労災の様式8号とは?記入例や注意点をわかりやすく|ダウンロード可

労災の様式8号とは、労災給付の申請に使用する書式の一種で、休業補償給付を受ける際に使用する様式です。

労災の給付にはさまざまな種類があり、それに応じて、申請のための様式も複数存在します。

そのため、労災の給付を申請するにあたっては、どの給付を申請するのか、それに対してどの様式を使うのかといったことを正確に理解しておく必要があります。

このページでは、労災の様式8号について、その意義や用途、入手方法や書き方、注意点などを、弁護士が解説しています。

様式8号を使用して申請する際に特に気を付けるべきポイントを中心に取り上げていますので、様式8号での申請をお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

労災の様式8号とは?

労災の様式8号とは、労災の給付申請に用いる書式の一種であり、業務に起因して負傷した従業員が就労不能となった場合に、休業補償給付を受けるために使用する書類です。

正式には、「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」という名称です。

労災給付には様々な種類があり、受けようとする給付の種類に応じて申請様式を使い分ける必要があります。

様式8号は「休業補償給付支給請求書」という名称のとおり、労災の「休業補償給付」の支給を請求する際に用いる様式です。

休業補償給付は、①業務災害により従業員が負傷し、②そのために働ける状態になく、③賃金を受けていない場合に賃金を一定割合で補填するための給付です。

労災の給付にはさまざまな種類があり、同じような給付であっても微妙に要件が異なるということがよくあります。

その場合、使用する様式も給付に合わせて適切なものを選択しなければなりませんので、給付ごとの要件をよく確認して、混同しないように注意しなければなりません。

 

様式8号と5号との違い

様式8号は「休業補償給付」を受ける際の様式であるのに対し、様式5号は「療養補償給付」を請求するための様式です。

いずれも、業務災害により従業員に負傷が生じた場合の給付ではありますが、様式5号は労災指定医療機関等で治療を受ける(療養の給付を受ける)ために用いる様式です。

労災の申請様式は、「業務災害イコールこの様式を使う」という単純なものではありません。

業務災害であっても、治療費の給付を受けるのか休業に対する給付を受けるのかといった目的を明確化しなければ、適切な様式を決定できないのです。

逆にいいますと、申請すべき給付を特定したのであれば、使用するべき様式は必然的にひとつに定まるということでもあります。

 

様式8号と16号の6との違い

様式5号以外にも、様式8号と特に混同しやすいものとして、様式16号の6があります。

様式16号の6は、「休業給付支給請求書」といいます。

ぱっと見るでは様式8号と同じに見えるかもしれませんが、様式8号の方は「休業補償給付支給請求書」であり、「補償」という2文字の有無が異なります。

違いとしては、「補償」の文字が入っていない様式16号の6は、労災の中でも、業務災害ではなく通勤災害によって休業する場合に用いる点です。

労災の給付では、療養費や休業分の賃金補償など、同じような請求内容であっても、その原因が業務に直接起因する業務災害なのか、それとも通勤途上でのアクシデントによる通勤災害なのかによって、給付が変わってきます。

様式もそれぞれに存在していますので、区別には十分気を付けていただきたいと思います。

業務災害 通勤災害
療養補償給付 様式5号 様式16号の3
休業(補償)給付 様式8号 様式16号の6

 

ワンポイント:「補償給付」と「給付」の違い

様式8号は業務災害により「休業補償給付」を申請する際の様式であり、通勤災害による場合は「休業給付」となるとご説明しました。

治療費の給付を受ける場合も同じく、業務災害による場合は「療養補償給付」、通勤災害による場合は「療養給付」となり、業務災害を原因とする場合の給付は、名称に「補償」の2文字が加わります。

同じような給付ですので、わざわざ区別せずシンプルに統一してほしいようにも思いますが、業務中の災害では使用者である会社の責任が問題になるのに対し、通勤災害は会社の管理外での事故であるという点で本質的に異なります。

このため、労災という枠組みの中でも、業務災害に対する給付と通勤災害に対する給付とは、異なる根拠法令の下で別の制度として運用されているのです。

業務災害と通勤災害に共通する事項を説明する際には、両者を区別する必要がないことから、「療養(補償)給付」「休業(補償)給付」のように、「補償」の文字を()で囲んで表現することもあります。

このような表記を見られたときは、休業補償給付と休業給付の双方を含んでいる趣旨とご理解ください。

この記事は労災の様式8号がテーマですので、「休業補償給付」の表現が多く用いられている点にも注目していただければと思います。

 

 

労災の様式8号はどこで手に入れる?

労働災害に対する保険給付を受けるには、給付の種類に対応した所定の様式に、必要事項を記入して申請する必要があります。

労災の申請様式は、厚生労働省のホームページから入手することができます。

参考:厚生労働省ホームページ

 

労災の様式8号のダウンロードはこちらから

上記の厚生労働省のホームページのほか、当事務所でも申請にご利用いただける様式をご用意しております。

様式は、下記のリンク先からダウンロードいただけます。

 

 

労災の様式8号の作成方法

労災の様式8号の書式は確認できましたでしょうか。

書式を見てわかるとおり、様式8号を提出する際は、本体である「休業補償給付支給請求書」のほかに、別紙1として「平均賃金算定内訳」を添付する必要があります。

また、休業期間中に一部出勤した場合は、その分は賃金を受けていると考えられますので、これを差し引くため、別紙2を提出してその状況を明らかにします。

このような添付すべき別紙の存在も含め、様式8号は作成が非常に煩雑となっていますので、以下の記入例や書き方をぜひ参考にしていただければと思います。

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労災の様式8号(表面)の書き方

様式に「※印の欄は記入しないでください。(職員が記入します。)」とあるとおり、※印以外の欄はすべて記入する必要があります。

※印の項目はそれほど多くありませんので、表面の多くの項目は記入が必要な項目です。

記入が不要な項目を整理すると、次のとおりです。

記入が不要な項目
帳票種別
  1. ①管轄局署
  2. ③新継再別
  3. ④受付年月日
  4. ⑧業通別
  5. ⑨三者コード
  6. ⑩日雇コード
  7. ⑪特別加入者
  8. ⑬日数査定
  9. ⑭特支コード
  10. ⑮委任未支給
  11. ⑯特別コード
  12. ⑰平均賃金
  13. ⑱特別給与の額
  14. ㉑金融機関コード
  15. ㉒郵便局コード

ここに列挙した以外の項目は、記入して申請する必要があります。

以下では、記入に特に注意が必要な項目の書き方を解説します。

 

②労働保険番号

被災した従業員が勤務している事業所の労働保険番号を記入します。

労働保険番号は、労働局から事業所ごとに付与される14桁の番号です。

労働保険番号が分からない場合は、労働保険の年度更新申告書の控えで確認することができます。

 

⑲療養のため労働できなかった期間

療養のため労働できなかった期間とは、労災による負傷のために、従業員が労働できなかった期間を記入します。

様式8号は休業補償の請求書ですので、療養のため労働できなかった期間の数え方を誤ると、給付の内容にも影響が出てくるため、期間の数え方は正確に理解しておく必要があります。

オーソドックスなケースとして、業務中に負傷し、そのまま作業を中断して病院に搬送されたような場合には、災害が発生したその日が労働できなかった期間の初日となります。

他方で、災害の発生当日は負傷後も定時まで勤務をした場合や、災害自体が定時の後に発生したような場合には、労働できなかった期間の初日は翌日以降となります。

災害の発生日は定時まで勤務を終えていることになるため、その日は「労働できなかった期間」とは言いがたいためです。

災害発生日の定時後、あるいは翌日以降に病院を受診して休業期間に入った場合には、実際に休業を開始した日が労働できなかった期間の初日となります。

 

⑳賃金を受けなかった日の日数

賃金を受けなかった日の日数の欄は、休業のために従業員が賃金を支給されなかった日数を記入します。

この日数には土日や祝日を含めますので、通常は休業期間の日数と一致するはずですが、有給休暇を取得した日がある場合には、その日については給与が支給されているため日数から差し引くことになります。

また、いわゆる「ならし出勤」のような形で午前中だけなど部分的に出勤した日がある場合は、休業日数としては丸1日休んだものとした上で、その分の給料については差し引いて給付することになります。

したがって、記入例では令和4年6月15日から6月30日までの16日間を休業した事例をお示ししていますが、実際には有給休暇や部分的な出勤状況によって、次のようにいくつかのケースが想定されることになります。

ケース1 有給休暇を取得することなく、上記期間をすべて休業した場合

6月15日から30日までのすべてが休業日数となるため、16日間となります。

ケース2 6月15日から17日までの3日間を有給休暇とした場合 

有給休暇を取得した3日間については、有給、すなわち給料が支給されていることになるため、休業日数としてはカウントしません。

したがって、休業日数としては16日間からこの3日間を差し引いた13日間となります。

ケース3 6月29日と30日の2日間は午前中だけならし出勤した場合

この場合、6月29日と30日の2日間については部分的に出勤していることになります。

この2日間については午前の出勤分について給料が発生していることになりますが、休業日数から差し引くことはしません。

また、半日出勤だからといって、半日の出勤が2回で1日を差し引く、といった処理をすることもありません。

このようなケースでは、休業日数としては16日間とした上で、出勤した分の給料については、労災の支給額において調整することになります

なお、このケースのように部分的な休業が発生した場合は、様式8号の別紙2を提出することが必要となります。

これらのケースのように、有給休暇の取得や部分休業が絡んでくる場合には、「休業日数」と「賃金不支給の日数」が微妙に異なることがあり得ます。

このような場合には、両者を混同しないよう意識的に区別する必要があります。

また、「(内訳別紙2のとおり。)」とあるように、別紙2を提出する場合にはそちらに賃金を受けなかった日の日数の内訳を記載することになりますので、様式の本体と別紙で齟齬が生じないように注意してください。

 

事業主証明欄

「⑫の者については、⑦、⑲、⑳、㉜から㊳まで(㊳の(ハ)を除く。)及び別紙2に記載したとおりであることを証明します。」の欄は、従業員の職種や労災の発生状況、休業の期間などについて、様式に記載したとおりであることを雇い主である会社が証明するための欄です。

このため、この欄については会社側で記入することになります。

従業員が支店等の勤務で、支店長等が事業主の代理として選任されている場合は、その支店長等による証明となります。

また、「労働者の直接所属事業場の名称所在地」には、本社で社会保険を一括して管理している、いわゆる「一括適用事業所」の場合に、従業員が直接所属する事業場の名称及び所在地を記入します。

 

「診療担当者の証明」の欄

傷病の部位や療養期間などを診療担当者(主治医)が証明する欄です。

この欄は医師による医学的判断ですので、記入は主治医に依頼することになります。

したがって申請者が直接この欄に記入することはありませんが、療養の期間などが「⑲療養のため労働できなかった期間」などの他の欄の記載と矛盾しないように注意する必要があります。

 

「上記により休業補償給付又は複数事業労働者休業給付の支給を請求します。」の欄

宛名は、被災した従業員が所属している事業場を管轄する労働基準監督署長とします。

たとえば様式の記入例のように、従業員の所属する事業所が千代田区であれば、これを管轄する中央労働基準監督署が宛名となります。

このため、宛名を記入するためには、事業所の住所からその住所地を管轄する労基署を特定する必要があります。

労基署の管轄については、厚生労働省のホームページから、都道府県を選択し、労働基準監督署の「管轄一覧表」をクリックして確認できます。

参考:厚生労働省ホームページ

 

労災の様式8号(裏面)の記入例

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労災の様式8号(裏面)の記入例

 

労災の様式8号(裏面)の書き方

㉜労働者の職種

従業員の職種を記入します。

職種は、従業員の作業内容が分かるように、できるだけ具体的に記載します。

たとえば、単に「作業員」とするのではなく、「建設作業員」「電気工事士」のように、従事していた作業内容が分かるよう具体的に記載します。

 

㉞平均賃金

平均賃金とは、従業員の直近三ヶ月間の給料から割り出した1日あたりの平均賃金であり、休業補償の算定基礎となります。

平均賃金は別紙1の「平均賃金算定内訳」にしたがって計算しますので、ここでは、最終的に算出された結論としての金額のみを記入します。

 

㊲災害の原因、発生状況及び発生当日の就労・療養状況

従業員が負傷する原因となった事故(労働災害)の概要を記載します。

この項目では、どのような事故が起こったのかが、この欄の記載を読むだけで把握できるように労働災害の発生状況を的確に記載する必要があります。

様式上の注意書きでも、次の(あ)から(お)までの事項を記載するものとされています。

  1. (あ)どのような場所で
  2. (い)どのような作業をしているときに
  3. (う)どのような物又は環境に
  4. (え)どのような不安全な又は有害な状態があって
  5. (お)どのような災害が発生したか

記入する側はどのような災害だったのかを知っていますが、読む側はこの欄から災害の全貌を読み取らなければならないため、不十分な記載とならないよう、上記の項目が網羅されているか、ひとつひとつ確認するとよいでしょう。

また、見出しに「発生当日の就労・療養状況」とあるとおり、労働災害の状況だけでなく、従業員の当日の就労及び療養の状況についても記載が必要です。

これは、表面の「⑲療養のため労働できなかった期間」の項目でもご説明したとおり、その日の業務を終えられたかによって、その日から休業期間のカウントが開始するのかが変わってくるためです。

単に労災の状況を漫然と説明するだけでなく、負傷によって休業となったのか否かについても、記載が漏れないよう注意する必要があります。

 

労災の様式8号(別紙1表面)の記入例

▼クリックで拡大できます労災の様式8号(別紙1表面)の記入例

 

労災の様式8号(別紙1表面)の書き方

別紙1は、従業員の平均賃金を明らかにするための内訳書となっています。

休業に対してどの程度の補償をすべきかは一律ではなく、その従業員の給与水準によって決まってくるため、平均賃金を正しく算出する必要があります。

別紙1の項目を順番に埋めていくことで平均賃金を算出できますので、提出のために作成しなければならない書面ではありますが、平均賃金を算定するための「ツール」のような感覚でとらえていただくとよいかもしれません。

 

賃金計算期間

平均賃金は、災害発生日の直前の賃金締切日からさかのぼった過去3ヶ月の給料を基に計算します。

たとえば記入例のように、賃金締切日が毎月末日で、災害の発生日が6月15日だとすると、直前の賃金締切日は5月末日となります。

したがって、賃金計算期間はそこからさかのぼった三ヶ月、すなわち3月1日から3月31日まで、4月1日から4月30日まで、5月1日から5月31日までの三ヶ月間となります。

 

総日数

総日数は、各賃金計算期間における暦の日数を記入します。

ただしその期間に私病などで休業した日数があるときは、その日数を差し引いた日数を暦日数に併記した上で、これを丸囲みします。

記入例では、4月に2日間休業した設定となっています。

このため4月の日数は、総日数30日と休業日を控除した28日を併記した上、28日間を丸囲みしています。

 

賃金

賃金は、1月や1週間など一定の期間を基準に支払われるものは上の「A」の欄に、1日や1時間を単位として支払われるものは下の「B」の欄に、それぞれ区別して記入します。

通常の月給制の従業員であれば、基本給や毎月支給される手当は「A」の欄に、残業代など時間単位で支給されるものは「B」の欄に記入します。

 

平均賃金

平均賃金は、3ヶ月間の賃金総額を3ヶ月間の暦日数によって割ることで求めます。

「賃金総額(ホ)÷ 総日数(イ)」とあるように、総計欄の(ホ)と総日数欄の(イ)から数字を拾うようにすれば、誤ることはないでしょう。

平均賃金は銭単位まで計算し、銭未満の値は切り捨てます。

総日数(イ)は、休業した日数があるときは、「暦日数」と「休業した日数を差し引いた日数」を併記した上で後者を丸囲みすると解説しましたが、平均賃金を計算する際は暦日数の方を使用します。

丸で囲んだからといって、そちらを採用するという趣旨ではありませんので注意してください。

計算例
記入例の事例は、賃金総額が1,396,000円、総日数が92日という設定となっています。したがって平均賃金は、「賃金総額(ホ)÷ 総日数(イ)」、つまり1,396,000円 ÷ 92で15,173円91銭となります。

 

最低保障平均賃金の計算方法

この欄では、最低保障の平均賃金を計算します。

計算方法自体はやや煩雑ですが、平均賃金の欄と同じく(イ)や(ロ)といった符号に従って数値を代入していけば正確な値が計算できます。

「最低保障」ですので、この欄で計算した金額が前記の平均賃金を上回った場合は、こちらの金額を平均賃金として採用することになります。

算出した金額を、様式本体裏面の「㉞平均賃金」の欄に忘れずに転記するようにしましょう。

計算例

計算方法を簡略化すると、「(ロ)÷(イ)」と「(ニ)÷(ハ)」の合計ということになります。

記入例の事例ですと、「(ロ)÷(イ)」は1,326,000円 ÷ 92で14,413円4銭、「(ニ)÷(ハ)」は70,000円 ÷ 65 × 60/100で646円15銭となるため、最低保障賃金はこれらの合計を合計した15,059円19銭となります。

 

①賃金計算期間のうち業務外の傷病の療養等のため休業した期間の日数及びその期間中の賃金を業務上の傷病の療養のため休業した期間の日数及びその期間中の賃金とみなして計算した平均賃金

この欄は、賃金計算期間の三ヶ月の間に業務外の傷病の療養等のため休業した期間がある場合に使用します。

この欄も前記の最低保障平均賃金と同じく符号に従って数値を入れていけば計算可能となっていますが、休業中の賃金(リ)や日数(チ)の値は、別紙1の裏面から引用します。

裏面の数値を引用する必要があることから、記入はいったん保留した上で、先に裏面を仕上げてからまた戻って記載することになります。

記入を飛ばしたまま忘れることのないように気を付けてください。

通常は平均賃金と最低保障平均賃金の高い方が計算上の平均賃金となりますが、この欄を記入したときは、さらにこの欄の金額とも比較し高額な方が採用されます。

計算例 業務外の傷病の療養のために2日間休業した場合

記入例は、平均賃金の計算期間中に2日間休業し、その間も住居手当と通勤手当が減額されなかった事例としています。この事例であれば、休業日数である2日間及びその間に支給された2,800円を差し引いて、(1,396,000円 ― 2,800円)÷(92日 ― 2日)により、15,480円00銭と計算することになります。これは平均賃金の欄で計算した15,173円91銭を上回っていますので、最終的には15,480円00銭が給付額を算定する上での平均賃金として採用されることになります。

 

 

労災の様式8号(別紙1裏面)の記入例

▼クリックで拡大できます労災の様式8号(別紙1裏面)の記入例

 

労災の様式8号(別紙1裏面)の書き方

別紙1の裏面は、賃金計算期間において、業務外の傷病の療養等のために休業した期間がある場合に、その日数やその期間中に受けた賃金を記入します。

記入例では、4月に2日間の休業が発生したが、住居手当及び通勤手当がその分減額されずに満額支給されたという設定になっています。

また、「③特別給与の額」の欄には、特別給与を負傷日以前の2年間分記入します。

特別給与とは、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金をいい、一般的な企業では、半年ごとに支給されるボーナスや賞与等がこれにあたります。

 

労災の様式8号(別紙2)の記入例

▼クリックで拡大できます

労災の様式8号(別紙2)の記入例

 

労災の様式8号(別紙2)の書き方

様式8号(別紙2)は、休業補償給付を請求する休業期間に「部分算定日」が含まれる場合に添付が必要となります。

部分算定日とは、1日の内に部分的に出勤した日や、出勤はしていないものの、手当等が支給されており、賃金が完全にゼロではない日(全部休業日とはいえない日)をいいます。

記入例では、休業期間中も住居手当については減額されずに満額支給され、かつ休業の最終日には午前中だけ出勤したという設定となっています。

一部出勤した最終日だけでなく、全面的に休業していた他の日についても、手当の支給を受けているため「全部休業日」ではなく「部分算定日」となることに留意してください。

 

 

労災の様式8号の提出先

労災の様式8号は、所轄の労働基準監督署長に対して提出します。

様式8号の宛名のところでご紹介したとおり、労働基準監督署は住所地によって管轄が分かれていますので、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署を特定して提出します。

 

 

労災の様式8号の注意点

ここまで、様式8号の記載方法について解説してきました。

様式8号は給付額を確定するために平均賃金を算定しなければならず、別紙添付の必要があるため非常に処理が煩雑となります。

ここでは、様式8号を作成するにあたって特に注意すべき点を改めてご紹介します。

労災の様式8号の注意点

 

①給付と様式の関係を正しく理解する

労災の給付には休業補償給付以外にもさまざまな種類が存在し、様式が細分化されています。

休業補償給付を受ける際に使用するのが、様式8号です。

同じ業務災害に対する給付であっても、療養補償給付を受けるのであれば様式5号を使用しますし、休業に対する給付であっても、業務災害ではなく通勤災害を原因とするときは、様式8号ではなく様式16号の6を使わなければなりません。

このように、労災の給付を受けるに当たっては、自分がどの給付を申請しようとしているのか、そしてそれに対応している様式はどれなのか、給付と様式の両面を正しく理解しておかなければなりません。

申請する給付を間違えたり、給付の選択は正しくても様式を間違えたりすると、また申請からやり直しということになってしまいます。

労災制度の全体を把握することがまず必須であり、その上で様式の選択にも気を配らなければならないことを、ぜひ知っていただきたいと思います。

 

②期間や平均賃金の計算を誤らない

様式8号は休業補償給付を受けるためのものですが、休業補償給付を受けるためには、どの程度の給与を受けている従業員が何日間休業したのかを明らかにしなければなりません。

平均賃金は計算がシンプルとは言いがたく、平均賃金算定内訳に従って計算していけば値は求められるものの、計算の基となる賃金や日数を誤ってしまうと、いくらその後の計算過程が正しくとも、最後の値は間違ったものとなってしまいます。

休業の日数についても、いつから休業期間ととらえるのか、初日の考え方を理解しておく必要がありますので、「日数を数えるだけ」と安易に考えることはできません。

平均賃金や休業日数の誤りは、給付の額にダイレクトに影響してきます。

正確な把握が欠かせない部分ですので、ぜひ慎重にチェックしていただきたいと思います。

 

③別紙の不備に注意する

様式8号は本体だけではなく、平均賃金の算定過程を明らかにするために別紙1、さらに部分算定日がある場合には別紙2を本体に併せて添付する必要があります。

平均賃金や休業の日数など、別紙の記載事項が本体の項目と連動している部分も多々ありますので、別紙の添付漏れはもちろん、記載内容が本体の記載と矛盾していないかについても十分注意する必要があります。

 

④労災に強い弁護士に相談する

労災問題については、労災に強い弁護士に相談することも重要です。

ここまで様式8号の書き方や注意点について解説してきました。

このページの記載を順に追っていただければ様式8号を適切に作成できるように解説してきましたが、休業補償給付の申請は労災の中でも注意すべき点が多く、特に煩雑になっています。

このため、細心の注意を払って作成したとしても、どこかしらに記入ミスがあるということが少なくありません。

記載不備などで書類の手戻りがあると、それだけ手続きの遅延が生じることになり得ます。

労災に強い弁護士であれば、複雑な申請についても正確に処理することができますので、繁雑な事務処理から解放されて本来業務に注力することができます。

また、労災の事案では、負傷した従業員の方では「会社のせいで怪我をした」という認識になることもあり、後日法的な紛争へと発展することも珍しくありません。

そこで、労災問題については早い段階で弁護士に相談しておけば、申請だけでなくその後の法的対応まで含めた、一貫したサポートを受けることができるのです。

ただし、労災の分野は制度が複雑であり、その後の紛争対応まで視野に入れると、労働問題
取り扱い経験が豊富な弁護士に依頼することが望ましいといえます。

労災問題における弁護士選びの重要性については、こちらをご覧ください。

 

 

まとめ

このページでは、労災の様式8号について、様式5号や様式16号の6との違い、入手方法や記入方法について詳しく解説しました。

最後に、記事の要点を確認します。

  • 労災の様式8号は、労災の休業補償給付を受けるために使用する書式である。
  • 休業補償給付とは、業務に起因して負傷した従業員が就労不能となった場合に受けられる給付である。
  • 治療費の給付は療養補償給付、休業に対する給付であっても通勤災害による休業の場合は休業給付となり、それぞれ様式5号、様式16号の6を使用することになるため、様式8号は使えない。
  • 休業補償給付では従業員の平均賃金や休業期間が給付に直結してくるため、別紙を含めて正確に様式を作成する必要がある。
  • 労災問題は労災に強い弁護士に早期に相談することで、申請からその後の対応まで含めた一貫したサポートが受けられる。

当事務所では、労災問題を多く取り扱う人身傷害部の弁護士が相談から受任後の事件処理を行っています。

また、電話相談、オンライン相談(LINE、ZOOM、Meetなど)により、全国対応が可能ですので、お気軽にご相談下さい。

 

 

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