トレントでのダウンロードは違法?逮捕や開示請求のリスク

トレント(Torrent)を利用して著作物をダウンロードする行為は、権利者の許諾がない限り違法です。
近年、著作権者側の摘発体制が強化されており、「バレないだろう」という考えは通用しなくなっています。
トレントは、ファイルをダウンロードすると同時にアップロードも行う仕組みになっています。
その結果、単にダウンロードしただけのつもりでも、アップロードによる著作権侵害の責任まで問われるおそれがあるのです。
この記事では、トレントによるダウンロードについて、違法となるケースや、逮捕の可能性、バレる理由、心当たりがある場合の対処法などを、弁護士が解説します。
目次
トレント(Torrent)でのダウンロードは違法?
トレントを利用してファイルをダウンロードすること自体が、ただちに違法になるわけではありません。
トレントは、もともと大容量のファイルを効率的にやり取りするために開発された通信技術です。
ツールそのものには、違法性はありません。
しかし、トレントを通じてダウンロードされるファイルの中には、著作権で保護された映画や音楽、漫画、ゲームなどが無許諾で共有されているケースが多くあります。
こうした著作物を、著作権者の許諾なくダウンロードしたりアップロードしたりする行為は、著作権法に違反する違法行為となります。
つまり、トレントの利用そのものよりも、やり取りするファイルの内容と権利者の許諾の有無によって、違法かどうかが決まるということです。
そもそもトレントとは?
トレントとは、正式にはBitTorrent(ビットトレント)と呼ばれるファイル共有の仕組みのことです。
通常のダウンロードでは、1つのサーバーからファイルを受け取ります。
これに対してトレントでは、同じファイルを持っている複数の利用者から、ファイルを小さな断片に分けて同時に受け取る仕組みになっています。
このため、大容量のファイルであっても、効率よく短時間でダウンロードできるという特徴があります。
トレントを利用するには、まず「トレントクライアント」と呼ばれる専用のソフトウェアをパソコンにインストールします。
そして、ダウンロードしたいファイルの情報が記録された「トレント」という小さなファイルをトレントクライアントに読み込ませることで、ダウンロードが始まります。
この技術自体は、Linuxなどのオープンソースソフトウェアの配布や、大規模なデータの共有など、合法的な目的にも広く利用されています。
しかし、その匿名性の高さや利便性から、著作権で保護されたコンテンツの違法な共有にも多く悪用されているのが現状です。
【ワンポイント:トレントはアップロードも伴う】
トレントの大きな特徴として、ファイルをダウンロードしている最中に、既に受け取った断片が自動的に他の利用者へアップロードされるという点があります。
つまり、トレントでファイルをダウンロードする行為は、同時にそのファイルをアップロード(共有)する行為でもあるのです。
以下の解説では、ダウンロードだけでなくアップロードも同時に行われていることを前提としています。
トレント利用によるダウンロードで違法となるケース
トレントを使ったダウンロードが違法になるかどうかは、ダウンロードするファイルの内容と、権利者の許諾があるかどうかによって決まります。
ここでは、違法となるケースと違法とならないケースを、それぞれ具体的に説明します。
違法となるケース
一言でいえば、法的に保護された著作物を、権利者の許諾なくダウンロードまたはアップロードした場合が違法となります。
著作権法では、著作権者に無断で著作物を複製したり、公衆に送信したりする行為を禁止しています。(著作権法21条、23条1項)
トレントでの違法ダウンロードやアップロードは、この規定に抵触するものです。
以下に、違法となる代表的なコンテンツの種類を紹介します。
映画・アニメ・AVなどの動画コンテンツ
映画やアニメ、AVといった動画コンテンツは、トレント上で違法に共有されることが特に多いジャンルです。
これらの作品は、著作権法によって権利が保護されており、権利者の許諾なくダウンロードやアップロードを行うことは違法です。
映画やアニメ作品などを無断でトレントを通じてやり取りする行為は、著作権侵害にあたります。
漫画・書籍・雑誌などの出版物
漫画や書籍、雑誌などの出版物も、著作権法で保護される著作物です。
近年は、漫画の海賊版サイトに対する取り締まりが強化されています。
同時に、トレントを利用した漫画や書籍の違法ダウンロードも、取り締まりの対象です。
電子書籍としてスキャンされたデータや、雑誌を丸ごとPDF化したファイルなどをトレントで入手する行為も、違法となります。
音楽ファイル・アルバム
音楽ファイルやアルバムのデータを、権利者に無断でトレントからダウンロードする行為も違法です。
かつて音楽ファイルの違法共有は世界的に大きな社会問題となり、各国で法整備が進められました。
日本でも、違法にアップロードされた音楽であることを知りながらダウンロードする行為は、著作権法上の違法行為として規定されています。
ゲーム・ビジネスソフト・OSの海賊版
ゲームソフトやビジネスソフト、OS(オペレーティングシステム)の海賊版をトレントで入手することも、違法です。
本来、こうしたソフトウェアを使用するには、正規のライセンス購入が求められます。
しかし、トレント上には、認証を不正に回避した違法コピーが出回っているのが実情です。
とりわけ、AdobeシリーズやMicrosoft Officeなどの製品は、正式なライセンス費用が高額です。
そのため、利用の程度がわずかであったとしても、請求される賠償金が多額に上る可能性があります。
違法とならないケース
トレントの利用が、すべて違法になるわけではありません。
著作権が切れているコンテンツや、権利者が自ら配布を許諾しているコンテンツであれば、トレントを利用してダウンロードしても違法にはなりません。
以下に、違法とならない代表的なケースを紹介します。
オープンソースソフトウェアやフリー素材の共有
権利者が自由な配布を許諾しているファイルは、トレントを利用してダウンロードしても問題ありません。
たとえば、Linuxなどのオープンソースソフトウェアや、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで配布されているフリー素材などです。
むしろ、大容量のファイルを効率的に配布できるトレントの特性を活かして、正規の配布手段として積極的に利用されているケースも少なくありません。
著作権保護期間が満了したコンテンツ
著作権には、保護期間が定められています。
この期間を過ぎた著作物は、パブリックドメイン(公有)となります。
日本では、原則として著作者の死後70年で、著作権の保護期間が満了します。
パブリックドメインとなったコンテンツは、誰でも自由に利用できるため、トレントでダウンロードしても違法にはなりません。
権利者の許諾を得ている正規の配信
一部のクリエイターや企業は、自らの作品やソフトウェアを広く配布するために、トレントを正規の配信手段として活用しています。
こうした場合は、権利者自身が許諾した上でファイルが共有されているため、ダウンロードしても著作権侵害にはあたりません。
ただし、正規の配信かどうかの判断は慎重に行う必要があります。
少しでも疑わしい場合は、利用を控えるべきでしょう。
トレント利用によるダウンロードの3つのリスク
トレントを利用して著作物を違法にダウンロードした場合、そのリスクは法的なものにとどまりません。
法的には、民事責任と刑事責任の両面が問題となり得ます。
また、それ以外にも社会的な制裁を受けるおそれがあります。
ここでは、トレント利用による違法ダウンロードがもたらす3つのリスクについて、それぞれ詳しく解説します。
【民事責任】損害賠償請求のリスク
著作権を侵害した場合、権利者から損害賠償を請求されるおそれがあります。
著作権法では、損害額の推定規定が設けられています。
侵害者が得た利益や、権利者が受けた損害をもとに、賠償額が算定されます(著作権法114条)。
トレントの場合、ダウンロードと同時にアップロードも行われるため、利用者は著作物の拡散に直接加担していることになります。
単に自分が視聴するためにダウンロードしたつもりであっても、アップロードによって多数の利用者に著作物を提供したことになり得ます。
その結果、損害額が膨らむ可能性があります。
特に、高額なコンテンツが多数ダウンロードされた場合には、アップロード者が負う賠償責任は数千万円単位に達することもあり得ます。
実際に、著作権者側が発信者情報開示請求によって利用者を特定し、高額の損害賠償を請求する事例は増加傾向にあります。
「個人利用の範囲だから大した金額にはならないだろう」という考えは、トレントの仕組みを考えると非常に危険です。
【刑事責任】刑事罰を受けるリスク
著作権侵害は民事上の問題にとどまらず、刑事事件として立件されることもあります。
著作権法では、著作権を故意に侵害した者に対して、10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科すと定めています(著作権法119条1項)。
また、違法にアップロードされたものと知りながら有償の著作物をダウンロードする行為には、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科されます(著作権法119条3項)。
トレントでは、その仕組み上、ダウンロード中であっても自動的にアップロードが行われます。
そのため、自分ではダウンロードのみのつもりであっても、より重いアップロードの責任を負うことが十分あり得ます。
「ダウンロードしただけ」と軽く考えていても、アップロードを含めた行為全体が捜査対象となることを認識しておく必要があります。
社会的制裁のリスク
法的な責任に加えて、トレントによる著作権侵害が発覚した場合には、さまざまな社会的制裁を受けるおそれがあります。
刑事事件化した場合はもちろん、民事上の請求を受けた段階でも、日常生活や社会的な立場に大きな影響が及ぶことがあります。
実名報道のリスク
トレントによる著作権侵害で逮捕された場合、実名で報道されるおそれがあります。
特に、有名な映画やアニメ、ゲームなど、世間の関心を集めやすい作品がかかわる場合には、その確率も高まります。
ニュースバリューがあると判断されやすく、メディアで大きく取り上げられることもあります。
インターネット上に一度掲載された実名報道は、半永久的に残り続ける可能性があり、将来にわたって影響が続くことになります。
事件が報道されるかについての解説は、以下のページをご覧ください。
会社を解雇される
トレントによる著作権侵害で逮捕されたり、刑事処分を受けたりした場合、勤務先から、懲戒解雇を含む厳しい処分を受けるおそれがあります。
報道がなくても、逮捕による長期間の欠勤や、裁判への出席などを通じて職場に事実が伝わることは少なくありません。
会社の就業規則には、刑事事件を起こした場合の懲戒処分について定められていることが多く、著作権侵害もその対象となり得ます。
逮捕を会社に知られたくない場合の対処法については、以下のページをご覧ください。
学校を退学処分になる
学生がトレントによる著作権侵害で逮捕された場合、在籍する学校から退学処分や停学処分を受ける可能性があります。
大学や専門学校では、学生が刑事事件を起こした場合に厳しい処分を科す規定を設けていることが一般的です。
退学処分を受ければ、それまでの学業の成果が失われるだけでなく、就職活動にも大きな影響を及ぼします。
逮捕を学校に知られたくない場合の対処法については、以下のページをご覧ください。
家族の信用を失う
著作権侵害が発覚することで、家族との信頼関係が大きく損なわれるおそれもあります。
逮捕や損害賠償請求といった事態になれば、家族にも事実を伝えざるを得ない状況になることがほとんどです。
高額の賠償金が発生した場合には、家計にも深刻な影響を与えることになります。
家族からの信用を一度失うと、その回復には長い時間がかかります。
犯罪を家族に知られたくない場合の対処法については、以下のページをご覧ください。
トレント利用によるダウンロードで逮捕される?
トレントを利用した著作権侵害で刑事事件化した場合、逮捕される可能性はあるのかという点は、多くの方が不安に感じるところでしょう。
結論としては、トレントのダウンロードで逮捕に至ることもあり得ます。
ここでは、逮捕の要件や、逮捕されやすいケースについて解説します。
逮捕の要件とは?
逮捕とは、捜査機関が容疑者の身体を拘束する強制処分のことです。
逮捕が行われるには、法律で定められた一定の要件を満たす必要があります。
具体的には、犯罪の嫌疑が相当程度認められることに加えて、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあることが求められます。
つまり、犯罪の疑いがあるだけでは逮捕できず、身体拘束の必要性が認められなければなりません。
逮捕の流れや、逮捕を防ぐ方法についての詳細は、以下のページをご覧ください。
逮捕されやすいケース
トレントによる著作権侵害で刑事事件化した場合でも、すべてのケースで逮捕されるわけではありません。
個人利用の範囲にとどまり、営利目的がなく、共有ファイル数も比較的少ない場合には、在宅のまま捜査が進められることも多いです。
また、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断されれば、身体拘束を伴わない在宅捜査で処理されるケースが多いといえます。
具体的には、安定した職について居所がはっきりしていたり、任意の事情聴取にも応じていたりといった場合です。
一方、次のような事情がある場合には、逮捕に至る可能性が高まります。
侵害の規模が大きい場合
トレントで共有していたファイルの数が数百件以上にのぼるなど、著作権侵害の規模が大きい場合には、悪質性が高いと判断されやすくなります。
侵害の規模が大きいほど、処分も厳しいものとなることが予想され、捜査機関としても逮捕の必要性を認める方向に傾きやすくなります。
営利目的が認められる場合
以下の場合には、営利目的による著作権侵害として、より重い処分が見込まれます。
- 例1:違法にダウンロードしたコンテンツを転売している。
- 例2:違法ファイルの共有サイトを運営して広告収入を得ている。
営利目的の場合は、厳しい処分から逃れようとして証拠隠滅のおそれも高いと評価されやすく、逮捕されるリスクは高くなります。
捜査に協力的でない
警察からの任意の出頭要請に応じなかったり、事情聴取の場で虚偽の供述をしたりした場合には、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されやすくなります。
任意の捜査に協力しない姿勢は、捜査機関に対して「逮捕しなければ適正な捜査ができない」という判断材料を与えることになります。
証拠隠滅を図った場合
発信者情報開示請求を受けた後に、慌ててハードディスクのデータを消去したり、トレントクライアントのログを削除したりする行為は、証拠隠滅として評価されます。
こうした行為が確認された場合には、これ以上の証拠隠滅を防ぐために、逮捕の必要性が高まります。
定職や安定した住所がなく、逃亡のおそれがあると判断された場合
定職に就いていなかったり、安定した住所が不明であったりする場合には、逃亡のおそれがあると判断されやすくなります。
こうした事情がある場合は、在宅捜査では対応できないと判断され、逮捕に至る可能性が高くなります。
トレントの利用で摘発された事例
実例1 ネットにTV番組不正配信容疑で男逮捕 ファイル共有ソフト「Bit Torrent」利用
ファイル共有ソフト「Bit Torrent」(ビット・トレント、BT)を使って、テレビ番組を不正に配信したとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは20日までに、埼玉県久喜市、無職、A容疑者(31)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で逮捕した。同センターによると、BTによる同法違反の摘発は全国初。
同容疑者は「BTは警察の取り締まりがないと聞き、番組を見逃した人のためにやった」と供述。
今年2月以降、少なくとも165番組を無償で配信したという。
逮捕容疑は今年6月4~9日、テレビ朝日が放送した「『ぷっ』すま」など3番組の録画ファイルをBTの管理サーバーに登録し、ダウンロード可能な状態にした疑い。
BTは2001年に米国で開発され、主に海外で普及。
ファイル配信元の特定が簡単で、違法ファイルの配信には適していないとされる。
ファイルは細かく分け、データのやりとりは直接ユーザー間で行う。
管理サーバーの負荷が小さく、大きなファイルでも高速でダウンロードできる特徴があることから、企業がソフトなどの配布に使用するケースもあるという。
事例 BitTorrentを通じて漫画ファイルをアップロード、男性送致
長崎県警生活環境課サイバー犯罪対策室と長崎署は平成31年2月、ファイル共有ソフト「BitTorrent」を通じて、漫画作品を権利者に無断でアップロードし送信できる状態にしていた、長崎県の30代男性を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで長崎地検に送致しました。
男性は、平成30年4月、(株)講談社が発行する『「鬼灯の冷徹」第26巻(電子版)』及び(株)集英社が発行する『「僕のヒーローアカデミア 18巻」』をファイル共有ソフト「BitTorrent」を通じて、権利者に無断でアップロードして不特定多数のインターネットユーザーに対して送信できるようにし、著作権(公衆送信権)を侵害した疑いが持たれています。
事例 世界初!『トレント』でゲームをアップロードした3名を検挙(栃木県)
栃木県警察本部サイバー犯罪対策課様と栃木県下野警察署様は、ファイル共有ソフト『トレント』を使い、権利者に無断でアップロードをしていた3名を、著作権法違反(公衆送信権の侵害)で、検挙しました。
検挙された3名は、弊機構加盟会社様が著作権を有するPCゲームソフトやアニメビデオを、ファイル共有ソフト『トレント』を通じて無断でアップロードを行い、インターネット上の不特定多数に対して送信できる状態にし、権利者の著作権を侵害した疑いが持たれていました。
トレント利用はバレる?その理由とは?
トレントを利用した著作権侵害は、「匿名だからバレないだろう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、実際にはトレントの利用はバレる可能性が高いといえます。
その理由は、トレントの仕組みそのものにあります。
トレントでは、ファイルの共有に参加しているすべての利用者のIPアドレス(端末ごとに割り当てられる識別番号のようなもの)が、他の参加者から確認できる状態になっています。
これは、トレントがピア・ツー・ピア(P2P)方式でファイルをやり取りする仕組みであるためです。
著作権者やその委託を受けた調査会社は、この仕組みを利用して、違法にファイルを共有している利用者のIPアドレスを収集しています。
IPアドレスが判明すると、そこからインターネットサービスプロバイダ(ISP)が特定されます。
これにより、著作権者は、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行うことが可能となります。
つまり、プロバイダに対して、そのIPアドレスを使用していた契約者の氏名や住所の開示を求めることができるのです。
この手続きにより、トレントの利用者が個人レベルで特定されることになります。
さらに、近年は著作権侵害に対する権利者側の監視体制が強化されています。
著作権者から委託を受けた専門の調査会社が、トレントネットワークを24時間体制で監視し、違法ファイルの共有者の情報を継続的に記録しているケースもあります。
こうした監視の結果、多数の利用者に対して一斉に発信者情報開示請求が行われることも珍しくありません。
トレントを利用した著作権侵害は、バレるリスクが高い行為であるということを十分に理解しておくべきです。
「心当たりがある」場合に絶対にやってはいけないこと
過去にトレントで著作物をダウンロードしてしまった心当たりがある場合、不安を感じるのは当然のことです。
しかし、焦って誤った対応をとると、状況をかえって悪化させてしまうことがあります。
ここでは、心当たりがある場合に絶対にやってはいけない行動を解説します。

連絡を無視・放置をする
トレントを違法に使用していると、プロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という書面が届くことがあります。
これは、著作権者側から発信者情報の開示を求められたプロバイダが、開示してよいかどうかを契約者に確認するための書面です。
この意見照会書を無視したり放置したりすることは、絶対に避けるべきです。
意見照会書に回答しなかった場合、プロバイダは契約者には「特に意見がない」と判断します。
それだけで直ちに情報の開示に同意したものとまでは、扱われないとはいわれています。
しかし、何も意見を述べていない以上、氏名や住所がそのまま著作権者側に開示されてしまうおそれがあります。
つまり、反論の機会を自ら放棄することになるのです。
意見照会書が届いたら、期限内に適切な対応をとることが重要です。
証拠隠滅
心当たりがある場合に、慌てて証拠隠滅を図る行為も、絶対に避けるべきです。
たとえば、証拠隠滅行為としては以下のような行為が挙げられます。
- トレントクライアントのソフトをアンインストールする
- ダウンロードしたファイルを削除する
- ハードディスクを物理的に破壊する
こうした証拠隠滅行為は、意味がないだけでなく、事態を悪化させるおそれがあります。
トレントの通信記録は、利用者のパソコン内だけに残るものではありません。
プロバイダ側には、IPアドレスと通信日時を記録した通信ログが保存されています。
また、著作権者側の調査会社にも、違法ファイルを共有していた記録が残っています。
つまり、手元のデータを消しても、外部に保存された証拠までは消すことができないのです。
それどころか、証拠隠滅を図った事実自体が、捜査機関や裁判所から悪質であると評価される材料にもなり得ます。
ネット上の不確かな「逃げ方」を信じる
インターネット上には、真偽不明の情報が数多く出回っています。
たとえば、「VPNを使えば絶対にバレない」「古いファイルなら時効で問題ない」「少量のダウンロードなら見逃される」といったものです。
しかし、こうした情報は法的な根拠に乏しいものがほとんどであり、鵜呑みにするのは危険です。
VPN(仮想プライベートネットワーク)とは、インターネット上の通信を暗号化することで、通信内容を第三者から隠蔽する技術のことです。
ただしこれは、完全な匿名性を保証するものではありません。
また、著作権侵害の時効は、民事上の損害賠償請求権については、侵害の事実と加害者を知ったときから3年(または不法行為から20年)です。
刑事上の公訴時効は、アップロード行為(10年以下の拘禁刑)の場合は7年、ダウンロード行為(2年以下の拘禁刑)の場合は3年です。
「古いから大丈夫」とは、一概にいえません。
さらに、侵害の量が少なければ摘発されないという保証もありません。
権利者側がどの範囲まで追及するかは、権利者の方針次第です。
不確かな情報に頼るのではなく、法律の専門家に相談して正確な判断を仰ぐべきです。
弁護士を通さず権利者側に直接連絡する
著作権者側から通知が届いた場合や、自分の行為に心当たりがある場合に、弁護士を通さずに権利者側へ直接連絡をとろうとすることも避けるべきです。
法的な知識がないまま自分で交渉しようとすると、意図せず不利な発言をしてしまうおそれがあります。
たとえば、侵害の事実を認める発言が事実上の自白となったり、実際よりも広い範囲の侵害を認めてしまったりすることがあり得ます。
また、相手方から提示された過大な賠償額を、適正な金額かどうかを判断できないまま承諾してしまうリスクもあります。
さらに、口頭でのやり取りは記録が残りにくく、後になって「言った・言わない」の問題になりやすいという難点もあります。
権利者側とのやり取りは、弁護士を通じて慎重に行うことが重要です。
ダウンロードしてしまったらどうすればいい?
過去にトレントで著作物をダウンロードしてしまった場合でも、適切に対応すれば被害を最小限に抑えられる可能性があります。
ここでは、具体的にとるべき対応を解説します。
意見照会書がきたら適切に対応する
プロバイダから「発信者情報開示請求に係る意見照会書」という書類が届いた場合は、これを無視せず、速やかに内容を確認し、適切に対応することが重要です。
意見照会書には回答期限が設けられていることが一般的です。
期限を過ぎてしまうと、プロバイダが契約者の情報を開示してしまう可能性があります。
意見照会書が届いた段階では、まだ利用者の氏名や住所は著作権者側に開示されていません。
このタイミングで弁護士に相談すれば、開示に対する意見書の作成や、著作権者側との交渉を弁護士に任せることができます。
開示を拒否する正当な理由がある場合は、その旨を主張します。
開示が避けられない場合でも、弁護士を代理人として交渉に臨むことで、不利な条件での和解を避けやすくなります。
自首を検討する
トレントによる著作権侵害の規模が大きい場合や、刑事事件化するおそれが高い場合には、捜査機関に発覚する前に自首を検討することも選択肢の一つです。
自首をすることで、反省の姿勢を示すことができるほか、逮捕を回避できる可能性も高まります。
ただし、自首の判断は慎重に行う必要があります。
事前に弁護士に相談した上で、専門的な助言の下で進めることが望ましいといえます。
自首を弁護士に依頼するメリットについては、以下のページをご覧ください。
刑事事件に強い弁護士に相談する
トレントによる著作権侵害に心当たりがある場合は、できるだけ早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士は、現在の状況を正確に分析し、今後起こり得るリスクを見通した上で、最善の対応策を提案することができます。
意見照会書への対応、著作権者との示談交渉、刑事手続きへの備えなど、いずれの段階においても、弁護士のサポートがあるかどうかで結果が大きく変わることがあります。
一人で抱え込まず、早期に専門家の力を借りることが、問題を適切に解決するための第一歩です。
刑事事件における弁護士選びの重要性については、以下のページをご覧ください。
トレントとダウンロードについてのQ&A
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トレントファイルのダウンロードサイトは?
しかし、こうしたサイトで配布されているトレントファイルの多くは、著作権で保護されたコンテンツを違法に共有するためのものです。
これらのサイトを悪用した違法ダウンロードは著作権侵害にあたるため、利用は控えるべきです。
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トレントで「ダウンロードのみ」の設定は可能ですか?
しかし、トレントの仕組み上、ダウンロード中には断片的なデータが他の利用者に自動的に送信されるため、アップロードを完全にゼロにすることは困難です。
また、仮にアップロードを最小限に抑えたとしても、違法な著作物をダウンロードする行為自体が違法であることに変わりはありません。
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警察が来るのはいつ頃ですか?
著作権者側の調査や発信者情報の開示手続きに、数か月から1年以上かかることもあります。
そのため、利用から相当の期間が経過した後に突然連絡がくるケースも珍しくありません。
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過去にダウンロードしてしまったものはどうすればいいですか?
その上で、今後の対応について弁護士に相談することをお勧めします。
自己判断でデータを削除すると証拠隠滅と評価されるおそれがあるため、弁護士の助言を受けてから対応を決めるのが安全です。
まとめ
この記事では、トレントによるダウンロードについて、違法となるケースや3つのリスク、逮捕の可能性、バレる理由、心当たりがある場合の対処法などを解説しました。
記事の要点は、次のとおりです。
トレントというツール自体は違法ではないが、著作権で保護されたコンテンツを権利者の許諾なくダウンロード・アップロードする行為は著作権法に違反する。
トレントは仕組み上、ダウンロードと同時にアップロードも行うため、利用者は著作物の拡散にも加担していることになる。
違法ダウンロードには、損害賠償請求(民事責任)、刑事罰(刑事責任)、実名報道や解雇などの社会的制裁という3つのリスクがある。
トレントではIPアドレスが他の参加者に公開される仕組みであり、発信者情報開示請求によって利用者が特定されるため、バレる可能性は高い。
心当たりがある場合は、放置や証拠隠滅をせず、早期に刑事事件に強い弁護士に相談することが問題解決への第一歩である。
当事務所は、刑事事件のご相談の予約に24時間対応しており、LINEなどのオンライン相談を活用することで、全国対応も可能となっています。
まずは、お気軽に当事務所までご相談ください。
ご相談の流れは以下のページをご覧ください。
なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか











