【体験談】認知症の母が突然逮捕…釈放までの10日間

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

※弁護士が作成して依頼者に確認していただいた内容を掲載しております。

ご依頼者様 Tさん
性別 女性
ご年齢 50代
お住まいの地域 兵庫県

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。

突然の母の逮捕・勾留

私の母は80歳を超え、ここ数年は少しずつ物忘れが多くなったり、時折、話のつじつまが合わなくなったりすることが見られるようになっていました。

いわゆる認知症の初期症状なのだろうと家族で認識し、今後の介護について話し合いを始めていた矢先の出来事でした。

その日、私は仕事からの帰宅途中、見慣れない番号からの着信に気づきました。

警察署からの電話でした。

電話口の警察官は、冷静な、しかし有無を言わせない口調で「お母様を、住居侵入の容疑で現行犯逮捕しました」と告げました。

一瞬、何を言われているのか理解できませんでした。

母が、逮捕?住居侵入?悪い冗談か、何かの間違いではないかと思いました。

しかし、警察官の話は淡々と続き、母が現在、警察署で身柄を拘束されているという事実を、私は受け入れざるを得ませんでした。

急いで警察署へ向かう道中、頭の中は混乱していました。

一体何が起きたのか。

母がそんなことをするはずがない。

様々な思いが頭を駆け巡りましたが、確かなことは何も分かりませんでした。

その日のうちに警察署に向かい、担当の警察官から事情を聞かされました。

母は、顔見知りである知人のお宅に、施錠されていなかった勝手口から無断で侵入したとのことでした。

幸い、そのお宅の方にけがなどはなく、何か物を盗んだというわけでもありませんでした。

しかし、正当な理由なく人の住居に侵入したことは事実であり、法律に触れる行為であると説明されました。

おそらく、昔からの知人宅ということで、何の気なしに、昔の感覚で訪ねてしまったのでしょう。

認知症の影響で、その行動が許されないことだという判断ができなかったのだと思います。

母の話を聞きたいと思いましたが、逮捕された直後は警察署での面会を行うこともできないと説明され、母が今どんな状況なのかが全くわからず、途方に暮れてしまいました。

しかし、法律はそのような事情を簡単には汲んではくれません。

警察官からは「この後、検察庁に事件を送致し、裁判所が勾留を決定すれば、少なくとも10日間、最大で20日間、警察署での身柄拘束が続くことになります」と告げられました。

80歳を超え、心身ともに弱っている母が、この冷たい留置場で20日間も過ごさなければならない。

そう考えただけで、目の前が真っ暗になりました。

このままでは母の心身が壊れてしまう。

どうにかして、一刻も早く母を家に帰してあげたい。

その一心で、私は生まれて初めて、弁護士を探すことを決意しました。

 

 

わらにもすがる思いで探した弁護士

弁護士に依頼するなど、これまでの人生で一度も考えたことがありませんでした。

何を基準に、誰に頼ればいいのか、全く見当がつきません。

私はスマートフォンの画面にかじりつき、「刑事事件 高齢者 弁護士」「住居侵入 認知症 弁護」といった言葉を必死に検索しました。

数多くの法律事務所がヒットしましたが、どこが本当に親身になってくれるのか、実績があるのか、ウェブサイトを見ただけでは判断がつきませんでした。

しかも、その日はタイミング悪く休日であり、すぐに電話がつながる法律事務所は数が絞られてしまう状況でした。

いくつかの事務所に、震える手で電話をかけてみました。

しかし、事務的な対応に終始するところや、専門用語を並べ立てられ、こちらの不安な気持ちを置き去りにされているように感じるところもあり、焦りと不安は募るばかりでした。

時間だけが刻一刻と過ぎていきます。

母が勾留されている間にも、手続きは着々と進んでしまうのです。

そんな中、デイライト法律事務所のホームページが目に留まりました。

刑事事件に関する解決事例が具体的に掲載されており、相談者の声も載っていたため、少しだけ希望が持てそうだと感じました。

私は祈るような気持ちで、記載されていた番号に電話をかけました。

電話に出てくださった受付のスタッフの方は、それまでの事務所とは全く違いました。

突然のことで動転している私の話を、まず「大変でしたね」と受け止め、落ち着いて、一つ一つ丁寧に聞いてくださったのです。

こちらの立場になって話を聞いてくださるその姿勢に、張り詰めていた気持ちが少しだけ和らぐのを感じました。

すぐに弁護士との相談を調整してくださるとのことで待っていたところ、休日にも関わらず、弁護士から電話があり、そのままお電話口でお話を聞いてもらうことになったのです。

 

 

一筋の光となった弁護士との出会い

電話をかけてきた弁護士の先生は、私の話を一切遮ることなく、じっくりと耳を傾けてくださいました。

事件の経緯、母の認知症の症状、家族の思い、そして何よりも母の身を案じている私の気持ちを、全て受け止めてくれたように感じます。

そして、先生は力強くこうおっしゃいました。

「とにかく、一刻も早くお母様に面会に行きます。その上で、もし警察の方が説明している内容が事実であったとするならば、被害者の方と少しでも早く示談交渉を行いましょう。そして、お母様には悪意がなかったこと、認知症の影響が大きいことを、被害者の方や捜査機関にきちんと説明し、早期の釈放と、不起訴処分の獲得を目指して全力で弁護します。大丈夫です、一緒に頑張りましょう」。

その言葉を聞いて、涙が溢れそうになるのを必死でこらえました。

絶望的な状況の中で、初めて「大丈夫」という言葉をかけてもらえたのです。

先生は、今後の手続きの流れや、弁護士として具体的にどのような活動を行っていくのかを、専門用語をほとんど使わず、非常に分かりやすく説明してくださいました。

この先生なら、全てを任せられる。

そう確信しました。

デイライト法律事務所に決めた第一の理由は、まさにこの担当弁護士の先生の、迅速に対応してくださる行動力でした。

私はその場で正式に刑事弁護を依頼しました。

 

 

信頼と安心の弁護活動

依頼を決めてからの先生の行動は、本当に迅速かつ的確でした。

すぐに警察署へ母との接見に向かってくださり、その日のうちに「お母様とお会いしてきました。少し落ち着かれていました。私から今後の見通しをお話しし、一人ではないことを伝えてきました」と報告の連絡をくださいました。

その一報だけで、私の心はどれだけ軽くなったか分かりません。

先生の弁護活動は、多岐にわたりました。

まずは、被害に遭われた知人のお宅へ謝罪と示談交渉のために、すぐに動いてくださいました。

母に悪意はなく、認知症という病気が引き起こした不幸な出来事であったことを丁寧に説明し、誠心誠意、謝罪の気持ちを伝えてくださったのです。

幸いにも、知人の方は母の状況を理解してくださり、寛大な対応をしてくださいました。

同時に、検察官に対しても、早期に母を釈放するよう強く働きかけてくださいました。

母が高齢であること、認知症の症状があること、既に被害者の方との間で話がついていること、そして私たち家族がしっかりと監督できる環境にあることなどを、意見書としてまとめて提出し、粘り強く交渉を続けてくださいました。

この間、先生からは、ほぼ毎日、電話やメールで進捗状況の報告がありました。

「本日、被害者の方とこのような話をしました」「示談書の内容をご説明します」といった、こまめな報告と丁寧な説明のおかげで、母の状況や、事件の進捗を正確に把握することができました。

先の見えない不安の中で、先生からの連絡だけが、私にとっての光でした。

もし、デイライト法律事務所に依頼していなかったら、何も分からないまま不安な時間を過ごし、精神的に持ちこたえられなかったと思います。

 

 

早い解決と心からの感謝

そして、私たちが依頼をしてから、10日ほどが経った日のことです。

先生から「お母様の釈放が決まりました。」という知らせが届きました。

また、釈放されたあとしばらくして、先生から「検察官から連絡があり、正式に不起訴処分とすることが決まったそうです。」との連絡もいただきました。

私たちが望んでいた「早期の身柄解放」と「前科をつけずに事件を終えること」という、要望の全てを、先生は完璧に勝ち取ってくださったのです。

着手から釈放まで、わずか10日程での解決となり、勾留が延長され20日間にわたって警察署にいなければならないという状況を回避することができました。

母が警察署から出てきた時の姿は、今でも忘れられません。

少し痩せてはいましたが、私の顔を見ると、ほっとしたように微笑みました。

家に帰り、久しぶりに自分のベッドで眠る母の寝顔を見て、ようやくこの悪夢が終わったのだと実感できました。

 

 

釈放後に起きた警察とのトラブルへの対応

しかし、話はこれだけでは終わりませんでした。

認知症が進んでしまった母は、私が日中仕事で家を不在にしている間に、警察署に対して何度か電話をかけてしまったようでした。

そうしたところ、要領の得ない話を続ける母に対し、一部の警察官が暴言を吐くなどして、厳しい対応を取ったというのです。

警察から私宛にも電話があり、「お宅の母親、ちゃんと監督しとけ」などと、厳しいお叱りを受けることになってしまいました。

確かに自分が不在にしている間の出来事で、監督できていなかった部分もあるものの、警察にそこまで厳しく言われるとは思わず、私のせいで母に辛い思いをさせてしまったことに、強く責任を感じました。

この出来事を先生に相談したところ、先生は「警察だからといってそんな暴言が許されてはなりません。警察に対して直ちに抗議文を出します。警察内部で調査させ、きちんとした対応を求めましょう。」と助言してくださいました。

そして、先生はすぐに警察署への抗議文を作成し、警察署や公安委員会への送付まで行ってくださいました。

すると、しばらくして警察署から連絡があり、「調査の結果、お母様に対して不適切な発言を行なった警察官がいたことが判明しました。心よりお詫び申し上げます。」との回答を受けました。

示談ができて釈放までされた後でも、私たちの心に寄り添って、警察相手にも怯むことなく毅然とした対応をしてくださったおかげで、私たちの心は救われたように感じています。

 

 

おわりに

今回、私たちは生まれて初めて弁護士という存在を頼ることになりました。

そして、デイライト法律事務所の先生方、そして親身に支えてくださった事務所のスタッフの皆様には、言葉では言い尽くせないほど感謝しています。

迅速な行動力、的確な弁護活動はもちろんのこと、何よりも、常に私たちの立場に寄り添い、不安な気持ちを和らげ続けてくださったことに、心から感謝申し上げます。

もし、ご家族が突然刑事事件に巻き込まれるという事態に見舞われ、どうすればよいか分からずに不安な思いをされている方がいらっしゃいましたら、一日も早く、信頼できる弁護士に相談することをお勧めします。

私たち家族にとって、デイライト法律事務所は、まさに暗闇を照らす一筋の光でした。

今回は本当にありがとうございました。

今後も、何か困ったことがあれば、また先生方を頼らせていただきたいと思っております。

 

 

その他の方の刑事事件体験談

 

 

なぜ刑事事件では弁護士選びが重要なのか

続きを読む