の給料を先に一時金として受け取るものなので、利息を控除する必要があります。

ライプニッツ係数の表は以下をご覧ください。

 

具体的な計算例

例えば、以下を前提に逸失利益を計算します。

  • 年収額:450万円
  • 症状固定日の年齢:47歳
  • 認定された等級:10級

この場合、以下の計算式で計算します。

450万円 ✕ 27% ✕ 12.4622 = 1514万1573円

このケースでは、1514万1573円が逸失利益の金額となります。

 

後遺症とは別に、治療中や休業中にもらえる労災補償

労災保険での補償は、後遺障害の補償以外に以下の補償があります。

 

治療費

治療費は、労災保険から療養補償給付として支払われます。

労災指定病院に通院している場合には、労働局から直接病院に治療費が支払われます。

労災指定病院以外を受診した場合には、従業員がいったん、窓口で治療費を支払い、後日労働基準監督署に請求して支払を受けることになります。

 

通院交通費

通院交通費は、以下の条件を満たす場合には、労災保険から支給を受けることができます。

 

①被災者の居住地または勤務地から、片道2kmを超える通院であること

片道2km未満でも負傷の状況を考慮して例外的に認められることがあります。

 

②以下のいずれかに当てはまること
  1. ア 同一市町村内の診療に適した労災指定医療機関へ通院した場合
  2. イ 同一市町村内に診療に適した労災指定医療機関がないため、隣接する市町村内の診療に適した労災指定医療機関へ通院した場合
  3. ウ 同一市町村内および隣接する市町村内に診療に適した労災指定医療機関がないため、それらの市町村を越えた最寄りの労災指定医療機関へ通院した場合

会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、2km未満であっても会社に対して、通院交通費を請求することができます。

 

休業損害

休業損害は、労災保険から休業補償給付として給付基礎日額の60%、特別支給金として給付基礎日額の20%を請求することができます。

給付基礎日額とは、労災事故の直近3カ月に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日あたりの金額です。

会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、賃金の100%から休業補償給付として支払われた金額の差額を会社に請求することができます。

特別支給金は、労働局から特別に支給される金銭であるため、会社に請求する際に差し引く必要はありません。

つまり、実質的に約120%の休業損害を受け取ることができるのです。

当事務所では、労災の慰謝料などの賠償金の概算がいくらになるのかすぐに確認されたい方のための計算ツールを掲載しております。

詳しくは以下のリンクよりご覧ください。

労災慰謝料シミュレーターはこちら

 

 

労災の後遺障害給付を申請する手続きの流れ

労災の後遺障害給付を申請する手続きの流れ

 

①医師に労災の後遺障害診断書を作成してもらう

労災で後遺症が残った場合には、その後遺症が後遺障害等級表に該当するか審査してもらうために、労働基準監督署に申請をすることになります。

その際に必須の書類となるのが、後遺障害診断書です。

労災の指定の様式がありますので、その様式で主治医に作成してもらいます。

労働基準監督署は、後遺障害診断書に記載のあることに基づいて審査するので、後遺障害診断書はとても重要な書類です。

記載漏れがあると、審査の対象にはならないため注意しましょう。

作成費用については、労災保険から4000円が支給されます。

病院によって作成費用は異なりますが、4000円をこえる作成料については、自己負担となります。

 

②労働基準監督署へ必要書類を提出する

後遺障害診断書を主治医に作成してもらったら、その他の必要書類とともに所轄の労働基準監督署に送付します。

申請にあたって必要な書類は以下の書類です。

  • 労災保険の様式10号(通勤災害の場合は様式16号の7)
  • 後遺障害診断書
  • レントゲン、CT、MRIなどの画像(必要な場合)
  • その他判定のために必要な書類(認定の参考になる資料)

労災保険の様式10号(通勤災害の場合は様式16号の7)の作成にあたっては、労災事故の発生状況や平均賃金額などを会社に記載してもらって事業者証明してもらう必要があるので、会社の協力が必要となります。

 

③労働基準監督署での面談を受ける

労働基準監督署に後遺障害の申請をして一定期間後に、被災労働者と審査の担当者との面談が行われます。

面談は、特殊な事情がない限り、すべての案件で実施されます。

面談では、被災状況や負傷の程度などを確認されることになります。

 

後遺障害の申請時効は「症状固定の翌日から5年」

労災への後遺障害の申請には期限があります。

症状固定日の翌日から起算して「5年」が期限です。

例えば、2026年8月16日が症状固定日の場合、2031年8月16日が期限になりますので、十分注意が必要です。

 

専門の弁護士に相談することも検討する

後遺障害の申請をするにあたっては、専門の弁護士に相談することも検討されて下さい。

専門の弁護士に、後遺障害診断書の記載に漏れはないか、必要な検査が実施されているか、添付すると認定に有利な証拠はないかなど、事前に相談することで、適切な認定を受けることが期待できます。

特に、会社が後遺障害の申請に協力してくれないような場合には、全て自分で資料を収集・作成する必要があります。

こうした場合には、ミスがないように弁護士に相談し、依頼を検討することもお勧めします。

 

 

労災の後遺障害認定を申請するデメリットはある?

従業員側にデメリットはなし!会社に気兼ねする必要がない理由

従業員側が後遺障害申請することについて、基本的にデメリットはありません。

労災保険に後遺障害申請をして後遺障害等級が認定された場合には、国(労働基準監督署)が補償を支払うのであって、会社が支払うのではありません。

後遺障害申請をすることは、法的に認められた権利なので、会社に気兼ねすること無く申請して構いません。

 

万が一、認定されなかった(非該当)場合の対処法

認定されなかった場合には、審査請求を行うことになります。

審査請求とは、もう一度、後遺障害の審査をしてもらうための手続きです。

審査請求は、結果を知った日から3ヶ月以内に行う必要があり、期限がタイトなので、不服がある場合には、速やかに動くことが重要です。

 

 

会社へ後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益を請求できるケース

会社の安全配慮義務とは、従業員等が働くにあたって、ケガや病気をしないように、必要な措置を講じる義務を言います。

この安全配慮義務に会社が違反している場合には、後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益を会社に請求することができます。

安全配慮義務違反が認められるかどうか検討するにあたっては、まずは労働安全衛生規則を参照します。

労働安全衛生規則には、安全基準や衛生基準などについて、具体的に規定されています。

例えば、518条には、高さが2メートル以上の場所で従業員等が転落してしまう危険性がある場合には、足場を組み立てるなど危険を防止する措置をとることが会社に義務付けられています。

こうした義務に違反している場合には、法令違反であるため、原則として安全配慮義務違反は認められることになります。

労働安全衛生規則に違反していない場合には、会社が危険を予見することができ、それを放置していたような事情はないか検討します。

こうした検討を踏まえ、会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、労災事故について会社に補償してもらうことができます。

 

 

後遺障害認定を受ける重要性

労災事故で会社に安全配慮義務違反が認められる場合には、会社に対して慰謝料と逸失利益(労災保険の支給では不足する部分)を請求することができます。

 

後遺障害認定で会社に請求できる項目
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益(労災保険の補償で不十分な場合)

後遺障害慰謝料の相場は、110万円(14級)〜2800万円(1級)であり、とても高額です。

また、逸失利益は、労災保険から一部支給されるものの、多くのケースでは不十分であり、追加で数百万円〜数千万円を会社に請求することができるケースもあります。

このように、後遺障害に認定されることで、補償される金額が大幅に増額される可能性があるのです。

 

 

労災の後遺症がある方へ|労災に強い弁護士によるサポート内容

デイライト法律事務所では、後遺症でお悩みの方々に以下のサポートを実施しております。

  • 会社との示談交渉・裁判のサポート
  • 後遺障害申請サポート
  • 遺族年金・一時金サポート

 

会社との示談交渉・裁判のサポート

労災事故の補償について、会社が速やかに補償をしてくれるとは限りません。

労災の発生について、従業員側にも落ち度がある場合には、労災保険以上の補償はしないと争われることは多々あります。

当事務所では、こうした場合に弁護士が窓口となり、法的な観点から会社に責任があることを示し、賠償を求める交渉のサポートを実施しています。

交渉で解決しない場合には、裁判手続きのサポートも行っています。

 

後遺障害申請サポート

当事務所では、後遺障害診断書が適切か分からない、申請を会社に任せるのは不安、会社が後遺障害申請に協力してくれない等のお悩みを抱えた方に対して、後遺障害申請のサポートを行っています。

後遺障害診断書のチェックや、適切な認定を受けるために有利な証拠の検討など、申請にあたって必要なサポートを実施しています。

 

遺族年金・一時金サポート

労災事故で亡くなった従業員のご遺族は、遺族年金・一時金を労働基準監督署に請求することができます。

大切なご家族を亡くされた中で、諸手続きを行うことは非常に辛い作業となります。

当事務所では、できる限りご遺族の負担がないよう申請手続きのサポートを行なっています。

 

 

まとめ

労災で後遺症が残った場合には、後遺障害申請をすることが大切です。

後遺障害認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を追加で請求することができ、補償金額が大幅に増額する可能性があるからです。

ただし、請求できるのは、会社に安全配慮義務違反が認められる場合です。

安全配慮義務違反の有無については、安全衛生規則などを参照して検討する必要があり、専門的な知識が求められますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

当事務所では、人身障害部を設置しており、人身障害部の弁護士は労災案件に注力し、事案研究会を開催するなど日々研鑽を積んでいます。

労災案件に関するご相談は、全て人身障害部の弁護士が対応しておりますので、後遺症について相談事がございましたら、お気軽にご相談下さい。

オンライン相談(LINE、Zoom、Meet、FaceTime)を利用して全国対応しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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