窃盗(万引)で不起訴を獲得できた事例【弁護士の解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー


罪名 窃盗
解決までの期間 7日間
弁護活動の結果 不起訴
被害弁償あり

Eさん(40代女性 / 糸島市)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

スーパーで子どもに指示をして万引きをさせてしまったEさん

Eさんには、小学生の子どもがいましたが、数年前にご主人のDVが原因で離婚し、精神的に不安定であり、心療内科に通院していました。

ある日、Eさんは、スーパーに買い物に行き、その際、子どもに指示をして万引きをさせました(被害額約1万円)。それが見つかり、警察に通報され、逮捕されました。心配したEさんのお母さんは弁護士に相談しました。

 

弁護士がすぐに示談交渉を開始。不起訴となり子どものもとへ帰ることが出来た。

弁護士は、ご依頼を受け、すぐにEさんが逮捕されている警察署へ接見に行きました。そして、被疑事実を認めたので、被害者であるスーパーの店長に連絡を取って、示談交渉を開始しました。スーパーの店長に対して、Eさんの不幸な境遇や子どものことを伝えたところ、同情と理解を示してくれました。

しかし、このスーパーは大手の会社が経営しており、会社の方針として、示談はもちろん、被害弁償にも応じないということになりました。

そこで、弁護士は、法務局に賠償金を供託しました。そして、Eさんの謝罪文を書いてもらい、供託の証明書、上申書と共に、担当検事へ送付しました。

その結果、Eさんは不起訴となり、子どものもとへ帰ることができました。

 

 

窃盗で不起訴になるためのポイント

不起訴処分を得るために、被害者との示談はとても重要です。

しかし、被害者が会社組織の場合、社の方針等により示談に応じてくれないことがあります。

このような場合、供託や贖罪寄付等を行うことで、不起訴となる可能性があります。

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窃盗について

 

 

不起訴を獲得するためには示談が重要

窃盗などのような、被害者が存在する事件において不起訴処分となるためには、被害者との間で示談を成立させることが極めて重要です。

事案にもよりますが、スーパーやコンビニでの万引きの場合、被害額は必ずしも高額にはなりません。

他方で、被害店舗の店員の方は、万引きを行った犯人を取り押さえ、警察に通報し、捜査機関から事情聴取を受けるなど、多大な労力を割くことを強いられてしまいます。

このような場合に、被害品相当額を支払うというだけでは、店舗側が納得してくれない可能性も十分にあります。

そのため、示談を成立させるためには、被害金額のみならず、迷惑料を含めた金額の提示を検討すべきといえます。

 

 

窃盗の示談の流れ

示談交渉は、受任→捜査機関へ被害者の連絡先を確認→連絡先の開示→被害者へ連絡→示談交渉→示談成立→示談書の作成・解決金の支払い→捜査機関へ示談書を提出というような流れで進めていくことになります。

 

被害者の連絡先は、捜査機関が把握していますが、加害者に対して警察が被害者の連絡先を教えることはありません。

ですが、弁護人を選任しておけば、加害者には連絡先を教えないことを条件に、弁護人限りで連絡先を教えてもらえる可能性があります。

弁護人が連絡先を把握し次第、直ちに被害者に連絡を取り、被害者に謝罪をした上で、示談交渉を開始します。

示談が成立すれば、弁護人が示談書を作成し、被害者の署名・押印をもらい、捜査機関に示談書を提出することになります。

 

 

示談に応じてくれない場合の対処法

他方で、今回ご紹介した事案のように、被害店舗の方針で示談に応じてもらえないというケースも少なくありません。

 

このような場合は、今回ご紹介した供託という手段の他に、弁護士に示談金を預け、少なくとも処分が確定するまでは弁護士が保管しておき、入金履歴や預かり証などを証拠として検察官に提出することも考えられます。

被害者の意向次第では、弁護士を通じ、直ちに示談金をお支払いする用意があることを示すことで、供託に近い効力を発揮できるのです。

その他、示談と比べて効果はさほど高くはありませんが、贖罪寄付を行うという手段も、検討の余地はあるといえるでしょう。

このように、示談が成立しなかったとしても、最大限の誠意を持って示談交渉を行ったことを捜査機関に理解してもらうため、弁護士から捜査機関に対し、示談経過に関する報告書を提出することが有効です。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

示談の成立のためには、迅速な動き出しが必要不可欠です。

素早い謝罪を行うことで、被害者にも誠意が伝わりやすくなる可能性もありますし、また仮に店舗の方針で示談が成立しなかったとしても、その後の代替手段として供託や贖罪寄付などの次善の策を練るための時間をより長く確保することができます。

お困りの際は、刑事事件に注力する弁護士へのご相談を、ぜひ一度ご検討ください。

 

 


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